どこかで見たような光景ですが、観察させてもらいます。
1発の弾丸が、白ネイトの右肘を貫いた。
よろけた白ネイトの頭をナディアが掴み、床に叩きつけた。
「この区画は制圧完了ね」
ルビー小隊がまた1つ区画を制圧すると、AA-12の死角からレーザーが放たれた。
そのレーザーを、バリアを張ったトンプソンが咄嗟に盾となって防いだ。
「あら、案外速いのね?」
電灯が落ちた暗闇から現れたのは、先が赤黒くなっている長い銀髪に、胸部のみにある紺色の服を纏い、背中には輪っか状のデバイスのある、最上級ネイトだった。
「始めまして、私は『ブラメド』。これからよろし・・・」
ブラメドが言い終わる前に、壁を突き破ってジェノが現れた。
ジェノはそのままブラメドのにドロップキックを命中させた。
「アハハハッ!ブ~ラメ~ドちゃ~ん、あ~そ~ぼっ!」
起き上がったブラメドはジェノを睨み付け、ジェノはルビー小隊に向けてウィンクをした。
ルビー小隊はすぐに先へ進み、ジェノはブラメドにSGの銃口を向けた。
「アンタねぇ・・・せっかくお父様からこの体を強くしてもらったってのに、話してる途中で蹴り入れるんじゃないわよ!」
ブラメドは右手に白いRFを持っており、すぐさまジェノに向けて発砲した。
放たれた紫色のレーザーを、ジェノは体を後ろに反らせながらスライディングして回避する。
そしてブースターを使って起き上がると、ブラメドの顔面に頭突きをした。
「ど~ん!アッハハハッ!」
ブラメドはすぐに飛び退きながらレーザーを連射していく。
更に、増援のネイト達を呼び寄せて数的有利に持ち込む。
「レディの顔に頭突きなんて、躾がなってないようね!」
「じゃあ顔じゃなきゃ良いんだね!」
ジェノは右ふくらはぎのアンカーを射出し、ブラメドの左太ももに突き刺すと、引き寄せて腹部に頭突きを打ち込む。
「またまたど~ん!」
ハンマーを持った黒ネイトが駆けつけるが、ジェノは回し蹴りでブラメドを黒ネイトに叩きつける。
そして真横に迫っていた別の黒ネイトの右腕に散弾を撃ち込んで無力化する。
そして次々に現れるネイトやパニッシュ達をジェノは撃破していくが、ブラメドは光学迷彩を使って戦闘中のジェノにRFの照準を定めた。
しかしその瞬間、ジェノが笑みを浮かべながら目を見開いてブラメドの方を向いた。
ブラメドは瞬時に引き金を引き、ジェノはブラメドの位置に向けて駆け出した。
1発のレーザーはジェノの左の髪を少し焼いたが、ジェノはそのまま突撃し、ブラメドの左右の位置に向けて両手のSGを同時に発砲した。
左右へ動けば、無力化ではなく確実に死ぬ位置に向けて放たれた散弾。
そして目の前に迫るジェノ。
ブラメドは動かず、RFの引き金を引いた。
互いに回避できない位置にいる・・・はずだった。
ジェノはSGを手放して床を這い、僅か3mmの差でレーザーを回避した。
そしてそのままジェノは四つん這いでブラメドに迫り、RFを掴んだ。
「ざ~んねん!」
ジェノはブラメドの鳩尾に、拳を抉り込むように打ち込んで空中に打ち上げる。
そしてもう片方の拳で床に叩きつけた。
ブラメドが戦闘不能になると、ジェノはユラリとネイト達の方を向いた。
「あ~そ~ぼっ!」
ナルシスとアデリンは敵を無力化しつつ、ウィリアムへの最短ルートを進んでいた。
これは先へ行って翔のために露払いをするのが目的であり、制圧し次第翔へ連絡を入れる予定だった。
しかし・・・
「『ネムラン』姉様に、『サナ』か」
灰色の髪を束ね、白いドレスと蛾にも蝶にも見えるマントを纏い、太ももに空洞のある金色の足をした、ネムラン。
髪は銀のロングヘアで黒い星のような仮面を付け、黒いドレスを纏っており、両側にレーザー砲とミサイルを装備し、脚部は逆関節型の機体に乗っている、サナ。
サナが長刀を構えると、ナルシス達の背後からは大勢のネイトが集まってきていた。
「1度帰ってきた時に、いずれ裏切るとは思っていましたが・・・やはりあの時、殺しておくべきでしたね」
ネムランはそう言って冷酷な目でナルシスを睨み付けた。
対してサナの表情は仮面で隠れているが、無言でナルシスにレーザー砲を向けている。
しかし突然近くの扉が破壊され、暗闇からルビー小隊が現れ、周囲を見渡す。
「この状況・・・随分な所に来ちゃったみたいね」
ナディアはそう言ってマガジンを交換した。
M200はナルシスと目配せをすると、ネイト部隊に銃口を向けた。
「ネイト達は任せてください!」
ナルシスはネムランの方を向き、ホバーブレードを向けて不敵な笑みを浮かべた。
「ネムラン姉様・・・そこ、通させてもらうわ」
アデリンはサナの方に銃口を向けてナカサワのチャージを開始した。
「青くて小さな花火を、見せてあげる」
ナルシスはホバーブレードを2本残し、全てネムランに向けて飛ばした。
それに対し、ネムランはジャミングエリアを発生させ、ホバーブレードを無力化しようとする。
しかしホバーブレードは無力化できず、そのままネムランに向かって行った。
「もしかしてジャミングの対策、してないと思ってた?」
ネムランは浮遊して距離を取ると共に、ホバーブレードを回避する。
そして空中で青白い光の玉を複数発生させ、ナルシスに向けて放った。
ナルシスは光の玉を最低限の動きで回避しながら、ホバーブレードを操作してネムランに食らいつく。
流れるようなナルシスの動きは、かつてより洗練されていた。
かつてのナルシスなら、ネムランに歯が立たなかったのに対し、明らかに腕が上がっている。
その事に、ネムランは眉を潜めた。
「ネムラン姉様、悪いけどワタシは・・・パラデウスとして生きるわけでも、ネイトとして生きるわけでも無い、別の道を選んだの」
ナルシスの動きからは、殺意は感じられなかった。
しかし、ナルシスは確実にネムランを追い詰めていった。
当たる位置と、当たらない位置に飛ぶホバーブレードはネムランの逃げ道を封じ、ナルシスはネムランへの接近に成功する。
「ワタシは、ワタシ自身の道を進む!自分だけの、自分で選ぶ、ワタシだけの道!」
ナルシスはネムランの脚部とマントを大量のホバーブレードで同時に破壊し、落下したネムランを受け止めた。
「なぜ殺さなかったのですか?」
「もう前のワタシじゃない。それに・・・私の道で、別にネムラン姉様を殺す必要は無いから」
そう言って、ナルシスはネムランの横に座った。
「あ~、疲れた」
サナは初手からレーザーとミサイルによる弾幕を展開し、アデリンは一部のミサイルをプロヴォで撃ち落とし、ナカサワをチャージしていく。
近すぎず遠すぎず、距離を保ちながら駆け、アデリンは回避に専念する。
そしてチャージが終わり、アデリンは狙いを定める。
放たれたナカサワのレーザーは、サナの左側のミサイルに命中し、誘爆によりレーザー砲も破壊される。
その時、サナの左腕が損傷した。
更に、サナの身体は破片によって傷ついていた。
しかし、サナの傷口からは人形特有の配線などが露出した。
「あなた、ネイトじゃなくて・・・人形なのね」
サナは唇を噛み、ミサイルを放つと共に長刀を構えて突撃してきた。
「私はサナ・・・私は、ネイト!」
アデリンはミサイルを撃ち落としながら下がるが、機動力はサナの方が上である。
そしてサナはアデリンに接近し、長刀を振り上げた。
アデリンは咄嗟に腰のエネルギーパックを投げ、長刀に斬られたエネルギーパックは爆発を起こした。
そしてその爆煙の中から、アデリンが飛び出した。
アデリンはサナの残ったミサイルを撃ち抜き、サナの射撃武装を全て無力化した。
しかし、近距離での爆発でアデリンもダメージを受けて倒れた。
「あなた、苦しそう。どうしてそんなに、苦しそうなの?」
立ち上がりながらアデリンは問いかけ、口元の血を拭う。
サナは膝をついていたが、長刀を支えにして立ち上がった。
「私は、ネイト・・・そうじゃないと、"お母様"に捨てられる・・・だから、私は!」
サナが長刀を袈裟に振り下ろすが、アデリンはスライディングでサナの股下を抜けて回避し、振り向いてプロヴォを撃とうとした。
しかしアデリンはサナに回し蹴りで吹き飛ばされ、壁に叩きつけられ、吐血した。
すぐにサナは長刀を構えて突撃するが、アデリンは衝撃でプロヴォを手放してしまっていた。
それでもアデリンはチャージ無しでナカサワを撃ち、長刀を持つサナの両手を破壊した。
だが・・・サナの勢いは止まらず、アデリンに激突した。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は引き続き、ナインボールとパラデウスの正面対決でしたが、どうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています!
●ブラメド
先が赤黒くなっている長い銀髪に、胸部のみにある紺色の服を纏い、背中には輪っか状のデバイスのある最上級ネイト。
主な武装は新型のRF。
極めて魅惑的で、言葉巧みに相手の警戒を解いてメンタルを惑わす。
戦闘面では電子戦に特化していたが、ナインボールへの対策として素体の強化と共に新型RFを与えられた。
●ネムラン
灰色の髪を束ね、白いドレスと蛾にも蝶にも見えるマントを纏い、太ももに空洞のある金色の足をした最上級ネイト。
主な攻撃手段は光の玉と電子戦である。
常に冷静で、パラデウスの中では替えが効かない存在でもある。
一見武装が無いように見えるが、光の玉を発生させて敵に飛ばす事ができ、更に短距離ではあるが空中を浮遊する事ができる。
●サナ
髪は銀のロングヘアで黒い星のような仮面を付け、黒いドレスを纏っており、両側にレーザー砲とミサイルを装備し、脚部は逆関節型の機体に乗っている。
主な武装はレーザー砲とミサイル、長刀である。
ネイトを自称している人形だが、専用機と素体の性能により、エリートクラスの実力を持っている。