鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 欠陥、失敗、失格、それらは何かを作る過程で生まれるものだ。
 だが、完成されたものと同様に後に何かを成すこともある。




第52話 Peek a boo

 コーカサス社ハイエンドモデル、マジシャン。

 そして翔・ニールセン。この2人は向かい合い、静かな風が吹く。

 

 M200達は離れた場所に立ち、静観する。

 

 

 

推進BGM『Peek a Boo』(ACVDより)

 

 

 

 マジシャンは右手にマグナム、左手にナイフを持って翔に向かって駆ける。翔はマジシャンの左側に回りつつ、持ってきていた鉄血製RFをマジシャンの左足の付け根に撃ち込む。しかし撃ち込んだ部位は多数の球体に変化して回避する。

 

(なんだあれ!?)

 

 それを見ていたM200とMも驚くが、ランポルド達は平然としていた。

 

[あんなの・・・どうやって勝つんですか!?]

 

 翔はマジシャンに向けてQBをし、それと共に左腕の小型チェーンソーを振る。しかしマジシャンは全身を球体に変えて翔の背後を取る。

 そこでマジシャンがマグナムを撃ち込むが、翔のPAによって阻まれる。

 

「なるほど、なかなか厄介ですね」

 

 マジシャンは微笑みを絶やすこと無く攻撃し続けるが、翔のPAを貫くことはできず、翔は引きながら射撃を続ける。しかしどれだけ射撃してもマジシャンは体を多数の球体に変化させるため、互いに攻撃が通用しない。

 

「お互い平行線ですね・・・なら!」

 

 マジシャンは全身を球体にさせ、球体で翔を取り囲む。そして一気に翔に向かって球体を飛ばす。

 

「・・・それを待っていたよ」

 

 翔はAAを発動させ、アンチコジマの巨大な爆発により周囲は消し飛ぶ。マジシャンの体を構成していた球体も例外ではなく、AAの光が収まった頃には球体も消し飛んでいた。しかし・・・

 

 球体は1つだけ残っており、その球体は地面に文字を書いた。

 

『YOU WIN』

 

 そしてその球体は空を飛んでどこかへ行ってしまい、M200は翔に駆け寄り、ランポルド達はゆるゆると合流した。

 

 

 

 

 

 翔とマジシャンとの戦闘を見ていたアレアは、安堵すると共に恍惚とした表情を浮かべていた。

 

「あなたが勝った・・・やはりあなたは強く、その赤い粒子も美しい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後──

 

 

 ナインボールの拠点に直接依頼を申し込んできた者がいた。

 

「久しぶりね」

 

 アンジェとAK-12、AN-94である。3人は応接室にて依頼の内容を翔に伝えるが、応接室に向かうまでの間にアデリンと幼体ネイト、IDWが並んで歩きつつ、荷物の入ったダンボール箱を運んでいたのを目撃し、目を丸くしていた。

 

「それで、依頼は?」

 

 依頼の話になるとアンジェは真剣な表情に切り替え、内容を伝える。

 

「今回の依頼は、既に廃墟となっている街『タリン』の調査よ」

 

 タリン、そこにはパラデウスの情報があると思われる有力な候補の1つであり、その先にある『パルディスキ原潜基地』もその1つである。しかしアンジェは近々別の任務があるためタリンに行くことはできないという。

 

「もちろん、パルディスキの方はなんとか行けるよう調整を進めるけど、タリンの方はお願いできるかしら?もちろん、報酬はちゃんと用意するわ」

 

「・・・なるほど、分かりました。その依頼、受けましょう」

 

 

 

 アンジェ達が帰った後、すぐに編成を整える事にした。

 

 第1部隊は翔、M200、ナディア、エクスキューショナー、ティタン。

 第2部隊はジェノ、フォートレス、ウロボロス、ヨルムンガンド、アデリン。

 

 アデリンは戦闘面でも役に立ちたいとの要望により、連れていくことにした。しかし人形のようにバックアップが取れる訳ではないため、フォートレスから離れないようにと指示を出しており、フォートレスもアデリンを守ることを優先するとしている。

 

 タリンへはクラフターが作った大型武装ヘリ『ストーク』に乗り込み、向かっていった。

 また、ティタンはクラフターによって強度とパワーを保ちつつ軽量化された自身の専用装甲を試せる機会が来たと意気込んでいた。

 

 そしてタリンに到達し、全員がストークから降りるとすぐに二手に分かれてタリンの中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔達がタリンに入る少し前、1つの列車を使ってタリンに入った者達がいた。AR小隊と404小隊であり、列車の中には彼女らを指揮している銀治と銀治を護衛する戦術人形達がいた。

 

 銀治達もタリンの調査に来ており、タリンには霧と重度のジャミングが広がっていた。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・」

 

 そしてM4達がタリンに入っていくと、それを感知した何者か達が瓦礫の山から次々と出てくる。

 

「・・・来た?」

「救世主が来た?」

「選らばれし者なの?」

 

 何者か達は期待を膨らませ、議論を交わす。

 

「ここから出られるの?」

「来た・・・来た・・・!」

「それとも破滅と破綻?」

 

 何者か達の1人は視界に入ったM4をじっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 翔はレーダーを確認しつつ進んでいく。翔の視界に表示されているレーダーはジャミングの影響をほとんど受けていない。

 

(このジャミング濃度・・・AC用のレーダーでも若干影響が出るくらいだね。母さん達特製の内蔵レーダーで良かった)

 

 心の中で親に感謝した翔は再びレーダーを確認する。すると複数のネイトの反応を確認し、反応のある方向へ行ってみる。そこにはボロ布を纏った5人の少女達がおり、その側には白い花が咲いていた。

 

「・・・君達は?」

 

 少女達は翔達を見ると、口々に呟いた。

 

「あなたじゃない」

「あなた達じゃない」

「救世主じゃない」

 

 しかし彼女達は衰弱しており、1人は地面に横たわっている。

 

「・・・皆、レーションはあるよね?」

 

 翔はレーションと水を取り出し、彼女達に差し出す。

 

「どういう話なのかは分からないし、僕は救世主でもない。けど、衰弱してる人を見捨てることはしない」

 

 彼女達は少し考えた後、恐る恐るレーションと水を受け取って食べ始めた。

 

「あなたは"お父様"じゃない、でもなぜ?」

「私達は欠陥であり、失敗・・・」

「なのに、なぜ?」

 

 食べ終わった彼女達に、翔は笑みを向ける。

 

「詳しい話は後になるけど、これだけは言える。君達が生きているから」

 

 翔は、彼女達に手を差し伸べた。

 

 

 

 同じ頃、ジェノ達も衰弱した彼女達と遭遇しており、アデリンは自身のレーションと水を衰弱した彼女達に与えていた。

 

「この子達、廃棄された・・・失敗作」

 

 アデリンが1度だけ見たことのある、機械化手術に失敗した失敗作のネイト。

 

「そっかぁ、どうりで衰弱してるわけだね」

 

 アデリンはレーションを食べ終わった彼女達を抱き締め、ジェノの方を向く。

 

「この子達・・・連れて帰っても、良い?」

 

 ジェノは少し考え込むが、すぐに翔と通信をとる。

 

 その後、1度合流した翔達は彼女達を移送するためのストークを手配し、翔達第1部隊は調査に戻ることにした。

 

「さて、僕達はそろそろ行くよ」

 

 

 

 翔達はタリンのあちこちに咲いている白い花のサンプルを取るため、コーラップスや放射線などを出さないようにするケースに入れる。

 

「この花・・・確か『エピフィラム』って花よね」

 

 ナディアは花の記録などを確認してみるが、エピフィラムと特徴が一致している。

 

「普通の植物ならELID化するか枯れるはずなのに、この花はなんで普通に生えてるんだ?」

 

 疑問が残る中、別の反応を確定する。反応のある方向へ行くと、M4達がいた。

 

「あなた達、どうしてここに?」

 

「依頼で調査に来ましたが、あなた達は?」

 

 M4達も調査に来ていたため、情報交換をしていると再びネイトと同じ反応を確認し、その反応はこちらに接近していた。

 

「反応は1つですが、なぜこちらへ?」

 

 M200は疑問を持ちつつ、反応のある方を向いている翔の隣に立つ。

 歩いてきたのは、黒い長髪に黒い服を纏ったネイトだったが、雰囲気がアデリンや他のネイトとは違っていた。

 

「あなたは選らばれし者ではない、けれど私達を受け入れることができる。あなたが私達を受け入れたら、私達は完璧になれるはず。そうしたら、帰ろう・・・私達の故郷へ」

 

 ネイトらしき者は、翔達やM16達を無視してM4をじっと見据えていた。

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 メンタルの方は回復してきましたが、無理せず続けていきます。
 今回はマジシャン戦とタリンでの話を書きましたが、どうだったでしょうか?
 感想や高評価、お待ちしています!

●スライサー
 黒いお嬢様ドリルの髪型で身長160cm、肉体年齢は18歳。
 レイヤード管理者製のローエンドモデルであり、バタフライムーンのメンバーでもある。

 武装は高周波ブレード×2、マシンピストル、脚部内蔵型高周波ブレード×2である。

 お嬢様言葉を話し、正々堂々とした戦闘を好む。また、自身の行動にノブリス·オブリージュを掲げている。
 また、スライサーとガンナーはローエンドモデルではあるが複数生産されている訳ではないが、量産されるのは少し後になる予定だった。

●ガンナー
 銀髪のボブカットで、身長170cm、肉体年齢は19歳。
 レイヤード管理者製ローエンドモデルであり、バタフライムーンのメンバーでもある。

 専用の武装は両背部のレールキャノンだけだが、既存の全ての銃器を扱うことが可能である。

 気の強い性格であり、自他共に厳しい。しかし正当な評価を下し、相手に沿った伝え方をする。

 銃撃戦に特化したローエンドモデルで、既存の全ての銃火器を自身の体のように扱うことが可能であり、新しい銃火器でもスキャンしてその場で適合することが可能になっている。
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