鴉と人形   作:ダイヤモンド傭兵

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 復讐を果たし、高みへと至った者。
 しかしそこで見た光景は・・・




第54話 影の悪意

 またあの赤い海の夢であり、そこはかつてのように赤く照らされた海底が広がっているのではなく、いくつかの兵器があった。

 翔は兵器達に近いて触れ、その兵器達の物語を聞いていく。

 

 ヒドラやキュクロープス、フロストなど、様々な兵器達の話も聞いていき、今ある全ての兵器達の物語を聞き終えると翔は座り込む。

 

(・・・オールドキングの言ってたこと、本当なのかな?)

 

 そんなことを考えていると、いつの間にか翔の前に誰かが立っていた。

 

「何を悩んでいる?」

 

 顔を上げると、1人の男性が立っていた。その男性は、どこか懐かしさを感じさせた。

 また、翔を仔犬と表現するならその男性は狼といった感じである。

 

「何に悩んでいるのかは知らないが・・・もしかしたら、まだ辿り着くべき答えではないかもしれないぞ?」

 

 男性はしゃがんで翔の手を握る。

 

「今はまだ、進む時だ。だが私は・・・"我々"は、いつも君を見守っている。それを忘れるな」

 

 まるで、何かの枷から解き放たれたような穏やかな表情で語りかける男性に、思わず翔は聞く。

 

「あの、あなたは・・・」

 

 男性は翔の頭にそっと手を置く。

 

「いずれ、思い出す時が来る」

 

 男性が微笑んだところで、翔は目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼主:クリス・ロマート

 

目標:マフィア残党の陽動

 

作戦開始時刻:15:00

 

報酬:450000ドル

 

 敵対していたマフィア残党の陽動を頼みたい。

 元々こちらは自警団の延長でマフィアを名乗っていた組織だが、長年町を苦しめていたマフィアを壊滅させたことで、正式に解散することとなった。

 

 だが、そのマフィアの残党がこちらを妨害することが増えているため、今度こそ壊滅させることにした。

 そのため、そちらにはマフィア残党の主力部隊を陽動してもらいたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タリンでの任務から2日後に来たこの依頼では、陽動部隊と支援部隊の2つに分けて行うこととした。

 

 陽動部隊は翔、M200、ナディア、ランポルド、ストレコ、22R。

 支援部隊はオストリッチ小隊。

 

 なぜ支援部隊を用意するに至ったか、それは依頼主であるマフィア(自警団)はかなり消耗しており、まともな戦力はマフィアが保有していたIOP製戦術人形『トンプソン』と依頼主のクリスだけだった。

 2人だけではあまりにも危険すぎると判断し、支援部隊を用意したのだ。

 

 トンプソンはSMGタイプであり、薄紫色のショートヘアにサングラスをかけており、黒い帽子と内側がオレンジ色の黒いマントを身に付けている。そして薄紫のシャツと黒いズボンを着ている。

 

 そして翔達は早速陽動を開始し、山間部寄りの場所から山間部へと敵マフィアの主力部隊を誘導していく。

 そこまでは、順調に思えた。しかし・・・

 

 

 

 突如、複数のミサイルが翔達のいる場所を爆撃した──

 

 

 

 ミサイルは翔達と敵マフィアの両方に大きな損害を与え、翔はPAが剥がれてしまい、外骨格は大きなダメージを受けて外すしか無くなっていた。

 

「ミサイル・・・だと?どういうことだ!?」

 

「ストレコ!すぐに隠れるのだ!」

 

 ストレコは両足を破壊され、22Rが岩陰に隠した。

 M200は離れていたため打ち身と擦り傷で済んだのだが、ナディアは肋骨の辺りを骨折していた。

 

 ジェリコはすぐにオストリッチ小隊に連絡したが、オストリッチ小隊も交戦中だった。そのためすぐに周囲の反応を確認するが、敵マフィアの主力部隊の後方から増援が現れていた。

 

《この数・・・以前の倍はいるぞ!》

 

 トンプソンとクリスもこの状況に困惑していたが、増援の敵マフィアの装備が前より高性能になっているため、更に困惑していた。

 

 ランポルドと22Rは積極的に攻撃し、次々と敵マフィアの数を減らしていくが、再びミサイルが撃ち込まれてしまう。それにより、M200が崖下に落ちかけてしまい、翔はM200を庇おうとして2人とも崖を転げ落ちてしまう。

 

 どうにかして助けようにも、この状況では無理だった。

 

「22R、行け!」

 

 ランポルドは22Rに叫び、22Rは頷いてミサイルの飛んできた方向へOBで向かっていく。ランポルドはストレコから敵マフィアを引き付けるため、別方向へと誘導していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、敵マフィア残党の本拠地では──

 

 

 連続で放たれた弾丸が敵マフィア残党の1人を撃ち抜き、射った本人であるトンプソンは物陰に隠れてリロードする。

 オストリッチ小隊の位置を確認すると、陣形の中にIDWがいなかった。

 

 すると、小さな隙間を縫うように動きながらIDWが敵マフィア残党達に攻撃していき、意表を突かれたところをオストリッチ小隊が一気に詰めていく。

 

「こっちもうかうかしてられないな」

 

 トンプソンとクリスは別々の方向から飛び出て敵マフィア残党に攻撃するが、敵マフィア残党は『ロケットランチャー』(以下ロケラン)を持ち出してきた。狙いはオストリッチ小隊だったが、トンプソンはオストリッチ小隊の前に飛び出てバリアを発動させる。

 

 そのバリアのお陰でロケランは防がれ、すぐにオストリッチ小隊はロケランを持った敵マフィア残党に攻撃し、スコーピオンが焼夷手榴弾を投げ込んで複数の敵マフィア残党をまとめて撃破する。

 

「なんやこの数!?軍隊規模やないか!」

 

 ガリルは手榴弾を投げようとした敵マフィア残党の腕と体を撃ち抜き、投げようとした手榴弾は床に落ちて爆発する。

 敵マフィア残党の本拠地の奥に進み、敵マフィアの数は後少しとなっていた。

 

 

 

 

 

 そして22Rはミサイルが発射されていると思われるポイントに到着し、交戦を開始していた。

 新型のミサイルを搭載した車輌が5両もおり、次のミサイルを発射しようと準備しているところだった。

 

 更に、敵マフィア残党とは違う武装の者達もいた。

 

「あいつら、裏で何と繋がってるのだ!?」

 

 22Rはフルチャージしたレザライをミサイル車輌に撃ち込み、破壊する。しかしまだ4両あるため最優先で狙いたいものの、所属不明部隊がARで迎撃してきているため、数を減らすには時間がかかってしまう。

 

(この部隊、かなり訓練されてるのだ!)

 

 所属不明部隊の練度はかなりのもので、翔達がかつて戦った正規軍の兵士よりも高かった。しかしそれでもと22Rは食い付き、ミサイル車輌はあと1両となるが所属不明部隊最後の1人が投げた手榴弾で22Rの右足が破壊されてしまい、22Rは地面に滑り込むように倒れる。

 

 するとミサイル車輌はミサイルを上に向け、微調整をしている。

 ミサイルの装填が終わったのだ。

 

「させるかぁぁぁぁぁ!」

 

 22Rは倒れたままレザライをチャージし、フルチャージすると同時に射撃し、ミサイル車輌のミサイルコンテナに命中する。そしてミサイルの爆発に位置的に近かった22Rは巻き込まれた・・・

 

 

 

 

 

 オストリッチ小隊とトンプソン達は敵マフィア残党の本拠地、その最深部へと辿り着き、敵マフィア残党のトップに銃口を向ける。

 

「よう、覚悟はできてんだろうな?」

 

 トンプソンは今にも引き金を引きそうになっていた。しかしクリスはそれを制し、敵マフィア残党のトップに近づく。

 

「お前には、俺自身がケリをつける。もう、これで終わりにする」

 

 しかしティスは違和感を感じ、クリスが敵マフィア残党のトップの額に銃口を突きつけたところで違和感の正体に気づく。

 

 敵マフィア残党、そのトップは呼吸の際の体の上下をしておらず、それはまるで・・・

 

「クリスさん逃げて!」

 

 その瞬間、敵マフィア残党のトップの体から大量の針が飛び出た。至近距離からまともに針を受けたクリスは大量に出血しながら倒れ、トンプソンが駆けつける。

 

「おい・・・おい!」

 

 クリスは虚ろな目でトンプソンの肩に手を置く。

 

「すまない、な・・・止血は、いらない。これじゃあ、無理だ・・・」

 

 トンプソンはどうにかしようとするが、針は小さな返しがあるため下手に抜けば出血は更に酷くなる。

 

「ナインボールさんよ・・・トンプソンを、頼む・・・」

 

 そう言ってクリスは息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 作戦そのものは成功、しかし依頼主の死亡により報酬金は町に全額寄付され、トンプソンはナインボールへと引き取られることが、その場で決定された。

 

 しかし、翔とM200の安否は不明なままである──

 

 




 読んでくださり、ありがとうございます!

 すいません、なかなか執筆できる時間が取れず進めていませんでした・・・

 翔の夢に出てきたのは誰だったでしょうか?そして翔とM200、22Rの安否はどうなのでしょうか?
 感想や高評価、お待ちしています!

●ストーク
 クラフターが作った左右2つのメインローターを持つ大型武装ヘリ。

 武装は換装可能であり、現在はバトライと同じ弾頭のミサイルを搭載している。

 機体下部にコンテナなどを吊り下げることができるが、その安定性は高い。
 また、装甲も分厚いため簡単に落とすことはおろかよろけさせることも困難である。

●異性体
 ネイトのなりそこないであり、衰弱しながらもエピフィラムを育て、その花の近くにいる。

 ネイトのなりそこないの中でも生存していた者達であり、死亡した個体と共に廃棄処分としてタリンに移送され、捨てられていた。
 エピフィラムの近くにいるのはコーラップスを吸って成長したエピフィラムは開花の際に多量のコーラップスを撒き、異性体達はそれにより安楽死するからである。

 なお、タリンに廃棄したのは異性体を下手に廃棄処分とすると、情報が漏れる可能性があるからであり、タリンの外ではパラデウスの部隊が万が一にも脱出しないよう監視していた。

 愛に飢えながらも捨てられ、安楽死を望んでいた所に翔達に出会い、以降はナインボールの拠点にて過ごしている。

 余談だが、タリンを外から監視していたパラデウスの部隊はジェノとフォートレスを確認し、すぐに撤退していた。
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