鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 傭兵の世界では信用と裏切りが常である。
 しかし、裏切ってはならない相手もいる。




第40話 裏切り

 鉄血工造、そのロシア支部にエリザ達が戻った日・・・正規軍では慌ただしい動きがあった。

 

 カーターの命により、カーター指揮下の部隊は装備を整えていた。しかし動員された人数や兵器の数は大規模作戦と言って良いものである。

 

 そして、行われようとしている作戦にエゴールは反対していた。

 

「鉄血を攻めるなど、正気ですか?」

 

「私の指揮に口を出すか?エゴール」

 

 カーターから渡された作戦内容とは、鉄血のロシア支部を包囲して襲撃し、エリザを確保することである。しかし鉄血との戦争は既に終わっており、賠償金も既に支払われている。更には積極的に復興に力を奮っていたりしている。

 しかもロシア支部の鉄血は、指揮官に翔が就任している。

 

 その鉄血を攻めるということは、即ち恩を仇で返す行為であると共に不必要な争いを生むことになってしまう。

 

 それなのに攻めてしまえば、正規軍だけでなくロシア政府すら信用を失う事になり、最悪の場合日本との戦争になる可能性すらあった。

 

「確かに、信用は失われるかもしれない。日本と戦争になる可能性もある」

 

「ならなぜ!?」

 

 カーターの表情は冷たいまま、体格の大きいエゴールを見据えている。

 

「戦争が無くなれば、軍人や軍需企業の仕事が減る。そしてそれは君も私も例外ではない、だから火種を付けるのだよ・・・それに、エリザを手にすれば正規軍だけでなく、この国の技術は大きな進歩を遂げるのだよ。それに、今回は協力者がいる。作戦の成功率は高い」

 

 かつてのエゴールであれば従っていただろう。しかし翔を知ってからエゴールの心境は変化しており、従うことはできなかった。だがカーターがこういう時にやめる事はしないと、エゴールは知っていた。

 

「解ったなら従え、解らなくても従え。お前は軍人なのだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鉄血工造ロシア支部を出発し、銀治達の元へ着いた翔はM200とナディア、ジェリコと共にエリザとM4達を会わせる。

 エリザは泣きながら謝ると共にM4に抱き付き、自分の口から真相を話す。

 

 自身を造ったリコが人間によって殺されたが、死の間際に姉の存在を知らされる。ペルシカが造った戦術人形、M4A1。エリザの構成データの一部はM4のデータから引き継がれたものであり、実質的な姉であると。

 

 しかし・・・M4に会いたい、父であるリコの目標だった完璧なAIになりたいという思いでM4を血眼になって探し、それと共にリコの敵討ちの為に人類を攻撃していった。

 

 泣いて謝って許される事ではない。それは解っているが、償いの最初の1歩として謝りに来た。けれど、実際に本物のM4と会えたことにより、感情が爆発してしまって号泣している。

 

 

 

 エリザが泣き止み、M4はエリザの頬を撫でる。

 

「あなたもあなたで、色々あったのね。けど、謝って許されることじゃない・・・だから・・・」

 

 M4は間髪いれずに容赦無くエリザの脳天に拳骨を入れ、エリザはそのまま倒れる。そしてすかさずSOPがカウントを取る。

 

「ワーン!ツー!スリー!勝者、M4~!」

 

 SOPがM4の右腕を上げると、M4はスッキリした表情になっている。

 

「とりあえず、今はこれで良いです。けれど、今後償いを怠ったら、その時は・・・」

 

 エリザが息を呑むと・・・

 

「脊髄を引っこ抜きます」

 

「わ、解った!解ったから!」

 

 エリザは頭を押さえながら痛みで涙目になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔達が軍用車で林道を通って帰還している最中、レーダーに複数の生体反応を検知する。しかも敵性反応である。

 

「ジェリコ、3時方向に敵っ!」

 

 ジェリコはすぐさまハンドルを切り、翔はエリザの頭を掴んで共に伏せる。すると木々の中から発砲され、ナディアが応戦する。

 

「敵は?」

 

「まさかの正規軍よ!」

 

 正規軍の正式装備である濃い緑を基調としたボディーアーマーを着た兵士達が、翔達の乗る軍用車を追ってくる。M200もHGで応戦し、追撃を振り切ろうとする。

 

 翔はロシア支部にいるエクスキューショナー達に救援の要請をし、銀治にも救援を要請した。

 

《何!?待ってろ、すぐに行く!ゲーガーはロイラに連絡しとけ!》

 

 そこにロケットランチャーが撃ち込まれるが、目が赤くなったM200が粒子を纏わせた弾丸を撃ち込み、空中で爆発させる。しかし正規軍の車輌が横から突撃してきたため、翔達の乗る車は横転してしまう。

 

 すぐさま軍用車から出たナディアとM200は応戦し、ジェリコも軍用車から出て周囲を警戒する。翔はエリザを連れて出てロシア支部へ向かう。

 

 

 

 翔からの救援要請を受けた銀治はすぐさま部隊に連絡し、M4達も救援のあったポイントに向かう。しかしそれを予測していたかのように、正規軍のノーマルモデル達が多数立ち塞がる。

 

「M4、お前達は先に行け!ここは私に任せろ!」

 

 正規軍のノーマルモデル達に対し417が向かい、M4達は先へ進む。

 

 正規軍のノーマルモデル『キュクロープス』は薄茶色のカラーリングをした武骨なフォルムであり、グレラン付のARを装備している。

 417はキュクロプスの頭部を撃ち抜きながらキュクロプスの部隊に接近し、1機を蹴り飛ばしてその勢いで回転して別のキュクロプスを撃ち抜く。

 

「何のつもりだ・・・正規軍!」

 

 

 

 エクスキューショナー達はロシア支部から出ようとしたが、大量の正規軍の戦力に攻められて敷地内から出ることができないでいる。

 

 ジュピター砲とノーマルモデル達である程度防いでいるが明らかに押されている。

 それもそのはずで、正規軍の戦力にはマンティコアの正規モデルでありなおかつ改良が施された機体『ヒドラ』がいるからである。

 

 ヒドラは濃い緑のカラーリングにマンティコアより厚い装甲と火力、そして小型の榴弾がミサイルに変更されており、鉄血のノーマルモデル達を薙ぎ払って進んでいる。

 

 そして更に、正規軍の戦車『テュポーン』や正規軍の犬型の自律兵器『オルトロス』まで現れ、戦線は危うい状況となっていた。

 

 テュポーンはコクピット部分をコンパクトにし、キャタピラ間の部位を減らすことで軽量化し、その代わりに装甲を強化している。そして搭載しているレールガンは高い威力を誇っている。

 

 オルトロスは濃い緑の武骨なフォルムだが、高い機動力と攻撃性を兼ね備えており、前面にエネルギーシールドを展開することができる。

 

 そしてヒドラ達が満身創痍になりながらもジュピター砲を破壊し、敷地内へと侵入してしまう。

 

「チクショウ!アイツら、やりやがって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔達鉄血とM4達が正規軍と戦闘を繰り広げている中、茂みの影から銀治のいるグリフィン基地を観察している者達がいた。

 その中には大型の銃を持つ黒い女性、大鎌を持つ白い女性がいた。

 

「そろそろですね」

 

「えぇ、始めましょう」

 

 M4達が出払った隙に、銀治のいるグリフィン基地に白を基調としたノーマルモデル達が襲撃してきた。急いでナガン達が応戦するが、これまでの相手より強力な相手だった。

 

「いきなり出てきおって、なんなんじゃこいつらは!?」

 

 

 

 その頃、翔達は正規軍から逃げ続けていたがM200達の傷は増えてきており、限界は近づいていた。

 

「皆、怪我の具合を教えて」

 

 それぞれの怪我の具合は・・・

 

 M200→右頬、左腕、右太腿に掠り傷。

 ナディア→右腕に掠り傷、左肩に被弾。

 ジェリコ→右側頭部、左手、左腹部に掠り傷。

 エリザ→右腕に掠り傷。

 翔→両腕と左肩に掠り傷。

 

「明確に被弾してるのは私だけみたいね。けれど、弾はそろそろ尽きるわね」

 

 弾薬も尽きかけており、ジェリコに至っては3発しか残っていなかった。だが士気は高いままであり、諦める様子は微塵も感じられなかった。

 

「・・・まだやれるよね?」

 

 翔の問いに、M200達は頷いて答える。エリザも撃破されたキュクロープスのARを持っている。

 そして、追撃に現れたキュクロープスと正規軍兵士を翔達は睨み付けた。

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 番外編にて、IDWとティスの容姿の描写を入れ忘れていたので追加しておきました、すいません!
 また、今回も解説が多めです。
 感想や高評価、お待ちしています!

●IDW
 ネコミミ付きの薄茶色の短髪に2つのお下げをしており、白いシャツとサスペンダー付の黒い短パンを履いている。IOP製戦術人形であり種別はSMG。

 いつも元気いっぱいでよく動いており、身体能力も高い。
 また、語尾に「にゃ」を付けたり「ニャー」が口癖だったりもする。

 護衛対象を守れずに戦力外通告をされた挙げ句、戦場に置いていかれてメンタルが崩壊してしまった。しかし真相は護衛対象は部隊で最後の1人になるまで守り、脱出寸前まで守っていた。

 翔が現在保有するIOP製戦術人形の部隊では撹乱や偵察などを担当している。

●ガリル
 オレンジ色のセミロングの髪に薄茶色の服を着たIOP製戦術人形で、種別はAR。

 明るく関西弁を喋っており、翔が現在保有するIOP製戦術人形による部隊の隊長であり、部隊をまとめている。

 仲間を助けるために多くの荷物を背負って敵の注意を引いたものの、他の味方に過度に非難されてしまい、拒食症となってしまった。
 しかし現在は改善傾向にある。

●OTs-12
 銀髪の2つの三つ編みお下げをしており、赤いベレー帽と真ん中が赤い服を身に付けている。IOPの戦術人形であり種別はAR。

 落ち着いた性格をしており、あまり自分の事は喋らない。
 ちなみに、愛称はティスである。

 秘密兵器になりたいと努力していたものの、配属先の指揮官を守り切れず、戦闘に支障が出てしまうようになってしまった。
 しかし現在は戦闘への支障を大きく改善しており、秘密兵器になるための努力を続けている。

 また、翔が現在保有するIOP製戦術人形の部隊では敵の裏取りを得意としている。
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