データシステム、更新。
ネイト、異性体・・・それはどちらもクローンである。
しかし人ではなく、機械でもない。
だが人の要素と機械の要素を併せ持っている。
では自分はなんなのか?
1人の
そして、オリジナルは一体どんな人なのだろうか?
ある日、アデリンは翔に「オリジナルに会いたい」と頼んでみた。
「私は、廃棄されたとはいえ・・・クローンであり、完全な人でも、機械でもなく、でもどちらの要素もある。私は、知りたい。私自身の、ルーツを・・・」
翔は快く了承し、銀治と連絡を取ってくれた。
銀治とモニター越しに話したが、オリジナルであるM4の了承も必要であるため、返事は後日となった。
その後、翔はアデリンの格好を見てあることを思い付いた。
「そういえば・・・」
アデリンの格好は黒ネイトのままであり、このまま行けば銀治の指揮下の戦術人形達に誤解を生む可能性があり、長期的に見ても誰かと誤解を生む可能性があった。
そのため、アデリンの格好を新調することを提案した。
服装だけでなく、機械の手足の見た目もである。
「それに・・・君は単なるネイトでもクローンでもない。かといって人形でも無い。君は君で様々な過程と経験を得て、選んで、進んできた。それは誰のものでもなく、君自身のものだ。だから、君は君だ。他の誰でもない、アデリンという1人の存在感なんだ」
アデリンはその後、翔と共にクラフターに新調することを頼み、クラフターは採寸とアンケートを取った。
そしてデザインをし、新調の日となる。
その日の前日には、銀治からM4からも了承を得られたことが伝えられており、アデリンの胸は高鳴っていた。
「さて、麻酔をするよ。目覚めた後の事を楽しみにしてな」
手術が終わり、目を覚ましたアデリンの前にクラフター大型の鏡を置く。
「あ・・・」
アデリンの手足は見た目がほとんど人に変わり無いものとなっており、手術の際の薄い線があるものの、ほとんど気にならないものだった。
手足を撫でてみると、機械ではなく人肌の感触がする。
「機械の部位で人間と掛け離れている場所は、人間と同じにして翔と同様の人工皮膚で覆った。だから感触も人間とほとんど同じだ」
次にアデリンの新たな服を渡される。
ネイトの面影を多く残すものではあるが、赤と黒を基調としたものになっており、右肩にはナインボールのワッペンも着けてある。
アデリンは手足の指を動かしてみる。
かつては棒のようだった足先は、今や人間と変わらない足であり、立ってみるとペタリとした音と共に床の感触がよく分かる。
そして靴下と靴を渡され、履いて歩いてみる。
それまでと違う足の形と歩き方に、最初は戸惑ったもののすぐに慣れた。
「ついでに、新しい武器を用意してみた。気に入ったら使ってみてくれ」
その武器は片手で持つ射撃武器であり、229と同じレーザーライフルだった。
型番は『Au-L-K37』、通称ナカサワである。
「レーザーライフルの中でも火力が高い。でも229と同様、最大火力で撃つにはチャージが必要になる。で、そのチャージ時間はだいたい2.5秒ってとこだ」
そしてもう1つの武器を渡される。
それはとあるSMGに近い見た目をしており、拳銃に近い本体にサイレンサーとロングマガジンがつけられている。
「こいつは『AKIGIRI mdl.2』、別名『プロヴォ』。分類では第5世代型『ハンドガン』になるが、削り性能で優れていてな。銃身の長さも考えて、ナカサワの次弾装填までの約4秒を補助するために用意した」
アデリンはナカサワを持ってみるが、かつての武器と同じくらいの重量を感じ、もう片方の手にプロヴォを持ってみる。
「これが・・・私の、新しい武器・・・」
そして、M4の了承が得られたためアデリンは翔と共に銀治の基地へと向かった。
スパスに護衛された銀治が出迎え、基地の中へと入っていく。
基地の中では"赤いネイト"となったアデリンに様々な目が向けられていた。
基地の中と人形達をアデリンは興味津々で見渡しており、敵意の無い様子に他の人形達は安心していった。
その後案内された一室に、M4はいた。
M4を目にした途端、アデリンは目を丸くして歩み寄った。
M4はというと、若干警戒するが初めて憧れのものをその目で見た子供のようなアデリンの表情に困惑した。
「私は、アデリン・・・あなたが、M4A1?」
「そうよ。私がM4」
相手がM4だと確定した瞬間、アデリンは静かながら笑みを浮かべる。
ネイトが笑みを浮かべるのを初めて見たM4は驚き、アデリンはそのまま話し出した。
「会えて良かった・・・私は、ネイト。あなたのクローンであり、量産型。私はずっと、自分のルーツを知りたかった。そして今、ようやく会えた」
M4はかつての失格異性体の事が頭をよぎったが、その様子はアデリンには無かった。
「私はネイト。けど、自分で名前を付けて、自分で選んだ道を歩んで、私は単なるクローンでも、ネイトでも無くなった。この身体も、新しくしてもらった」
アデリンは手足を見せる。
人とほぼ変わらない手足で、機械の部分が剥き出しであるネイトとは大きく違っていた。
「私は、私のルーツである、あなたと話がしたい・・・いい?」
M4は少しだけ笑みを浮かべた。
「・・・いいわよ。座って」
それから2人は会話に花を咲かせた。
好きな食べ物、最近見た映画やドラマ、面白かったこと、楽しかったこと。
復讐ばかりに目が行っていたM4にとっても、この会話は新鮮だった。
目の前にいるアデリンは、もはや単なるネイトでもクローンでも無い。
1つの個性を持った"アデリン"である。そうM4は自然に確信していた。
その頃、翔は銀治と別室で話をしていた。
内容は敵対勢力の動向である。
銀治からもたらされた情報は、パラデウスはドイツでの活動が最も活発であり、ドイツに本拠地がある可能性が高いこと。
そしてどうやら、コーカサス社やROSにとってパラデウスやG&Kも排除対象になっているようである。
「ナインボールだけじゃなくて、なんでそっちも・・・」
「俺にもわからん。だがこの前、作戦中にコーカサス社のハイエンドモデル、タワーが襲撃してきたからな」
次に、翔はコーカサス社やROSとの現状や、幼体ネイト達と異性体達の事を伝えた。
すると扉がノックされ、スパスが顔を覗かせる。
「2人の話、終わったみたいだよ」
基地を出る直前に、アデリンとM4は向かい合った。
「ありがとう、M4・・・また、会える?」
「・・・いつでも来ていいわ」
2人は握手を交わし、アデリンと翔は基地を出て帰還していった。
そして帰還の最中、アデリンの表情をにこやかだった。
その頃、ドイツのとある海岸に1人の少女・・・いや、ネイトがいた。
過去にジェノ達に闇鍋を食べさせられることになった最上位ネイトの1人である。
そのネイトは白いサイドテールを揺らしながら海岸に足を踏み入れ、周囲を見渡す。
しかし、サーフィンをするのに良さそうな波があるくらいで、特に異変や敵対勢力はいなかった。
「なによ・・・『ネムラン』姉様からの頼みだから来たってのに、なんも無いってどういうことだ?」
すると一際大きな波が起こり、サーフボードで波乗りをしている水着姿のジェノが満面の笑みで現れた。
「ナ~ルシ~スちゃ~ん!あ~そ~ぼ~!」
『ナルシス』と呼ばれた最上位ネイトはすぐに逃げようとする。
ナルシスは最上位ネイトであり、失敗や撤退は余程の事が無い限り許されない。
そして今回はその余程の事である。
「うわあああああ!」
しかし砂の中から手が伸び、ナルシスの足を掴む。
すると砂の中からダイバーがニュッと顔を出した。
「騙して悪いが一緒に来てもらうですそして遊ぶです」
「なっ、なんだとっ!?」
するとナルシスは背後から目隠しをされ、更にそのまま縛られていく。
「な、なにすんだっ!」
ナルシスに目隠しをしたのはスライサーであり、その目に光は無かった。
「ここから目的地までの道のりは明かせませんが・・・とても速く着くので気にしないでください・・・大丈夫です、きっと・・・すぐ、慣れますから・・・ハイ・・・」
「いやそれ大丈夫じゃない方法だよな!?」
するとジェノはナルシスを脇に抱えて"移動装置"まで歩いていく。
「さぁさぁレッツゴー!」
「はぁなぁせぇぇぇ!」
そして、パラデウス本拠地には以下のメールが送られており、最上位ネイト達の頭を悩ませた。
『ちょっとナルシスちゃん借りてくね(>ω・)b』
読んでくださり、ありがとうございます!
今回はアデリンの回でしたがどうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています!
章毎の解説については今後、現在進行している第6章が終わり次第、解説を投稿することにします。
●ラビアタ
本来起こり得た未来の第4世代型ライフル。
十分な総火力と射程を持ち、高い汎用性を持っている。
しかし空中戦を想定されているため、ガリルの烙印更新の際にジャンプ力の強化をすることで、できる限り空中戦を行えるようにしている。
●オストリッチ小隊の新スキル
スコーピオン『継承・敬礼』
スキル『焼夷手榴弾』によって燃えている範囲の敵に対し、与えるダメージを50%増加させる。
また、増加したダメージは装甲に影響されない。
IDW『月夜の侍』
スキル『援護集中』を発動すると同時に、敵1対に8000の固定ダメージを与える。
ティス『FCS補助T』
常時回避率を30%上昇させ、スキル『突撃集中T』の効果時間が終わると共に1秒かけて敵1対をロックオンし、その敵への命中率を80%上昇させる。
ガリル『機動射撃・隊長』
スキル『精確集中』の効果時間が残り5秒になると、自身の回避率と移動速度を50%、火力を30%上昇させ、自分以外の味方全体の命中率と回避率を30%上昇させる。