鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 本物になれなかったものは、時に想定外のものに変化することもある。
 例え、それが別の意味での本物だったとしても。




第31話 本物になれなかった者・後編

 エゴール達はこちらへ迫る民間人形の数が減ってきているが、翔達の向かった方向の戦闘音が激しくなっていることに気づく。

 エゴールは翔達の無事を祈りつつ、迎撃を続ける。

 

 戦闘続行が困難な者は下がらせているため、部隊と民間人形は共に数を減らしつつある。しかし、諦める者は誰もいない。

 

 

 

 

 

 翔達は戦闘を続けているが、数の多さにより押されてしまっている。しかしそこでAK-12pが目を開き、その瞳は紫に発光していた。

 

「深度演算、開始!」

 

 するとAK-12pの動きが速くなると共にノーマルモデル達の動きが一瞬止まる。

 そして次の瞬間、ノーマルモデル達は民間人形とカプリコルヌスに攻撃し始めた。AK-12pがハッキングしたのだ。

 

「今よ!」

 

 民間人形達がノーマルモデルのガトリングにより薙ぎ払われ、数を大きく減らす。そのお陰で翔はもちろん、M200とジェリコの負担は大きく減った。

 

 翔は鉄血製ARで射撃するが、カプリコルヌスは回避して掠り傷に留める。

 

「グルゥアアアッ!」

 

 カプリコルヌスは近くにいたノーマルモデルをパイルバンカーで破壊し、2連装パイルバンカーをHGに切り替える。そのHGは三点バーストのタイプであり、突如向きを変えるとAK-12pへと接近する。

 

 M200がAK-12pを援護しようと狙撃し、カプリコルヌスは回避し切れずに左腕のパイルバンカーを破壊される。しかしカプリコルヌスは高周波ブレードに切り替えてそのまま突撃していく。

 

「ガァァァァァッ!」

 

 翔が足の関節を狙おうとするが、そこに民間用人形が集まってきたため狙えない。

 

「逃げて!」

 

 しかしAK-12pは突如目眩と共にふらつき、膝をついてしまう。更に翔の持っていたARは弾切れとなってしまう。

 

「こんな・・・時にっ!」

 

 AK-12pに迫ったカプリコルヌスは高周波ブレードを振り上げる。

 

 

 

 翔は手を伸ばす──

 

 しかしその手は届かず──

 

 AK-12pは袈裟に胴体を斬られてしまう──

 

 

 

 翔はカプリコルヌスを蹴り飛ばし、AK-12pを抱き上げる。AK-12pは目を薄く開いたまま、ピクリともしなかった。そして翔のレーダーからは反応が消える。

 

「ダメだ・・・ダメだダメだダメだ!」

 

 再び迫るカプリコルヌスを小型チェーンソーで斬りつけると共に蹴り飛ばし、M200とジェリコの方を見る。2人には大量の民間人形が迫っており、翔は援護しようとする。

 しかし、全ての弾は撃ち尽くしていた・・・

 

 翔はAK-12pの亡骸を抱え、2人の元へ駆けつける。

 

「なぜ見捨てないのですか!?」

 

 ジェリコから叱咤されるも、翔は諦められなかった。しかしここで2人の弾も切れてしまう。

 

(どうしよう・・・どうしよう、どうしよう!?)

 

 翔は2人と亡骸を抱き締め、目を瞑る。しかし翔は諦めずにいた。

 

 

 

 すると、翔はまた1つ記憶が戻る。それはたった1つの単語だったが、今の翔にはそれだけで十分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  『アサルトアーマー(AA)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔を中心として赤い粒子が大量に噴出され、輝き出す。

 そして巨大な爆発を起こし、周囲の民間人形とノーマルモデル、木々を消し飛ばす。

 

 周囲には赤い粒子が舞い、カプリコルヌスは一瞬何が起きたのか解らなかったが、翔達に向かって駆け出してパイルバンカーを振りかぶる。

 

 しかし、突然AK-12pがARを連射する。その弾丸はカプリコルヌスの頭部に集中して当てられ、カプリコルヌスは後退する。

 

「え・・・?」

 

 翔達が困惑していると、AK-12pは翔を見る。開かれたその瞳の紫色の部分は深紅に染まっていた。

 

「待たせたわね」

 

 動力は破壊されているはずなのに、AK-12pは立ち上がってマガジンを交換する。

 

「"私はAK-12"。翔、あなたを助けに来たわ」

 

 突然言われたことに、翔は困惑している。しかしAK-12pは駆け出し、カプリコルヌスに接近していく。周囲にはもう民間人形もノーマルモデルもおらず、翔は立ち上がる。

 

「2人はここで待機、僕は・・・行ってくる」

 

 

 

推奨BGM『Strive』(ACVより)

 

 

 

 AK-12pのマガジンは最後の1つ。そのためAK-12pはHGだけで戦闘を行い、付かず離れずの距離を保っている。そこに翔は加勢し、小型チェーンソーでカプリコルヌスの左腕を斬り落とす。

 

 そしてAK-12pはカプリコルヌスの背後に回ると、左肩を掴んで至近距離からARでありったけの弾を撃ち込む。

 

「グルゥアアアッ!」

 

 カプリコルヌスはAK-12pを振りほどくとHGを向けるが、翔ブースターの勢いを使って飛び蹴りをして攻撃を阻止する。

 

「行くよっ!」

 

「ええ!」

 

 しかしそこにM200とジェリコも参加する。M200はナイフを、ジェリコはロフストランド杖をそれぞれ構えている。

 

「ボクも行けます!」

 

「本当の実力、見せてあげましょう!」

 

 

 

 翔はカプリコルヌスの右腕の方向に移動しつつ、攻撃を仕掛けていく。AK-12pは前方を位置取り、M200は背後、ジェリコは左側面から仕掛けていく。

 

 カプリコルヌスのHGの弾があと1回分となったところで、翔はようやくそのHGの銃身を斬り落とす事に成功する。更にジェリコがロフストランド杖で左膝を横から突き、M200が背後からナイフを突き刺す。

 

 そこにAK-12pが下から顔面を蹴り飛ばす。

 カプリコルヌスは急いで2連装パイルバンカーを装備し、翔に撃ち込もうとする。

 

「ガルァァァァァッ!」

 

 翔は空中に逃げて2連装パイルバンカーを避け、2連装パイルバンカーは宙に撃ち込まれる。

 

 そこにAK-12pがカプリコルヌスの左脇にナイフを突き刺し、引き抜くと共に離れる。そこに翔は上からカプリコルヌスの胸の装甲を小型チェーンソーで斬り、カプリコルヌスはよろける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カプリコルヌスは仰向けに倒れ、カプリコルヌスの脳裏に過去の出来事が思い浮かぶ。

 

 戦争により家族を失い、路地裏でゴミ箱を漁る毎日。時折現れるマフィアや麻薬の密売人などを見つけては襲いかかり、得た金で食事を買った。

 しかし時に返り討ちにされ、別の者に見つかって食事や金を奪われることもあった。

 

 そんなある日、現れた男が言った。

 

「力が欲しくはないか?」

 

 

 

 空腹にならないための力──

 

 

 

 それを欲して男に着いていき、手術を受けた。

 

「これで君は、もう空腹に喘ぐ必要は無い。食事や金を奪われない力を手にしたのだからな。それから、今日からお前の名は・・・カプリコルヌスだ」

 

 手術の結果、カプリコルヌスは言語能力と肉体を失った。そればかりかより好戦的に、まるで獣のようになってしまった。しかしカプリコルヌスはそれで良かったのだ。

 空腹が、よくやく満たされたのだから。

 

 空腹を満たしてくれた恩を、その男に返したかった。

 

「私か?私はお前から食べ物をもらうほど飢えてはいない。いや、飢えているものはある・・・あの空の先にあるものだ。食べ物ではないが、私を飢えさせるものがある」

 

 倒れているカプリコルヌスは空に向かって弱々しく手を伸ばす。

 

「君が"本物のイレギュラー"なら、私を届かせてくれるだろう」

 

 しかし今、カプリコルヌスは敗北した。しかしカプリコルヌスは手を伸ばし、その力が抜けると共にカプリコルヌスの最後に残った部位である脳は、機能停止した。

 

(ゴメン、オレ・・・ホンモノジャア、ナカッタ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カプリコルヌスが機能停止した直後、メテオライト社の各ハイエンドモデル達に暗号通信が行われる。

 

《カプリコルヌスの死亡を確認、データを転送。各機、行動を開始せよ》

 

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 カプリコルヌスの撃破とその過去が出てきましたが、どうだったでしょうか?
 AK-12p?なんで復活したんでしょうね?
 感想や高評価、お待ちしています!

●デビル
 黒い短髪で身長150cm、肉体年齢は15歳。黒いワンピースを着ており背中にカラスのような黒い翼がある、コーカサス社のハイエンドモデル。

 武装は左手に持ったニードルガンであり、そこから発射される黒いまち針のようなものにってハッキングを行う。
 また、素のハッキング能力も高いが周囲の環境や人形を利用した戦闘が主なため、他の武装を持たない。

 のんびりかつおっとりとした性格で、自他共に命を軽視している。そのため自分本体が危険に晒された場合はすぐに自爆し、敵への対処を他の人形やハッキングした人形に任せている。
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