やり方は自由だ、思うがままにやれ。
疲れ果てた翔は眠り、いつもとは違う夢を見た。
見たことの無い場所に立っていたが、そこは荒廃していた。しかしそこは翔にとって、非常に重要な場所であることが感じられる。
ふいに、誰かの気配を感じて振り返る。
「よう」
声や体格からして男性である事は判るが、逆光で顔が見えない。
「どうした?そんな暗い顔して・・・誰かを助けられなかったか?」
その言葉に、翔はハッとした顔をしてから身を縮こませる。
「やっぱりな・・・精一杯助けようとしたが、そうなったらそりゃ辛ぇよな」
翔は絞り出すように、男性に話してみる。目の前の男性なら、話しても良いと思えたからだ。
「僕は・・・誰も、殺したくない。殺したくなかった・・・けど、もう・・・判らないよ。頭の中がぐちゃぐちゃで、どうすれば良いか判らないよ・・・」
翔は拳を握り締め、ポロポロと涙を流す。そんな翔を男性は認める。
「お前はずっと頑張ってきてる。それは紛れもない事実だ」
翔が顔を上げると、男性は翔の目の前に立っていた。しかしすぐ近くにいるのに、顔どころか全身が逆行により見えない。
「だが、苦しいよな・・・」
翔は俯き、頭を抱える。
「僕は殺さないために、殺さない事を選んだのに・・・でも・・・」
「それは、本当にお前が選んだ答えなのか?お前は、ただ殺さないだけの戦いを選んだわけじゃ無いだろう?」
翔は顔を上げる。男性は先程より近いところに立っていた。男性は翔の肩に手を置く。その手は温かく、そして力強かった。
「戦え、戦って手を伸ばせ。戦わなければ、守ることも生き抜くこともできない・・・戦えば、お前の優しさを本物にすることができる。お前が本当に選んだ"答え"は、その先にある」
すると光が弱まり、男性の顔が見える。その男性は──
翔が目を覚ますと、自室の天井だった。
翔が部屋から出て食堂へ向かうと、そこでは丁度バリアの発生装置の話が出ていた。デストロイヤーから話を聞いた翔はロイラの元へ走った。
ロイラのいる執務室へ入ると、翔は作戦への参加を頼み込む。
「この前の事、忘れたわけじゃないでしょうね?」
翔は真剣な顔で頷く。
「もう、決めました・・・」
「なるほど、なら良いわ。ただし、配置的にハイエンドモデルとの戦闘はほぼ無いわよ?」
翔はそれを了承し、執務室から出ていった。するとアルケミストと鉢合わせる。翔の表情を見たアルケミストはニヤリと笑みを浮かべると、翔の腕を掴んで引っ張っていく。
「少しはマシな顔になったな、行くぞ!」
アルケミストに連れられてきたのは演習場だった。アルケミストは翔に演習用の装備をさせ、アルケミストも演習用の武器とペイント弾を持ってくる。
「誰かを助けたいなら、強くなるしかない。弱ければ弱い分、守れるものは減っていく。だがお前の性分じゃ、手を伸ばそうとするだろ?だったら強くなってみせろ」
そしてアルケミストは翔に銃口を向ける。翔も手に持ったARを向ける。
アルケミストは試合開始のブザーが鳴ると同時に走り出し、翔はARの引き金を引く。
その頃、アクアビット社と有澤重工のハイエンドモデルはそれぞれ合流地点へ向かうための中継地へと向かっていた。
アクアビット社のハイエンドモデルはヘリで、有澤重工のハイエンドモデルは装甲車で向かい、各中継地へと到着した。
そこで先行して偵察をしているシーカーから情報を受け取る。情報にはその時点での敵の配置、種類、確認された敵の数などが記されていた。それらの情報を元に編成の確認を行っていく。
こうして、バリア発生装置の破壊作戦の準備は着々と進行していくのだった。
アルケミストは、翔の動きが訓練の時よりも良くなっていることに気づいていたが、報告にあったような回避力は感じられなかった。良くはなっているが、荒さが目立っている。
アルケミストは自身に備えられた機能であるテレポートを使い、あらゆる方向から翔に攻撃を仕掛けていく。すると翔は防戦一方となる。
また、その様子をエクスキューショナーとヨルムンガンドが見ていた。
「おかしい・・・あの時の動きはなんだったんだ?」
エクスキューショナーは腕組みをしつつ、首を傾げている。ヨルムンガンドも翔の様子を観察し続けている。
「翔には過去の記憶が無い。けれど、一時的に復活することはあるかもしれない、特に肉体の記憶は・・・それに、記憶が戻る要因の1つとして、命の危機に瀕した時もあるのかもな」
試合は結局、アルケミストが勝利した。しかしアルケミストは翔を強くするため、再戦することにする。翔は頷いて立ち上がり、休憩室へと向かった。
ドイツ東部にある、とあるテロ組織の拠点が襲撃を受けていた。
「来るな!来るなぁぁぁぁぁ!」
構成員達が逃げ惑い、廊下の角を曲がったところで角待ちをしていたジェノは、赤い色をしたパイを構成員の顔面に勢い良く叩きつける。そのパイにはデスソースがタップリと入っており、構成員は床の上を転げ回る。
今や死神部隊と呼ばれているジェノ達は、何を思ったのかデスソースがタップリと入ったパイを、テロ組織の構成員達の顔面に叩きつけて回っている。
ガスマスクやフードを着けた者はそれらを剥がされ、パイを叩きつけられている。
殺される事は無い代わりにとてつもない苦痛が待っているため、構成員達は走る。攻撃しても回避されるため逃げに徹し、中には戦車の中に入ったものもいた。しかし・・・
「ギャアアアアア!」
戦車の中には、顔にパイが叩きつけられるように巧妙なトラップが仕掛けられており、更には戦車が動かせないよう細工がされている始末である。
全ての構成員にパイを叩きつけ、依頼主に引き渡したジェノ達は徒歩で回収予定地点まで向かっていた。
「1回やってみたかった事だから、楽しかったな~!」
ジェノは陽気にそう言っているが、その横にいる銀色のツインテールの髪の女性は若干後ろめたさを感じていた。
「あの・・・やった後で言うのもなんですけど、あのやり方で良かったのでしょうか?いくら無力化が目的とはいえ・・・」
ジェノはニヤリとした笑みを浮かべて答える。
「良いの良いの!どうせ『ハスラー』やお兄ちゃんはいないんだし、自由にやったって良いでしょ!」
そしてクラフターは大きく笑っている。
「アッハッハッ!確かにな。依頼主の顔は引きつってたが、兄貴もこの状況を見たら顔が引きつるだろうさ」
一行は廃れた道を歩いていった・・・
道中、証拠を消すために現れた依頼主の私兵を皆殺しにしつつ──
そして翔は、仮眠の際に再び記憶の夢を見た。幼い頃の記憶である。
公園で転び、泣いていると親がやって来てしゃがむ。そして土を払い、擦りむいた膝に絆創膏を貼ってくれた。目の前にいるのは母であり父である、なぜか翔はそう感じていた。
「立てるか?」
翔は親から差し出された手を取り、立ち上がる。
そして手を繋いで帰路を歩き、親を見上げる。
親の背後にあるその空は偽物であり──
親はいつの間にか機械になっていた──
赤と黒のカラーリングで、背中には大きな翼のようなものが付いていた──
そして、左肩には黒い球体に黄色く『9』が描かれたエンブレムがあった──
"2人"は、夕暮れが再現された街を歩いていった──
翌日、鉄血の部隊もバリア発生装置の破壊のために出撃することとなり、翔はヘリに乗り込む。その空はバリアで覆われており、偽りの空のようだった。
その目には、これまでよりも光が宿っているように見えた。
読んでくださり、ありがとうございます!
翔を励ましてくれた者と"親"は誰だったのでしょうか?
それと・・・パイに関しては出来心だったんです許してください。
また、第1話に思うところがあったので加筆修正しておきました。
※"赤い粒子"はAC6のコーラルではありません、ご注意を。
感想や高評価、お待ちしています。
●エクスキューショナー(日本仕様)のスキル
『明鏡止水・居合』
最も体力の多い敵に斬撃を行い、30倍のダメージを与える。ダミーがいる場合はダミー全てに等しくダメージを与える。
また、この攻撃を受けた敵は5秒間の間、装甲値が半減し受けるダメージが50%増加する。
『処刑最終楽章/歌舞伎』
スキルボタンをタップするとモード変更可能。
・龍の舞
デフォルトで設定されており、HGで目標に1倍のダメージを与え、3回攻撃する毎に2倍の斬撃(衝撃波)によるダメージを与える。
・鴉の舞
近接戦闘モードに切り替え、射速が15%低下した状態で1.2倍の斬撃による攻撃を行い、必ずクリティカルとなる。
また、正面3ヤードの範囲に衝撃波による0.8倍のダメージを与える。
『一閃/日本仕様』
近接戦闘モードに切り替えた際、5秒間火力と回避を50%上昇させる。
『桜吹雪』
自身の体力が残り10%になると、体力の20%のシールドを展開すると共に、最も脅威度の高い敵に32倍のダメージを与える。
●シーカーのスキル
『観察眼/潜伏』
20秒間自身の回避を40%、味方の命中とクリティカル率を30%上昇させ、味方のクリティカルダメージは2倍となる。
また、効果が発動中は自身の射速は10%減少する。
『懐へ』
敵に接近し、2本のククリナイフで斬撃を1回行い5倍のダメージを与える。
自身に攻撃していない敵に攻撃した場合は10倍のダメージとなる。
『支援グレネード』
スモークグレネードかスタングレネード、どちらかをランダムで使用する。
・スモークグレネード
敵の命中を70%減少させ、自身へ攻撃が向く確率を50%減少させる。
・スタングレネード
5秒間敵の動きを止め、ボス相手では命中を50%減少させる。