帝国の旗を掲げよ   作:ドイツ軍ファルマート大陸軍集団

15 / 30
明けましておめでとうございます。

原作時空まで、まだまだ道のりは遠いですが、頑張って投稿して行きますので、これからもよろしくお願い致します。


条約締結への道

 

「では、北部辺境地域の我が国への割譲は断ると、そう言う事ですかな?」

 

「えぇ、もちろんヒトラー総統を始め、貴国らドイツ第三帝国の心情も理解は出来ます。ですが、あの土地は我が国が5年前戦争によってもぎ取った土地、故に簡単に渡すわけにはまいりません。聞く所によると、貴国もかつては大きな戦に巻き込まれ、そして敗戦した事により多くの領土を一時的に失い、その悔しさを糧に国を建て直し、復讐戦に勝利し、今日の大国へと国を発展させたとの事。であるならば、例え我が国に利があるとは言え、領土を他国へむざむざ渡す事の悔しさは、理解していただけると考えます。」

 

ヒトラーのその問いに、アロイス外務卿は、"ドイツの考えを理解しつつも国民感情を考えると易々と提案に乗れない"とでも言いたそうな、芝居かかった態度でそう述べた。

 

そして彼の主張は、ここにいるナチスや軍の幹部達にとって理解できる主張であった。

 

先の第一次欧州戦争、その戦争において、ドイツ第三帝国の前進である、ドイツ帝国の敗北により、当時のドイツは莫大な賠償金と共に、多くの領土を失う結果となった。

 

そして、その屈辱と怒りがナチスをドイツの支配政党へと押し上げ、そして最終的に、第二次欧州戦争に勝利し、ドイツを全ヨーロッパを支配する、巨大帝国へとドイツを成長させる原動力となったのだから。

 

「確かに、貴国の主張は理解できる。だが、我が国としても首都に異世界と繋がる門と言う非常事態が起こっている以上、門周辺地域の安全を確実に確保したい。だからこそ、我々ドイツが貴国に対して支援を行う事を対価とする事で納得してもらいたい」

 

「確かに、ですが…」

 

このままでは話 が平行線となり、最悪ドイツとヴィザンツィア騎士団国の同盟もご破産になりそうな、そんな雰囲気が会議室に漂い始めていた。

 

(我がドイツの未来と、遠くない未来に行われるであろうソ連との最後の聖戦を考えれば、ヴィザンツィア騎士団国との協力関係は必要だ…)

 

実はヒトラーは、ヴィザンツィア騎士団国を含めたファルマート大陸に対するとある、二つの計画をすでに立てていた。

 

その計画とは、ヴィザンツィア騎士団国をドイツ主導の軍事同盟に引き込んだ上で、軍事ををドイツ軍に匹敵する軍隊に育て上げ、来るべきソ連との戦いにおいて、一翼を任せる計画

 

そしてもう一つは、ソ連や各国の爆撃機の手が及ばないファルマート大陸に兵器工場を置く事で、兵器生産能力をある程度確保する、所謂ソ連が大戦末期に行おうとしていた、ウラル山脈への工場移設計画に似た計画を、ヴィザンツィア騎士団国、ひいてはファルマート大陸に対して行う計画。

 

この二つの計画をすでに作っており、その為には何がなんでもヴィザンツィア騎士団国の協力と、北部辺境地域の統治圏確保が最優先となっていた。

 

(どうしたものか…)

 

ヒトラーを含めたナチス幹部達が、そう考えだしたその時。

 

「第三帝国の皆様、一つ代案なのですが、譲渡ではなく租借地と言う形を取るのはいかがでしょうか?」

 

「租借地?」

 

「えぇ、ドイツからの軍事を含めた支援をいただく代わりに、我が国が帰国に領土を貸し出す、この方法であれば双方にとって、政府や国民間での軋轢を生まずに、互いに事を納めることができると考えます」

 

「そして、我が国がドイツからの支援の恩恵を受け、国民が納得する民意へと国が変わり次第、同地域をドイツへ正式に割譲することを秘密条約として確約する、これならばどうでしょう」

 

正直ドイツとヴィザンツィア騎士団国の同盟は、互いに決まっており、問題は北部辺境領を含めた問題をいかに互いの国民を納得させ、政府の威信を維持するかそこにあった。

 

そう考えると、ひとまず租借地と言う形で落ち着くのは、悪くは無かった。

 

その為

 

「なるほど…良いでしょう、ラインハルト陛下が仰った、租借地の方向で話を進めましょう、異論はないか?」

 

「勿論で総統閣下」

 

「かしこまりました、総統閣下」

 

まだまだ決めることが多くあるヒトラーはその場でそう即決し、そしてゲッベルスやリッベントロップの二人、そして他のナチス幹部達も、ヒトラーがそう言うならと納得した。

 

「では続いて、ヴィザンツィア騎士団国に対する支援ですが…」

 

そしてその後、ドイツ第三帝国とヴィザンツィア騎士団国の交渉は、租借地の件だけにとどまらず、技術支援や軍事支援などに関する調整などの交渉が行われた。

 

 

その頃

 

「…この件につきましては、兄であるラインハルト陛下に話をしておきます」

 

「よろしくお願いいたします殿下」

 

ラインハルト等が交渉と言う戦いを行なっている頃、リィズら外で待っていたヴィザンツィア騎士団国の使節のメンバー達はイタリア帝国を中心とした他のファシスト国家、そしてドイツ国内の企業の重役達と話をしていた。

 

殆どは、ヴィザンツィア騎士団国を含め、ファルマート大陸国内の手付かずの資源や市場に進出したい企業や国が、仮にも王族であるリィズに対して賄賂を送ろうとしたり、媚を売ったりなど、そこまで高度な交渉術が必要な場では無く、リィズはひたすら兄に話をしてみると、のらりくらりと話を流しながらも、この世界の市場や勢力図、その他様々な情報を会話の中から聞き分け、情報を収集していた。

 

「それにしても、ドイツだけでも凄まじいのに、ドイツと肩を並べる他の列強を凄まじい国ばかりだね」

 

「えぇ、世界最大の共和主義国家のアメリカにこの世界最古の王朝を有する大日本帝国、帝国のような文化を持つローマ帝国の継承者であるイタリア帝国などなど…」

 

かつての帝国のような共和政国家の様なアメリカ、世界最古の王朝を有する日本、そして帝国と似たような文化を持つイタリア帝国、列強の情報や文化など、リィズとミアにとって興味深いものであった。

 

だがその一方で、列強の中で唯一、二人が理解出来ない国があった。

 

「ですが、最大の脅威であり、我々にとって理解が追いつかない国が…」

 

「…ソヴィエト連邦、盟邦ドイツの最大の仮想敵国であり、労働者による平等な国づくりを目標とする社会主義なる思想を信じる国家」

 

それはこれから同盟を結ぶドイツにとって最大の敵であるソヴィエト社会主義共和国連邦であった。

 

この国が掲げる共産主義は、リィズやミアなど、価値観が中世〜近世のヴィザンツィア騎士団国の人間にとって、まさに未知の思想そのものであり、しかも時の帝室を革命で滅ぼし、今国の権力を握っているのは労働者や下層庶民と、正直ソ連は彼女達にとって理解し難い国であった。

 

「我が国は、まだ思想や民族主義ゆえ団結しているけど、もし帝国にこの思想が流れれば、めんどくさい事になりそうだね」

 

「多分、帝国各地で反乱や革命が勃発する、群雄割拠になるのは目に見ていますね」

 

そして何より、階級を否定すると言うその思想は、正直受け入れられない思想であり、そしてその思想は自分達の国より、帝国に流れ込めば一気にファルマート大陸は革命の炎に燃え上がる事が目に見えており、その事を考えると、二人は少し億劫になっていた。

 

そんな事を考えている時

 

「リィズ」

 

「兄様!」

 

「陛下、お疲れ様です」

 

会議を終えたラインハルト等、使節団が会議室から出て、社交の場であるこの広間に現れた。

 

「どうでしたか、国交と同盟締結に関する会議は?」

 

「なんとか、両国にとって納得できる物となった。調整も少しは必要ではあろうが、概ねこのような内容で話はまとまった」

 

そう言うと、ラインハルトは今回の会議で最終的な方針として決まった、ドイツとヴィザンツィア騎士団国との国交や同盟に関する内容が書かれた書類をリィズに見せた。

 

その内容は

 

1.門がある北部辺境地域は租借地としてドイツ第三帝国政府の統治下に置く事を認める

 

2.租借地領内における資源はドイツの独占とし、又それ以外の地域の地下資源などの採掘は、ドイツと騎士団国政府の互いの企業による合弁で推し進め、10〜20年後を目処に採掘施設は騎士団国政府へと管理を引き渡す。

 

3.ファルマート大陸へのドイツ軍および大欧州帝国条約機構軍の進駐を認める。

 

4.3の条項を承認する対価としてドイツ軍の兵器供与や騎士団国軍の軍事の近代化に関して、ドイツ軍および武装親衛隊が全面的にバックアップを行う。

 

5.ヴィザンツィア騎士団国の大欧州帝国条約機構への加盟をドイツは全面的に認める。

 

6.ドイツ第三帝国は、ヴィザンツィア騎士団国に対して、インフラやその他製品の輸出を行い、またドイツおよびドイツが認めた企業や工場の、ヴィザンツィア騎士団国領内への進出や、建設を騎士団国政府は認める。

 

7.ヴィザンツィア騎士団国は、独立した国家である事を認め、ドイツ政府はヴィザンツィア騎士団国に対して、騎士団国政府の許可がない限り内政不干渉を約束する。

 

8.ドイツとヴィザンツィア騎士団国は互いに治外法権を認め、ドイツ人の犯罪者は汎ドイツの司法で、ヴィザンツィア騎士団国の犯罪者は騎士団国の司法で裁く事とする。

 

などなど、他にも互いの人材交流に関する事など、様々な条約内容が書かれていたが、一言でこの条約内容を表すなら、ドイツとヴィザンツィア騎士団国、双方にとって利益になり、何よりヴィザンツィア騎士団国の政治的、国家的独立性を阻害するものは何もないと言う、技術格差がある国同士で定められた友好条約としては、比較的対等で平等な条約であった。

 

「それにしても、よくこれほどまでに平等な条約内容へと持ってゆけましたね…」

 

ドイツとヴィザンツィア騎士団国では、もはや目も当てられないほどの技術格差があるにも関わらず比較的平等な条約内容で落ちつく事がで来た事に感心してしまった。

 

「確かに、我が国とドイツでは技術格差がある…だが、我が国には我が国にしか無いものがある」

 

「それは…?」

 

「情報さ、我が国がドイツと言う国を知らなかったように、彼の国も我が国やファルマート大陸に関する情報は殆ど知らない。地理、風土病、生物、そして魔法…あらゆる情報をドイツへと提供し、ドイツのファルマート大陸への進出を、我々騎士団国がエスコートする、その事を武器にして、あとは私とアロイスの弁舌で、なんとかここまで体裁を整える事が出来たのだ」

 

「すごい…」

 

リィズは自分の兄ながら、その優秀さを改めて知り、思わずそう呟いた。

 

その頃

 

総統執務室

 

「ラインハルト・フォン・コンスタンティヌス…若さに似合わぬ才能と実力を有する人物であった」

 

「はい、我が国と彼の国、両方にとって利益がある条約とは言え、我が国と比べて、技術や国力に大きく差がある国であるはずなのに、ここまで対等な関係に持ち込むとは…中々の弁舌と交渉力の持ち主ですな、総統閣下」

 

感心するようにそう呟いたヒトラーに、条約の内容が記された紙を見つめながら、ゲッベルスがそう言った。

 

「そうだな、彼が我が国の国民であったら、我が党の幹部に迎えたいほどの人物であったな」

 

異世界に進出したいドイツが、異世界に関する情報を欲しており、その情報を騎士団国が提供すると言う強い武器があったとは言え、その武器を効率よく運用する巧みな話術と交渉力と格式高い口調には、ヒトラーもラインハルトにドイツの英雄であるビスマルクの姿を見た、そんな気分であった。

 

「しかし、何はともあれ、これで我が国が、異世界に関わる事が可能となったな」

 

「あとの問題は…異世界に派遣する我が軍について、誰を指揮官に据えるかですね」

 

条約の3項、ファルマート大陸へのドイツ軍および大欧州帝国条約機構軍の進駐を認める

 

元々、交渉がうまく行こうが行くまいが、ファルマート大陸へと軍隊を進駐させる予定であったヒトラーは、すでに国防軍に対してファルマート総軍と名付けた、派遣兵力60万、二個軍集団の部隊編成はすでに計画として完成しつつある為、問題はないが、唯一残った問題が、この戦力を、誰に率いさせるか、その問題が残っており、その事をゲーリングは指摘した。

 

すると

 

「それについては、もう決めてある」

 

「と言いますと?」

 

「異世界と言う、何が起こるかわからぬ世界において重要なのは、どんな状況においても臨機応変に対応できる柔軟性と冷静さ、何よりヴィザンツィア騎士団国の近代化も任務としている以上、指導力も必要であると考える。故に二つの軍集団に二分し、その指揮官にエルヴィン・ロンメル元帥とヴァルター・モーデル元帥を当て、空軍に関しては、私が一番信頼する空軍将校である、ロベルト・フォン・グライム元帥が指揮する第6航空艦隊を派遣したい」

 

高い柔軟性を持ち合わせた、砂漠の狐と呼ばれたドイツの名将であり、兵士からの人気も高く、又プロイセン派とナチ党派、明確にどの派閥にも属さない中立派の軍人であるエルヴィン・ロンメル元帥

 

そして戦後、ドイツ軍が行なって来た代理戦争や軍事介入に積極的に参加し多くの戦功を上げ、何よりナチ党を支持する軍人の一人である防衛戦の達人であるヴァルター・モーデル元帥

 

そしてナチ党とヒトラーに忠誠を誓い、能力も高く兵士からの人気も高い、ロベルト・フォン・グライム元帥

 

ヒトラーはこの三人をファルマート大陸に送る事を、この場で明言した。

 

「そう言うわけだカイテル、早速最高司令部総長として、調整を進めてもらいたい」

 

「かしこまりました、総統閣下」

 

こうして、この日よりドイツ国防軍はヒトラーの命令の元、ファルマート大陸への、ドイツ軍進駐へ向けて準備を進める事となった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。