帝国の旗を掲げよ   作:ドイツ軍ファルマート大陸軍集団

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世界の動き

 

ドイツ第三帝国と異世界の国ヴィザンツィア騎士団国の交渉が終わり、ドイツ軍の訓練視察や、各国大使との友好を目的とした晩餐会などのスケジュールが終わり、交渉から三日後に、ヴィザンツィア騎士団国の使節団は、本国へと帰っていった。

 

その後、第三帝国国内および全世界に、異世界と繋がる門、そしてヴィザンツィア騎士団国の存在を発表した。

 

「たとえ世界は違えど、我々とヴィザンツィア騎士団国は、思想、民族的に多くの共通点を要する、いわば異世界のアーリア人であったと確信した。

 

私は、我が党は、我が第三帝国は、同じアーリア人国家である、ヴィザンツィア騎士団国に対して、国交と友好の関係を結ぶ事を、ここに宣言する!!」

 

ヒトラーのテレビ演説および、ドイツの新聞にて述べられた異世界の国の存在は、世界中に衝撃を与え、そして各国は、その異世界の国、そして異世界の存在により、世界のパワーバランスが大きく変化する事を予感した。

 

イタリア帝国

 

戦後、イギリスの北アフリカ植民地の多くを併合し、イタリアの偉大な前身国家であるローマ帝国同様に、地中海の覇者として君臨している国である。

 

グラン・サッソ

 

「異世界の国か、興味深い物ですな、そう思いませんかフランコ将軍?」

 

「えぇ、ムッソリーニ統帥、あの門の先の異世界に広がる、手付かずの資源に未開拓の市場、全てが宝の山ですからな」

 

イタリア帝国の統帥であるベニート・ムッソリーニ、そしてスペインの総統であるフランシス・フランコ将軍、ヨーロッパにおけるラテン系国家を支配する、二人の独裁者は、イタリア中部のグラン・サッソに存在するホテル、カンポ・インペラトーレにて、ドイツのベルリンに突如として出現した門について、秘密の会談を行なっていた。

 

「我々もできれば、ドイツと繋がる異世界へと進出したい物だが…ドイツに、我我々の軍隊の派遣を打診しませんか?」

 

「無理でしょうな…場所が悪い、アルプス山脈やピレネー山脈の麓にでも、門が出現してくれていたらまだしも…場所が、ドイツの首都であるベルリンのど真ん中というのが…」

 

「まぁ確かに…いくら同盟国とは言え、自国の首都に他国の軍隊を進駐させるなど、絶対に無理でしょうからな…」

 

ムッソリーニとフランコ将軍、二人が支配する、イタリア帝国とスペインは、前大戦で、日本を除く枢軸国加盟国や友好国によって結成された全体主義の軍事同盟である、大欧州帝国条約機構の加盟国であり、イタリア帝国はその副盟主的立場にある。

 

だが、それでも他国の首都、しかも当の条約機構の盟主国であるドイツの首都であるベルリンに、部隊を送るなど、常識的に考えて不可能で有るし、ヒトラーが認めるわけないのは目に見えていた。

 

「仕方ない、しばらくは貿易や、異世界への進出の支援など、後方支援を行い、ドイツから何かしらのおこぼれをもらう事で様子を見ましょう」

 

「だが、チャンスがあればいつでも…ですな」

 

「勿論です」

 

 

イギリス

 

ドイツとの戦争に敗れ、イタリアに北アフリカの要所であるエジプトとスーダン、そして500億マルクと言う決して安くない賠償金を課されると言う屈辱に加え、イギリス軍の敗北と消耗により、世界各地で独立や代理戦争に巻き込まれ、インドなどの多くの領土を失うと言う、受難と屈辱の日々を送りながらも、アメリカなどの自由主義諸国の力を借りながら、何とか国力を回復させていた。

 

首都:ロンドン

 

その日はあいにくの雨であり、ロンドンの空は灰色の雨雲に包まれ、雨水が道を濡らし、建物を濡らし、そしてテムズ川に降り注ぎ、道ゆく人々の傘や外套を濡らしていた。

 

そんな中、黒塗りのロールス・ロイス・ファントムIVが、雨の中を走り、テムズ川の辺りに佇むイギリスの国会、ウェスト・ミンスター宮殿へと向かっていた。

 

「異世界…か…」

 

テムズ川にかかるウェストミンスター橋の下を流れる、テムズ川を車の窓から徐に見つめる、第63代大英帝国首相である、ウィストン・チャーチルは、苦々しそうな表情を浮かべていた。

 

「なぜドイツに異世界が…ロンドンに…いや、出来ればドーバーかプリマスなどの港町や、マンチェスターなどの工業地帯にでも異世界の門が開いてくれていたら、我が大英帝国は全ての問題が解決し、再び大国へと返り咲けただろうに…」

 

「全くです…しかも他の国ならまだしも…よりにもよってナチスとは…」

 

苦々しそうにそう呟くチャーチルに、MI6長官として、イギリスを影から守る秘密機関を指揮する、スチュワート・メンジーズ長官が、チャーチルの気持ちを察するようにそう言い、一方で門の出現のおかげで、対独政策が大きく変更しなくてはならない事に、頭を抱えていた。

 

「異世界…どれほどの規模かは分かりませんが、ユーラシア大陸と同じ規模であると仮定して現在作戦および、対独政策に関しての編集を急ぎ行なっております…」

 

「そうか、何にせよまずい事になった。今回の超常現象によって、ドイツはユーラシア大陸一つ分の領土と資源、市場を手に入れる事となる…そうなった場合の、世界のパワーバランスの変化は、とてつもない事になるだろうな…」

 

「はい、しかし座して何もしないわけには行きません。我々MI6としては、引き続き、ドイツに対する工作活動は続行し、異世界へと関与が出来るルートを探します」

 

「頼むぞ長官」

 

「はい」

 

これから起こるであろう、世界のパワーバランスの変化、そしてドイツ一強とも言える最悪な世界の予想、全てがチャーチルに、大きなストレスを与えていた。

 

「ハリファックスの腰抜けのおかげで、戦争に敗北…アフリカ植民地の多くの領土喪失に、インドの内戦…あらゆる困難に遭いながらも、何とか国を建て直した矢先これか…だが、負けん…もう二度と、私はこのイギリスに、敗北はもたらさん!」

 

だがチャーチルは、決意を新たにしそう言い、これから起こるであろう新たなる困難に立ち向かう、その勇気と気合を自分に言い聞かせた。

 

「その為にはアメリカはもちろん、極東の大国…大日本帝国との関係を強化せねばな」

 

「確かに、彼の国は今はドイツと距離を置いているとはいえ、一時期はドイツとの同盟国…対ドイツ工作は、そこからアプローチしてみるのが良いかもしれません」

 

大日本帝国

 

史実では、日中戦争の泥沼、そして1942年12月8日にアメリカ合衆国に対して戦争を仕掛け、破滅への道を突き進んでしまったが、戦争に負けたイギリスが、戦力回復の為植民地、特に英国本土と距離が遠いアジアに展開する軍隊の引き抜きを行う一方、領土の損失を抑えたいと言う思惑から、日本に対して懐柔する為の宥和政策を開始。

 

一方の日本国内でも、条約を破ってソ連と開戦したドイツが、味方として信用でき無いと言う論法を武器に米開戦反対派が対米開戦派との権力闘争に勝利し、海軍の米内光政が、第40代首相に就任した事により、イギリスルートでの再度日米交渉が開始され、その結果アメリカは、日本が枢軸国を脱退し、満州や中国市場進出を認める事を条件に、満州国承認を受諾、それにより史実での大東亜戦争は回避する事に成功していた。

 

だがその代償として、ナチスドイツと日本の関係は日に日に険悪になって行っており、日本はアメリカとイギリス率いる自由主義陣営である、大西洋自由条約機構に協力的な関係を結ぶなど、かつての西と盟友とは、関係が険悪になりつつあった。

 

帝都:東京

 

海軍省

 

「異世界へつながる門か…まるで空想科学小説みたいな話だな」

 

そんな大日本帝国を守護する、天皇陛下の指揮、統帥下にある大日本帝国海軍の軍政を司る、海軍省にて、海軍大臣である山本五十六は、今日発売された新聞に乗る一面を見て、そう呟いた。

 

「正直、信じられない事ではありますが、ベルリンの日本大使館からも、この情報は紛れもない事実であると聞いています」

 

その言葉に、海軍軍令部次官である、高木惣吉中将はそう言った。

 

「なるほど…問題はこの件、どうするかだが、君ならどうするかね?」

 

「はっきり言いますと、我々は関わるべきではない…と言うよりも、関われないと言うべきでしょうな。ただでさえ我々とドイツでは距離がありますし、何より我々は、中国情勢の維持だけで手一杯です。いくら興味深い超常現象が起こったとは言え、地球の裏側の事情に深入りするほどの余力は無いと、断言して良いでしょう」

 

「まぁ、確かにそうだな」

 

高木中将の説明を聞いた、山本大将は納得した様子でそう述べた。

 

中国情勢…

 

それは、今の日本にとって最大かつ、最重要な問題案件である。

 

と言うのも対米戦を回避した日本ではあったが、唯一1944年の1月8日から始まった国共内戦から発展した、北京を占領し華北を領土とした中国共産党とソ連のコミンテルン連合軍と南京に首都を置き、中国南部に勢力を持つそして中華民国との、中国を二分する一大戦争、"中華大戦"に巻き込まれたことがあった。

 

当時、アメリカとイギリス経由で、無理やりに近い形で大日本帝国の要求を大幅に認めさせられた中国国民党政権であったが、突然の中共の蜂起とソ連の侵攻という緊急事態に対して、共産主義勢力とロシアの勢力から満州、朝鮮、そしてその先にある日本本土を守りたい日本政府と同盟を結び、イギリス、アメリカ義勇軍の連合と共に、北から攻めてくるソ連軍と中国共産党政府軍との大規模戦争を戦ったのだ。

 

2年続いた大激戦の末、結果的には、共産党側の指導者である毛沢東が、ドイツが密かに送ったSSの特殊部隊により暗殺され、指揮系統が混乱した結果、中国南部を守り切る事に成功、その結果中国北部は共産主義政府、南は国民党政府、満州は日本と、中国の分割統治が決まり戦争は治ったが、今でも小競り合いやテロが続くなど情勢が完全に安定してはおらず、さらには近年では中国青年党と呼ばれるドイツの支援を受ける右翼政党が台頭し始めているなど、油断を許さない状況となっており、とてもではないがドイツに出来た、異世界と繋がる門に関して関われる状況では無かった。

 

「だが何もしないわけにはいかない、情報収集だけには余念が無いようにしなくてはな」

 

アメリカ

 

世界最大の国力を有する、民主主義の超大国、欧州での戦争とアジアでの戦争、二つの大きな戦いに直接的な干渉はせず、軍需物資やエネルギーなどを支援という名目で売り付ける事によって、経済的に大きく発展していた。

 

現在は、親独派である前大統領、チャールズ・リンドバーグの後を継ぎ、1949年に大統領になった、共和党の反独派であるら元中国派遣義勇軍司令官、ダグラス・マッカーサーが1949年に大統領に就任していた。

 

首都:ワシントンD.C.

 

「GATE、そしてその先にある異世界か…」

 

報告書を読み、マッカーサーはそう呟いた。

 

異世界が、どれほどのものかは分からないが、門の先にある世界が、仮にユーラシア大陸並みの大きさなら、ドイツはユーラシア大陸一つ分の資源と市場を手にする事となる、それすなわち今のドイツの全体主義陣営、ソ連の共産主義陣営、そしてアメリカの自由主義陣営と、三極の冷戦構造において、ドイツが大きく他の二極を引き離し、飛躍してしまう可能性があるのだ。

 

「ですが大統領、しばらくはおちついて行動は可能であると断言いたします」

 

ドイツが強大化してしまうのではないかと心配するマッカーサーに、CIA長官であるアレン・ダレスはそう断言した。

 

「例え門の先が資源の宝庫であったとしても、異世界を繋ぐ門はベルリンに存在する…その事自体が、彼らドイツの異世界進出と開発の足枷になります」

 

「…なるほど、確かにそうだな」

 

ダレス長官の話にマッカーサーは、頷きそう言った。

 

ヨーロッパの覇者であるドイツ最大の都市であるベルリン、例え石油などの資源が大量にあろうとも、ベルリンの中心地に門がある時点で、パイプラインの設置やその他のインフラ整備など、とてもでは無いがままならない物であった。

 

その為、アレン・ダレスは例えドイツがユーラシア大陸一つ分の大陸を手に入れたとしても、開発や開拓がやり辛い事から、すぐにパワーバランスが変わるとは思えなかった。

 

「少なくとも、門の位置関係から10〜20年は、パワーバランスは変わらないと見て良いでしょう」

 

「なるほど、ならその間にドイツに対して工作活動を行い、情報収集とドイツ政府の瓦解、あるいは弱体化を目指してゆけば良いな」

 

「はい、そしてドイツが瓦解すればよし、弱体化すればそれはそれで、我が国の豊富な資金力を武器に、支援と引き換えに異世界への門戸開放を求めれば良いのです」

 

「なるほど…よし、しばらくはその方向で進めるぞ」

 

「わかりました」

 

「大仕事になるな」

 

10〜20年、そのタイムリミットの間にドイツへの工作を進めつつも、ドイツや他国を大きくアメリカが引き離す、その壮大なプロジェクトに、マッカーサーは少し高揚感を覚えていた。

 

 

このように、各国はドイツへの警戒や工作を強めるなどの政策を水面下で始めようとしていた。

 

そんな中、この超常現象について一番、焦りを見せている国があった。

 

ソヴィエト連邦

 

先の熾烈な独ソ戦においては、ウクライナ西部やベラルーシ西部、リトアニアとラトビア西部をドイツ領として割譲するなどの妥協案により、なんとか滅亡を避けた、世界最大の社会主義国である。

 

現在は、先の戦いをロシア人の尊厳と社会主義の思想を守る為の聖戦であり、我々は勝利したと盛んに主張しているが、ドイツへの復讐心と、何より恐怖はいまだにソ連共産党幹部の脳裏に染み込んでおり、それにより今回の異世界と繋がる門の存在は、彼らにとっては座して見守る事などできる物では無かった。

 

首都:モスクワ

 

市内では、対独祖国防衛戦争、通称大祖国戦争"戦勝"記念日である、9月1日の式典に向けて、赤の広場ではマスゲームの練習、市外の軍事基地では日々パレードの予行演習が行われていた。

 

「別世界へ続く謎の門…この情報は確実な物か?」

 

「えぇ、同志スターリン。イタリア帝国に潜入しているスパイ経由で手に入れた確実な情報です」

 

「そうか…」

 

モスクワの中心に佇む巨大宮殿、クレムリン宮殿の会議室にて、ソヴィエト連邦の最高指導者である独裁者、ヨシフ・スターリンは、ソ連の秘密警察であるNKVDの長官である、ラヴレンチー・ベリヤからその情報を聞き、険しい顔でそう呟いた。

 

「同志スターリン、異世界がどれほどの大きさかは分かりませんが、仮にユーラシア大陸ほどの大きさの大陸があると仮定すれば、ドイツは無尽蔵の資源を手に入れる事になります。そうなると、対独防衛計画の大幅な変更を直ちに行う必要が出て来ます」

 

「いや、それよりももっとまずいのは、異世界にドイツの兵器生産工場が、移転あるいは増設された時だ。そのような事が行われれば、ドイツは無尽蔵の資源を活用して、安全な場所で兵器を生産する事可能となりますゴーバ。そうなれば、我々は無限の戦力を有する、ほぼ不死身と言って良いほどの戦力を有するドイツ軍と、有事の際には戦う事となるでしょう」

 

さらに、ソヴィエト赤軍参謀総長である、モスクワの戦いでソ連軍を押し返した英雄、ゲオルギー・ジューコフ元帥と、外務人民委員でありスターリンとは古参の同志である、ヴャチェスラフ・モロトフの二人は、危機感を露わにしたような様子でそう言った。

 

「…我々ソ連も、例の異世界とやらに介入出来ないか?」

 

「…不可能としか言いようがありませんゴーバ。門は、ファシストドイツの首都であるベルリンの中心、いくら我々でも、そのような場所にある門に、大きな関与は不可能としかもうせません」

 

スターリンに向かって不可能という事など、自殺行為も甚だしいが、だが流石のモロトフも今回の事案に関しては、今の状況では関与が出来るとは絶大に思えず、そうスターリンに正直に進言した。

 

その途端、会議室を沈黙が包み込み、同時に会議に出席するソヴィエト連邦軍高官や党幹部、NKVDの幹部達の心を、恐怖と不安による緊張が支配した。

 

だが、スターリンはパイプを片手で弄びながら黙考し、そして。

 

「まぁ、確かにそうだな…」

 

落ち着いた様子でそう述べ、それを聞いた、会議の出席者たちは内心胸を撫で下ろした。

 

「しかし、情報収集と対策だけはなんとして立てねばならん。同志ベリヤ、君は引続きイタリア経由で情報を収集し、例の門に関する事なら些細な事でも良いから、すぐに報告するように」

 

「了解しました、同志」

 

「同志参謀長、君は赤軍の軍高官と協議を行い、対独戦に関する計画の修正を速やかに行いたまえ」

 

「全力を尽くします」

 

そしてスターリンは、すぐにベリヤとジューコフ元帥に、そう命令を下した。

 





イタリア帝国

首都:ローマ

領土↓

【挿絵表示】



ドイツと並ぶこの世界の戦勝国の一つ。

ドイツの手を借り、イギリスを打ち倒し、戦後はエジプトを含め多くのイギリスの植民地を手に入れ、ローマ帝国を彷彿とさせる巨大な領土を有する大国となり、ドイツを中心とした全体主義陣営、大欧州帝国条約機構の副盟主的な立場となっている。
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