かつて見出だした、己の答えを求めて。
海に落とされ、沈んでいく翔は海の冷たさを感じていた。
(冷たくて、寒い・・・でも・・・)
翔は諦められなかった。嵐を操るハイエンドモデル、そんなものにどう太刀打ちできるのか?翔には何も思い付かなかった。しかしそれでも諦められずにいた。
諦められない理由は、皆のためであること以外に何かあるのだが、それが解らずにいた。
(解らない・・・何も解らないよ・・・でも、それでも!)
その瞬間──
翔は、新たな記憶を思い出した。
何かに乗っている。レバーを握り締め、ペダルを踏み込む。見上げる先には朝日を背にした白い人型兵器がいる。その機体の青い複眼は獣のようで、左肩にはホルスの目のエンブレムがあった。
既に勝てないと悟っている。
しかしそれでも飛び、自身の乗る機体の左腕に付けられた『レーザーブレード』を構え、振りかぶる。
その瞬間、白い機体の目は閉じられる。そして機体の各部にある黒い部分が展開し、緑色の粒子を放出する。そして緑色の粒子は光輝き、大規模な爆発を起こす。
翔は海中で目を見開いた──
テンペスタは残りの戦力に攻撃を仕掛けようと、空中を進む。しかし次の瞬間、背後の海中から飛び出る者がいた。テンペスタはすぐさま振り向き、飛び出てきた者を見る。
推奨BGM『Overture』(AC4より)
ブースターを使い、空を飛ぶのは翔である。しかし翔の周囲には赤い粒子が舞っており、暴風の中でもその粒子は翔から離れることは無かった。
「ほう?生きていたか。ならば今度こそ・・・っ!?」
今度こそ仕留めようと、翔に攻撃しようとしたその瞬間・・・テンペスタは引いて距離を取る。
(なんだ今のは・・・奴の武装に大型の刃物は無いはず。なのになぜ、"斬られる"と感じた?)
翔はテンペスタに接近しながら鉄血製RFを両手で同時に発射する。テンペスタは残骸を使ってレーザーを防ぐが、翔はブースターを最大出力で吹かし、残骸をテンペスタに向かって蹴り飛ばす。
残骸はテンペスタに命中し、テンペスタは崩れた体勢をすぐに戻すが、翔は追撃を止めなかった。テンペスタは腰の小さなポーチからRF用の弾頭を取り出し、暴風を使って翔に向けて打ち出す。
しかし翔は避けずに踏み込んだ。
RF用の弾頭は翔に向かって飛んだが、赤い粒子が小さな爆発を起こして被弾を防ぐ。テンペスタはそれを見て初めて驚愕の表情を浮かべる。
しかしすぐに笑みを浮かべる。
「良い・・・実に良いぞ!」
翔が踏み込むのに合わせてテンペスタは残骸を飛ばすが、翔はブースターを通常の出力にし、残骸が迫ったところで体を横に向け、瞬間的にブースターの出力を最大にする。そしてそれを繰り返して残骸を回避していく。
テンペスタの武装は無いも同然であり、残骸が無ければポーチの弾頭を風で打ち出すしか武装と言えそうなのは無い。しかし翔の攻撃は今のところ回避できており、最大出力で接近されることを回避すれば問題は無いとテンペスタは判断した。
一方、翔はひたすら接近しつつ両手の鉄血製RFを撃ち込む事に専念していた。テンペスタは暴風により残骸や弾頭を飛ばすが、それ以外の武装は無く、本体そのものの火力は低い。
しかし、鉄血製RFの弾は確実に減っている。
翔はブースターがオーバーヒートするのを覚悟で、長時間の最大出力での突撃を敢行する。テンペスタは複数の残骸を飛ばして面制圧を試みる。
すると翔の周囲を舞う赤い粒子は輝きだし、爆発を起こす。その爆発により迫っていた残骸は破壊され、翔は爆発による熱を感じる。
テンペスタは爆発により腕で顔を覆っている。
(今しか・・・無いっ!)
翔は突撃し、再び両手の鉄血製RFの引き金を同時に引く。放たれたレーザーはテンペスタの両肘を撃ち抜き、テンペスタの両腕は使えなくなる。更に翔はブースターの出力を活かしてテンペスタを蹴り飛ばす。
テンペスタは体勢を整えようと自身に風を集めるが、翔はそれを利用して再びテンペスタを蹴り飛ばし、海上に浮かぶ駆逐艦の残骸の1つに叩きつける。
「ガハァッ!」
テンペスタは吐血し、風を右足に集めてかまいたちを使って翔を蹴ると共に切ろうとする。しかし翔はテンペスタの右太ももを撃ち抜き、テンペスタを押さえつける。
「はぁ、はぁ・・・これで、あなたの負けです。けど、殺しはしません」
テンペスタはため息をつく。
「そうだな、私の負けだ・・・優しき勝者よ、今すぐ私から離れろ」
翔は眉を潜める。
「ティタンやドレイクとは違い、私は敗北すれば自爆装置が作動する仕組みになっている」
翔は目を見開いたが、次の瞬間腰からナイフを取り出してテンペスタの服を破る。
「勝者よ、何をっ!?」
翔はテンペスタの体にナイフを突き立てる。
「爆弾を、取り出します!」
「ま、待て!」
翔はテンペスタの体を最小限で裂き、人工血液にまみれた爆弾を見つける。小さなタイマーには残り5秒と表示されていた。翔はすぐに爆弾をナイフで取り外すと、遠くに投げてテンペスタに覆い被さる。
常人にはできない距離まで投げられた爆弾は空中で爆発し、翔はすぐに応急処置をする。
「はぁ~良かったぁ~!」
翔は仰向けに寝転がり、それを見たテンペスタはキョトンとした顔をしている。
その頃、BOC本拠地内部では──
燃え盛る施設内をエージェント達が駆け、制圧していく。そして天井がガラスとなっている区画に差し掛かったところで、天井のガラスを割って降ってきた戦術人形がいた。
白い短髪に赤い瞳と左目の眼帯、黒いキャミソールと至る所にファスナーが付いた紫色のジャケット、黒いジーパンと白いスニーカーを身に付けており、両手にはRFを持っている。
推奨BGM『BAD SANDY』
「皆さん、ここは私に任せて行きなさい!」
エージェントが叫び、スカートの中にある4丁のMGを構える。その間に連れていたノーマル達は別方向から進む。
「私は鉄血工造のエリート、エージェント」
エージェントが名乗ると、相手の戦術人形も名乗る。
「私は『IOP』製、試作戦術人形『HK417/トゥーハンドカスタム』」
417は即座に両手に持った自身の名と同じRFを交互に撃ち、エージェントはMGを撃ちながら身を翻す。そして417に向き直り、再びMGを撃ち込む。
しかし417は踏み込みつつ射撃し、エージェントは回避しきれずに右肩と右脇腹を掠める。
続いて、エージェントの撃ったレーザー砲を417は受け流すように回転して回避し、回転しながら流れるように射撃をする。その弾丸をエージェントは回避しつつ踏み込み、拳を417の顔面に叩き込む。
その後417は即座にバックステップで引き、左右へのステップと回転を織り混ぜながら射撃をしていく。エージェントはホログラム装置を蒔き、空中でエージェントのホログラムを発生させる。
「これならば、いかがです?」
エージェントのホログラムは通常のものと違って攻撃することができ、本物のエージェントはそれに自身の攻撃を織り混ぜていく。本物もホログラムも位置を変え続けるため、417は本物とホログラムの両方から攻撃を受ける。
しかし唐突に本物のエージェントのMGの1つに射撃を命中させる。
「そこか」
417は蛇のようにエージェントに接近し、エージェントはMGを連射する。しかし417は被弾しつつも接近し、至近距離からエージェントの体にRFを連射する。
エージェントは負けずと417の右手を掴み、掌底で417の肘を折って417の両足にMGを連射する。そして倒れた417に馬乗りになり、渾身の拳を顔面に叩き込んだ。
読んでくださり、ありがとうございます!
テンペスタとの決着が着き、遂にIOPの戦術人形が登場しましたが、なぜIOPの戦術人形ここにいるのでしょうか?
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