鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 指揮を取れ、戦況を作り出せ。
 諦めるな、諦めさせるな。




第46話 護衛任務

 翔は再び過去の夢を見ていた。

 4脚型の人型兵器のパイロットに裏切られ、自身の乗る機体の右足を破壊され、岩陰に隠れる。なぜ裏切ったのか問いただすも、それが依頼だとパイロットは笑っていた。

 

 しかし、そこに来るはずの無い救援が現れる。救援に来た人型兵器は青と黄色のカラーリングをしており、ブースターを全力で吹かしていた。

 

「仲間見捨てられるわけねぇだろ!行くぞおおおおおおおおおおおお!」

 

 敵の攻撃を掻い潜り、その人型兵器は両腕を変形させる。すると変形した腕は斧になり、両腕の斧を敵に振りかぶる。

 そして、そこで目が覚める。

 

「もう、会えないのかな・・・でもなんだろう、この・・・」

 

 翔は本来ならば嬉しいはずの夢に、なぜか喪失感を感じていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼主:テイル・オーウェン

 

目標:アレア・オーウェンの護衛

 

作戦開始時刻:17:00

 

報酬:800000ドル

 

 私の娘、アレアがマフィアに狙われていることが判明したため、目的地までの護衛を頼みたい。

 

 目的地はこちらの家だが、こちらの私設軍隊はマフィアとの連戦で消耗してしまっている。そのためそちらに依頼したというわけだ。

 相手のマフィアはかなりの規模であり、それなりの準備をしていくことを奨める。

 

 大事な娘だ、無事に帰らせてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔は鉄血製RFを持ち、エクスキューショナー、ヨルムンガンド、ウロボロスを連れ、M200とナディアはオストリッチ小隊と共にアレアを護衛する事にし、アレアの乗る車輌と合流する。

 

 アレアは金髪のロングヘアで、白くゆったりとした服装の上に青い防弾ベストを着ていた。

 

「私がアレア・オーウェンです、今回は護衛の依頼を受けていただき、感謝しています」

 

 オーウェンは優雅にお辞儀をし、翔達も一礼する。そして木々が並ぶ道を出発していく。

 翔達が先行し、M200達は車輌を囲みつつ進む。すると翔はすぐさまレーダーに敵性反応を捉え、攻撃していく。

 

 敵のマフィアに戦術人形は確認できないが、翔は相変わらず武装の破壊や手足の骨折、弾丸を掠らせるなどをして無力化をしていく。

 

 エクスキューショナー達もマフィアが送り込んできた部隊を撃破していき、そのお陰でアレアの元へ辿り着く者は極少数だった。しかし油断はできず、後方や側面から攻撃してくる部隊まで現れた。

 

「頭を下げて!」

 

 窓から外を除き見ようとしたアレアを執事が頭を下げることで阻する。

 ガリルはマフィアの乗った車の運転手を狙って攻撃し、横転したマフィアの車は別のマフィアの車と衝突する。

 

 すると、鉄板で装甲を付けた車が迫ってくるが、その車がサンルーフを開けたところでスコーピオンが焼夷手榴弾を投げ込む。それにより車内が燃えて運転を誤ったマフィアの簡易装甲車は近くの木に激突する。

 

 しかし徐々に翔達のいる後方に攻撃が集中していき、翔とウロボロスは一度後方に合流することにする。

 

 

 

 

 

 翔とウロボロスが合流し、ウロボロスのミサイルで周囲は一掃される。そこでようやく一息つけるかと思いきや、新たな反応が多数現れる。

 

「まだ来るんかいな・・・あと5kmやのに!」

 

 ジェリコは新たな反応を確認するが、それは・・・

 

《気をつけてください!新手は・・・メテオライトの部隊です!》

 

 現れたアモンTと、装甲を軽量化して槍を持ったタイプのノーマルモデル『アモンR』は、マフィア達を殺しながら翔達へと接近してくる。

 更に、ヘリの音と反応が2つ接近してくる。

 

 

 

推奨BGM『Protrude』(ACVより)

 

 

 

 ヘリから投下された2人は廃墟となった民間の上に降り立つ。

 どちらも頭部は青いバイザー付きの白い装甲に覆われており、白と紫のカラーリングのボディースーツと装甲を身に付けており、脚部はずんぐりとした重装甲となっている。そして

 しかし、2人の武装は違っている。

 

「この感じだ!」

 

 1人は右手にRF、左手に小型レーザー砲、右肩に小型ミニガンを下げている『ゲミニ(表)』。

 

「戦争だ!」

 

 もう1人は右手にSG、左手に小型榴弾砲、左肩に小型ミニガンを下げている『ゲミニ(裏)』。

 

「「我らには、それが必要だ!」」

 

 ゲミニ達は翔達へ攻撃を仕掛け、翔はゲミニ達に真っ先に向かっていく。しかしゲミニ達の装甲は厚く、関節に攻撃してもすぐには無力化できないようだった。

 

(もしこの前の敵みたいに、肉体は脳だけになっていたとしたら・・・)

 

 翔は試しに小型チェーンソーでゲミニ(表)の右腕を斬りつけ、人間の腕が内部にあるか確認する。しかしゲミニ(表)の腕は機械であり、次は胴体を狙う。

 

 だがそう簡単にさせてもらえるわけもなく、ゲミニ(裏)がSGで横槍を入れてくる。ゲミニ(裏)のSGには通常の散弾ではなく、『ドラゴンブレス弾』と呼ばれる焼夷弾が装填されており、翔は咄嗟に回避すると、着弾した地面や木には大量の火花が散り、燃えていく。

 

 翔は引きながら関節や武器を狙って射撃するが、体にかかる謎の重さを感じており、あまり当てられないでいる。

 

(どうして・・・どうしてっ!?)

 

 するとM200の狙撃によりゲミニ(裏)の攻撃が阻まれ、ウロボロスがゲミニ(表)にミサイルを放つ。しかしゲミニ達は翔を攻撃することを優先しており、ゲミニ(表)はウロボロスに急接近すると蹴り飛ばし、RFでウロボロスの浮遊砲台の1つを破壊する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この状況を見ていたジェリコは思考を巡らせる。

 

「この状況、どうすれば・・・」

 

 ジェリコに搭載されている指揮モジュールは試作段階のものであり、メテオライト社の戦力はその演算能力を越えていた。

 

 散開し、注意を引きつつアレアを突破させようにもそれぞれが対処できる数を越えているため、成功しても死者を出してしまう。

 ゲミニ達を集中的に狙えば、アレアの側が手薄となってしまう。

 回り道をしようにも、その隙の無い配置により阻まれている。

 

 自身を落ち着かせるために、ジェリコは深呼吸をする。

 

(私は何のためにここでオペレーターをしているのですか?必ず、必ずこの状況を打破できる方法があるはずです!)

 

 しかし、状況は更に悪化していく。エクスキューショナーは左腕を破壊され、翔の装甲の半分が破壊されてしまう。

 

(このままでは・・・皆を・・・それでは、私のいる意味は・・・)

 

 その時、体内のアンチコジマが活性化しだす。

 

「諦めないでください!絶対に、諦めないでください!私が・・・」

 

 ジェリコの体から活性化したアンチコジマが放出される。

 

「私が、必ず勝利へと導きます!」

 

 ジェリコのメンタルに、様々なデータが流れ込んでくる。

 

「私は、"ジェリコ"ですから!」

 

 

 

 

 

「全システム、データリンク!オペレーティングシステム、起動!」

 

 ジェリコはすぐさまそれぞれに指示を出していく。

 エクスキューショナーとヨルムンガンドにはゲミニ(表)の相手を。ウロボロス、M200、ナディアにはゲミニ(裏)の相手を。

 

「あの2人はどちらも脳だけです。なので遠慮無く攻撃してください!翔さん達は徹底的な近接戦を、ウロボロス達は徹底的な引き撃ちを!」

 

 そしてオストリッチ小隊には前衛とアレアの護衛とを分けて進ませる。前衛はガリルとティス、護衛はスコーピオンとIDW。

 すぐさまそれぞれが行動を開始し、ジェリコの指示により翔はミサイルをオストリッチ小隊の進路上を挟むように撃ち込み、煙幕の代わりとする。

 

 エクスキューショナーとヨルムンガンドはゲミニ(表)に接近し、ゲミニ(表)は引き撃ちをしようとするが、機動力に勝る2人に接近される。そしてヨルムンガンドがゲミニ(表)の右腕を鞭形態で破壊し、エクスキューショナーが胴体を貫く。

 

 ゲミニ(裏)は接近してウロボロス達を仕留めようとするが、徹底した引き撃ちかつナディアの撹乱とそれに混ぜられたM200の狙撃に苦戦していたが、アレアの後衛をしていた翔を見つける。

 

「逃がさんっ!」

 

 ゲミニ(裏)は翔達へ向けてSGと榴弾砲を同時に撃ち、アレアは転んでしまう。そこにアモンRが接近するが、翔は槍を掴んで至近距離からRFを撃ち込み、アモンRを撃破する。

 

 そして爆炎を背にアレアに手を差し伸べる。

 

「・・・立てる?」

 

「・・・はい!」

 

 翔はアレアの手を引いて駆け抜け、追撃しようとしたゲミニ(裏)の懐にナディアが潜り込み、ナイフを首に突き刺す。更にM200が背部に弾丸を撃ち込み、ナディアのすぐ横を貫通していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔とオストリッチ小隊はどうにか目的地にアレアを護衛することに成功し、エクスキューショナー達も合流した。

 そこでテイルに翔達は大袈裟な程に感謝され、ガリルは若干引いていた。

 

 その後、翔達が帰還すると輸送車をアレアは見えなくなるまで見つめており、見えなくなるとテイルに振り向く。

 

「ねぇ、お父様・・・」

 

「ん、なんだ?」

 

 アレアは戦闘による黒煙が立ち上る空を背に、笑顔でいた。

 

「私、あの人が欲しい!」

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 遅れてすいません。体調は回復してきていたのですが、中々進めませんでした・・・
 今回はジェリコの覚醒がありましたが、どうだったでしょうか?
 感想や高評価、お待ちしています!

●テイル・オーウェン
 金の短髪で身長180cm、8月1日生まれで35歳。

 優しい性格だが、溺愛する娘の事になると時折回りが見えなくなることもある。
 元は貿易商だったが、今ではロシア有数の財閥の主となっている。

●アレア・オーウェン
 金髪のロングヘアで身長158cm、1月3日生まれで19歳。

 基本的には穏やかだが、AIに苦手意識を持っているがその反面、生物には愛情をもって接している。
 オーウェン財閥の次期当主であり、テイルから溺愛されている。

●アモンR
 アモンTのバリエーションタイプで、装甲を薄く小型化した代わりに機動力を高めている。

 武装は槍である。

 メテオライト社の主力商品でもあったアモンシリーズの1つだが、近接戦タイプでありながら屋内戦は苦手だったため、売れ筋は伸び悩んでいた。
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