作ったのは誰だ?なぜそれほどの火力を求めたのか?
雲1つ無い晴れ渡った青空の下、翔はIOPに呼ばれていた。何かあった時のためにと連れてきたM200と興味本位で付いてきたジェノも、何があるのかと気になっていた。
そして案内された部屋にはハーヴェルとペルシカ、そして3人の戦術人形がいた。
「やぁ翔君、この3人について何か知っているかね?」
翔は3人の戦術人形に見覚えは無かった。ハーヴェルもペルシカも疑問の表情をしている。
「この3人、空間の歪みから得られた新しいデータにあった戦術人形なの。でもなぜか自分達の主として、あなたの名前を出したの」
「え、僕の?」
翔が3人の方を見ると、3人は名乗り出る。
最初はランポルドであり、ランポルドは金のショートカットの髪にドイツの軍服に近い形をした濃い緑の服を着ており、左目に黒い眼帯をしている。
そして、名乗る際に敬礼をしていた。
「この姿では分からないだろう・・・が、またお会いできて光栄です」
次はストレコであり、ストレコはオレンジ色のショートヘアに緑色のヘルメットを被っており、黒と白の色をしたスカジャンを着ていた。
「記憶がある程度戻ってんなら、俺達の事は覚えてるよな?もちろん武器として」
最後は22Rである。22Rは薄茶の髪を2つのお団子型のお下げにまとめており、黒縁のメガネをしている。服は白いシャツにデニムのズボンだが、小さいリュックを背負っている。
「・・・久しぶりなのだ」
翔は思い出した記憶の中に、その名の武器達を確かに覚えている。依頼の内容や地形を考えて使い分け、共に戦ってきた武器達である。
翔は自然に手を伸ばし、握手をする。ストレコは握手をすると目に涙を浮かべ、片方の手で翔の肩を叩いた。
「やっと、やっとお前の手をこうして握れる・・・!」
ハーヴェルとペルシカは最初、翔が何か細工をしたのではと考えたが、翔がそのような事をするとは思えず、状況的にも翔とナインボールにそのような事をする時間は無かった。
そのため、なぜ空間の歪みから得られたデータによる戦術人形が翔を主として認識しているのか、分からなかった。
翔を待つ間にランポルド達はハーヴェルやペルシカにこの世界の事を聞いたり、ネットで調べたりもしていた。その時にランポルドがポツリと呟いた一言が、ハーヴェルとペルシカに大きな疑問を生じさせた。
「500年前の記録よりマシだな・・・」
ランポルド達の会話は聞いたことの無い単語が多く、疑問と共に興味を感じさせるものだった。
空間の歪み、それは自分達が思っている以上に深いものなのかもしれない。
技術などの事を考えると、ランポルド達をこのまま手放すのは惜しい。しかしランポルド達曰く・・・いや、おそらく本当に所有者は翔なのだろう。
そして、ランポルド達の事を考えれば・・・
「ランポルド、ストレコ、22R・・・君達は、これからどうするつもりだね?翔君と共に行く以外にも、ここに残ったり、グリフィンへ行くという道もあるのだが」
ハーヴェルはランポルド達に訊ねる。訊ねられたランポルド達の表情を見るに、既に決まっているようだった。
「・・・我々は、翔と共に行きたい」
ランポルド達が翔の方を向くと、翔は静かに頷いた。ハーヴェルとペルシカも静かに頷き、肯定の意を示した。
「ありがとう、この借りは必ず返す」
その後、帰っていった翔達を見ながらペルシカは愚痴を漏らす。
「あーあ、ジェノの事について色々聞きたかったけど、今日はそんな雰囲気じゃなかったわね」
依頼主:アレア・ウォーエン
目標:強盗組織の壊滅
作戦開始時刻:15:00
報酬:500000ドル
最近暴れている強盗組織を壊滅させてください。
この強盗組織はウォーエン家の私財にも手を出しており、更に手口をより手荒にしてきています。
本来であれば警察が対応する事なのですが、この強盗組織は先日警察署を襲撃しており、警察は対応できません。
そこで、あなたに依頼したいのです。
お願いです、この強盗組織を壊滅させてください。
ランポルド、ストレコ、22Rの3人は翔と共に作戦エリアに投下され、後方からはM200が援護に来ていた。
作戦エリアである町はまさに要塞のように改造されており、敵の数も多かった。
ランポルド達はクラフターの手により作られた自分達の武器を手にし、手触りを確かめながら戦闘を開始した。ランポルド達は翔のものより性能は低いがQBなどができる外骨格を装備していた。
ストレコは前衛として突っ込み、左右へのQBで銃撃を回避しながら自身の銃『バトルライフル』(以下バトライ)を撃ち込む。大口径の銃口から放たれた小型の砲弾は弾速こそ他2人の武器より遅いものの、ブレの少ない弾道で防弾チョッキを着た強盗犯の胸に着弾する。
着弾した瞬間、弾頭の炸薬が化学反応を起こして爆発し、強盗犯の上半身は消し飛ぶ。更に鉄板を付けた簡易的な装甲車にも砲弾を撃ち込み、装甲車は一撃で破壊される。
ランポルドの持つ銃は『ライフル』であり、分類上はセミオートではあるものの、連射力がセミオート並みであるだけで、実際は引き金を引き続けることで連射は可能である。
しかしバトライ程ではないにしろ大口径であり、放たれた弾丸は鉄板を易々貫通していく。
更にランポルドはブースターを使って飛び上がり、建物の壁を蹴って縦横無尽に動きつつ、ストレコより1歩引いた距離の上から攻撃していく。
それにより、上と正面両方からの攻撃により強盗犯達は次々と数を減らしていく。
22Rは物陰を進みながら引き金を引く。しかし弾は発射されず、銃口がオレンジ色に光り始める。
22Rの武器は『レーザーライフル』(以下レザライ)。その第5世代型である。第5世代型のレザライは引き金を引く事でチャージして威力を上げることができる。
そして、銃口が一際大きく光ったところで物陰から飛び出す。引き金から指を離すとオレンジ色のレーザーが発射され、グレランを撃とうとした強盗犯の上半身を消し炭にする。
そこから再び物陰に隠れつつ移動し、その間にチャージしていく。
3人と強盗組織の戦力差は歴然であり、翔やM200が手を出すまでもなくあっという間に作戦は完了した。
「指揮官、敵の反応は無し。作戦完了です」
翔とM200が3人の元へ駆け寄ると、3人の傷はほとんど無かった。あるとすれば前衛であるストレコの掠り傷くらいである。
すぐに帰還しようとしたところで、突然新たな反応が現れる。
ビー玉を転がすような音と共に背後に現れたのは、マジシャンだった。
「こんにちは、はじめまして。翔・ニールセン、ですね?私はコーカサス社ハイエンドモデル、マジシャンと言います」
マジシャンは被っていた黒いシルクハットを脱いでお辞儀をした。
「・・・僕が翔・ニールセンですが、コーカサス社のハイエンドモデルが、何か用でしょうか?」
マジシャンはシルクハットを被り直すと、微笑みながら自身の目的を告げる。
「私はコーカサス社より、あなたの抹殺を命じられています。しかし方法は指定されていないので、私は1対1の決闘を望みます・・・無論、あなたの抹殺しか命じられていないので他の方には危害は加えません」
マジシャンは広場の方へ歩いていくと、そこで待機した。
「翔さん・・・」
M200は不安げな顔をしているが、翔はマジシャンの前に立つ。
「大丈夫、必ず戻るから」
そして、作戦開始からずっと翔達のことを小型カメラで見ていた者がいた。
「こんなの・・・聞いてない!」
アレアだった。自身の思惑とは違う展開に、アレアは狼狽している。しかしすぐに落ち着きを取り戻し、モニターに食いつくように次に起こることを待つ。
「あなたなら、勝てる・・・そうよね?」
読んでくださり、ありがとうございます!
諸事情により、かなりメンタルにダメージを受けてしまい、ほとんど執筆ができなくなっていました、すいません。
次回、マジシャン戦です。
感想や高評価、お待ちしています。
●ダイバー
灰色のポニーテールで身長150cm、肉体年齢は15才。
レイヤード管理者製のハイエンドモデルであり、バタフライムーンのメンバーでもある。
武装は両手のSMG、両背部と両腰の計4つの小型ミサイルである。
真面目だが少し臆病な性格であり、時に腹黒さを見せることも。
水中戦や宇宙戦、電子戦は4人の中で最も得意とし、サポート役を担っている。
また、背部、腰部、脚部に水中&宇宙専用特殊ブースターを搭載し、腰のポーチにスモークグレネードを入れている。
更に元々砂の中は潜れなかったものの、クラフターの手により砂の中に入ることも可能となった。
●クラフター
紫色のロングヘアで、身長165cn、肉体年齢は18才。
レイヤード管理者製ハイエンドモデルであり、バタフライムーンのメカニックでもある。
武装は両手の特殊リボルバー、両腰のククリブレードである。
少々荒い性格だが兄妹には優しい。また、戦場で武器などを即席で作り出す技術も持っている。
また、変形することにより戦闘機のような飛行形態に移行でき、背部に専用クラフトキット、背部と腰部にサブアームを計4つ搭載。