鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 お前は"それ"を信じ、"それ"もお前を信じた。
 さぁ、行ってこい。




第22話 ノーネイム

 飛行場に荷物を運び出すために向かった翔とM200。しかしそこに謎の部隊が襲撃してきた。

 

 敵の大半を占めるのは灰色の武骨な形をした機械型の戦術人形であり、MGを腰だめに構えている。そしてローエンドであろう、数が少ないのはタンカラーの重厚な装甲を纏い、大型のハンマーを持っている。

 

「あれは・・・『ROS』の戦術人形!?」

 

「ROS?」

 

 ROS・・・正式名称は『レクス・オルド・ソフトウェア』。"王の秩序"の名の通り、社内では絶対王政となっている企業である。M200はかつて作戦で今いる戦術人形を見かけたことがあるため、知っていたのだ。

 

「なんで突然襲ってくるだよ・・・思い当たることは何も無いと思うけど・・・でも、やるしかない。援護お願い!」

 

 翔はM200より前に出つつ、鉄血製ARを連射していく。機械型の戦術人形『ポーン』は撃破できても、ハンマーを持った『ビショップ』には有効打を与えられない。しかし、狙撃できる位置に移動したM200がビショップの頭部を正確に撃ち抜いていく。

 

 ポーン達の陣形や連携は取れているものの、ビショップは連携よりも何かを優先しているようで、ひたすら翔達のいる建物を目指している。

 

 近いところから1人ずつ確実に撃破していくが、M200は連射力が低いため、徐々にビショップが接近してくる。

 そして1人のビショップが建物に辿り着くと、壁をハンマーで破壊し始める。

 

「マズい・・・攻撃しつつ、すぐに建物から離れて!」

 

 翔とM200は共に裏口から出ると、遠くへ逃げようとするが・・・

 

「逃がしはしないよ」

 

 

 

 

 

 翔とM200の前に降り立ったのは、頭部と胸、関節と手以外は全てブレードとなっているハイエンドモデルだった。そのハイエンドモデルは、ブレードとなっている指をユラユラと揺らしながら笑みを浮かべている。

 

「我が名は『神経(ネルヴォ)』、貴様らを解体しに来た」

 

 ネルヴォは翔に向かって走り出し、右腕を振り上げる。M200は援護射撃をしようとしたが、増援で現れたポーン達により邪魔されてしまう。

 

 翔はネルヴォからの攻撃を回避しつつ、攻撃の隙を作ろうとする。しかしネルヴォは全身がブレードのため、攻撃が当てずらいだけでなく攻撃の隙も小さく、なかなかタイミングが掴めない。

 また、空気抵抗も少ないが故にスピードも速く、攻撃のしにくさに拍車をかけている。

 

 遂に建物の中での戦闘にもつれ込み、ネルヴォは引っ掻くように腕を振る。翔がそれを回避すると、翔の背後にあった柱が切り裂かれる。

 

 

 

 M200は逃げながら時々振り向いて射撃をし、それをひたすら繰り返すことで凌いでいた。しかしポーンの攻撃により次第に体の傷は増えていき、それに対するポーン達の減り具合は少ない。

 

「このままじゃあ、ジリ貧ですね。翔さんの援護もしなければならないのに・・・」

 

 M200はその銃の重さから速くは動けず、ジリジリとポーン達との距離は縮まっていく。しかしM200は諦めずに引き撃ちを繰り返していく。

 

 しばらくし、残りのポーンが3人になったところでM200は弾切れとなってしまう。リュックの中にある予備の弾を取り出そうにも、ポーン達の攻撃により取り出すタイミングが無い。

 そればりか、ビショップの足音も聞こえてくる。

 

 そのまま逃げ続けていると、鉄血製の小さなケースを見つけたため急いで開く。中には鉄血製の手榴弾が3つ入っており、M200は急いでポーン達に向けて投げつけ、物陰に隠れると同時にリュックを下ろしてファスナーを開ける。

 

 予備の弾はマガジン1つ分であり、装填し終わると共にビショップが現れたため、至近距離から頭部を撃ち抜く。しかし建物が揺れ始める。

 

「まさか・・・」

 

 残った2体のビショップがひたすら壁や柱を破壊し続け、建物が崩れ始めたのだ。M200は2回の窓から飛び降りて駆け、崩れる建物から離れる。

 

 

 

 崩れた時の煙の中、瓦礫の山の上にネルヴォは立っていた。ポーンやビショップが見えないため、おそらく瓦礫に埋もれたのだろう。しかし、瓦礫から出てこないのは翔も同じだった。

 

「さぁ、残るは貴様だ」

 

 ネルヴォは瓦礫の山を降りながら獰猛な笑みを浮かべている。

 

「そんな・・・」

 

 M200は絶望した表情で座り込んでいた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗い──

 

 何も見えない──

 

 全身が痛い──

 

 

 

 気づくと、翔はパイロットスーツを着てどこかに立っていた。目の前にある扉を開けてみると、そこは巨大なガレージだった。目の前には赤と白のカラーリングをした人型兵器が佇んでおり、左肩には白い8角形の中に鴉が描かれたエンブレムを付けていた。

 メインカメラに光は無く、起動していないようだった。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 翔が1歩踏み出すと、人型兵器の背部が可動して開く。翔には、なぜかそれがコクピットであると解り、まるで「乗れ」とでも言っているかのようだった。

 

 翔は人型兵器の足元にあるパネルの所まで進み、上昇のボタンを押してみる。すると足元がせり上がり、コクピットのところで止まる。

 

「僕は・・・乗って、良いの?」

 

 翔の問いに答えるものはおらず、ただ静けさだけが残っていた。翔は意を決して乗り込み、ボタンを操作する。

 それはひどく懐かしく、暖かかった。操作はなぜか自然にできており、翔は深呼吸をする。

 

 そして翔は、目を開ける──

 

 

 

 

 

 ネルヴォがM200を切り裂こうと、腕を振り上げたその時・・・瓦礫の中から何者かが飛び出る。瓦礫の上に立ち、ネルヴォを見下ろしているのは、翔だった。

 

 

 

推奨BGM『High Fever』(初代ACより)

 

 

 

 翔は目を閉じており、自然と口からある言葉が出る。

 

「全システム、チェック終了・・・」

 

 翔は目を開き、ネルヴォを見つめる。翔の右手には鉄血製AR、左手にはナイフを握っていた。そしてその体からは赤い粒子が漂っていた。

 

「ネルヴォ、あなたを現時刻をもって排除目標と認定。戦闘を開始します」

 

 翔は瓦礫の山から飛び降りると、ネルヴォへと一気に接近する。その動きはこれまでより洗練されており、瞬く間にネルヴォの前に接近する。

 そしてナイフで右下から袈裟に斬り上げ、斬られたネルヴォの胸から人工血液が垂れる。

 

「わ、我が・・・我が血を流すだと!?」

 

 ネルヴォの顔は怒りに染まり、連続で攻撃を仕掛ける。しかし翔はそれを後ろに飛び退いて回避し、鉄血製ARを単発で使う。そしてネルヴォの左肘の関節を撃ち抜いた。

 

 更に、翔はネルヴォの右手のブレードの無い掌を撃ち抜き、続いて左股関節にナイフを突き刺す。そしてナイフを引き抜くと共に後ろに転がって距離を取り、再び鉄血製ARで射撃していく。

 その様子を、M200は見ていることしかできなかった。

 

 多くの動きを封じられ、うつ伏せに倒れたネルヴォは翔を睨み付ける。

 

「貴様・・・許さんぞ、許さんぞ!」

 

 ネルヴォは這ってでも攻撃しようとするが、翔に蹴り飛ばされる。しかし、動けないでいるM200を見たネルヴォはM200へと這っていき、自爆装置を起動させる。

 

 ・・・が、その自爆装置を翔は撃ち抜いた。自爆装置が付けられたネルヴォのコアごと。その射撃は正確なものであり、ネルヴォは一瞬にして息絶えた。

 

 翔は反応の途絶えたネルヴォの目を閉ざし、手を合わせる。

 

「ごめんなさい・・・」

 

 そしてM200の元へ歩み寄ると、M200に手を差し伸べる。

 

「・・・行こう」

 

 M200はその手を取り、立ち上がった。

 

 

 

 そして翔の記憶は、ある程度戻っていた──

 

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 新たな企業が登場し、翔の記憶もある程度戻ってきましたね。
 感想や高評価、お待ちしています・・・が、体調悪いので更新は遅れてしまうのですいません。
 (今回はある程度書いてたので早めに出せました)

●ジェリコ
 青いメッシュの入った長い黒髪を後ろで束ねており、白い軍服に白い軍用のコートを羽織っているIOP製の戦術人形で、種別はHG。
 ちなみに、フロストランド杖をついている。

 自他共に厳しく、皆の模範となろうと努力している。また、合理主義であると共に厳しい教官でもある。
 ちなみに、趣味はガーデニングである。

 翔の元に転属となる直前に試験的なな指揮モジュールを搭載されており、人間無しに指揮を執ることが可能。
 しかしこのモジュールの性能試験の際に襲撃され、その事件以降は『相手によって教え方を変える』という事をするようになった。

●ポーン
 灰色の武骨な形をした機械型のROS製ノーマルモデルであり、身長170cm。

 武装はMGとHGであり、弾幕を張りつつも素早い動きが可能となっており、屋内ではMGを背部にマウントしてHGでの戦闘に切り替える。

 また、ROSの製品の中では旧型であるものの、未だに現役である。
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