鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 戦闘はどれだけ策を練ろうとも突破されることがある。
 だから諦めず、考え続けろ。




第20話 持ち主更新

 空はテンペスタの影響で雲が集まり、雨が降ってきていた。

 翔はジャッジメントの攻撃を回避し、パイルバンカーを撃ち込むタイミングを見極めようとする。

 

「小賢しく、鬱陶しいですね・・・」

 

 ジャッジメントは左手を掲げ、落とす。

 すると翔は何か重い物に押さえつけられるようなものを感じ、動きが鈍る。おそらく常人では動くことさえ叶わないようなものを、翔は動けている。

 

「ここまでとは・・・やはり、今ここで処刑しておくべきですね」

 

 しかし、SOPの体にかかる"重り"が少し和らぎ、SOPはゆっくりと立ち上がる。

 翔は鈍くなった動きで懸命に回避し続け、攻撃が当たらない事にジャッジメントはイラついていた。

 

 SOPはジャッジメントになんとか銃口を向け、引き金を引こうとする。しかしジャッジメントは素早く振り向いてSOPの首を掴み、持ち上げる。

 

「ぐっ、あっ···」

 

 するとSOPの体にかかる重りは最初より大きくなり、SOPは息ができなくなるだけでなく、全身ののパーツが軋み始める。

 

「全く、少しは大人しくできないのですか!?」

 

 ジャッジメントはSOPを投げ飛ばし、地面に叩きつけられたSOPは更なる重りがのし掛かる。

 

 

 

 

 

 テンペスタは空中を飛びつつ木片や石などを使って攻撃しているが、テンパランスは唐突に見当違いの方向へレーザーを撃ち込んだ。すると木に刺さっていた拳程の大きさのまち針のような物にレーザーが命中する。

 

 すると、レーザーは反射してテンペスタに向かっていく。テンペスタはすぐに回避したが、続けざまにテンパランスはレーザーを連射し、それらは木々や地面に刺さっているまち針のような物によって反射し、あらゆる方向からレーザーが飛んでくる。

 

 しかもストレンジの装甲に当たったレーザーでさえ反射しているため、テンペスタは次第に掠り傷を負うようになる。

 

「どうです~?少ない攻撃で、多大な被害を与える・・・これ、私の名に合ってると思いませんか~?」

 

 更に、ストレンジの体にある黄色い発光部位が強く発光する。するとテンパランスのレーザーは太く、そして速くなる。

 

「私が単なるパワーファイターとでも思ったか?」

 

 テンペスタは回避すると共に暴風を巻き起こし、木を引っこ抜いてストレンジに投げつける。ストレンジはその木を拳で破壊するが・・・

 

「ストレンジ、回避!」

 

 

 

 木が破壊されるのに合わせて放たれた、テンペスタの多数のRF弾をストレンジはしゃがんで回避する。次にストレンジは開いた右手を引き、装甲の内側が膨張して装甲が浮き上がる。

 

 次に掌底の構えにした右手をテンペスタに向けて突き出すと同時に、装甲の内側が圧縮されて浮き上がった装甲が元に戻る。そしてストレンジの掌からは空気の塊が撃ち出される。

 

「なっ!?」

 

 テンペスタの纏っていた風が乱され、テンペスタはバランスを崩す。その瞬間、テンパランスの撃ったレーザーがテンペスタの左腕を破壊する。

 そして落ちたテンペスタの左腕をストレンジが得意気な顔で踏み潰す。

 

「よう、片腕やられた気分はどうだ?」

 

 テンペスタの表情は酷く冷たくなり、目は見開かれている。

 

「主の記憶のために時間を稼ぐつもりだったが・・・気が変わった。今すぐ殺してやろう」

 

 

 

 

 

 SOPの体にかけられた重りは重さを増し、SOPは言葉を発することすらできなくなっている。ジャッジメントはSOPの銃を踏み潰し、ハルバードをSOPの首に合わせる。

 それを見た翔はどうにかできないか思考を巡らせる。

 

(どういう原理かは判らないけど、ジャッジメントは重力を操ってる。でも今は・・・)

 

 ジャッジメントはハルバードを振り上げる。

 

「やめろ!狙いは・・・狙いは僕だろう!?なら僕をやってよ!」

 

 翔はジャッジメントの前に首を突き出す。

 

「全く、今頃ですか・・・まあ良いでしょう」

 

 ジャッジメントが翔の首にハルバードを振り下ろそうとした瞬間・・・突然の暴風にジャッジメントは体のバランスを崩し、体勢を立て直そうとする。

 その隙を見逃さず、翔は左腕からパイルバンカーを取り外してSOPに投げる。

 

 そして翔はジャッジメントの振り下ろしたハルバードを回避する。

 

 次の瞬間、背後からジャッジメントの胸をパイルバンカーの杭が貫いた。SOPは左腕にパイルバンカーを着けており、杭を引き抜くとジャッジメントは膝から崩れ落ち、目から光が消える。

 

 SOPは尻餅を着くように座り込み、肩で息をしている。するとテンペスタが凄まじいスピードで2人の元へやって来た。

 

「2人とも、無事か!?」

 

 翔はサムズアップするが、テンペスタの左腕を見て驚愕する。

 

「て、テンペスタ・・・腕!」

 

 テンペスタは「気にするな」と一言言うと、翔とSOPの体をチェックする。

 

「よし、移動する分には問題無いな・・・だが、車は破壊されたからな。私が途中まで送ろう」

 

 

 

 テンペスタが先程まで戦っていた場所では、テンパランスとストレンジの装甲の無い部位が原形を留めない程に破壊されており、顔だけでは本人と判別できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飛行場に帰還した翔とテンペスタはエクスキューショナーとヨルムンガンドに出迎えられ、すぐに手当てをした。テンペスタの修理は次に輸送のための駆逐艦が来る時までできない状態だった。

 

「せめてどっかの工場をどうにかできりゃなぁ・・・てか翔、パイルバンカーやっちまって良かったのかよ?」

 

 翔は銃が破壊されたSOPにパイルバンカーを譲渡しており、更にメンテナンス方法も教えていた。

 

「うん。今後のこともあるし、なんとなくSOPの元にあった方が良いと思ったから」

 

 

 

 

 

 SOPはM4と再開でき、銀治達に歓迎された。しかしその夜、演習場でパイルバンカーを練習するSOPの姿があった。

 

(もし、またあんな奴が現れた時のために・・・翔君がせっかくくれたから・・・しっかり使いこなさないと!)

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 コーカサス社のハイエンドモデル3人を撃破し、パイルバンカーはSOPの元へ行きましたね。
 感想や高評価、お待ちしています!

●417のスキル
『高機動狙撃』
 7秒間の間、自身の回避力と移動速度が30%上昇させ、1発につき1.5倍のダメージを与える。

●SOPMODⅡ
 赤いメッシュの入ったベージュ色のロングヘアと2本の角のような黒いヘッドギアに、黒いフード付きコートを着ている16Lab製戦術人形。種別はAR。

 明るく人懐っこい性格であり、精神年齢は低めである。しかし戦闘時には没頭してしまい、狂熱的で残酷な一面を見せる。

 AR小隊ではムードメーカーであり、M4を鉄血から逃がすために他の隊員と共に別々の方向へ敵を引き付け、逃げていた。

●テンパランス
 緑色のセミロングの髪で身長158cm。
 目を白い布で隠しており、胸、肩、膝に灰色の装甲をつけており、青いホットパンツを履いている、コーカサス社製ハイエンドモデル。

 レーザー発射機能のある槍を装備しており、遠近両方での戦闘を行う。

 性格は倹約家であり、少ない消費で大きな収穫を得ることを心がけている。
 しかし、それは元々財政管理用の人形だったためであるが、第三次世界大戦の際に戦闘用に改修された。

 また、拳大のまち針のようなものでレーザーを反射させ、少ない射撃で複数の方向から攻撃することが可能となっている。
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