いくつもの流れと繋がり、より大きくなりつつ。
第50話 新たな流れ
ナインボールにバタフライムーンがやって来てから、当然の事ながら賑やかになった。
しかしそれだけでなく、アデリン達の面倒も見てくれるだけでなく勉強なども教えてくれている。
多数との戦闘を想定された、
高い防御と火力を備えた
電子戦や水中戦を得意とする
その場で装備を作りだす
刃物の扱いに特化した
銃器の扱いに特化した
6人とも、非常に高いスペックの素体と豊富な経験があり、スライサーとガンナーはローエンドモデル、それ以外の4人はハイエンドモデルだそうだが、スライサーとガンナーのスペックは鉄血のハイエンドモデルと同等のものだった。
しかし、子供の相手をしたりするのもかなり上手かった。
「子供の面倒見るの、やけに手慣れてる感じだな」
エクスキューショナーが感心していると、洗い物を終わらせたフォートレスがやって来た。
「私達は元々戦闘用ではなく、福祉用でしたからこういったことは慣れています」
さらりと告げられた内容に、エクスキューショナー達は最初何を言われたのか解らなかった。
「色々あって、私達は戦闘用になることを選んだんです」
フォートレスは微笑みながら言っていた。まるで、戦闘用となったことが誇りであるかのように。
そして、近くではジェノがアデリンと幼体ネイト達に迷路を遊ばせるようにして、地図の見方を教えていた。
「まあ、スライサーとガンナーは元から戦闘用でしたが、福祉系の事はこちらから教えました」
しかしジェノ達が最初に来た時、彼女らが驚いていた事が2つあった。1つはM200、ナディア、ジェリコにアンチコジマが宿っており、ナディアに至っては機能停止したにも関わらず復活したことである。
「な、ななんでアンチコジマが『AC用ジェネ』も無いのに体内にあるの!?」
ジェノは驚きのあまりM200達の体を触りまくり、ジェリコから鉄拳制裁を食らっており・・・
「ちょいと調べがいがあるね」
クラフターは手をワキワキさせながらナディアに近づこうとしたため、フォートレスに引き戻されていた。
もう1つはアクアビットマンである。アクアビットマンがポーズを決めて名乗った途端、ジェノ達は一瞬固まった後かなり驚いていた。
「ち、ちょっと待つです!アクアビットマン!?あのアクアビットマン!?」
「アクアビットマンが・・・アクアビットマンが擬人化してるだなんて・・・!」
人型兵器だった頃のアクアビットマンを知っている事にアクアビットマンは驚くが、ジェノ達はアクアビットマンに集まると握手やサインなどを求めていた。
「いやぁ~こんなことにも巡り合うなんて、生きてみるもんだな」
また、バタフライムーン唯一の人間でありバタフライムーンの仲介人もナインボールに合流しており、リンゴを丸かじりしながら屋上に置いてあるベンチに仰向けに寝ている女性がいた。
「あ~、のんびりしとくのが1番やな~」
短いツインテールを浅緑色に染めた髪で、左目の上から右頬にかけて大きな傷痕と縫い痕がある。その女性の名は『クラエス・パッカード』である。
翔は、再びあの赤い海の夢を見ていた。
きっと赤い海の事も知っているのだろう。しかし赤い海の事も忘れたままとなっている。どうにかして思い出そうと海底に座って考える。
「う~ん、どうなんだろう?」
「さぁな、知ったこっちゃねぇ」
突然後ろから聞こえた声に、翔は振り向く。そこにいたのは翔が知っている男だった。
「オールド、キングさん・・・?」
『オールドキング』と呼ばれた男は翔を見下ろしたまま立っている。
「よう、翔・・・久しぶりだな」
オールドキングは不敵に笑っており、翔は立ち上がって握手を求める。オールドキングは握手に応じるも、すぐに手を離そうとはしなかった。
「お前、まだ"甘いこと"言ってんのか?」
「・・・え?」
「選んで殺すのが、そんなに上等かね?」
オールドキングは翔を引き寄せ、不敵な笑みを浮かべながら言う。
「"首輪付き"を殺したのは、お前だろうがよ」
バタフライムーンのメンバーの1人であるクラフターは、翔が使っている装備を見て、多くの改善点を見つけていた。しかしその大半はクラフターの知る技術でなし得ることであるため、クラフターは工廠にて新しい外骨格を作っていた。
そして、完成した外骨格は赤と黒のカラーリングであり、武骨ながらも所々先鋭的な部分があり、頭部を含む全身を完全に覆うものであり、うなじの接続端子に繋ぐものもあった。
「やっぱり、整波装置はちゃんとしたもん使わなきゃな。それに『AMS』は繋いどかなきゃな」
新しい外骨格の隣にあるテーブルには、いくつかの新装備が置かれていた。
「アクアビットマンには、これがなきゃな」
クラフターは背伸びをすると、翔とアクアビットマンを呼びに工廠から出ていった。
「AMS?」
翔とアクアビットマンと共に工廠に来たM200は聞いたことの無い単語に首をかしげる。クラフターは聞いたことが無くて当たり前だと、その解説をする。
「AMSとは、『アレゴリー・マニュピレイト・システム』の略であり、システムを脳に繋ぐことで統合制御体を直接リンクさせるものだ。要するに、機体を意のままに操ることができる・・・が、これは外骨格だから本来であればAMSは必要無い」
クラフターは外骨格のブースターを指差す。
「けど、ブースターのオンオフやスピードの増減にもAMSは使える。そして翔はその扱いが上手いから外骨格にもAMSを付けたんだ・・・さ、そろそろテストを始めよう」
そして、翔は夢の内容が頭から離れないままAMSを繋ぎ、メインシステムを起動させる。
その瞬間、翔の視界が変わった。否、視界だけではない。全身の感覚までも、まるで別の空間にいるかのように変化した。
そこは、あの赤い海の中だった。
更に、こちらに背を向けて立っている者がいた。
その頃、IOPでは空間の歪みから新たに得られた3つのデータを使って戦術人形が3人作られた。
「今度は3つとも戦術人形の容姿や必要スペックか・・・」
起動前の戦術人形達を見ながらハーヴェルは呟き、ペルシカは気怠そうな雰囲気である。
「3人とも、必要スペックが高過ぎて時間が掛かること掛かること・・・さて、起動させるわよ」
万が一の為に5人の戦術人形が待機しており、ベッドの上に横たわる3人の戦術人形はゆっくりと目を開ける。
「・・・ここは、どこだ?」
「んあ?なんだなんだ?」
「知らない天井なのだ」
3人は起き上がると辺りを見渡し、ペルシカ達を見ると立ち上がる。
「この体・・・どういうことだ?」
自分を戦術人形とは認識していない様子に、ペルシカとハーヴェルは顔を見合わせる。
「えっと、私はペルシカ。あなた達の事なんだけれど、あなたは戦術人形よ?」
3人は顔を見合せ、怪訝な表情を浮かべる。
「戦術人形・・・聞いたことの無い言葉だな。まあいい、それより我々の主はどこにいる?いや、それよりこちらも名乗らねばな」
そして、3人はそれぞれ名乗る。
「私は『AM/RFB-215』。『ランポルド』と呼んでくれ」
「オレは『Au-C-B19』。『ストレコ』って呼んでくれ。ふあぁ~」
「おいらは『AM/LRA-229』。『22R』って呼んでくれなのだ」
3人が名乗った後、ハーヴェルも名乗ると共に質問をする。
「私はハーヴェルだ。積もる話もあるだろうが、その主とは誰か、良かったら教えてくれないか?」
新たな事が次々と始まっていき、その流れはより速くなっていく。その流れに、人は付いていけるのだろうか?
読んでくださり、ありがとうございます!
今回から第5章が始まります。
翔と首輪付きの間にはどんな関係があったのでしょうね?
感想や高評価、お待ちしています!
●ジェノサイダー
銀色の短髪で身長165cm、肉体年齢は18才。
レイヤード管理者製のハイエンドモデルであり、バタフライムーンの隊長。
武装は両手のSGと腕に内蔵されたフィンガークロー。
明るく天真爛漫な性格であるが、その反面、ある事件の際にメンタルにバグが発生し、血を好み、殺傷を楽しむ異常性が露になった。
4人の中では最もスピードのあるハイエンドであり、そのスピードを活かした接近戦や多数の敵の殲滅を得意としている。
脚部にはワイヤーアンカーを内蔵しており、メンタル内部には特殊システム『ジェノサイドシステム』を搭載。
●フォートレス
銀色のツインテールで身長175cm、肉体年齢は19才。
レイヤード管理者製のハイエンドモデルで、バタフライムーンのメンバーでもある。
武装は両腕のMG、両背部のグレネードキャノン。
真面目な性格で博識であり、4人の中では最も料理が上手い。
機動力は4人の中で最も低いものの、火力と防御力を活かした正面制圧や防衛戦を得意としている。
ちなみに、腰にサブアームシールドを4つ装備しており、IOP製のSG型戦術人形に近い事が可能となっているものの、シールドの防御力は戦車砲すら防ぐ事が可能。