まあ、そんなこともあるだろう。
第39話 引き金
翔は、再び夢を見ていた──
汚染は数百年の年月を経て沈静化し、世界はようやく復興を始めた。しかし戦争は激化しており、翔は新たな兵器に乗り込む。
兵器は再びペダルとレバーの操作に戻ってはいたが、それでも翔は戦う事にした。
■■■■■を■した、罪滅ぼしと戦争を終わらせるために。
絶望と虚しさを抱えた決意と共に、新しい兵器は大型の武装ヘリに吊られて飛んで行った。そして・・・
《これより投下する・・・作戦開始!》
機体のカラーリングは相変わらず赤と黒であり、今回は近接武器を装備しておらず、両手に『ライフル』を持っている。そして背部にはフジツボのようなものが沢山付いた謎の大型装置が装備されている。
機体の大きさはこれまでより小さく、空中を自由に飛ぶことはできなくなっている。しかし壁を蹴ることでそれを補い、敵にライフルを連射していく。
敵はずんぐりとした黒い体躯に、足はキャタピラとなっており右手にシールド、左腕はガトリングとなっている。翔は機体を背後に回り込ませつつ、ガトリングとキャタピラを撃ち抜いていき、無力化する。
そして振り向くと、同様の機体が複数迫ってきていた。
M200は、ロシア支部の鉄血にある中庭のベンチで昼寝をしている翔を眺めていた。M200は今、戦術人形としてのM200であると共に"銃として"のM200でもある。
(ボクの物語を聞いてくれて、"引き金"を引いてくれた翔さんの事を・・・もっと、知りたい・・・)
雲1つ無い空を見上げ、再び翔の方を見ると翔の額にはモンシロチョウが止まっていた。するとスマホが鳴り、翔は目を覚ます。電話を掛けてきたのはIOPのCEOであるハーヴェルだった。
「はいもしもし、翔です」
《やぁ翔君、久しぶりだね。こちらで新しく開発したモジュールについて頼みたいことがあるんだ。明日IOP製の戦術人形と一緒に来てくれないかね?》
「分かりました、調整しておきます」
翌日・・・翔達はIOP本社に向かい、件のモジュールの話になる。その場にはハーヴェルと1人の女性がいた。その女性はピンクの長髪に謎のケモミミがあり、白衣を着ていた。
「こちらがM4やSOPを造った16Labの主任、『ペルシカリア』だ」
「SOPが世話になったわね、私の事は気軽に『ペルシカ』って呼んで」
挨拶が終わり、件のモジュールの話に移る。
そのモジュールは七刀会で研究していた『空間の歪み』から得られたデータにより造られたモジュールだそうだが、空間が歪んだ場所はまだ明かせないそうだ。
「けどこのモジュール、どんな性能を持っているかが分からないし、他の戦術人形で試してみたけど起動すらしなかった・・・ということで、そっちの戦術人形ならもしかしたらってことでね」
試しに誰が使ってみるか、相談するとナディアが率先して出た。
「そうね、なら私がやるわ。どんなモジュールか、面白そうじゃない」
しかし、ナディアでは他と同様に起動せずジェリコやティスでも起動すらしなかった・・・
「秘密兵器なら起動してくれると思ったのに・・・」
そして残るはM200だけとなり、モジュールを搭載してみる。すると・・・
気づけば、M200は赤い海の中にいた。しかし今度は戦術人形としての身体で立っており、目の前には倒れている女性がいた。
女性はM200とよく似た顔つきに髪の色と髪型は同じで、服装は白いパイロットスーツを着ていた。しかしそのパイロットスーツは現代的なものに非常に近く、翔のものとは大きく違っていた。
「・・・ん、ここは?」
女性が立ち上がるとM200と目が合い、M200はすぐに女性に怪我などはないか聞く。
「だ、大丈夫ですか?」
女性は辺りを見回し、再びM200の方を見る。
「はい、ボクは大丈夫ですが・・・あなたは?」
「無事で良かったです。ボクはM200、IOP製の戦術人形です。あなたは?」
女性は聞いたことの無い単語に眉を潜めるが、すぐに自分の名を名乗る。
「ボクは『M・ドレッド』と言います。少し色々聞かせてもらえないでしょうか?」
その瞬間、M200の意識は戻った。
M200が目を覚ますと、周りの翔達は心配していた。
「大丈夫!?」
翔に抱き起こされ、M200は起き上がる。
[・・・どうやら、君の視界を共有できるようですね]
M200は目を見開き、周囲を見渡すがMの姿は無い。
[今のボクはモジュールとして、君の内部から話しています]
M200を心配しつつ、ペルシカが様子を聞く。
「えっと、モジュールはどう?素体の方にも異常は無い?」
「えっと・・・」
M200が返答に困ると、Mが助け船を出す。
[今のボクを伝えるのは複雑ですし、情報も不足しています。なら『電子系のサポート』として伝えてみては?]
M200がそう伝えると、とりあえず周りは納得してくれた。
「なるほど、サポート系だったのね。てことは、まだ形にできていないデータがいくつかあるから、もしかしたら他のもサポート系だったりして」
すると、翔が念のためM200の様子を聞く。
「M200、本当に異常は無いんだよね?」
その時、M200が目を覚ましてから初めて翔と顔を合わせる。すると、Mが激しく動揺する。
[・・・え?ど、どどどう言うことですか!?なんで翔さんがここに!?]
M200はメンタル内部で返答する。
(翔さんを知ってるのですか?)
[知ってるも何も、一緒にとある人型兵器の開発をした人です!]
メンタル内部でMは顔を真っ赤にして翔を見ている。
(一応聞きますけど、フルネームは?)
[『翔・L・レイヴン』です!]
(それなら違いますね。翔さんの本名は翔・ニールセンですよ)
M200は翔に「問題はありません、ただモジュールの性能に戸惑っているだけです」と答える。
[そんな・・・ボクの知ってる翔さんじゃ、無いのか・・・]
その後、再びデータを形にできたら協力してくれとの頼みを受け、帰路に着いた。
しかしMは翔のことをずっと気にしていた。
[身長、口調、声帯が完全に一致、しかしレイヴンではなくニールセン・・・はぁ・・・しかし管理者の娘として、落ち込んでばかりいられません!改めて、よろしくお願いします!]
(こちらこそ、よろしくお願いします)
5日後、翔達の元にコーカサス社、ROS、メテオライト社を調査していたシーカーから緊急の報告があり、翔達は驚愕する。
「メテオライト社が、壊滅!?」
シーカーの撮影したメテオライト本社の画像。そこには徹底的な破壊が行われた様子があり、メテオライト社長の死体も確認された。
「壊滅したのはおそらく2日前、ここまで壊滅させられる戦力があるとは思いたくないけど、備えておいた方が良いと思う」
[ボクも同感です。データで見た限り、メテオライト社を落とすのは簡単なことではないはずです]
翔はロイラに連絡をし、それを聞いたロイラはすぐに対応に出た。
《全く、ようやくエリザちゃんをM4達の元に行かせる算段が整ったってのに・・・すぐに動くから、警戒しておいて!》
2日後、翔達の元にエリザと共にアーキテクトとゲーガー、そして有澤からの援軍としてハイエンドモデル『サンシャイン』がやって来た。
それぞれが新たなる戦いに向けて備えている中、ジェノ達はというと・・・
「ねぇねぇクラフター!新しい武器の案を考えたんだよ!」
ジェノは勢いよく扉を開け、クラフターは興味津々である。
「へぇ、どんなのだい?」
「それはね・・・」
ジェノは紙に書いた開発案を見せる。
「着弾すると、敵のコクピット内やメンタル内に『ヤラ○イカ』を爆音で流す特殊弾だよ!武器はまだ未定だけど、作ったらモリモリか『ブラメド』にでも試そうよ!」
それを聞いた面々は顔が青ざめる。
「ジェノ!あなたには人の心がありませんの!?」
「あなたは『パラデウス』に恨みでもあるんですか!?」
スライサーとフォートレスにツッコミを入れられ、ジェノはブー垂れている。
「え~別に良いじゃ~ん」
しかし武器などの開発を行うクラフターより判決が下る。
「アウト」
「ノォォォン!」
読んでくださり、ありがとうございます!
第2章開幕から色々ありますが、今後どうなるのでしょうか?
今回は解説多めになります(でないと追いつかない気が・・・)。
感想や高評価、お待ちしています!
●リッパーSWAP
紫色のバイザーを黒い装甲付きバイザーに変え、服や髪の紫の部分の色を赤くした、リッパーの改良型。
武装は両手のSMGだが、通常モデルと違いサイレンサーが付けられている。
耐久やパワーなど、全体的な強化が施されているがコストが高いためあまり多くは出せず、ローエンドモデルと呼ぶ者もいる。
●モフモフド・コア
かつてアクアビット社が開発していたゲーム。
荒廃した世界を復興するため、謎のもふもふした生き物がロボットのパーツを組み換えて戦い、荒廃の真相に迫っていく。
なぜ世界は荒廃したのか?もふもふの正体とは?生物を襲うカチカチの正体とは?
カスタムできるのはもふもふの容姿、胴体、腕、足、右手武器、左手武器、ジェネレーターである。
4ではもふ
●ぷにっと・ドーン
かつてキサラギが開発していたゲーム。
触れると爆発するぷにぷにした生き物から逃げつつ、とあるリゾート島から脱出するゲームで、脱出を目指す人間ドラマなどが描かれ、なかなかに歯応えのある難易度で人気を手にした。
●スコーピオン
金髪のツインテールに黒い眼帯を左目に付け、内側が赤い濃い紫の革ジャンを着ているIOP製戦術人形で、種別はSMG。
活発で興味津々な性格で、翔の現在保有するIOP製の戦術人形による部隊の副隊長を努めている。
スケアクロウに拷問されて救出されたものの、傘ウイルスの感染の可能性を拭えず、更にメンタルに大きな異常を起こしてしまった。しかし現在は改善傾向にある。