鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 い~じゃ~ん!盛り上がってきたね~!
 見せてみろよ、お前らの可能性ってやつを!




第8章 人形達の戦場
第91話 雲外蒼天


 曇天の下、銀治とアンジェの部隊と翔の部隊は向かい合っていた。

 

 

 

「翔・・・どういう事か、聞かせてもらおう」

 

 噴き出しそうな怒りを込めて問う銀治の表情は、抑え切れない怒りが現れていた。

 

 銀治は自身が汚染しないよう、死海の外側にある陸地にある移動式拠点から通信していた。

 そして、拠点の中にはアンジェもいた。

 

「アヴェルヌスを制圧した・・・だけじゃないわね、パラデウスの連中を、治療している意味は何?」

 

 

 

《パラデウスは僕達が制圧したよ。ウィリアムと話はもうついたから、パラデウスはもう人を傷つけないし、傷つけさせない・・・君達を今回の作戦に呼ばなかったのは、ごめんなさい・・・ウィリアムの事は、後で直接会って話そう》

 

 銀治とアンジェの脳裏に、パラデウスのこれまでの行いがよぎる。

 裏切りは連中の十八番であり、ボーン村やブレーメンでの事を思うと、翔の言葉でさえ疑ってしまう。

 

 翔は他者を裏切る人間か?

 翔は虐殺を肯定し、加担する人間か?

 

 これまでの翔とその仲間の行動を考えれば、すぐに否だと思える。

 だが、それでもモニターに映る光景は、銀治とアンジェの心を揺さぶる。

 

 

 

 このまま戦闘に突入するか、それとも翔を信じるか・・・

 

 一方、AR小隊以外は全員、いつでも戦える体勢に入っている。

 AR小隊の方はある程度翔と関わりがある事から、迷いが生じていた。

 

 特に、アデリンと交流のあるM4と翔と共闘したことがあるSOPは迷っていた。

 

 

 

 すると、唐突にジェノからの通信が入る。

 

《ねぇねぇ!良いこと思いついた!》

 

 ジェノは屈託の無い笑顔を浮かべ、右手のSGを肩に担いだ。

 

「戦おうよ、割と本気で!だってさ、そっちは色々思うところがあるんでしょ?迷いがあって良いんだよ、ちゃんと考えてる証拠だし!」

 

 ジェノは体を伸ばしながら続ける。

 

「だからさ!めんどくさい事無しにして、本気でぶつけてみなよ!」

 

 そこでランポルドが1歩前に出てジェノに並ぶ。

 

「私としてはお前達に挑んで欲しいがな。この先、パラデウスや私達より強い敵が現れる可能性は十分ある。だから・・・」

 

 ランポルドは同じ高度でM4達を見据えているが、なぜかM4達にはランポルドが高い所からこちらを見下ろしているように感じられた。

 

 

 

「私達を、越えてみろ」

 

 

 

 ジェノとランポルドの言葉に対し、銀治とアンジェは・・・

 

《全部隊へ告げる、戦闘開始だ》

 

《反逆小隊、戦闘開始》

 

 その瞬間互いが銃口を向け、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 推奨BGM『Dirty Worker』(ACVDより)

 

 

 AR小隊の前に、弾丸を避けつつジェノが降り立った。

 

「さぁ~て、あ~そ~ぼっ!」

 

 すぐさまジェノが銃口を向け、AR小隊の面々は即座に回避し、M4とM16のいた場所にはマンティコアの装甲すら貫く散弾が通り抜けていった。

 

 ジェノは近距離特化の武装と、それを活かすための機動力を持っている。

 QBや身体操作だけでなく、ふくらはぎにあるワイヤーアンカーを使い、3次元的に動き続ける。

 

 高い機動力の反面、防御機構はPAのみである。

 

 AR小隊の面々は、例えPAに弾丸が阻まれても正確に急所を狙っていく。

 

 下がりながら射撃するAR-15に対し、ジェノはPAで受けつつ突撃していく。

 そこへM4とROが別々の方向から射撃し、PAを削る。

 

「SOP!」

 

 M4の掛け声と共に、SOPは榴弾を発射する。

 ジェノの背後に当たった榴弾は、1度の爆発だけでなく3発の小型榴弾に分裂して更にPAを削る。

 

 

 

 M16はスタングレネードを投げ、その隙にアヴェルヌスの外壁の中に他のメンバーと共に潜り込む。

 

「おっ!そっち行くの~!?いいよいいよ~!」

 

 ジェノはレーダーの反応を頼りに、壁越しに散弾を放った。

 1発目で壁を破壊し、2発目で直撃を狙う。そういう算段だった。

 

 しかし撃てたのは1発だけであり、2発目はAR-15の射撃により阻まれる。

 更に、破壊した壁の向こうからM4とROが射撃する。

 

 既に大きく削れているPAが、あと僅かになる。

 

 ジェノはその状況に焦ること無く、むしろ楽しみながら戦場を駆ける。

 狙うは隊長であり最も脅威度の高い、M4A1。

 

 

 

 だが、ジェノの進行方向へ"置くように"放たれたSOPの榴弾が、ジェノのPAを完全に剥がした。

 

「おおっとぉ!?」

 

 目を丸くしながらも笑っているジェノに、ROが背後から射撃する。

 しかしジェノは右へQBして回避すると、SGをROに向ける。

 

 その距離は、確実にROを仕留められる位置にあった。

 しかしジェノはそのまま銃口を横にずらした。

 散弾の拡散範囲から見て、ROとM16を同時に狙える位置だった。

 

 次の瞬間、ジェノは射撃するより回避を優先して体を捻った。

 ギリギリで当たらなかった赤いエネルギー弾は、壁に着弾すると爆発する。

 

 見れば、M4が背負っていた長方形のケースを向けており、ケースは変形して砲撃できるようになっていた。

 

「いや~危なかったよ~!」

 

 M4は舌打ちすると、続けてエネルギー弾を発射する。

 ジェノは体を反らしながらスライディングし、前を見ずに両手のSGの引き金を引く。

 

 着弾した反応は無かったため、ジェノは立ち上がると共に飛び上がり、そのまま眼下のM4を狙うかと思いきや、左右のAR-15とSOPに散弾を放った。

 

 2人は回避しようとするが、数発程かすってしまった。

 ジェノはM4に突撃しようとしたが、そこをM16が挟み撃ちにする。

 

 更に、SOPとAR-15が倒れながらも射撃し、ROがM4に並んで射撃する。

 5人分の連射された弾丸がジェノに向かって飛ぶが、ジェノのPAは僅かに回復していた。

 

 

 

 だがそれでも・・・

 PAは再び剥がされ、PAに阻まれなかった最後の弾丸がジェノの体に突き刺さった。

 

「痛った~い!」

 

 ジェノは飛び退き、5人の包囲網から逃れる。

 体から血を流しながら5人を見るジェノは、笑っていた。

 

 

 

 

 

「あっははは!痛い!痛いよぉ~!でも楽しいよぉ!・・・そろそろ、本気でやろっかぁ!」

 

 すると、周囲にも聞こえる音声がジェノの体から発せられ、ジェノは両方のSGを投げ捨てた。

 

《リミッターの解除を確認、ジェノサイドモード、起動》

 

 

 

 推奨BGM『Scorcher』(ACfaより)

 

 

 

「アハハハハハ!アッハハハハハハハハハハ!アハハハッ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

 

 狂った笑い声を上げるジェノの体から、大量のアンチコジマが放たれる。

 直後、ジェノの腕から4本のフィンガークローが展開し、親指以外の指に接続される。

 

 そして、狂気に染まった笑みをROに向けた次の瞬間・・・

 

 ジェノはROの目の前に迫り、右腕を振り上げていた。

 

 ROは回避しようとするが、回避しきれずに胸元を切り裂かれ、人工血液が飛び散る。

 

「があっ!」

 

 幸い致命傷には至っていないものの、ジェノは既に左腕を振り上げていた。

 

「ROから離れろ!」

 

 AR-15が射撃し、ジェノはQBで飛び退きながらROの右足を切り裂いた。

 SOPとM16も射撃し、M4がROを引っ張って遮蔽物に移動する。

 

(なんなの、あれ・・・本当に、あのジェノ!?)

 

 普段からジェノは狂った笑みを浮かべることはあったが、その中には少なからず優しさがあった。

 しかし、目の前にいるジェノからは優しさが消え去っていた。

 

「アハハハハハ!ねぇ待ってよぉ!アハハハハハ!」

 

 SOPに瓦礫を投げつけたジェノは、虫のように地面を這って接近する。

 どちらかを意識すれば、片方に対処ができなくなる。

 

 SOPはどうするか一瞬迷ったが、AR-15とM4がジェノに射撃した事で、SOPは瓦礫を回避する事に成功する。

 

「アハハハハハ!まだまだ行くよぉ~っ!」

 

 被弾してもなお駆け続けるジェノに、M16は最後のスタングレネードを投げる。

 

 

 

 至近距離での光に、ジェノは目を閉じる。

 

「ま~ぶし~い!アハハハハハ!」

 

 だがジェノは耳と振動、そしてレーダーを頼りにAR小隊の位置を特定し、腕を振り続ける。

 

 更に、M4の左脚に向けてアンカーを射出するが、M4は回避しながら射撃する。

 しかし、地面に刺さったアンカーを使い、ジェノはM4へ一気に接近する。

 

 ジェノの爪はM4の頬をかすめ、M4の放った弾丸はジェノの腹部を貫く。

 

 距離を取ろうとするM4に、ジェノは再び爪を振ろうとする。

 そこをAR-15とM16が阻止しようと射撃するが、ジェノはM4から離れ、弾丸を爪で迎撃しながらAR-15に突撃する。

 

 AR-15は射撃しながら後退し、ジェノはアンカーを射出してAR-15の右太ももに突き刺した。

 

 ジェノはそのままバク転し、AR-15を背後のM16へ叩きつけようとする。

 しかしSOPの放った弾丸が、ジェノのアンカー部分を偶然破壊し、M16はAR-15を受け止められた。

 

「アッハハッ!良いね良いね~!アハハハハハ!」

 

 ジェノはSOPに飛び掛かるが、SOPは左腕を引き、右腕を若干前に出すと同時に銃から手を離した。

 

「食らえええええっ!」

 

 SOPは左腕を突き出し、正拳突きのようにパイルバンカーを打ち込んだ。

 

 「ガションッ」という音と共に射出されたパイルは、ジェノの右肩に命中し、ジェノの爪はSOPの肩に突き刺さった。

 同時に、ジェノの右腕は千切れていた。

 

 更にSOPはジェノの顔面を殴り、ジェノは大きくよろけた・・・が、SOPの顔が苦痛に歪み、口から血を流した。

 

「ただではやられないよ~!アハハハハハ!」

 

 ジェノの左腕の爪が、SOPの腹部に突き刺さっていた。

 直後、M16がジェノの顔面を掴んで床に叩きつけ、AR-15がSOPをすぐに下がらせた。

 

 だがジェノはすぐにブースターを吹かして逃れ、M16に飛び掛かろうとする。

 

 その瞬間、M4の放ったエネルギー弾がジェノの腰に命中し、ジェノは上半身と下半身に分かれて吹き飛んだ。

 

 壁に叩きつけられたジェノはM16とM4に銃口を向けられる。

 

「あ~あ、負けちゃった・・・ざ~んねん」

 

 ジェノサイドモードが止まり、ジェノは体から一気に力を抜いた。

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 かなり遅くなってすいません。

 ここから第8章の始まりです。
 AR小隊とジェノの本気の戦いでしたが、どうだったでしょうか?
 感想や高評価、お待ちしています!

●ジェノのスキル
『ジェノサイドモード』
 体力が50%以下で発動。
 攻撃方法を近接に切り替え、全てのステータスを150%上昇させる。
 更に、ランダムな敵に50倍のダメージを与え、敵の体力が既に50%以下なら即死攻撃となる。

『レッグアンカー』
 脅威度の低い敵を自身に引き付け、3.5倍のダメージを与えて大きくノックバックさせる。
 脅威度の高い敵には急接近し、3.5倍のダメージを与える。

『あ~そ~ぼっ!』
 夜戦の命中低下を受けない。
 また、体力の100%と同じ耐久のシールドを持っており、シールドの耐久は毎秒2.5%ずつ回復する。

『もっと遊ぼうよ!』
 自身にかかっているデバフの数だけ火力と会心を5%ずつ上昇させる。
 また、自身の体力が10%以下になった時、全てのステータスを50%上昇させる。
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