帝国の旗を掲げよ   作:ドイツ軍ファルマート大陸軍集団

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晩餐会での密会

 

 

フォルクスハレ前に広がる広場…

 

アドルフ・ヒトラー広場

 

総統の名前を冠したこの広場にはには、国交締結に関する会議が終わった後、ヒトラーはラインハルトとムッソリーニをはじめとする大欧州帝国条約機構加盟国の首脳を引き連れ、フォルクスハレの出入り口前で、ドイツのメディアを前に、改めてヴィザツィア騎士団との友好と同盟を明言、そして大欧州帝国条約機構への加盟をドイツは支持する事を表明、これは事実上ヴィザツィア騎士団が条約機構に加盟する事が確実である事を示した。

 

「総統閣下、こちらに目線をお願いします!」

 

「総統閣下!!」

 

その後、フォルクスハレの前では、ヒトラーとラインハルトを中心に、同盟国各国の首脳陣達の集合写真の撮影が行われた。

 

その頃

 

総統宮殿のとある一室

 

「ご協力感謝いたします、ボルマン官房長」

 

各国の首脳陣達の集合写真を、総統宮殿の一室から見下ろしていた、ナチスの影の暴力機関である国家保安本部長官であるハイドリヒ長官は、ナチスの影の実力者であるボルマンにそう言った。

 

「いやなに、構わんさハイドリヒ長官」

 

実は今回のファルマート大陸への人事は、ヒトラーが無意識にあの場で即決したように思える、ファルマート総軍の人事であったが、実はハイドリヒとボルマン、この二人が書類や報告書の操作などを行い、意図的にこの人事に、特にロンメル元帥をファルマート大陸へと送るよう、誘導したのだ。

 

「ロンメル閣下は優秀ですが、彼には国家社会主義への献身が欠けます」

 

「だからベルリンから遠ざけるか」

 

ハイドリヒのその言葉にボルマンはそう言った。

 

実はロンメル元帥は、戦後の1944年に、オットー・オーレンドルフSS中将などの一部SSの穏健派とイタリア政府との密約の元行った、ドイツ占領地やゲットーにおける、ユダヤ人をイタリア帝国の領土である、北アフリカやエルサレムなどのアフリカや中東への追放作戦を実行していた。

 

もっとも、計画が実施されたのは2年だけであり、しかも強制収容所へ送られているユダヤ人は助けられなかったなど、少し中途半端なけっかであったが、それでもヨーロッパにいた大部分のユダヤ人の追放…と言うなの救済を実現させていた。

 

その為、ハイドリヒからは、ロンメル元帥のあまりにも大きい名声ゆえ、手出しが出来ずにいるが、ナチズムへの献身に欠けるのではないかと睨まれており、その為、今回の様にドイツの政治中枢から遠ざけたのだ。

 

「それにしても…」

 

「何か?」

 

「いや、ロンメル元帥は分かるが、何故モーデル元帥までもをと思ってな…」

 

ヴァルター・モーデル元帥は、ポーランド、スロバキアなどの東ヨーロッパに主力部隊が駐屯し、ソ連との戦争が再開された時には、先陣をと積める事となる東部総軍の司令官であり、陸軍におけるナチス派の中心であるヴァルター・フォン・ライヒェナウ元帥に次ぐ、陸軍におけるナチス派の実力者

 

そんな彼が何故ロンメル元帥と一緒に、異世界へと送られるのか少し分からなかった。

 

「簡単な理由ですよ、ロンメル元帥と"対立"させる為ですよ」

 

「なるほど」

 

ハイドリヒのその言葉でボルマンは理由を察した。

 

「互いに対立させる事で、我々の目が届かない異世界で、彼らが軍閥化する事を防ぐ、そう言うわけか」

 

門の向こう側は、手付かずの資源に未開拓の市場と、多くの宝の山と可能性が広がる大地。

 

だが一方で、異世界という立地を利用して、現地に駐留する軍が、中央政府の目を盗み力を蓄え、軍閥化し、は向かってくる可能性も十分考えられ。

 

その為、ハイドリヒはモーデル元帥とロンメル元帥、ヒトラーへの忠誠がありながら、その人柄ゆえに対立しそうな二人を指揮官に添える事で、少なくとも軍閥化する事を防ごうと考えており、ボルマンもその考えをすぐに理解していた。

 

「その通りですボルマン官房長殿…本当ならば、ロンメル元帥と仲が悪い事で有名なシェルナー元帥の方を送ることも考えていましたが」

 

どの派閥にも属さない中立派であり、戦場では奇策や機動力を生かした攻撃を得意とし、さらに兵士の中に入って行き、兵士からの人望が熱いロンメル元帥

 

方や、防御線の達人であり、今ではドイツ陸軍では当たり前となっている複数の兵科部隊による混成部隊である戦闘団を考案するなどの優秀な軍人でありながら、部下に対して高圧的で、必要ならば部下を銃で脅す事も厭わないため、兵士からの人気が低いモーデル元帥

 

ロンメル元帥と確執があり、仲が悪い事で有名な国内予備軍司令官であるフェルディナント・シェルナー上級大将ほどでは無いにせよ、二人の中は良好とは言えず、対立する事は目に見えていた。

 

しかしハイドリヒはあえて対立させる事で、ロンメル元帥が現地国家と共謀し軍閥化する事を防ぐことができると、そう考えていた。

 

「まぁ、シェルナー上級大将はヒトラー総統やゲッベルスのお気に入りの将校だからな、総統閣下が手放す筈もないし、彼が中央から居なくなれば、マンシュタインのプロイセン派が勢いを増し、我々ナチ党派が困るからな…できれば、マンシュタインも、異世界へ送る事が出来れば良いのだが…」

 

空軍は言わずもがな、海軍もナチ化が進む中、唯一掌握が完了していない陸軍において、ナチ化に対して抵抗する陸軍総司令官であるマンシュタイン元帥は、ナチ党にとっては目の上のたんこぶそのものであり、ボルマンは忌々しそうにそう呟いた。

 

 

それから時間は流れ

 

 

ベルリン市街地はサーチライトで照らされ、戦勝記念日の前夜祭として、松明を持ったヒトラーユーゲントのウンターデンリンデン通りでの大行進が行われており、多くのドイツの青少年達が、ヒトラーユーゲントの歌であるVorwärts, Vorwärtsなどの、ナチ党の闘争歌を熱唱しながら、ブランデンブルク、戦勝記念塔の方向へと、大通りを行進するなど、明日の戦勝記念式典に向けて、お祭り騒ぎであった。

 

その頃

 

総統宮殿

 

レセプションホール

 

ドイツとヴィザンツィア騎士団国との国交樹立に関する条約交渉が終わったその夜、総統宮殿ではドイツを中心とした大欧州帝国条約機構加盟国が主催する、ヴィザンツィア騎士団国使節団への歓迎会を兼ねた立食パーティーが行われていた。

 

そして乾杯の前に、ヒトラーによる演説が行われてる事となり、ヒトラーは、ドイツ軍が勝利した次の年に結婚した、第三帝国のファースト・レディー、エヴァ・ブラウンこと、エヴァ・ヒトラーと共に、首脳陣達の前へと立ち、パーティーの開宴の演説を始めた。

 

「我が第三帝国の盟邦、そして長年私と共に闘争を乗り越えて来た多くの同志達よ。

 

9月1日、我がドイツ民族が尊厳と誇りを取り戻した栄光の日が、明日再びやってくる。

 

今回は、共にあの大戦を乗り越えた多くの同胞達や盟友達だけでなく、住む世界は違えど、歩んだ歴史は違えど、我々と同じ民族、同じ思想、同じ正義を持つ、新たな同胞となる客人を招き、栄光の9月1日を祝う事となった。」

 

ヒトラーがそう言い、ラインハルト等ヴィザンツィア騎士団国の首脳陣の方を見ると、ラインハルトは手に持っていたワイングラスを軽く掲げた。

 

「我が党や親衛隊、国防軍の同志達、そして各国の同胞達よ、我々の敵となる存在は、今だに多く存在する。

 

しかし、明日我々が!世界に勝利したその日を祝う事で、我々の結束と強さを、力を、世界に知らしめる事となるだろう!!そしてその先にこそ、我々の真の勝利!Endsiegがある事を、世界に知らしめようではないか!!」

 

ヒトラーがそう宣言したその瞬間、各国首脳達は拍手喝采をヒトラーに浴びせ。

 

国防軍の将校達は、一斉にプロイセン軍式の敬礼をし。

 

「ジーク・ハイル!!」

 

「「「ハイル・ヒトラー!!ハイル・ヒトラー!!ハイル・ヒトラー!!」」」

 

ナチ党幹部、国防軍ナチ派、そして親衛隊の幹部達は、ゲッベルスのジーク・ハイルの掛け声と共に、ナチス式敬礼をして、ヒトラーを称えた。

 

「では、総統閣下に代わり私が乾杯の温度をとらせていただきます」

 

そして場が一旦落ち着くと、ゲーリングが前に出るとそう言い、シャンパンが注がれたグラスを掲げ

 

「それでは、栄光ある同盟よ、永遠なれ!!Prost!!!」

 

「「「Prost!!」」」

 

「「「Prost!!」」」

 

「「「salute!!」」」

 

「「「salud!!!」」」

 

ゲーリングの乾杯音頭と共に、ドイツ、ヴィザンツィア騎士団国、イタリア、スペインなどの、晩餐会に出席した同盟国の首脳陣達は、それぞれの言葉で乾杯を叫んだ。 

 

「では諸君、パーティを楽しんでくれたまえ」

そして乾杯が終わるとヒトラーのその言葉と共に、パーティーが始まった。

 

 

優雅な音楽が演奏される中、リィズ達、ラインハルト達騎士団国の首脳陣達は、男性陣は軍装で、女性陣はドイツ側が用意したドレスを着て、ドイツの有力者や友好国の政治家の挨拶や歓待を受け、あるいは文化・思想卿のミレーネと宣伝省のゲッベルスの様に、互いの国の専門家同士で情報を交換し合っているなどをしていた。

 

「すごい歓迎ですね」

 

「なに、タキシードや制服を着たハイエナが群がっているだけさミュラー、イタリアやスペインだけでなく、親独派を語るアメリカの資本家…皆、密に群がる昆虫の様に、新しい市場への道標となる、彼等に群がっている…」

 

「確かに、そうですな閣下」

 

遠くからその光景を見ていたミュラー大佐に、今回ファルマート大陸へと派遣される空軍の全指揮権を有する事となる、ロベルト・フォン・グライム元帥はそう言った。

 

スレイプニル司令官のミュラー司令官と第6航空艦隊司令官のグライム元帥、この二人は親密な関係があった。

 

と言うのも、ミュラー大佐の父親は第一次大戦において、グライム元帥と同じ部隊に所属し、互いに翼を並べて空の戦場を駆け回った戦友であったが、ミュラー大佐の父は、敗戦後、生きてゆく為、そしてまだ子供であったミュラー大佐を養う為、大戦で培った戦闘機操縦技術を活かし航空ショーをする事でお金を稼いでいたが、1923年に墜落し帰らぬ人となってしまった。

 

だがその後、一家の大黒柱を失ったミュラー家に対して、グライム元帥は、昔の馴染みと言う事で、出来る限りの支援をし、ミュラー大佐が空軍に入り、その後作られたばかりの降下猟兵隊へと入隊する時には、一肌脱いでくれたりなどしてくれた。

 

その為、ミュラー大佐にとって、グライム元帥は、頭が上がらない人物であった。

 

「そう言えば、君の部隊も今回の新世界への派遣総軍として、彼の地に進駐する様だね」

 

「えぇ、行かざるおえないでしょう…」

 

グライム元帥にそう述べたミュラー大佐は徐に、部屋の隅で、ミアとアンネリーゼと共にスイーツを食べながら、ヒトラーの妻であるエヴァと、彼女の妹のグレートル・フェーゲラインとその夫であり、ドイツ第三帝国のプリンスと渾名されているヘルマン・フェーゲラインSS大将と談笑しているリィズを見てそう呟いた。

 

「前回、彼女達が我がドイツへいらした時、関わりすぎました…」

 

「そうかね」

 

ミュラー大佐の視線、そしてふと呟いたその言葉に、グライム元帥は何かを察した様な口調でそう言った。

 

その頃

 

「ファルマート大陸へと派遣される二つの軍集団の一つを指揮か、抜擢だなロンメル元帥」

 

「ありがとうございますマンシュタイン閣下」

 

「何、今回の人事は総統閣下からの直々の使命だ、私は何もしていない」

 

今回ファルマート大陸へと派遣される軍集団の一つを指揮する事となった砂漠の狐とイギリス軍から恐れられたドイツ、いやヨーロッパの英雄的軍人の一人であるエルヴィン・ロンメル元帥に、陸軍総司令官であるマンシュタイン元帥はそう言った。

 

「しかし異世界か…実際どうかね、やれるか?」

 

「問題はないと、私は考えております。むしろ、我々が知らない生物や文化が存在する未知の世界への出兵…冒険心で、少し心が高揚していますよ」

 

「ふっそうかね…しかしまぁ、軍人としてあまりこんな事を言うのは良くないとは思うが、今回の任務は、恐らく危険は少ない…少なくとも北アフリカ戦線や2年前の第三次ボーア戦争と比べれば遥かにな…」

 

今回の任務の主な目的は、租借地としてヴィザンツィア騎士団国の北部辺境領の防衛とヴィザンツィア騎士団国軍の近代化と兵士の訓練であり、例えこの先同盟国となるヴィザンツィア騎士団国が何処ぞの国に攻撃され、集団的自衛権に則りドイツ軍も参戦した所で、騎士団国の文明レベルを見ても分かるように、古代ローマや中世ヨーロッパの様に、剣と槍で武装した重装歩兵が関の山であり、そんな軍勢など、兵器の質も兵士の練度も世界最高クラスのドイツ軍にとっては、ポーランド軍やフランス軍以下であり、陸軍参謀本部や国防軍最高司令部作戦部は、例えファルマート世界の国と戦争になっても、1週間もかからずにドイツ軍は史上最低の犠牲者数…あるいは犠牲者0の一方的展開により勝利をつかみ取れると、そう確信していた。

 

「問題は君と一緒に派遣される男、モーデル元帥だ」

 

マンシュタイン元帥はそう言うと、会場の奥にて、今や東ヨーロッパにおいては、ポーランド総督であるカール・フランクや東方生存圏の総督すらも凌ぐ権力と権限を獲得している、陸軍のナチ派の中心人物であるヴァルター・フォン・ライヒェナウ元帥、そして彼と談笑しているヴァルター・モーデル元帥を、警戒するかのような目で見ながらそう言った。

 

「彼は軍人として優秀だが、陸軍内部でもナチスと近い関係にある。注意したまえ」

 

「マンシュタイン閣下のご心配には感謝しかありませんが、私は軍人です、政治に興味はありません。ひとまずは、総統閣下と盟邦ヴィザンツィアの民達の期待に応えられる様、最善を尽くすのみです」

 

「そうか…まぁ、頑張りなさい」

 

ロンメル元帥にマンシュタイン元帥はそう言った。

 

そんな時

 

「マンシュタイン元帥、おおロンメル元帥」

 

一時期、ヴィザンツィア騎士団国に派遣されていたヘニング・フォン・トレスコウ少将改め、先ほど昇進し中将になったトレスコウ中将が二人に話しかけた。

 

「どうしたかね、トレスコウ中将」

 

「はっ、閣下に将官が騎士団国で知己を得た将軍の皆様を紹介しようと思いまして…」

 

マンシュタイン元帥の問いにトレスコウ中将がそう言うと、アンネリーゼの父である、エルヴァルト・フォン・ビッテンフェルト将軍と騎士団国正規軍総司令官ウィルバルト・フォン・クラウゼビッツ将軍の二人が、マンシュタイン元帥の元へとやって来た。

 

「ご紹介します、ビッテンフェルト将軍、クラウゼビッツ将軍です。将軍、こちらは我がドイツ陸軍総司令官のマンシュタイン元帥、そして今回ファルマート大陸へと派遣される軍集団の一つを指揮なされる、陸軍の英雄であるロンメル元帥です」

 

「始めしてマンシュタイン将軍、将官はヴィザンツィア騎士団国騎士軍の司令官を務めております、ウィルバルト・ヨアヒム・フォン・クラウゼビッツと申します、以後お見知り置きを」

 

「エルヴァルト・フォン・ビッテンフェルトですロンメル殿、我が友邦ドイツの英雄である元帥にお会いできて光栄です」

 

トレスコウ中将に紹介された、騎士団国軍の中核である二人の将軍はそう挨拶し、マユシュタイン元帥、そしてロンメル元帥と握手を交わした。

 

そしてその後、五人は同じ軍人同士、軍の戦術や兵器、そしてその運用法などの話に没頭していた。

 

その一方で、会場は音楽隊によるワルツの演奏に合わせ、多くの来賓達は広間の中心にて、互いのパートナーと踊っており、その中には、先ほどリィズ達と話をしていたフェーゲラインSS大将とグレートルの姿もあり、その光景をリィズは徐にじっと見つめていた。

 

すると

 

「殿下」

 

「えっ…あっ、みゅ、ミュラー大佐…」

 

先程までグライム元帥と話し込んでいたミュラー大佐が、リィズに話しかけ、話しかけられたリィズは、少し顔を赤くしていた。

 

すると

 

「殿下、私如きがこのような申し出をするのは不遜の極みですが…一曲踊っていただけますか?」

 

ミュラー大佐は、右手をリィズに差し出しそう言った。

 

「えっ、わ、私!?」

 

「えぇ、そうです」

 

「えっと…」

 

確かに、ミュラー大佐と踊りたいと思っていたリィズであったが、いきなりの事で少し戸惑い、そばにいたアンネリーゼとミアの、二人の友達の方を向いた。

 

するとアンネリーゼはニヤけながら、ミアは微笑ましそうなか、少し首を縦に振ってみせた。

 

そしてそれを見たリィズは

 

「…喜んで、お相手させていただきます、ミュラー大佐」

 

そう言うとリィズは、ミュラー大佐の手を取り、二人はダンスが行われている広間の中心へと赴くと、音楽に合わせてダンスに興じた。

 

「なかなかどうして、様になってる…」

 

リィズは王族としての嗜み、そしてミュラー大佐はドイツ空軍の士官として、そしてドイツの男としてダンスは心得ていた。

 

その為、リィズとミュラー大佐の二人の見事なダンス姿を見て、ミアはそう言い、そして周りでダンスをしていない他の賓客達も、少なからず彼女とミュラー大佐のダンスに見惚れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わざわざ我々にお付き合い頂き申し訳ない、ハイドリヒ長官」

 

「とんでもない、私としてもお話をしたいと思っていましたので」

 

華やかなパーティが行われる中、騎士団国最高の魔導士であるミーミルは、第三帝国で最も危険とされる男であるハイドリヒSS上級大将と、誰もいない別室にて、密かに会談を持っていた。

 

「ところで、我が国と貴国の首脳陣との会議の間、シルバーヴェルヒ殿はベルリンの街を散策したとか…どうでしたか、我が首都とは?」

 

「最高に魅力的だ!コンスタンティヌスブルクや帝国の帝都を凌ぐ街並み、そしてその街の中を走る車や電車など、見た事がない物ばかり、更に博物館や大量の本がある図書館…何もかもが新鮮で、本当に素晴らしかった…」

 

「そう言っていただけると、私もアーリア人の一人として、誇らしいです」

 

興奮したように楽しそうに話すミーミルに、ハイドリヒは作ったような笑みを浮かべながらそう言った。

 

「話を戻しますが、話とはなんですか、シルバーヴェルヒ殿?」

 

「そうだったね、実はハイドリヒ長官…貴方は、僕たちの世界とこの世界を繋ぐ唯一の道であるあの門…あれをどう思いますか?」

 

話を戻し、二人は本題に入った。

 

そしてその話とは、ドイツとファルマート世界を繋ぐあの門の事であった。

 

「実に不思議な物…と言うのが第一印象ですが、ミーミル殿が言いたいのは、そんな答えでは無いのですよね…そうですな、異世界と言う新天地、新たなるフロンティア…我が国だけでなく、各国はそう思っているようですが…問題はあの門…我が首都ベルリンのど真ん中にあるあの門、アレでは大型重機を大量に世界に送り込む事も、資源の搬入も一苦労する…」

 

ヒトラーやハイドリヒSS上級大将を含めたナチスや親衛隊の幹部の共通の認識である、ヴィザンツィア騎士団国、ひいてはファルマート大陸の近代化の最大の障害である門の立地について、ハイドリヒSS上級大将はミーミルに語った、だがその瞬間。

 

「…いや、他にも問題があるのか?」

 

話を聞き、ミーミルが浮かべた不敵な笑み、そこから何かもっと大きな秘密や危険性が、このままではあるのではないか…ハイドリヒSS上級大将の情報将校としての直感がそう告げたのだ。

 

「このまま放っておいなら、一体何が起こる?」

 

その直感を感じたハイドリヒSS上級大将は、睨みつけるように目を細め、そうミーミルに聞いた。

 

すると、ミーミルは不敵に笑いながらこう告げた。

 

「どんな事が起こるか、それ自体は分からない…けど、一言言えることはただ一つ…このままでは、僕たちの世界も君達の世界も、確実に滅ぶ」

 

「…なんだと?」

 

ミーミルの口から出たまさかの言葉に、ハイドリヒSS上級大将は、表面上は冷静ながらも、少し困惑した様子でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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