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「─────・・・・・・・・アアアアアアアアアアあああああああああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」
凄まじい勢いで空を飛ぶ、オレンジの枠で囲われた黒いカプセルのようなものがあった。
その中にいる者は、あまりの速さに涙目になりながら叫んでいた。
そのカプセルのようなものは、地中海へ飛び、その先にあるブラックエリアへ飛んでいった。
そのブラックエリアにある、塔のような建物にカプセルは激突し、壁を突き破る。
すぐに警報が鳴り響き、ネイト達が集まってくる。
するとカプセルのようなものが開き、中からフラフラとナルシスが出てくる。
「よ、ようやく・・・帰れた・・・」
中から出てきたナルシスにネイト達は顔を見合せ、最上位ネイトも駆けつけてくる。
「ただいま・・・お姉様・・・その・・・」
しかしナルシスに対し、最上位ネイトはこめかみにミミズのような血管を浮かべつつ、ナルシスを呼んでいる呼んでいる者がいると、ナルシスを案内する。
「呼んでるのって、もしかしてお父様?」
「はい。なんでも、翔・ニールセンの事で聞きたいことがあるとの事です」
ナルシスは"お父様"の前に立つ。
ネイト達がお父様と呼んでいる男性は焦りとも不安とも取れる複雑な表情をしている。
男性はナルシスを見ると、すぐさま歩み寄った。
「ナルシス・・・翔・ニールセンはこの写真の男で間違い無いか?」
「はい、間違いありません」
答えを聞いた男性は、頭を抱えて天井を仰いだ。
「まさか・・・本当に、本当に"あの"翔・ニールセンだったとは・・・」
お父様がなぜ頭を抱えているのか、この時のナルシスには解らなかった。
その後、お父様は自室に戻って金庫を開ける。
金庫の中には1丁のリボルバー、最低限の金銭を入れた財布、そして2枚の写真があった。
1枚は自身とその姉の写った写真。
もう1枚は七刀会のメンバーの写真である。
「愛海さん・・・僕は、彼に合わせる顔が、無いよ」
お父様は顔を歪め、ため息をついた。
しかしこの時、カプセルの中にあった1枚の手紙に誰も気づいていなかった・・・
『借りてたナルシスちゃんをお返し致します。
そして『グリク』、次はお前だm9(^д^)
ジェノサイダーより 』
1週間後──
ナインボールの拠点、その広間にメンバーが集まっていた。
そして広間の壇上に翔が立った。
翔の目には確かな決意が宿っており、メンバー達はそれを感じていた。
「皆、集まってくれてありがとう。今日は大事な話があるんだ」
翔は軽く深呼吸をしてから口を開く。
「まず、これからナインボールは・・・4つの目標と2つの計画を進めることになる」
その計画の目標は、以下の通りである。
①コーカサス社とROSを完全に壊滅させ、ゾディアック全てを迎え撃つ。
②パラデウスを止める。
③プロメテウス計画を止める。
④エクシーナインの再来に備える。
「エクシーナインは、かつて人間が産み出したAI。それは人間を絶滅させることを選んで、人型兵器を作った。あれはかつて僕が破壊したけど、バックアップが無い保証はどこにも無い。だからそれに備え、見つけ次第完全に破壊する」
そして、①~③の目標を遂行するため、ナインボール独自のノーマルモデルを開発する計画。
それが『MT計画』。
次に、かつて世界を滅ぼそうとしたAIであるエクシーナイン、それの再来を危惧して"切り札"を作る『NX計画』。
計画はクラフターがメインで進め、NX計画を進めるために作業用のノーマルモデルも開発する予定である。
「以上が、僕から伝えたかった事。何か質問はある?」
すると、すぐにジェノが手を挙げる。
「じゃあ、ここから本気でやっちゃって良いんだね?思いっきり壊して、思いっっっきりグッチャグチャにして?」
ジェノの狂気を孕んだ笑みに、M200は目を見張る。
これまで、ジェノはずっと手加減していたのかと。
だがバタフライムーンの他のメンバーの反応を見ると、どうやら他も手加減していた様子である。
「作戦に支障の無い範囲なら、思う存分に」
「やった~!」
ジェノは拳を突き上げながら舌舐りし、次にアデリンが手を挙げた。
「妹達が、自分達も力になりたいと言っている」
「分かった。なら資材運びなどの拠点内でできる事をお願いするよ」
次に、ランポルドが手を挙げる。
しかしその体は微かに震えていた。
「その計画だと、日本以外全ての国家を相手にする可能性がある。少なくともドイツは確定だろうが、それで良いのか?」
「覚悟は、もう決まってる」
ランポルドは獰猛な笑みを浮かべ、指をユラリと動かす。
「ああ・・・ならば楽しみだ。存分に、楽しませてもらおう!」
他に質問のあるメンバーはいない様子だったため、それで解散にした翔は屋上に行き、星空を見上げる。
「愛海さん、僕・・・やるよ」
美しい星空は、まるで翔を見守るかのように輝いていた。
ドイツ某所──
会議室にはプロメテウス計画の上層部が集まり、会議をしていた。
「・・・つまり、日本の政府と企業は民間含めて全てが、計画への参入を断ったと?」
グリフィンは日本への交渉を担当した者に問いかける。
担当者は七三分けの黒髪に、端正な顔立ちの男性だが、その表情からは怒りが露になっていた。
「ああ・・・あの国はコーラップスの影響やアリオール社との交戦により被害は大きいはずだ。なのにどれだけ支援を提示しようとも、民間までもが全て断った・・・」
担当者は怒りに拳を握り締め、他の者はからはため息や歯軋りの音が聞こえる。
「なぜあれだけの支援を断るのか・・・」
「この計画がどれだけ素晴らしいものなのか、なぜ理解しない?」
「そもそもあの国に、そこまでの結束力などあったのか?」
そんな言葉も口々に聞こえてくる。
「この件に関する案は長引きそうだな・・・次の議題に移ろう。例の、赤い粒子についてだ」
それぞれの席にあるモニターに、いくつかのエリアが表示されており、エリアの一部が赤い円で囲まれていた。
「翔・ニールセン、奴が特に激しい戦闘を行ったエリアだ。そこで確認された正体不明の赤い粒子。それは緩慢ながらも増殖し、周囲に広がっている」
次に、コーラップスや他の汚染の推移が表示される。
翔が激しい戦闘を行ったと思われる時間から、日が経つ毎に汚染は減っていっている。
更に、一部エリアでは汚染は完全に浄化されている。
「赤い粒子による汚染の浄化は、最終的にホワイトエリアへと変えるまでに至っている」
ホワイトエリア──
致命的な汚染が広がっているブラックエリアとは逆に、コーラップスによる汚染が完全に無いエリアである。
ホワイトエリアは世界でただ1つであり、そこへ入れるのは特権と言って良い程の価値がある。
「ホワイトエリアは、その貴重さを保たねばならん。貴重であるが故に人々はそれを求め、守り広げるために行動していく。それを我らが誘導し、計画へ導いてきていた・・・だが」
一呼吸置き、別の者が口を開く。
「あの赤い粒子のせいで、その貴重性が損なわれ始めている。簡単かつ自然に拡大するホワイトエリア・・・そんなものが確立されれば、計画から離反する者も出てくるだろう」
すると、モニターに翔とナインボールのエンブレムが表示される。
「既に拡散している粒子は、どうにかして封じ込めと除去をせねばならん。だが、あの赤い粒子の元凶である翔・ニールセン、奴については・・・」
その場が静かになり、それはもう既に答えが決まっていることを意味していた。
「奴を、消さなければならない」
頷く者、賛同の言葉を口にする者、それぞれの反応の仕方はは違えど、全員が賛同していた。
「奴は、我々が作る世界・・・世界の輝きを更新するための障害となっている。来るべき新世界に、その"管理"に、奴は不要だ」
そして、全員一致により翔・ニールセンの排除は決定された。
また、翔が長を務めるナインボールも排除する方針となった。
読んでくださり、ありがとうございます!
次の番外編を終えてから各章の設定を追加し、それらが終わり次第次の章へ参ります。
それはそうと、脳内でBeyond the timeが流れ続けて進んでませんでしたすいません・・・
今回はパラデウス、ナインボール、プロメテウス計画と、それぞれの変化がありましたが、どうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています!
ちなみに、前回の前書きはあいうえお順に1文字ずつ戻すと本当の言葉になります。
●ナルシス
白いサイドテールの髪に黄色い仮面を下げており、露出の多い黒い服を着ている。
パラデウスの最上位ネイトである。
主な武装はホバーブレード。
非情かつ殺しを楽しむ性格で、敵を徹底的に叩き潰している。
しかしそれは、精神的な負荷を度外視して改造されたからであり、精神的にも肉体的にも負担が大きく、常に不安定になっている。
戦闘では複数のホバーブレードと高い機動力を駆使している。
ホバーブレードの威力は見た目より遥かに高く、衝撃波すら伴って敵を破壊する。