だが、心配する必要は無い。
寝ている翔は夢を見ていた。気がつくと何かの中に座っており、足元にはペダルが、手元にはレバーがあった。更には目の前にモニターがあり、灰色の空間の中にいた。
しかし翔は"乗っている"ということがなんとなく理解できた。
感じられる揺れから、乗っているものは飛行機か何かに格納されていると翔は考え、辺りを見渡す。
しかしそれだけでなく、"何を装備しているか"が頭に浮かぶ。
『ライフル』『レーザーブレード』『増設レーダー』『小型ミサイル』・・・
おそらくは翔の無くした記憶の中にあるのだろう。
《今回の作戦は、工場地帯を占拠した武装集団の撃破だ。失敗すれば、その時は死ぬだけだ》
突然、女性の声で通信が入る。すると前方にあるハッチが開いていき、そこから光が溢れてくる。
そこで翔は目が覚めた。
あの女性の声は聞いていてとても落ち着いた。しかしその女性が誰だったのか、頭に浮かんだ装備はなんなのか、翔には判らなかった・・・
キサラギ研究所へと向かった翔、エクスキューショナーは鉄血製ノーマルモデルの『ヴェスピド』を4人連れていった。
頭部に銀と紫のカラーリングのバイザー付きヘルメットを被っており、武装はARである。
キサラギ研究所の本社へ着くと、社長自ら出迎えてくれた。
「皆さん、来てくれてありがとうございます!私は社長の『ロドン・キサラギ』と申します」
茶髪のオールバックの髪型をし、白衣を着た男性はそう名乗った。しかし若干やつれている感じがあり、本社への攻撃で憔悴しているのが判る。
「ヒャッハァァァァァ!」
「キタゼェェェェェ!」
「イィィィィッツショォォォタァァァイム!」
社長や重役は憔悴しているのに対し、研究員達のテンションは高く、エクスキューショナーは引いていた。しかし翔にはそんな光景がなぜか暖かく感じていた。
その後、早速状況を好転させるために赴く場所を伝えられるが、最近はキサラギ本社を完全に制圧するためか、BOCのハイエンドモデルの姿も確認されているという。
依頼主:ロドン・キサラギ
目標:BOCハイエンドモデル『ドレイク・タートル』の撃破
作戦開始時刻:21:00
BOC製ハイエンドモデル、ドレイク・タートルを撃破してください。
作戦はこうです。
まず、こちらの部隊に敵ノーマル部隊への奇襲攻撃を仕掛け、ドレイク側の戦力を減らします。そしてその間にこちらのハイエンドモデル『プリズム』と共にドレイクを撃破してください。
こちらの物資は乏しく、今回の作戦が成功しなければ存続は危ういでしょう・・・どうか、お願いします。
月明かりが辺りを照らし出す夜、作戦が開始される。キサラギ製ノーマル『グラディウス』と同じノーマルの『FG2』による混成部隊がそれぞれ所定の場所へと向かう。
茶髪のロングヘアにひし形のピアスを着け、上下共に柔らかい素材の青ジーンズを着たプリズムは、服の上に白い装甲を身に付けている。
更に腰の辺りには折り畳まれた脚部のようなものが付けられており、それは背中に張り付くようにしている。
翔は装備の状態を再確認すると、エクスキューショナーにアイコンタクトをする。
「さぁて、やってやるか!」
翔は頷き、分厚い銃身に三角形のスコープが付いた鉄血製のRFを持って立ち上がり、プリズムは右腕に小型のミニガン、左腕に火炎放射器を装備する。
更に、椅子に座るように後ろに腰を下ろすと共に背部の脚部が展開する。
「行きましょう」
実はプリズムは4本脚(以下4脚)のハイエンドモデルであり、地上戦を得意としている。
ドレイクは廃墟となったスーパーの中で味方の状況を確認していた。そして味方のスカル達がキサラギの部隊と交戦を開始し、ドレイクのいる場所から離されていく。
「なるほどぉ、こう来たのねぇ~」
ドレイクはスーパーから出るとキサラギ本社へと歩いていく。
同時刻、ロシアでは──
「アハハハハハッ!」
女性の笑い声が響き、麻薬の密売人が高火力の散弾に撃ち抜かれ、原形を留めない肉塊となる。その背後には同じく原形を留めない肉塊となった者達が散らばっていた。
両手にSGを持った銀の短髪の女性は、陽気に鼻唄を歌いながら歩き出し、そこに刀の形をした両刃の高周波ブレードを逆手に持った黒いお嬢様ドリルの髪型の女性が合流する。
「こちらも目標の掃討、終わりましたわ」
そしてその場に全体を装甲で覆われた武装ヘリが降下してくる。
「にしても面白いよね、"銃のために人形を作る"って発想・・・そうだ!ねぇねぇ『クラフター』、こっちの知識で似たようなの作れないかなぁ!?例えば・・・『ランポルド』とか『ヒットマン』とか!」
銀色の短髪の、先程両手にSGを持っていた女性は返り血のついた顔に笑顔を浮かべながら通信をしている。
《そうだねぇ・・・アタシの技術なら造れるけど、どの銃の奴を造ろうか・・・いや、アタシ達に造る権利があるのかい?》
クラフターと呼ばれた女性の疑問に、場は静かになる。しかし別の女性が通信に入ってくる。
《皆さん、一旦技術についての話は置いておいて・・・帰ったら集めた情報を整理しましょう》
そして、飛び去っていくヘリを見ながら現場を見た誰かが呟いた。
「"死神"め・・・」
この頃、ロシアやドイツ、イギリスなどの地方では正体不明の組織が出没していた。
本当の名前、目的、所属、それは全て不明。判明しているのは、その圧倒的な"強さ"だけである。
そのため、いつしかその組織を知る人々は『死神部隊』と呼ぶようになっていった・・・
かつて行われた爆撃により、ほとんど瓦礫だけが残っている場所にエクスキューショナーとプリズムは立っていた。ドレイクがそこにやって来ると、ドレイクは妖艶な笑みを浮かべる。
「あらぁ、まさかハイエンドモデルが2人ぃ?舐めてるのかしらぁ」
翔は近くの廃墟の中から様子を伺い、狙撃のタイミングを計る。ヴェスピド達は別の廃墟の影に隠れ、翔の狙撃と同時に攻撃するつもりである。
「まあ2人とも・・・死になさいな!」
ドレイクの背部に、まるで亀の甲羅のように装備されていた13個のドリルがロケットの如く飛び出し、エクスキューショナーとプリズムに迫る。
エクスキューショナーは太刀で受け流しながら接近しようとし、プリズムはミニガンと火炎放射器で応戦しつつ距離を離そうとする。
しかしドリルロケットは2人にとって相性は良くなかった。
「攻撃が通らない···囮になるわ」
特にプリズムには相性は悪すぎたのだ。ドリルの回転により弾丸や炎を纏った油は受け流され、プリズムは距離を離して囮になろうとする。
エクスキューショナーは、過去にビットを操る鉄血ハイエンドモデルの友人がいた。同じようにビットを操る敵と退治した時の対応も教わった。
しかしドレイクのものは教わったものと大きく違っていた。
それだけでなく、その友人を撃破したのは目の前のドレイクである。
翔は全てのドリルロケットが攻撃に使われていることを確認すると、窓から銃身を出さないようにしてドレイクの右腕に狙いを定める。
そして・・・
放たれたエネルギー弾はドレイクの右腕を撃ち抜き、ドレイクの右腕を破壊することに成功する。
「狙撃、ねぇ・・・やるじゃない」
ドレイクは1発目で翔のいた方向を特定し、ドリルロケットを2機向かわせる。翔はすぐにその場から退避し、ドリルロケットを避けやすいと思った外へ脱出する。
現状、ドリルロケットには攻撃が通用しないため、どうにかしてドリルロケットかドレイクを何とかする方法を考えつつ、翔は回避し続ける。
(なんとか、なんとかしないと!)
幸い、レーダーのお陰で背後からでもドリルロケットの位置を割り出せているため、回避はなんとかなっている。
しかし翔は途中で躓いてしまい、自身の上をドリルロケットが通り過ぎる。
「翔ぅぅぅ!」
エクスキューショナーが叫ぶが、翔は仰向けのまま伏せ撃ちのような構えを取り、引き金を引く。
なぜそうしたかは判らない。しかし放たれたレーザーはドリルロケットの背部を撃ち抜き、ドリルロケットは爆散する。
その光景に、翔以外は固まる。
翔は起き上がり、眼前に迫るドリルロケットを横に回転して回避し、ドリルロケットの背部に向けて引き金を引く。
こうしてドレイクのドリルロケットは2つ破壊され、残り11個となった。それに対しドレイクは怒りを露にする。
「キサマァァァァァ!」
読んでくださり、ありがとうございます!
再びハイエンドモデルと戦うことになった翔、さて翔はどう戦いますかね?
また、ACの要素が足りないと判断したため、第4話にて加筆修正を行いました。良ければ確認してみてください。
感想や高評価、お待ちしています。
●デストロイヤー
銀のツインテールの髪で勝ち気なツンデレな、鉄血のハイエンドモデル。
武装は2つの榴弾砲であり、両足の外側にホイールを装備している。
爆発物や爆破などのエキスパートであり、BOCの戦力との戦闘により弾のほとんどを消費した後は、爆発物の処理を担当していた。
また、武装と身体に損傷は無かったため、補給線が奪還されるまでは鉄血工造にとって事実上の切り札となっていた。
●ヴェスピド
白と銀のカラーリングのバイザー付きヘルメットを被っており、紫色のポディースーツを来ている鉄血のノーマルモデル。
武装は鉄血製ARであり、中距離戦などでは主力となっている。
●ロドン・キサラギ
茶髪のオールバックの髪で身長175cm、37歳で8月1日生まれ。
キサラギ研究所の社長であり、癖の強い者の多い職員達をまとめている。また、キサラギ研究所の中では1番の常識人でもある。
●プリズム
茶髪のロングヘアにひし形のピアスをつけており身長150cm、肉体年齢は22歳。
武装は右腕に小型のミニガン、左腕に火炎放射器を装備している。
落ち着いた性格をしており、キサラギ研究所では常識人枠である。
腰に第2の脚を装備し、普段は背部に折り畳んでいる。戦闘時には第2の脚を展開して4脚となり、地上戦に特化したモードとなる。