その日、日本の天気は全体的に晴れており、雲1つ無い青空が広がっていた。
キサラギは少ない資材で建築物や戦術人形の修理を行い、復興は少しずつ進んでいた。
テンションの高い研究員達は、テンションが高いまま社長や重役を励ましたり、自らも復興のために肉体労働をしている。
そのお陰か、他の社員やローエンドモデル、ハイエンドモデル達の表情は柔らかい。
「社長、新たな食料を見つけてきました」
プリズムは応急処置が終わると、すぐにグラディウスを2人連れて食料を探しに出掛けていた。かつて本社を襲撃された時に食料の多くを失っていたため、時々こうして探さねばならなくなっている。
プリズムは食料がありそうな場所へ歩を進め、スカル数体を確認する。グラディウスには食料を探させ、プリズムは腰の装置を起動させて4脚状態となってスカルにミニガンを連射していく。
スカル達はすぐに応戦するが、瞬く間に撃破されていく。
全てのスカルを撃破すると、再び食料を探し始める。すると廃墟となったペットショップに軍人の死体があった。
プリズム達が見つけてきたのはドックフード、ツナ缶、レーションである。ドックフードは人間があまり手を付けなかったようで、多めに見つかった。
「ありがとう、これで少しは耐えられそうだ」
キサラギの社長であるロドンは微笑んでいる。しかし最も食事を食べていないのはロドンであり、自分の分の食料の大半を他に分け与えていた。しかし・・・
「イヤッハァァァ!シャチョォォォ!」
「いつもの礼だぁぁぁ!受けとれぇぇぇ!」
「モォォォモォォォカァァァン!」
実は研究員達は近場でありながらもこっそりと食料を探しに行っており、桃の缶詰めを見つけてきたのだ。
「君達・・・」
ロドンはキサラギ社の中で、最も苦労人であり最も会社と社員の事を考えている。それはキサラギ社の者達は全員知っており、それが士気や技術向上にも繋がっている。
そして、研究員達が新たに開発している物の中には翔に渡すものもあった。今後の戦いに翔は確実にその中心へと巻き込まれるだろうと考えたロドンの判断だった。
その後、ようやく完成したのはあのパイルバンカーだった。
有澤重工の本社は東京の一角にあり、義を重んじる社風であると共に皇居の防衛を担っている。皇居は最精鋭舞台によって守られており、その中にはハイエンドモデルもいる。
有澤重工の社長『有澤
するとドアがノックされ、雷電と有澤の重役が入ってきた。
重役は小さな声で会議があることを知らせ、雷電が目配せをすると赤子を抱いて部屋の外へ連れていく。雷電は武装しており、いつでも戦える状態にしてあると共に、赤子の世話も時折やっている。
赤子の名は『有澤
有澤重工の本社は難攻不落の要塞としても知られ、BOCの戦力でも落とすことはできなかった。しかし幾多の襲撃により社員のストレスは溜まってきており、赤子である隆文にはストレスの矛先を向けまいと、社員が一丸となっている。
「しかし、考えてみれば・・・隆文は皆の希望だな」
本社の中庭の一角にある小さな茶室で、雷電は隆文にミルクを与えながらそう呟いた。だがそんな時間も長くは続かず、出撃要請が入る。
雷電はため息をつき、近くの社員に隆文を預ける。
「隆文、必ず生きて帰る」
雷電の背中を隆文はじっと見つめていた。隆文を受け取った社員は、隆文が見て育つ武龍と雷電の背中はどんな風に見えているのか?そんな事を考えながら隆文を安全な場所へと連れて行った。
そして雷電は迫り来るELIDの群れに主砲を向け、引き金を引く。圧倒的な火力により、ELID達は吹き飛ばされていく。そして雷電の砲撃を免れたELIDはサンフラワーによって撃破されていく。
「これだけのELIDが押し寄せてくるとはな・・・BOCめ、なんと浅はかな」
アクアビット社は北海道の防衛を担いつつライフラインも担っているが、他にもやっていることがある。
その1つがヒーローショーであり、少しでも希望を与えようと続けられている。
主役は基本的にアクアビットマンで、規模は小さなものだがそれでも子供達は目を輝かせていた。実際に自分達を守ってくれているヒーローが、目の前にいるのだから。
ある日はELIDに囲まれた子供を助け・・・
ある日は産気付いた妊婦を病院まで運び・・・
ある日はBOCの戦力を退け・・・
アクアビットマンは本物のヒーローとして、人々から愛されている。
そんな様子を見て、アクアビットの社長である『リサ・ヴォイス』は暖かい笑みを浮かべていた。リサは体が弱く、普段は車椅子で移動している。
リサは社内の開発部を訪れ、アクアビットマンの新しい武装のテストを見ていた。開発されていたのは、大量の金属片にエネルギーを纏わせて撃ち出すというものだった。
まだ試作段階であり、なおかつ大型の武装であるためアクアビットマンに装備させるのは難しいと言われていた。しかしアクアビットのもう1人の最高戦力である『アルギュロス』なら装備可能と言われていた。
「確かに、アルギュロスなら装備可能ね。けれど・・・」
リサの目が見開かれる。
「ロマン!そうロマンよ!アクアビットマンに装備させるのはロマン!」
そう叫ぶと、研究員達も雄叫びを挙げる。
「ほぉあぁぁぁ!」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「ロマンだぁぁぁ!イヒィィィ!」
その光景をいつも見ている男性秘書は遠い目をしながら思う。
(ダメだこいつら早くなんとかしないと・・・って、毎回思ってるなぁ、私・・・)
3社の内情と日々、それは技術の探求と共に絆の証でもある。
読んでくださり、ありがとうございます!
最近、執筆できる時間が少なくて遅れてしまいました、すいません。
今回は番外編として、3社のとある1日を書いてみましたがどうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています。
●有澤 武龍
黒い角刈りの短髪で身長170cm、40歳で4月19日生まれ。
黒い作業服を着ており、有澤重工の社長である。妻はいるものの安全のために別の場所におり、息子である隆文を時々世話している。
責任感が強く、自らハイエンドモデルの装備を整備することもあり、社員からの信頼も厚い。
●リサ・ヴォイス
金髪のボブカットで身長162cm、26歳で10月9日生まれ。
アクアビット社の社長であり、体が弱いながらも単独で戦術人形の設計ができるほどの才能の持ち主であり、信念や熱意、誠実さなどから社員からの信頼も厚い。