そして聞かなければならないことも、いずれ思い出すだろう。
翔は、再び夢を見ていた。
翔は再び2足歩行の兵器に乗って戦っていた。しかしそこはレイヤードではなく、乗っている兵器も赤と白の兵器のコクピットとは違っていた。
コクピットにレバーはあるものの、ペダルは無くボタンの多くは無かった。しかし翔のうなじには何かのコードのようなものが接続されており、機体のカラーリングは赤と黒になっていた。
(これは・・・何?)
機体のスピードはハイエンドモデル達などとは比べ物にならない程のものだったが、夢の中で翔はそのスピードの機体を乗りこなしている。
見渡す限りの砂漠、その中の荒れた荒野を赤と黒の機体は進む。目の前にいる黄褐色のカラーリングをした武骨なフォルムの2足歩行兵器に右手に持った『アサルトライフル』を使い、メインカメラや関節を破壊していく。
しかし、左側面から2足歩行兵器が右手に持った『バズーカ』を翔の機体に向けた瞬間、その2足歩行兵器は背後から青く分厚い刀身の武器によって貫かれる。
現れたのは、黒と金のカラーリングで先鋭的なフォルムをした2足歩行兵器であり、赤いメインカメラはまるで獣の口かのようである。
そして、その左肩にあるエンブレムは月を背に黒い羽根と金の羽根が交差しているものだった。
その機体の反応は味方であり、周囲から向かってくる2足歩行兵器達に対し、翔の機体と黒と金の機体は互いに背を預ける。
翔は、背後にいる黒と金の機体の名前を思い出した──
ストレイド──
それは、翔にとって2度目の初陣となる依頼にて共闘した機体である。しかしその登場者の名前までは、今の翔では思い出せなかった。
依頼主:ロイラ・ノット・スタイン
目標:鉄血工造ロシア支部
作戦開始時刻:10:00
ロシア支部への道がようやく開けたようだから、フォーミュラの部隊にはロシア支部への"出社"を命じるわ。けど、今の戦力で足りるかといえば少し足りないわね。
だから、こっちのエージェントとシーカー、新たに開発したノーマルモデルも向かわせるわ。
それと、強力な助っ人も1人ね。
あ、そうそう。今回の作戦は私も出るから、よろしく頼むわ。
くれぐれも、出社時間に遅れないようにね。
アーキテクトとゲーガーとの1件から5日後──
鉄血工造、ロシア支部の前に翔達が集結している。ロシア支部の周りにはジュピター砲が設置されており、ジュピター砲の砲口はこちらへ向いている。
翔はロイラの右隣におり、左隣にはエージェントがいる。そして部隊の最前にはテンペスタがいるが、その隣にフル装備のティタンがいる。
「久しぶりだな翔、今度は味方だな」
「うん、よろしく!」
そしてロイラはロシア支部内部へと繋がっている無線を使ってロシア支部に呼び掛ける。
「私は鉄血工造社長、ロイラ・ノット・スタイン。鉄血工造、ロシア支部にいる全戦術人形へ。入り口を開けてくれるかしら?私達はそっちがどういう状況か聞く義務があり、そちらには話す義務があるわ」
しかしロシア支部からの返答は無い。
「・・・リコリスの事についても、聞きたいことがあるの。いえ、聞かなければいけないの。だからお願い、何時間でも付き合ってあげるから話を聞かせて」
すると、ロシア支部のエージェントから返答が来た。
《あなたが鉄血の社長とはいえ、こちらが従うのはエリザ様です。お引き取りください・・・でなければ武力によって殲滅します》
どうやら入れてくれる様子は無かったため、ロイラは肩を竦める。
そして背後の部隊へと目を向けると、次の指示を出す。
「総員!これより鉄血工造ロシア支部への"出社"及び事情聴取を執り行う!作戦開始!」
テンペスタとティタンの2人は真っ正面から向かっていく。そしてその後ろをエージェントと翔に守られながらロイラが進み、右からはエクスキューショナーとシーカー、左からはヨルムンガンドとウロボロスがそれぞれ回り込むように進む。
「テンペスタ、我々が組むのはいつぶりだ?」
「2人で行ったことなど、日本に攻め込む前に1度だけな」
2人は笑みを浮かべ、突き進んでいく。
多数のジュピター砲が砲撃していくが、ティタンはガードすらせずに突き進んでいく。
推奨BGM『Deep Dive』
防衛のために出てきたデストロイヤーともう1人のハイエンドモデル『ドリーマー』は驚愕する。
「何よ、アイツ・・・」
黒のロングヘアに脇を開けた黒いドレスに近い服を着たドリーマーは大型のレーザー砲を腰だめに構え、発射する。
しかしティタンはレーザー砲の照射をガードせずに受け、そのまま止まること無く突き進んでいく。
ロシア支部から黒い球体に手足がついたような見た目のノーマルモデル『ゴリアテ』が複数現れ、ティタンに接近すると自爆する。しかしティタンはその爆発すらものともせず突き進む。
そしてゴリアテを見たロイラは感心している。
「あらあら、ロシア支部で開発されてたゴリアテ、なかなかに良い活躍をしてるじゃない。まあ、今回は相手が悪すぎるけど」
更に、M200が赤い粒子を纏った弾丸をジュピター砲の砲口に撃ち込み、破壊していく。
すると今度は正規軍から鹵獲し、改造生産した黄色いカラーリングに4本脚の無人歩行戦車『マンティコア』が現れるが、テンペスタの暴風により互いにぶつけられ、そこに爆発物を飛ばされて撃破されていく。
そしてテンペスタは事前に運ばせていた爆発物を暴風で飛ばし、ジュピター砲を破壊していく。
すると正面入口に到達したティタンはデストロイヤーとドリーマーを殴り飛ばす。
「私を止められるとでも思ったか?残念だったなぁ!」
ロシア支部の左右にエクスキューショナー達も到達し、中に突入していく。しかしロイラは正面に立っており、それを見たドリーマーは壁にもたれ掛かりながらも、嘲るような笑みを浮かべる。
「あらあら・・・社長自らこんなところに出てきて良いのかしら?」
ロイラは余裕そうな笑みを浮かべている。
「私は社長よ?どうしてコソコソしなきゃいけないのかしら?ここは鉄血工造の拠点、堂々と正面から入るに決まってるじゃない」
ティタンは両の掌からのエネルギー砲により正面入口を破壊する。
「ちょっとティタン、久々の本気だからって壊しすぎちゃダメよ」
エクスキューショナーとシーカーが侵入した所でも戦闘が発生しており、ロシア支部のエクスキューショナー(以下エクスキューショナー2)、ハンター、スケアクロウと交戦していた。
エクスキューショナーはエクスキューショナー2の剣を受け流しながら弾き、太刀の柄をエクスキューショナー2の腹部に叩きつける。そしてハンターに向けて蹴り飛ばすと、そのままハンターに向かっていく。
スケアクロウのビットによるレーザーを回避しつつ、シーカーは専用に開発されたSMGを使い、スケアクロウのビットを撃ち落としていく。しかし全てのビットを撃ち落とすことはできず、レーザーを左腹部と右肩を掠り、左の二の腕に命中してしまう。
「ぐっ・・・まだまだぁ!」
スケアクロウも被弾している箇所があり、お互いに一進一退の攻防を繰り広げている。
シーカーは弾切れになったSMGを投げ捨て、ククリを抜いてスケアクロウに斬りかかる。単純なスピードだけならシーカーの方が若干上回っているため、距離的にも追いつけるとシーカーは思った。
スケアクロウとシーカーはハイエンドモデルとはいえ正面きっての戦闘は得意ではない。しかし、シーカーはかつて本社にてスケアクロウと模擬戦をしたことが何度かあった。
そのため、スケアクロウの動きはある程度知っている。
そして、互いの戦いは加速していく・・・
読んでくださり、ありがとうございます!
一部のキャラの説明に肉体年齢を記載し忘れていたので、記載しておきました、すいませんでした。
今回は再び翔が記憶を思い出し、鉄血の本社部隊がロシア支部との直接戦闘を開始しましたが、どうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています!
そして、今話は今年最後の投稿となります。では皆さん、良いお年を!
●強化人間
人間を機械や特殊な薬物、特殊な人工組織で強化する手術を受けた人間の事。
強化人間手術を受ければ強くはなれるものの、真っ当な強さではないため、一部では嫌悪されている。
しかし、それでも強さを求める者には受けるものがおり、破格の負債を抱えたものには強制させられる事もある。
なお、翔は意図的ではないがなぜ強化人間となったのかはまだ不明である。
●レイヤード
翔の生まれ育った巨大な地下施設。
管理者と呼ばれるAIによって管理されており、1層は居住区、2層は自然区、3層は産業区、4層は実験区、そして最下層は管理AI達の区画となっている。
しかし具体的にどんな所なのかはまだ翔本人からは語られていない。