帝国の旗を掲げよ   作:ドイツ軍ファルマート大陸軍集団

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閑話休題:新たなる忠誠

 

1950年8月31日

 

軍事パレードが行われる前夜、国家保安本部長官ラインハルト・ハイドリヒSS上級大将を前に、ミーミルは不敵に笑いながらこう告げた。

 

「どんな事が起こるか、それ自体は分からない…けど、一言言えることはただ一つ…このままでは、僕たちの世界も君達の世界も、確実に滅ぶ」

 

「…なんだと?」

 

ミーミルの口から出たまさかの言葉に、ハイドリヒSS上級大将は、表面上は冷静ながらも、少し困惑した様子でそう言った。

 

「どういう事だ?」

 

「君達の世界と僕たちの世界は現在、たった一つの門を通じて繋がって居るけど…これは魔法学的に危うい状態なんだ。例えるならコップに、少しずつ水が注がれて居る状態に似て居る。少しずつの為、すぐに変化は無いけど何もしなければ…」

 

「水はコップの容量を超え、溢れ出す…そう言うことか?」

 

「話が早くて助かるよ、ハイドリヒ長官殿」

 

話を理解した様子であったハイドリヒSS上級大将に、ミーミルはそう言った。

 

「と言う事は、直ぐにでもあの門を破壊しなければ、いずれ大変な事になる、そう言いたいのか?」

 

「それも一つの道かな…だけどさ、もったいなく無い?折角別の価値観、別の文明、何より膨大な資源を有する世界と繋がったのに。私はあくまで技術者だけど、私達の世界に眠る資源を活用する事が出来れば、君達の国はさらに飛躍するんじゃ無いかな?」

 

天才故なのか、どうも茶化して居る様な口ぶりに、ハイドリヒSS上級大将は別に腹を立てるでも無く、彼女の話から情報を分析し、そしてある結論に辿り着いた。

 

「…この口ぶり、問題を解決する方法がある…そう考えて良いのか?」

 

「えぇ、世界の崩壊を食い止め、そして僕たちの世界との繋がりを保ち、そして何より門が首都に鎮座して居る事から来る弊害を解決する…そんなトリックが一つだけ存在する」

 

「それは?」

 

ハイドリヒSS上級大将がそう聞くと、ミーミルはふと笑いそしてこう言った。

 

「簡単な事だよ、門をもう一つ…いや、必要ならば10個でも20個でも作る」

 

「なんだと、そんな事ができるのか?」

 

異世界と繋がる門

 

情報によると、この現象自体向こうの世界からしても奇跡的な出来事である筈なのに、それを人工的に行う事など出来るのかと、正直疑問に思った。

 

すると

 

「まぁ、流石にドイツが存在する世界とは別の世界を繋ぐ門は作れない…だけど、僕の計画はすでに繋がって居る世界同士に、別の出入り口を作ると言うものだ。一度自然発生した門で繋がって居る世界同士に、別の出入り口を繋げるのは理論上可能だよ。そしてその計画達成こそ、二つの世界がつながったままの状態で、両世界を救う、唯一の道なんだ」

 

「と言うと?」

 

「さっきも言った様に、今の状態はコップに少しずつ水が注がれている状態だと。そして何もしなければ、いずれコップの容量を超え、水は溢れ出すと」

 

「確かにそう言ったな…それで?」

 

ハイドリヒSS上級大将がそう聞くと、ミーミルはまたもや不敵に笑いこう言った。

 

「だけどもし、この水に別の出入り口を、たとえばストローを刺して少しずつ飲んだり、コップに小さな穴をいくつも開けたりなどすれば…どうなる?」

 

「…コップから水が溢れ出る事は無いな」

 

「その通り、つまりはこれと同じ事をする」

 

「…?」

 

流石にハイドリヒSS上級大将も、優秀な捜査機関の指揮官であっても技術者では無いので、ピンと来なかった。

 

「はぁ、要するに…両世界を結ぶ別の出入り口を作るには、大量の魔法エネルギーが必要だけど、その魔法エネルギーは、両世界が繋がる事によって生じる歪みから発生する、世界を破壊するほどの力を魔法エネルギーに変換して使う。そうすれば、世界の歪みを抑えつつ、両世界をつなぐ出入り口を、このベルリンに限定しなくても済むと言う事だよ」

 

「なるほど…一つ聞きたい、今君が言った研究は実現できるのか?」

 

「はっきり言うと…理論上はとは言いましたが、幾つかの技術的問題を解決すれば確実に可能です」

 

「その問題とはなんだ?」

 

「エネルギーの制御、両世界をつなぐ際に必要な座標…まぁこれは例の門に何かしらの細工を行えばなんとかなると私は思いますが…」

 

別の出入り口…つまり門を人口的に作る、それは親衛隊でも現在研究が行われているが、もちろん一向に進展が無い研究であり、ハイドリヒSS上級大将自身、研究が実る可能性は0に近く、現在は自身の趣味であるオカルトの研究の予算を引っ張る為の方便の様な研究になりつつあった。

 

だが目の前にいるミーミルは、幾つかの技術的問題はあるが、それさえ乗り越えれば、この世界とファルマート世界をつなぐ別の門を作るのは、可能であると明言した。

 

人工的な門の開発…

 

もしこれが可能になれば、ベルリンの中心という立地ゆえに、ファルマートへの物資運搬量が制限される事から、建物や施設、鉄道の建設すらも一苦労になるであろうこの状況を変える事ができる。

 

たとえば、シュトゥトガルトやハンブルク、ルール工業地帯などに門を作れば、現地ファルマート大陸の開発も格段に加速し、他にも、ドイツ軍の駐屯基地近くに異世界へ続く人口の門を作れば、物資搬入路、あるいは部隊の進軍路を増やす事になる。

 

そうなれば、ファルマートの世界を誰にも犯す事ができない、ドイツ軍の後方基地と改造すると言うドイツの計画に大きく貢献し、親衛隊、ひいては自分の発言力が増す事になる。

 

所謂美味しい話であった。

 

だが、美味しい話には必ずしも見返りがあるというのは、情報機関を牛耳るハイドリヒSS上級大将にとって常識であった。

 

その為

 

「まどろっこしい事は無しにして聞きたい、見返りは?」

 

すると、ミーミルはニヤリと笑いこう言った。

 

「見返りは…」

 

それから時は流れ

 

1950年同年9月18日

 

ドイツ西部

 

ヴェヴェルスブルク城

 

「似合っていますか、ハイドリヒ長官?」

 

ハイドリヒSS上級大将との秘密会談から数週間後、ラインハルト騎士団総長の許しの元、騎士団国から去ったミーミルの姿は、親衛隊の聖地の一つとして知られる、ドイツ西部の古城ヴェヴェルスブルク城にあった。

 

しかもその格好は、ヴィザンツィア騎士団国で着ていた、ファンタジー感満載なローブではなく、今では着るがあまり居なくなった、初期の親衛隊の制服である、黒い開襟型制服の姿、そして更に左胸には鉤十字の紋章が刻まれた、ナチスの党員バッジが輝いており、その姿をミーミルは、まるで新しい服を買ってもらった子供の様に見せびらかしながら、そうハイドリヒSS上級大将に聞いた。

 

「ええとても、しかし良かったのか?この制服は、親衛隊では予備役しか着ていないが…」

 

「良いんですよ、この制服が親衛隊の制服の中では、1番かっこいいので」

 

「そうか」

 

ミーミルがハイドリヒSS上級大将に提示した条件それは、以下の通りであった。

 

今後自身の研究に親衛隊が全面的バックアップをする事

 

自身に、ドイツ国籍を与え、ナチ党への入党と親衛隊の入隊を認める事

 

そして、親衛隊内部で魔法研究者の第一人者として、然るべき地位と権限を与える事

 

この三つであった。

 

そしてその条件を本人から聞いたハイドリヒSS上級大将は、早速ヒムラー長官に、彼女が親衛隊に入りたいとの旨を伝えた。

 

すると、オカルト好きなヒムラー長官は、騎士団国最高の魔法使いと呼ばれる彼女が、進んで親衛隊に入ってくれると言う事を聞き大喜びし、早速ドイツ国籍とナチ党の党員証、そして親衛隊中将の称号と、アーネンエルベに新設された、魔法研究部門のトップに彼女を添える事を決定し、そして今日はこの城で、ミーミルの親衛隊の入隊儀式と忠誠宣言が行われる事となっていた、

 

「時間だな」

 

そしてハイドリヒSS上級大将のその言葉と共にミーミルは、黒い太陽のマークが床に刻まれた部屋へと入って行った

 

そこにはナチ党の党旗である、ハーケンクロイツの旗とSSの黒い旗を持った二人の衛兵の他に

 

親衛隊幕僚本部長:カール・ヴォルフSS上級大将

 

親衛隊本部長:ゴットロープ・ベルガーSS大将

 

親衛隊人事本部長:マキシミリアン・フォン・ヘルフSS大将

 

親衛隊法務本部長:フランツ・ブライトハウプトSS大将

 

ハイスマイヤー親衛隊大将本部長:アウグスト・ハイスマイヤーSS大将

 

ドイツ民族性強化国家委員長:ウルリヒ・グライフェルトSS大将

 

ドイツ民族対策本部長:ヴェルナー・ローレンツSS大将

 

親衛隊人種及び移住本部長:リヒャルト・ヒルデブラントSS大将

 

親衛隊経済管理本部長:オズヴァルト・ポールSS大将

 

親衛隊作戦本部長:パウル・ハウサー民族元帥

 

秩序警察本部長:クルト・ダリューゲSS上級大将

 

国家保安本部長:ラインハルト・ハイドリヒSS上級大将

 

そして親衛隊国家長官である、ハインリヒ・ヒムラーの計13人が、立会人として、一同に介していた。

 

「それでは、ミーミル・フォン・シルバーベルヒ、忠誠宣言を」

 

「はい」

 

親衛隊の最高幹部が見守ると言う、異様な威圧感に何も感じる様子もなく、ミーミルは襟を正すと、左手を衛兵の一人が持つナチスの旗に添え、そして右手でナチス式敬礼をしながら誓いを立てた。

 

「私は、ドイツと民族の総統であるアドルフ・ヒトラー、あなたに対して、忠誠と勇気とを誓い、あなたとあなたが定めた上官と共に、死に至るまで服従を誓います。

 

ハイル・ヒトラー!」

 

「ミーミル・フォン・シルバーベルヒ中将、今日の誓いを持って、貴官を我が親衛隊の魔導研究者として迎える。今後は、偉大なる我らが総統、アドルフ・ヒトラー総統に絶対の忠誠を誓い、我がドイツと、アーリア民族の発展の為に、その頭脳と力を、この国と我が組織、そして何より我が総統に捧げてもらいたい」

 

そうヒムラーが言い終わると、新しくSSに入ったミーミルを歓迎する意味合いを込め、立会人である12人幹部の内、11人がナチス式敬礼をし、一方でこれから彼女の直属の上司となる親衛隊個人幕僚本部の長である、カール・ヴォルフSS上級大将が、彼女に直接、親衛隊のモットーである"忠誠こそ我が名誉"と刻まれた短剣、そして親衛隊髑髏リングなどの、親衛隊のシンボルとなる装飾を彼女に渡した。

 

「それでは、早速であるが例の研究を…ドイツとファルマートを繋ぐ人工的な門の開発を開始してくれ、必要なものは全て用意しよう」

 

「はい」

 

こうして、ヴィザンツィア騎士団国最高の魔導士であるミーミルは、新たに、ミーミル・フォン・シルヴァーベルヒSS中将として、親衛隊の魔導士として、新たなる人生をスタートする事となった。

 

そして、彼女の行うこの研究が、遠くない未来、結果的に彼女の故郷であるファルマート大陸の歴史を大きく動かす、ある出来事に繋がってゆく事を、今は誰も知る由もなかった。

 

 

 





因みにミーミルがやろうとして居るのは、例えるなら宇宙戦艦ヤマト2199で出てきた、バラン星の様な恒星間移動システムの様な物を想像すれば、まぁ当たって居ると思います。
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