鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 雪景色、そこに舞うのは何者か。
 本来の戦場に出た者か、あるいは引き合わされた者達か。




第33話 雪の砦

依頼主:ヘリアントス

 

目標:雪山に不時着したAR小隊の捜索

 

作戦開始時刻:14:00

 

報酬:6500ドル

追加報酬:1500ドル

 

 雪山のあるS03地区を通過していたAR小隊の輸送機が、暴走した鉄血の砲撃により撃墜された。

 

 AR小隊は欠かすことのできない存在であり、その捜索を頼みたい。本来はこちらの部隊を出すべきなのだが、あいにくグリフィンの戦力は万全ではない。

 

 また、砲撃の主でありこの地区を支配している鉄血の拠点を制圧すれば、追加の報酬を出そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雪の中、翔は部隊を2つに分けて作戦を行うこととした。

 

 1つは翔、M200、ジェリコ、ナディアの4人。こちらはAR小隊の捜索を行い、もう1つの部隊はエクスキューショナー、ヨルムンガンド、ウロボロスの3人。こちらは鉄血の拠点を制圧することが目的である。

 

 それぞれ別々の方向から作戦エリアに陸路から入り、進行していく。しかし道を阻むのは大型の砲台『ジュピター砲』である。

 ジュピター砲はレーザー砲によって砲撃する砲台だが、幸いハッキング耐性は高くない。

 

 そのため、翔の部隊はナディアがハッキングし、エクスキューショナーの部隊は電子戦の経験があるウロボロスが担当することにした。

 

 各々、ジュピター砲の射程内に入らないよう迂回しつつ暴走したリッパーやヴェスピドを撃破しつつ進む。

 そして、その様子を指令室のモニターから確認したハイエンドモデルが2人いた。

 

 1人は銀のロングヘアに黒いボディースーツを着ており、大型のボウガンを縦にしたような武器を持っている『ゲーガー』。

 

「この部隊・・・本社からの部隊か」

 

 もう1人は黒髪のサイドテール(左)で、露出を増やしたセーラー服に近い服を着ており、ロケットランチャーとSMGが一体化した武器を持っている『アーキテクト』。

 

「へぇ~、これが本社の部隊か~!」

 

 

 

 

 

 翔達はある程度捜索を続けていると、夜になったところでAR小隊を含むグリフィンの部隊を発見する。その中で翔が知っている戦術人形はSOPのみだが、M16と他の戦術人形2人と404小隊がいた。

 

 翔が声をかけると、SOPが真っ先に反応した。

 

「あーっ!翔君久しぶり~!」

 

「なんだ、知りいか?」

 

 404小隊以外のM16達は最初、グリフィンの救援部隊かと思ったが本社とはいえ鉄血の部隊であると知ると銃口を向ける。しかしそこにSOPが割って入る。

 

「待って待って!翔君は鉄血の指揮官だけど敵じゃないよ!ほら、この前話した人だよ!私を助けてくれて、これくれた人!」

 

 SOPは左腕に装着されたパイルバンカーを指差しながら弁護する。するとM16はため息をつきながら銃口を下ろし、他の3人にも銃口を下げさせる。

 その後45が指示したシェルターまで向かい、一時的に避難する。

 

 そこでSOPが部隊の事を紹介する。

 黒髪で2つのお下げをし、クリーム色のブレザーに黄色いレインコートを羽織った『RO635』。種別はSMGのようである。

 

「臨時でAR小隊の指揮を執っています、ROです」

 

 銀の短髪に黒いフード付きジャケットを着ており、オレンジ色のサングラスをした『KSG』。種別はSGのようである。

 

「KSGショットガンです、よろしくお願いします」

 

 M16も挨拶をしたが、翔達の事をそれほど信頼していない様子で、SOPはむくれている。翔は「仕方ないよ」と言いつつ45に手を差し出す。

 

「今度は明確に味方だね、よろしく」

 

「よろしく、今のところはね」

 

 翔はエクスキューショナー達に報告した後、作戦会議に参加する。会議中の話し方からして、M16と45には何かしら因縁があるらしく、互いを警戒し合っていた。

 

 会議はROが進行役として進め、それぞれの情報を出し合う。

 

 敵となる2人のハイエンドモデル、そして基地を防衛しているジュピター砲。一見すると厄介極まりないものだが、ジュピター砲を制御するためにハイエンドモデルは最低1人残らねばならないため、2人同時というよりは連戦といった形になりそうである。

 

 そして、現在前線に出てきたのはゲーガーであった。

 

「つまり、この3部隊であればいずれかで役割を分担できますね。ゲーガーと交戦する部隊、ジュピター砲を抑える部隊、基地へ向かう部隊・・・」

 

 そこで翔は既に基地へとエクスキューショナー達が向かっている事を告げるが、やはりまだ警戒されている状態だった。

 

 

 

 

 

 会議が進み、役割が決まった。

 AR小隊は基地へと進み、404小隊はジュピター砲を抑え、翔達はゲーガーを無力化するというものだった。そして夜がそろそろ開ける頃になったその時、シェルターに大きな振動が起こる。

 

「敵襲!?」

 

 全員がほぼ同時に臨戦態勢に入ると、シェルターの屋根が破壊される。

 そして、瓦礫の上には1人のハイエンドモデルが立っていた。

 

「我は『チャリオット』なり!貴様らを1人残らず殲滅しに来た!」

 

 茶髪のロングヘアに茶色のヘルメットを被り、迷彩柄の軍服を着ており、脚部は膝から先が茶色の装甲に覆われており靴にはキャタピラが付いている。

 そして手にはMGを持ち、右背部には単装砲とブースター付きの背部機構が装備されている。

 

「ここは僕達に任せて!君達は行って、早く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、エクスキューショナー達はジュピター砲をハッキングしつつ進んでいた。すると周囲から多くのフロスト達が現れ、戦闘となる。

 

「おいおい、BOCは壊滅したんじゃなかったのか!?」

 

「あれは・・・エンブレムが違う!こいつら、コーカサス社の奴らだ!」

 

 フロストの脚部は板と棒が組合わさったものが展開されており、それで雪の上を滑りながら攻撃してくる。それはかつて日本で戦った時より素早い動きだった。

 

「そういえばこいつら、山や雪での戦闘が得意なんだっけか・・・」

 

 エクスキューショナーは前方から迫るフロストを切り捨てながら進み、側面から来るフロストはウロボロスのミサイルでまとめて撃破し、後方からのフロストはヨルムンガンドが鞭形態の蛇腹剣で薙ぎ払う。

 

 そして道中、多数のフロストと交戦しているゲーガーを発見する。

 エクスキューショナーはゲーガーに近づき、ゲーガーの死角にいたフロストを一刀両断する。

 

「お前は、エクスキューショナー?それに、ウロボロスまで!?」

 

「生憎、オレは本社のエクスキューショナーだ。話は後だ、こいつらをなんとかするぞ!」

 

 

 

 ゲーガーは仕方なくエクスキューショナー達と共闘し、フロスト達を撃破していく。

 ローエンドモデルのフロストは数こそいるものの、ある程度性能を知っているエクスキューショナー達にとってはそこまで苦ではなかった。

 

 しかしゲーガーが連れていたリッパーやヴェスピド達は、雪上でのフロストのスピードに着いていけず、あっという間に撃破されてしまう。

 しかも、フロストは装甲をまとっているためなおさら対処できていない。

 

 ゲーガーの武器から放たれるレーザーによりフロストは撃ち抜かれ、撃破されていく。フロストは数こそ減ってきているものの、やはり多く、ジュピター砲も集中砲火により破壊された場所もできてしまっていた。

 

 

 

 そして、チャリオットを引き付けている翔達にも多数のフロストが押し寄せていた。装甲型の戦術人形であるフロストに対抗できるのは翔とM200であり、ナディアはナイフを装甲の隙間に刺せばダメージを与えられるくらいだった。

 

「どうしたぁ貴様らぁ!その程度か!?」

 

 翔は逃げつつ1つの作戦を思いつき、M200を見る。

 

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 本編の低体温症に入りましたが、どうだったでしょうか?
 感想や高評価、お待ちしています!

 また、メテオライト社のノーマルモデルの名前を記載するのを忘れていたため、編集しておきました。すいません。

●エゴール
 銀の短髪で正規軍の緑色の制服を来ている正規軍の大尉。

 冷静か部下への仲間意識と責任感が強く、「根暗そうだが良い人」と言われており、部下からの信頼も厚い。
 しかしその反面、人形とその指揮官を露骨に蔑んでいたが翔と出会ったことにより、それは変化を始めている。

 また、カーターの直属の部下であり、様々な作戦を遂行してきている。

●ナディア
 銀のロングヘアに赤いラインの入った黒い戦闘服を纏っており、戦闘時には黒いマスクを着ける。
 ロシアの国家保安局製の戦術人形のAK-12のプロトタイプで、種別はAR。

 神出鬼没で捉えがたい性格だが、常に目を閉じていながら微笑んでいる。また、目を開いた時は危険なスイッチが入っている時でもある。
(これは正式採用のAK-12も同様である)

 本気、あるいは怒りが頂点に達すると目を開いて深度演算モードに入り、感情を抑制すると共に高速演算が可能となり、殺人マシンと化す。

 しかしプロトタイプであるナディアは深度演算を長時間発動することはできず、限界を向かえると全身の機能が著しく低下してしまう。

 余談だが、赤い粒子によって復活した後は深度演算を制限無く扱えると共に、感情抑制が真逆の感情解放に置き換わっている。
 なお、その理由は現時点では不明である。
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