鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 立て、戦え、飛べ。
 既にその力は持っているはずだ。




第41話 傷ついてなお

 鉄血工造ロシア支部襲撃直後──

 

 

 ロイラはジャッジから襲撃されたとの報告を受け、その顔はこれまでエージェントが本社が襲撃された時しか見たことの無い、恐ろしい顔をしていた。

 

「すぐに向かう、持ちこたえろ!」

 

 ロイラはすぐさま部隊を集め、万が一のためにアーキテクトとゲーガーに作らせていた航空機の格納庫に向かう。そして格納庫にて仮眠を取っていた1人のハイエンドモデルに声をかける。

 

「起きろ『破壊者(デバステーター)』!出撃だ!」

 

 ロイラはエージェントとデバステーターを伴って航空機に乗り込むと、キサラギ、アクアビット、有澤に連絡をする。

 

 

 

 キサラギでは、知らせを聞いたロドンがすぐに有澤と合流するようにプリズムに伝える。プリズムも内容を聞いて血相を変えて出撃準備をする。

 

 アクアビットではリサはすぐさまアクアビットマンに連絡し、アクアビットマンも有澤の部隊と合流するように飛び出ていく。

 

 そして有澤はすぐに向かえるよう、その場で駆逐艦の速力を上げる緊急処置をし、プリズムとアクアビットマンを回収してサンフラワーによる部隊と共にロシアへ向かった。

 

「ロシアの連中、何を考えている・・・」

 

 拳を握り締め、そう呟いた武龍の気持ちは各々が同じ気持ちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔達はなんとかロシア支部が見えてくる所まで辿り着き、状況を確認する。M200達の傷は増えており、前線で戦っていたナディアは移動はできても戦闘続行は困難だった。更に全ての弾が尽きており武器となるのはせいぜいナイフくらいだった。

 

 しかしロシア支部での戦いは苛烈を極めており、更には包囲されているため近づくことすら困難に見えた・・・が、そこにサンシャインが現れた。

 

「君達、やっと見つけたよ!」

 

 サンシャインは金のロングヘアに黄土色のカラーリングの分厚い装甲を全身に纏っており、頭部にも装甲付きバイザーを装備していた。

 両手には榴弾砲、背部には多連装ミサイルを2つ装備していた。

 

「サンシャイン、どうして?」

 

「エクスキューショナーから、助けに行ってくれって頼まれたの。そしたらドリーマーとデストロイヤーが道を開いてくれたから来れたの」

 

 その後翔達はサンシャインを先頭として進み、ロシア支部へと強行突破する。そしてある程度進むとサンシャインは反転し、翔達を守るために正規軍の部隊に立ち塞がる。

 

「さぁ行って!ここは私が引き受けるわ!」

 

 サンシャインは両手の榴弾砲を同時に発射し、ヒドラを撃破する。しかし続々と正規軍の部隊は迫っており、サンシャインは気を引き締め直す。

 

「キリがないったらありゃしない・・・けど、守り抜くわ!」

 

 

 

 

 

 翔達はドリーマーとアーキテクトの援護を受けつつ、ロシア支部へと逃げ込むことに成功する。そしてすぐに傷の手当てをし、M200達は可能な限りの修復をするために工廠へ向かった。

 

 そしてロシア支部にいるエージェントから現状の報告を受ける。

 

「第1防衛線は突破され、第2防衛線はギリギリ持ちこたえていますが、長くは持たないでしょう。最終防衛線は無事ですが、そこが突破されれば・・・」

 

「ありがとう、エージェント」

 

 翔は傷の手当てを終えると、格納庫へと向かう。そこには翔がアーキテクトとゲーガーに頼んであった新しい外骨格があった。

 円盤型と棘のような部位を各所に取り付け、基礎的なフォルムは武骨な部位と流線型の部位をそれぞれ備えており、赤と黒のカラーリングをしていた。

 

「最終調整は終えてあります・・・が、あなたの傷の具合を見るに長時間の戦闘はできないでしょう」

 

「大丈夫、記憶が無くなる前の任務だってそんなに時間は掛からないものが多かったから」

 

 翔はそう言っているものの、強がっているようにエージェントは感じている。

 

「・・・大丈夫だよエージェント、僕は強化人間だよ?」

 

「その強化人間がどんなものか、まだ詳しくは聞けてないので信用できかねます」

 

「だよね・・・」

 

 翔は苦笑いしつつも、外骨格を装着していく。そして右手には鉄血製RF、左腕には小型チェーンソー、右背部には小型ミサイル、左背部には単装砲を装備し、出撃するために簡易的なカタパルトに向かって歩いていく。

 

 

 

 

 

 その頃、修復中のM200はMとメンタル内で会話をしていた。

 

[翔さん、どうやら出撃するみたいですよ]

 

(なぜ解ったんですか?)

 

[ボクにとって、ここから監視カメラやシステムの行動などを確認するのは簡単です]

 

 M200に監視カメラの画像が共有される。そこには既に簡易的なカタパルトに足を付けた翔が映っていた。

 

(応急処置をしただけの体で行くなんて、無茶です!)

 

[翔さんは強化人間です。体の筋肉は強化と生体部品への置き換えを行われているので、普通の人間では無茶な事でも翔さんには可能なのです・・・しかし、それでも現状は厳しいでしょう]

 

 数の暴力というのは非常に恐ろしく、そこに"力"も加わればより恐ろしい。そして今はヒドラやテュポーンに対抗できる戦力は決して多くはなく、数も足りていない。

 鉄血工造ロシア支部には本社と同様に工場もあるが、それでも戦力比は厳しいものだった。

 

[・・・このまま待ちますか?]

 

(いいえ、助けたいです)

 

[それはどうしてですか?]

 

(翔さんは・・・大切な人です。"ボクの物語"を聞いてくれて、守ってくれた人ですから。詳しくは後で話します)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、銀治は謎の部隊の襲撃によりその対応に追われていた。白を基調としたカラーリングのノーマルモデル『ストレリツィ』はSMGで攻撃してきており、ストレリツィ単体はそこまで強いわけではないものの、複数の方向から基地を襲撃していた。

 

 更に、ハイエンドモデルと思われる黒い女性『黒ネイト』と白い女性『白ネイト』は高い機動力と火力を持ち、かなり厄介である。

 

「ああもうなんなんだコイツら!」

 

 ナガン達だけでなく、指揮下の戦術人形全てを総動員して防衛しているものの、2人のネイトを相手にしてかなり苦戦している。しかしM4達を呼び戻す訳には行かず、銀治は思考を巡らせる。

 すると・・・

 

「基地の方から銃声やら何やら聞こえるかと思ったら、これか」

 

 襲撃部隊の後方に立っていたのは、417だった。417はすぐさま攻撃を開始し、ストレリツィ達を撃破していく。

 そして、黒ネイトの前に出る。

 

「2つ聞こう、お前達は何者だ?お前達の目的はなんだ?」

 

 黒ネイトは表情を変えること無く答える。

 

「知る必要は無い」

 

 次に白ネイトが答える。

 

「ただ、この基地の指揮官である鴉間 銀治を渡してもらえればこれ以上の手出しはしない」

 

 417は鼻で笑い飛ばす。

 

「フッ、それは無理だな・・・お前達を排除させてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔は出撃直前になり、目の前のハッチは開いていく。

 すると翔は祈るように呟く。

 

「・・・レイヤード特務執行部隊、『ナインボール』2番機レイヴン、翔・ニールセン・・・出撃します!」

 

 翔は簡易的なカタパルトから射出され、正規軍と鉄血が戦っている戦場へと飛び立っていく。

 その様子を、夕日が照らし出していた。

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 正規軍との戦いは激化していきますが、どうなるのでしょうね?
 感想や高評価、お待ちしています!

●ムワル
 髪は青いベリーショートで身長180cm、肉体年齢は18歳。
 口元や手足を隠す程の大型の黒い防弾コートを着ているROSのハイエンドモデル。

 主な武装は掌の赤い部位からのレーザーと爪となった手足の指である。

 寡黙な性格で感情を表に出すことは少ない。
 防弾コートの中に骨髄の名のように長い骨状の関節を縮めて折り畳んで隠しており、防弾コートが破壊された時や本気を出した時に真の姿を表す。

 真の姿を表した時はその巨体を支えるために四つん這いになり、伸縮する手足での攻撃も行うようになる。
 しかし頭部や手足の付け根部分は脆く、硬い手足は焼夷弾や焼夷手榴弾に使われる可燃物によって装甲が溶ける性質があるため、倒すにはそこを突くしかない。

●ペルシカリア
 ピンクの長髪に謎のケモミミがあり、白衣を着ている女性で16Labの主任。通称ペルシカ。

 面倒くさがりで少々神経質な性格で、一見するとズボラだが紛れもない天才である。
 様々な開発を行っているが、特にAR小隊の面々を我が子のように大切にしている。
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