派生型システムの構築を開始。
「これが・・・アクアビットマンだぁぁぁぁぁっ!」
その雄叫びを、ハッキリと覚えている。
あの瞬間、自分はヒーローになった。いや、翔がヒーローにしてくれたのだ。
アクアビットマンはそれまで、アクアビット社やその後に建てられた『トーラス』社以外の企業からの目は悪かった。
そもそもトーラス自体風当たりが強く、良い目では見られなかった。
アクアビットマンは他企業からはネタにされ、笑われ、侮辱されており、パーツを使う人も少なかった。
アクアビットマンは高い瞬間火力と極めて高いPA性能を持っていた。
しかし装甲が極めて薄く、機動力も低く、継戦能力も低かった。
しかし、翔は依頼によりアクアビットマンを使用して見事勝利を納めたのだ。
その瞬間、アクアビットマンは社員にとって紛れもないヒーローとなった。
「・・・というのは、こっちでは存在しない話だけどね」
眉毛をハの字にしてアクアビットマンは拠点の屋上でぼやく。
本来起こり得た未来の話など、現代では存在しない出来事なのだから。
しかし、たまには思い出に浸るのも悪くないと思い、空を見上げる。
空は昨日雨だったからか晴れ渡っていた。
すると、クラフターからの連絡が入ったため工廠へ向かうこととなる。
「なんだろ?」
工廠へ向かったアクアビットマンが見たのは、新しい装備の数々だった。
「わぁ・・・!」
しかもそれらは、本来起こり得た未来にある装備を今のアクアビットマンのために再構築し、武器は再現を行ったものである。
アクアビットマンは、現代のアクアビット社に造られてからヒーローとして活躍していた。
単に戦うだけではない、ヒーローショーを行ったりもしていた。
自分はアクアビット社に造られたハイエンドモデルである。
しかしなんだか、ずっと昔からヒーローになりたいと思っていた気がしていた。
単なる気のせい、そう思っていた。
子供だけでなく、大人からも笑顔の声援を送られ、輝く姿は自分でも誇らしいと思えるものだった。
けれどもどこか満たされない・・・
今のこの姿を、1番見てもらいたい人がいる。
だがその人はどこにもいない・・・
それ故に、自室で1人になるとよく絵を描いていた。
誰かも分からない、輪郭も何もかもが分からない、"誰か"を。
しかし完成しない絵に、苛立ちを覚えたこともある。
任務が終わった後、1人で静かに泣いたこともある。
1番感謝を伝えたい、立派なヒーローになった自分を見てもらいたい。
けれども顔も、名前も、何もかも思い出せない。
まるで最初から何もかも無かったかのように。
存在が、無かったかのように。
恋ではない。
憧れであり、目標でもある。
しかしなぜ憧れたのか、なぜ目標にしたのか、それすらも分からなかった・・・
だが、心の奥では虚しさと悔しさも感じていた。
なぜなら、憧れと同時に・・・
その人を、守れなかったという気持ちもあったからである。
新たな装備を身に付けたアクアビットマンは、ROSの動きが確認されたという石切場に来ていた。
隣には翔がおり、狙撃地点にはM200がいる。
別の場所からはナディアとトンプソン、AA-12が待機している。
アクアビットマンの服は水色の装甲と黒のインナーで構成されているが、腕や足の装甲は一部黒となっている。
武器は右手に『コジマライフル』の『アクシス』、左腕にレーザーブレード、両背部に『PA整波装置』、右太ももにHGを装備している。
そして、アクアビットマンの左手にはあるものが握られている。
白く、真ん中に黒い横棒のようなものがあるシンプルな見た目の仮面であり、同時に頭部を守る装甲とデバイスを兼ねている。
後頭部には既に黒い装甲を付けており、アクアビットマンは周囲を見渡す。
《・・・それでは、作戦開始です》
ジェリコからの通信と共に、M200とナディア達による攻撃が開始される。
翔はナディア達とは反対方向から攻撃していき、アクアビットマンはハイエンドモデルが現れるまで待機である。
ポーンの攻撃はAA-12のシールドとトンプソンのバリアにより阻まれ、一方的に攻撃されていく。
そこにビショップが接近してくるが、ナディアのナイフを装甲の隙間に刺されて倒れていく。
《・・・そろそろハイエンドモデルが出てきてもおかしくありません、注意してください》
続いて布が被されていたルークが現れるが、翔が1点に攻撃を集中させたところにM200が狙撃し、バリアが破壊される。
そしてM200の狙撃が行われ、ルークは機能停止する。
次に翔達が建築されていた施設に入ろうとすると、ジェリコの予想通り施設からポーンを連れてハイエンドモデルが現れる。
「あ~あ、強いのとは出会いたくなかったんだけどなぁ~。だからこんな辺鄙な場所に来たってのになぁ~」
気だるげな声のハイエンドモデルは灰色のボサボサの髪をしており、水色に白の水玉模様の入った防護服を着ていた。
両手に火炎放射器、背部には2つの紫色のタンクと水圧砲を装備している。
「私は『
薄くクマのあるタレ目でマーゲンは翔達に銃口を向ける。
その時、マーゲンの前に仮面を着けたアクアビットマンが降り立つ。
推奨BGM『Blind Alley』(AC4より)
「コジマから解き放たれ、赤き粒子を得た戦士!アクアビットマン、参上!」
アクアビットマンは右手を右斜め上へ、左手を左下へそれぞれ向け、右膝を右へ傾けつつ胴体は真っ直ぐにしたポーズを取った。
「マーゲン、あなたの相手はこのボクです!」
「う~わ、苦手なタイプ~」
アクアビットマンはアクシスをチャージしつつ接近しようとす。
しかしマーゲンは水圧砲で強酸を砲弾のように発射し、アクアビットマンの接近を妨害する。
アクアビットマンはそれでも距離を詰めていくが、マーゲンは火炎放射器を使う。
アクアビットマンは火炎放射器を容易く回避していくが、放たれた炎が強酸に触れた途端、強酸は爆発を起こす。
「なっ!?」
驚くアクアビットマンを見て、マーゲンはめんどくさそうではあるが笑みを浮かべている。
しかし、気づけば強酸と炎により動ける足場は減っていてきた。
アクアビットマンの体はPAによって守られているとはいえ、水圧砲と火炎放射器、そして爆発による広範囲攻撃をいつまでも耐えられるわけではない。
その証拠に、回避しきれずに攻撃を受けたPAは減ってきている。
更に、コジマライフルはチャージの際にPAを消費するため、PAの減衰はより早くなっており、回復もできない。
「あ~れ~?ず~っと回避してばっかりじゃ~ん?」
だが・・・それでも、アクアビットマンの口元は微笑みを絶やさなかった。
あの日、アクアビットマンはBOCのバリア発生装置を破壊する作戦の際、作戦に参加するメンバーの名前を確認していた。
その中にあった翔の名前・・・その名前を見た瞬間、強烈な既視感と嬉しさが込み上げ、気分が高揚していた。
その時はなぜ、名前しか確認していないその者に対しこんな気持ちになるのか理解できなかった。
もしかしたら・・・とも思ったが、結局会えずじまいだった。
しかし、BTDの1件の際に初めて翔と顔を合わせられた。
その時、なぜか心に「また会えた」「今度こそ守る」などの言葉が浮かんできた。
けれども1歩及ばず、アクアビットマンは被弾してコジマ粒子を周囲に漏らしてしまった。
危険だが、守るために使っていたコジマ粒子。
それが漏れ出てしまえば、周囲が汚染されてしまう。
そこを翔に助けられ、同時に全てを思い出した。
だから・・・
アクアビットマンのPAはほぼ全て剥がれている。
しかし、アクアビットマンは挑戦的な笑みを浮かべている。
「・・・う~わ、まだ諦めないの?」
「そうだよ・・・だってボクは・・・」
アクアビットマンはチャージが完了したアクシスを掲げる。
「アクアビットマンだからさ!」
アクアビットマンはマーゲンに接近していき、マーゲンは壁を背にして強酸と炎を撒き散らす。
しかしアクアビットマンは飛び上がり、QBで一気にマーゲンに接近する。
そしてレーザーブレードで火炎放射器と背部のタンクを斬り落とし、レーザーブレードの刀身を消し、マーゲンの胸ぐらを掴む。
アクアビットマンはマーゲンを上に投げ飛ばし、アクシスの銃口を向ける。
「これが・・・アクアビットマンだぁぁぁぁぁっ!」
フルチャージしたアクシスの引き金を引き、アンチコジマの塊が放たれる。
着弾したアンチコジマは爆発を起こし、マーゲンは塵1つ残らず消え去った。
アクアビットマンは翔に向かって振り向く。
翔は力強く頷いた。
君はヒーロー、アクアビットマンだ──
読んでくださり、ありがとうございます!
なんとか投稿できました・・・
今回はアクアビットマンがメインの話でしたが、どうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています!
●トーラス
データがロックされています。
●コジマライフル
コジマ粒子を集束させて圧縮し、レールガンと同様の電磁誘導で発射する射撃兵装。
コジマ粒子を集束させるためにPAを消費する他、弾速が遅く射程も短く、距離減衰も大きいため扱いに大きな難がある。
『アクシス』
本来起こり得た未来のアクアビット社が開発したコジマライフルで、弾速はコジマライフルの中では最も速い・・・が、それでも弾速の遅さは解決できなかった。
●PA整波装置
PAを強化する装置。
●マーゲン
灰色のボサボサの髪をしており身長158cm、肉体年齢は16歳。
水色に白の水玉模様の入った防護服を着ている、ROSのハイエンドモデル。
武装は両手の火炎放射器、背部には2つの紫色のタンクと水圧砲を装備。
面倒くさがりな性格で、常に気だるげな雰囲気でいる。
敵の足場を封じて戦うことを得意としているが、水圧砲が射撃の方法を単発と照射を切り換えられる事から対空もある程度できる。