鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 飛び交う鉛の塊、それはまるで宴のように。
 手を取れ、踊るように。




第42話 鉛の宴

 ヒドラの武装を撃ち抜き、脚部の細い部位を小型チェーンソーで斬り裂く者がいた。

 翔である。

 

 翔は赤い粒子を使って攻撃を防ぎつつ、敵を無力化していく。

 

(ちゃんとした正波装置じゃないから、PAの耐久は低いし回復も遅いけど、今はこれだけでも良い!)

 

 ヒドラやキュクロープスなどは撃破を目標としているが、装甲の厚いヒドラは無力化せざるを得なくなっている。

 戦闘を続けていくと、エクスキューショナーと合流することに成功する。

 

「翔!傷は大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫!」

 

「・・・無理すんなよ、傷が開いたりしたらすぐ下がるぞ!」

 

 翔はキュクロープスの頭部を撃ち抜き、キュクロープスが倒れる前に胴体を押し上げて投げ飛ばし、正規軍兵士の注意がそれた瞬間に正規軍兵士を無力化する。

 

 エクスキューショナーはテュポーンの懐に潜り込むと共にコクピットを突き刺し、すぐに離れる。

 テュポーンの爆発を他所に2人は背中を守り合う。するとそこにサンシャインも合流し、前線を押し上げるために奮闘する。

 

 

 

 しかし、そこにM4達も合流したため一旦撤退する。

 前線にいたSOPとM4を守ろうとしたM16は大破しており、戦闘続行は絶望的だった。更に、銀治から襲撃されていることを聞いてその場は騒然とする。

 

 翔は深呼吸し、指示を出そうとしたところでSOPが修復しに行こうとするヴェスピドを止めて翔に頼みごとをする。

 

「ねぇ、翔君・・・ハイエンドモデルのパーツを使って私とM16を改造してよ」

 

「何言ってるのSOP!?」

 

 M4がすかさず止めに入るが、消え入りそうな声でSOPは続ける。

 

「ここには私達のスペアパーツは無いでしょ?それに、このままじゃあ、負けちゃうよ・・・」

 

 このままでは敗北してしまう可能性が極めて高い事は、翔も解っていた。いくら翔とエクスキューショナー達が頑張っても、"質の高い物量"が多すぎるのだ。

 

「色々考えたんだ・・・けど、やっぱり今のままじゃあダメだよ」

 

 M16は無言でSOPの言葉を聞いている。

 

「だから、さ・・・お願い・・・」

 

 すると、M16が口を開く。

 

「なら私からも頼む。だが、やるならやるで最高の出来にしてくれよ?」

 

 翔は頷き、アーキテクトとゲーガーの方を見る。

 

「2人とも、お願い」

 

 アーキテクトとゲーガーは真剣な表情で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 417は両手の銃をタイミングをずらして撃った。1発目は黒ネイトの胸から少しだけ右へずれた位置へ、2発目は避けると思われる左へ撃ち、黒ネイトはその策に嵌まり左腕に被弾する。

 

 そこへ白ネイトが背後から迫るが、ストレリツィの数が減ったことで余裕ができたナガンとM14が攻撃して417を援護する。

 

「感謝するぞ!」

 

 しかしナガンとM14の援護が入ってもなお、ネイト2人の攻撃に苦戦を余儀なくされている。すると・・・

 

「あらあら、随分苦戦してるみたいね」

 

 突如撃ち込まれた弾丸により、黒ネイトは後方に回避する。見れば、404小隊が援護に来ていた。

 45とナインが前衛、416とG11が後衛となり交戦を開始する。

 

「そうか、そういうことか・・・」

 

 417は416の背後に迫ったストレリツィの頭部を撃ち抜き、その背を守る。

 

「話は後になるが・・・頼むぞ、姉さん!」

 

「誰がアンタの姉よ!?」

 

「詳しくは後で話す!」

 

 2人はほぼ同じタイミングで引き金を引き、ストレリツィを撃破する。そして白ネイトの大鎌を回避し、反撃しようとするが黒ネイトのレーザーにより阻まれる。

 更に黒ネイトはレーザーを撃とうとするが、M14がレーザー砲に攻撃することで狙いが逸れる。

 

 

 

 銀治は指令室から戦場を眺め、指示を出し続ける。

 

「XM8、黒いやつに回り込め!スパス、負傷したやつの撤退を援護!」

 

 思考を止めること無く、俯瞰して状況を判断し、考えられる最善の方法を指示していく。

 

(考えろ、考えろ!)

 

 ナガンとラムを下がらせ、入れ替りでKSGを前に出して2人のリロードを援護させる。

 白ネイトがKSGの左側面から攻撃しようとするが、M14とは違う方向から狙撃される。

 

 見れば、銀の長髪に黒い帽子とコートを身に付けた戦術人形『Kar98k(カラビーナー)』が白ネイトを狙っていた。

 

「誰1人として、死なせませんわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔は追加の応急処置を終えた後、再び戦場に赴いた。キュクロープスの頭部を撃ち抜き、そのまま駆け抜けてテュポーンの上部に単装砲を撃ち込んでキャタピラの車輪を複数撃ち抜く。

 

 翔と共に出撃したサンシャインは空中から榴弾をキュクロープスの群れとヒドラに撃ち込み、別のヒドラにミサイルを1セット撃ち込んで撃破する。

 

「数は減ってきてる!畳み掛けて!」

 

 2人の後方からドリーマーが狙撃して援護し、翔は小型チェーンソーでキュクロープスの首をはねる。しかしオペレーターとして支援しているエージェントから通信が入る。

 

《気をつけてください、ELIDの群れが接近しています!》

 

 大規模な戦闘の音を聞き付けたのか、ELIDの群れが現れて正規軍と鉄血、双方の部隊に襲いかかっている。

 

 

 

 

 

推奨BGM『Vulture』(ACVより)

 

 

 

 突如翔達の前にいるキュクロープスを踏み潰し、謎の人物が現れる。その者は頭部はカメラだけと言って良い形をしており、灰色の装甲と紫のボディースーツを着ているが、脚部は鳥のような逆関節型の足となっている。

 

「雑兵だらけかここは!?」

 

 右手には榴弾砲、左手にはSG、右肩にはAR、左肩にはHGをカプリコルヌスと同様にマウントしていた。

 そして翔を見ると突撃してくる。そのハイエンドモデルの名は『カンケル』である。

 

「どうなんだ、テメェは!?」

 

 翔は引きながら射撃しつつ、敵の脚部を確認する。

 

(敵の足は逆関節、ということは・・・)

 

 カンケルは踏み込み、大きくジャンプをする。人型の足ではできないジャンプ力であるが、翔は逆関節の特性を思い出した記憶の中に既に持っていた。

 

 翔はカンケルの下をブースターを急加速させることで潜り抜け、1テンポ置いて背後に急加速してカンケルの背後を取る。

 

「なっ!?」

 

 そしてカンケルの背部にあるブースターを撃ち抜き、カンケルは地面に落ちる。すぐにカンケルは立ち上がって反撃しようとするも、翔は榴弾砲を撃ち抜いて誘爆させる。更に、カンケルを蹴り飛ばしてSGも撃ち抜く。

 

「テメェ・・・!」

 

 カンケルがなんとか立ち上がるが、翔はカンケルの上方に飛んでおり胴体の装甲の継ぎ目を撃ち抜き、降下すると共に別の継ぎ目を小型チェーンソーで斬る。

 装甲が剥がれ、内部が露出する。

 

 カンケルの胸には、管に繋がれた球体のガラスがあった。そしてそのガラスの中には管に繋がれた脳があった。

 

「やりやがったな・・・!」

 

 翔はどういう事かを悟り、飛びかかるカンケルに対して静かに銃口を向ける。

 

「君も、色々あったんだね・・・」

 

 翔は静かに引き金を引き、放たれた弾丸はカンケルの脳幹を正確に撃ち抜き、息絶えたカンケルはそのままの勢いで翔に激突するが、翔はカンケルを抱き止める。

 

 カンケルの遺体をその場に下ろすと、迫り来るELID達を見据える。どうやらRFの残弾はさっきので最後だったようで、ミサイルと単装砲の弾も尽きている。

 翔は小型チェーンソーを構えるが、ELID達に複数人分の弾丸が撃ち込まれ、ELID達は倒れる。

 

 振り替えると、修復を終えたM200達とAR小隊がいた。

 

「お待たせしました」

 

「パワーアップの成果、見せてやる~!」

 

 正規軍の方向を見ると、ELID達の乱入により混乱が生じている様子だった。

 

「なんですかこのめちゃくちゃな状況・・・」

 

 ROのぼやきに翔は苦笑いするが、すぐに気を取り直す。

 

「さぁ行こう、反撃開始だ!」

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 テュポーンの武装に誤りがあったため修正しておきました、すいません。

●サンシャイン
 金のロングヘアで身長165cm、肉体年齢は16歳。
 黄土色のカラーリングの分厚い装甲を全身に纏っており、頭部にも装甲付きバイザーを装備している、有澤製ハイエンドモデル。

 武装は両手の榴弾砲、背部には多連装ミサイルを2つ装備している。

 明るく礼儀正しい性格をしており、ダンボール工作が趣味。
 最近は「はいえんどもでる」と書いたダンボールに穴を開け、頭と腕を通した写真をネットにアップしたところ、なぜかバズっていた。

●キュクロープス
 薄茶色のカラーリングをした武骨なフォルムでありの正規軍のノーマルモデル。

 武装はグレラン付のARを装備。

 正規軍に標準配備されており、量産性と攻撃性を重視しているため装甲は薄い。

●ヒドラ
 濃い緑のカラーリングでマンティコアに似たフォルムであるものの、より厚い装甲と火力を有する正規軍の自律兵器。

 武装は機銃と小型ミサイル。

 マンティコアの改良型であり、小型榴弾をミサイルに変更して更に全体的な性能を上げている。

●テュポーン
 濃い緑のカラーリングをした正規軍の標準戦車。

 主な武装はレールガンである。

 コクピット部分をコンパクトにし、キャタピラ間の部位を減らすことで軽量化し、その代わりに装甲を強化している。しかし懐に潜り込まれると攻撃できなくなるという欠点がある。
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