鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 その者は銃であり、ある者を守ると決めた者。
 何のために引き金を引くか決まったのなら、躊躇うな。




第34話 (ボク)(M200)

 チャリオットの砲撃によりM200達は爆風で吹き飛ばされ、翔は空中から地上に降りてチャリオットに向かっていく。

 それを尻目にM200は駆けていく・・・離れた場所に向かって。

 

 

 

 数分前──

 

 

 

 翔はARでチャリオットの装甲の無い部位へと弾丸を撃ち込んだが、青色のバリアによって阻まれてしまった。深度演算を起動して懐へ潜り込んだナディアが至近距離からナイフを突き刺そうとするも、それも阻まれてしまう。

 

 更に、本来であれば装甲を貫けるM200の攻撃でさえ、そのバリアを貫くことはできなかった。

 

「そんなっ!」

 

 しかし死角から射撃したジェリコの弾は、偶然にも武装の隙間からチャリオットの肩を掠めた。

 それはつまり、意識外からの攻撃は通用するということであり、翔は暗号通信でM200達にそれを伝える。

 

 そこで、意識外からの攻撃によって仕留めるためにM200が走ることになった。半端な距離では気づかれ、不意撃ちを狙おうにもチャリオットは先程よりも警戒を強めている。

 

 だから離れる。チャリオットの意識やレーダーが届かない距離まで。

 

 

 

 翔はブーストを吹かしながら進み、時折ジャンプをしながらチャリオットの進行方向とは逆に進んだり、空中を円を描くように飛んだりしながら攻撃を繰り返す。

 

 ナディアはジェリコと共に関節部や機関部を狙って攻撃し、ほんの少しでも自分達に注意を向けようと動く。

 1分でも、1秒でも時間を稼げるように。

 

 

 

 

 

 M200は駆け、駆け続け・・・翔達が戦っているポイントから走り続ける。途中で転びそうになりながらも走り続け、息を切らしながら進む。

 そしてある程度走ると射線が通る場所を探し、そこで膝撃ちの姿勢を取る。

 

 RFのバイポッドを展開し、岩の上に乗せる。

 次にスコープを覗くと、チャリオットと翔達を確認する。そして頭部に狙いを定め、引き金を引く。

 

 しかしその瞬間、チャリオットは腕の装甲で頭部への被弾を防ぐ。

 

「残念だったな、そこは我のレーダーの範囲内である。まあ、意識外からの攻撃をしてくるのは褒めてやろう」

 

 M200の顔が絶望に染まり、チャリオットはM200へ向けて突進する。

 

「M200!逃げて!」

 

 翔はチャリオットの前に出て、チャリオットに掴みかかり、突進を止めようとする。足を踏ん張るが外骨格は悲鳴を上げ、ブースターも限界まで吹かす。

 

「諦めが悪すぎるぞ!」

 

 チャリオットは砲撃を地面に撃ち込み、その爆発で翔の背部の装置を破壊する。ナディアがナイフでチャリオットの脇腹を刺そうとするもバリアで防がれ、ジェリコがチャリオットの腕に関節技を決めようとするが、強靭な腕力により動かせない。

 

「皆・・・皆・・・」

 

 M200の目から涙が零れる。体が震え、足が動かない。逃げなければならない、でも翔達を助けたい。

 しかしM200は震えながらゆっくりと銃口を上げる。

 

 

 

「絶望を味わうが良い」

 

 

 

 チャリオットは、M200へ向けて砲撃する。

 

 

 

「M200ぅぅぅ!」

 

 

 

 M200は砲撃により吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 M200は、赤い海の中にいた。

 上にある水面からは暖かい光が差し込み、海水も暖かさを感じる。しかし水中であるのに息はでき、水の抵抗も感じなかった。

 

(ボクは・・・ん?)

 

 M200は海底の砂に体が刺さっているようだが、体は動かなかった。すると目の前に翔がおり、"M200"を手に取る。そしてマガジンの中身を確認し、ボルトを引いて弾を込め、空へ向けて"M200"を掲げる。

 

(そうか・・・ボクは・・・ボクは・・・!)

 

 赤い海の中には翔とM200しかおらず、翔は引き金を引く。

 そして、1つの銃声が赤い海の中に轟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離れてください!」

 

 M200の声がした。その瞬間、翔達は飛び退いた。

 

 爆煙の中から1発の弾丸がチャリオットへ向けて放たれる。

 

 その弾丸は赤い粒子を纏っており、チャリオットの次弾が装填されている単装砲の砲口へ撃ち込まれ、装填されている榴弾に命中する。

 すると、榴弾の爆発と共に赤い粒子も爆発し、チャリオットの単装砲ごと背部機構は爆発する。

 

 M200は爆煙から歩み出ると、赤い粒子がオーラのようにM200の周りを舞っており、その体内では赤い粒子が活性化している。M200はそれまでとは比べ物にならないスピードで駆け、翔達の元へ戻る。

 

 そして瀕死の重症を負っているチャリオットに銃口を向ける。チャリオットは右腕と頭部の右半分を失っており、他の部位の損傷も激しく、人工血液が雪を赤く染めている。

 

 周囲はまるで時が止まったかのように静かで、まるでM200は全てを終わらせる者であるかのよう。

 

「貴様、何者だ・・・?」

 

 ノイズ混じりの声でチャリオットは弱々しく聞く。

 そのチャリオットに、M200は銃口を向ける。

 

 

 

「ボクは、"M200"です!」

 

 

 

 そして、M200は引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、翔達が鉄血の拠点に向かうとジュピター砲はフロスト達を攻撃しており、翔達を狙ってはいなかった。

 拠点に着くとAR小隊も404小隊もおり、モニターの前でエクスキューショナー達に囲まれたアーキテクトとゲーガーが正座させられていた。

 

 モニターにはロイラが映っており、アーキテクトとゲーガーは説教されて論破されてしまっていたようで、気まずい空気が漂っている。

 

「えっと、ロイラさん?」

 

《あら翔君、無事で良かったわ。とりあえず後でこの2人、本社に連れてきてちょうだい。そして、この拠点はロシア支部の鉄血が無許可で建設した拠点だから、現時刻をもってグリフィンの管轄とし、他の鉄血人形は全員翔達の工場へ向かいなさい》

 

 次に、ロイラは話の相手をAR小隊と404小隊へと向ける。

 

《そして、あなた方にはこの場を借りて謝罪させてもらいます。鉄血が多大なご迷惑をお掛けして、申し訳ありません》

 

「い、いえ、そちらにもそちらの事情がありましたし、暴走したのはロシア支部の方ですから・・・」

 

 ROは突然の社長からの謝罪に慌てるが、その後解散すると軍用車の中で翔達は疲れ果てて眠っていた。翔を真ん中に左右にいるM200とナディアは翔にもたれ掛かって寝ていた。

 

 そんな様子をジェリコは微笑ましく思い、工場へと帰還する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ロシア西部のとある孤児院ではジェノとフォートレス、ダイバーが子供達と遊んでいた。壁には弾痕や破壊された場所があり、遊べる場所は限られていた。

 しかし、テレビゲームなどはできたため、それで遊んでいた。

 

「このっこのっ!勝った!勝ったよ!これでこのステージ突破だね!」

 

「ジェノお姉ちゃんありがとう!」

 

 そしてクラフターは別の孤児院や団体に電話をかけ、状況の説明と子供達の保護を頼んでいる。

 

「・・・そういうことだ。金なら出すから頼む」

 

 スライサーともう1人の女性は周囲を警戒していた。

 もう1人の女性は銀髪のボブカットで、黒に白い縦のラインが入ったボディースーツを着ており、右手にストックを外したAR、左手にストックを外したセミオートタイプのRF、両背部には『レールキャノン』を装備していた。

 

「『ガンナー』、そちらは?」

 

「敵影は無い・・・それより、子供達の様子はどうだ?」

 

 フォートレスから安堵しつつ遊んでいる子供達の様子が視覚画像として送られてくると、ガンナーは微笑んで気を引き締める。

 

 数時間前、この孤児院が襲撃されているところを任務の帰りに目撃したジェノ達は襲撃者を達を制圧し、子供達を保護していた。孤児院の職員達は全滅してしまっていたため、代わりにジェノ達が子供達の相手をしていた。

 

 しばらくして子供達が引き取り先の孤児院の車に乗せられていき、ジェノ達は手を振って見送る。

 

「さぁて、終わったし帰ってお風呂入ろっと」

 

 ジェノは大きなあくびをし、のんびりと帰路に着いた。

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!
 イヴですが、メリークリスマス!

 M200が覚醒しましたが、どうだったでしょうか?
 感想や高評価、お待ちしています!

●カプリコルヌス
 頭部が灰色の薄い長方形の形で灰色の装甲と紫色のボディースーツを纏っており、身長167cm。7月18日生まれで19歳。
 メテオライト社のハイエンドモデルで実験部隊の1人である。

 武装は右腕に2連装のパイルバンカー、左腕にボックスマガジンの付いたパイルバンカー、右背部にHGを特殊な器具でマウントし、左背部は高周波ブレードをマウントしている。

 言語能力を失い、獣のような言動をしているが仲間には忠犬のように従っている。

 メテオライト社の"実験"により、ある方法で人間でありながらハイエンドモデルとなり、強化された攻撃性により排除目標を確実に排除してきた。
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