魔王待ち構えるは黒狐   作:起床後即就寝

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4人のエースと黒狐を見て、クロスギーツのカッコ良さに脳を焼かれてしまい、気付けばこんな話を書き上げていました。

完全に見切り発車なので途中で詰むかもです。


プロローグ

なんで

 

「あんたなんか…!あんたなんか…!」

 

なんで

 

「あ?俺の視界に入るなっていつも言ってんだろ!」

 

なんで

 

「またあの子よ、相変わらず汚らしいわね……」

 

なんで

 

「ぎゃははは!やっぱテメーはそうしてんのが一番だよ!水も滴るダメ男、ってかwww」

 

なんで

 

「警察です。すみませんが、お名前を聞かせて頂いても?」

 

なんで、俺がこんな目に会わなきゃ行けないんだよ

 

「忌霧?」

 

なんで俺ばっかり

 

「おーい?忌霧?」

 

なんで、なんでなんだよ……なんでみんなして俺を……!

 

「忌霧?」

 

「っ、は、ハジメ?」

 

理不尽に襲いかかる悪意の数々を思い出し、憎悪の炎を燃え上がらせていた俺こと"暗久(クラヒサ)忌霧(イム)”だったが、隣から聞こえて来た声に思わず顔を上げ――心配そうに俺の顔を覗き込む親友と目があった。

 

「ど、どうした?」

 

「どうしたはこっちのセリフだよ……本当に大丈夫?もういよいよ限界って感じだけど」

 

「大、丈夫…とは、言えないかもな……」

 

両親や近所の人達、果てには警察までもが【敵】となっている現状は俺の体を蝕んでいる。

 

「やっぱり……ごめん、僕ももっと力になれたらいいんだけど…」

 

「お前は十分やってくれたよ。だから、ありがとな」

 

「でも……」

 

「お前の親父さんもお袋さん、勿論お前も俺によくしてくれる。それだけで十分なんだよ」

 

なんとか笑顔を作り、取り繕う。

……だがこの言葉は決して嘘なんかではない。この親友南雲ハジメとその両親はこの世界で唯一俺に愛をくれた存在なのだから。

 

「……」

 

しかしやはり取り繕った笑顔では親友には通じないのか、ハジメは苦虫を噛み潰したような表情で黙り込んでしまった。

……全く、こいつって本当に優しいよな。いくら親友とはいえ血縁上じゃ赤の他人だってのに。

 

「なーんて顔してんだよ」

 

「うわっ!?ちょ、ちょっと、いきなり背中叩かないでよ!」

 

「悪ぃ悪ぃ。ま、こんなこと話しててもしょうがねえしよ。いつもみたいにアニメの話でもして盛り上がろうぜ?」

 

「…うん、そうだね!」

 

―――とは言っても、俺にはアニメ見る自由もないんだがな。

なんて言葉は口の中に秘めておき、ハジメの語るオススメアニメの話に耳を傾けた。

 

「というか学校だとお前の方が大変だろ?大丈夫か?」

 

「うん。忌霧と違って学校だけだから――あ、ごめん……」

 

「いいっていいって」

 

………こうして二人会話を弾ませながら辿り着いた俺達が通う学校。思わず嫌な顔をして二人見合わせてしまうがそれも仕方ないだろう。

 

「よぉ、キモオタと陰キャゴミ!また徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?あ、ごっめーん。家族にも嫌われてる陰キャくんにそんな余裕ある訳ないか〜!」

 

「うわっキモ〜。エロゲで徹夜とかマジキモいじゃんか〜それに陰キャくんの方は警察とお友達だもんな、遊び相手には困らないよな〜!」

 

一歩教室に入っただけでこの有様。毎度毎度よく飽きないものだなと逆に感心するくらいである。

 

ちなみにだが、わざわざ声をかけてまで俺の怒りメーターを上昇させに来た連中は檜山大介を初めとする悪ガキグループであり、他には齋藤良樹・近藤礼一・中野信治の三人がいる。

 

こいつらの言う通りハジメはオタクだし、俺だってある意味警察とお友達(意味深)なのは事実だ。

世間一般ではオタクに対する風当たりが強く、警察に目をつけられている奴をそんな目で見る人間も多い。

 

だがいくらなんでもそれだけでハジメが(・・・・)教室のいる全員から敵意を向けられるのはおかしいだろう。

そんな疑問の答えは……おっと今来たか。

 

「南雲君おはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

……今、俺をスルーガン無視してハジメに挨拶した少女の名は白崎香織。この学校では二大女神とも呼ばれており男女問わず絶大な人気を誇る。

あと何故かハジメに惚れているらしく、こうしてめちゃくちゃ絡んでいるのだ。

 

「お、おはよう白崎さん……」

 

……当の本人としてはうわ来た…と僅かに嫌そうな顔をしているが。

 

「おはよう白崎」

 

「あ、暗久君もおはよう…」

 

明らかにハジメとは180°異なるこの態度。毎朝毎朝これでもう慣れたがちょっとは隠そうとする気持ちもないのだろうか……そんなんだからハジメが苦労しているというのに。

 

見てみろよ。お前がわざわざ絡みに言ってるせいでクラスメートの連中の視線に殺意が宿って針の山状態だぞ。

 

……と、まあこのように明確な敵意を向けられているハジメ。親友である俺も同じように敵意を向けられているのかと思えば少し違う。

 

――恐れているのだ。この俺を。クラスメート、いやこの世界(・・・・)にいる人間の殆どが。

当然だが俺が何かをしたという事実存在しない。というかそんなことする余裕はない。

 

物心着く前からこの現状であり、理由はちっとも思いつかない。某知恵袋や掲示板で有識者の意見を求めても俺が百悪いの一点張りでちっとも解決しやしない。

なんだよ虐待される方が悪いって。頭沸いてんのか。

 

「南雲君、おはよう。今日も大変ね」

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」

 

「全くだぜ、こんなやる気のない奴にゃあ何言っても無駄だと思うがな」

 

そしてまた新たなに現れる三人組。最早恒例行事と言っても過言では無いくらいに繰り返されていることもあって、わざわざ顔を見なくても誰なのか手に取るように分かる。

 

まず一人、八重樫雫。白崎香織の親友であり、ポニーテールが特徴的な少女。切れ長でキリッとした目は鋭い光を宿しており、人なんか簡単に殺せるんじゃないかと思わされる。

 

実際実家が八重樫流という剣道場営んでいて、本人も小学校の頃から大会で負け無しだ。その為か白崎と同じようにファンが多く、よく後輩の女子生徒からお姉様と呼ばれて顔を引き攣らせている。

 

次、坂上龍太郎。典型的な脳筋であり馬鹿。努力とか熱血とかが大好きな馬鹿なので、事情を知らなければやる気が無いように見える俺やハジメのことを嫌っている。

 

最後に天之川光輝……なのだが、こいつに至っては俺を見ようともしない。その癖、小さなことでも俺が何かやらかせば、派手に糾弾してくるのだ。

 

オマケに難癖付けてまで先生に告げ口して来たりする。

こいつのせいで職員室に呼ばれた回数は、俺の祝われた記憶など欠片もない誕生日の数を優に超えており――呼び出されようが呼び出されまいが暴力を振るわれることは変わりないとはいえ――俺の中での殺したい奴ランキングの堂々一位だ。

 

典型的な自分の正義感を振り翳すタイプで、俺かハジメを都合のいい敵役とでも思ってるんじゃないだろうかとすら思う。

実際ハジメに対するヘイトは常に向きまくってるしな。

 

……こいつらの内の一人、八重樫雫は先の白崎と並んで二大女神と呼ばれている為関わるだけで不利益を被る。

だから俺もハジメもなるべく避けたいと思ってるのだが……

 

「おはよう、忌霧」

 

「おはよう。……で、何の用だ?」

 

天之川の次に関わりたくないと思っている彼女、八重樫雫は何故か俺に絡んでくる。

白崎を助けたハジメのようなエピソードがある訳でも無いというのに。

 

「あら、用が無いと話しかけちゃダメかしら?」

 

「……ダメとは言わないが、お前自身の影響力を自覚して欲しくはあるな」

 

「……それに関しては本当にごめんなさい」

 

「謝るならハジメの方の収拾つけて来てくれ。あいつも困ってる」

 

「分かったわ」

 

収拾をつけるべくハジメ達の方に向かっていく八重樫。その際にハジメと目が合ったが、俺と天之川が一緒になるとどうなるかを理解しているハジメは特に助けを求めたりはせず、諦めたように笑うだけだった。

 

諸事情で画面バキバキでボロボロのスマホを取り出し、ハジメに助けになれずすまないとメッセージを送る。するとそこでチャイムがなり朝の休み時間は終わりを告げた。

最初から始業チャイムギリギリで来ている文当たり前の事なのだが、もう少しだけ休みたいと思った。

 

「……」

 

授業を受けている間、先生の話半分に八重樫雫という少女について考える。

彼女との関係は……やはりただの友達としか言いようがない。ロマンチックに助けた記憶も無ければ幼馴染という訳でもない。本当になんで絡まれてんだか……

 

と、そこまで考えて思いつく。そういえば八重樫もハジメとその両親と同じかと。

この世界の人間なら誰しても理由無く俺を敵視するものだが、ハジメとその両親だけは例外。

 

……そう思っていたが、よくよく考えると八重樫も変な目で見たりはせず、純粋な目をしていた。

だが初めて会った時は……いや待った。そういえば一つだけ関わりがあったな……

 

まあ、関わりとは言っても偶に一緒に素振りしたり試合稽古みたいなものをするだけだし、そんなに関係はない気がするが……でもだったらなんで絡まれてんだ?

 

そう延々とループする思考の輪廻に取り込まれていた俺は、いつの間にか授業が終わっていたことにも気付かず、ずっとペンと消しゴムを握り締め続けていた。

 

「忌霧、ちょっと」

 

「ハッ」

 

朝と同じようにハジメの呼ぶ声に反応し、ようやく意識を取り戻した俺だったが、またしても近付いてくる白崎の姿に思わず顔を顰めた。

 

「ハジメ」

 

「え、なんで小声」

 

「来たぞ」

 

「え?うわぁ……

 

「どうする……もうすぐそこまで来てるが」

 

「……どうしよ」

 

「南雲君。珍しいね、教室にいるなんて。お弁当?良かったら一緒に食べない」

 

そして遂に来てしまった。俺とハジメは共に顔を見合わせ溜め息を吐く。この女が来てしまった以上……ほら始まった。

殺意の視線がバーゲンセールの如くハジメに突き刺さり、親友として何とか守らねばと前に立つが、如何せん数が多すぎる。

 

「白崎、悪いがハジメは俺と食べるって約束してたんだ。君は八重樫達と一緒に食ってきたらどうだ?」

 

「?、暗久くんには聞いてないよ?」

 

っ、こいつ……!

こてんと小首を傾げる姿は確かに可愛らしいがめっちゃ腹立つ。オマケに悪意など欠片もなくやっているのがなんとももう……恋は盲目とは言うがまさにその通りなのかもしれない。

 

というかこの女はいっつもそうだ。いつもいつも俺を悪意なく排斥しようとする。

純粋にお前など眼中に無いと言われるのは不利益を避けるという意味では喜ばしいが、そのせいで不利益を被るのはハジメなのだ。

 

「し、白崎さん」

 

「ハジメ、おま「どうしたの?南雲君」―クソ」

 

「誘ってくれてありがたいんだけど、僕もうお昼食べたからさ。天之川君たちと食べたらどうかな?」

 

「ハジメそれは悪手「え!?お昼それだけなの!?ダメだよちゃんと食べなきゃ!私のお弁当、分けて上げるね!」――なっ!?」

 

「え!?」

 

こ、この女なんてことを……!

白崎の提案を蹴ろうとしたことで俺が睨まれるのはまだいい。そんな視線は慣れてるし気にもとめない。

 

だがその言葉は、その提案だけはダメだ!そんなことを口にしてしまえば……嗚呼、またハジメに殺意の視線が集まっていく……

 

どうすればこの地獄の局面を乗り切れるのか、ハジメと二人頭を悩ませていたが、ここで救世主が現れた。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

天之川だ。非常に業腹だが今だけはこいつに感謝――

 

「それと暗久、お前また授業中ぼーっとしてたな。どうせスマホでも弄ってたんだろ?それ含めて先生に言っておいたからこれからは改善するんだぞ」

 

前言撤回、やっぱこいつ殺したい。ずっとシャーペンと消しゴム持ってたのにどうやってスマホ弄るんだよクソが。




本当になんでこんな怪文書が……クロスギーツがカッコよすぎるのが悪いのですよ。長田さんの演技もすげぇハマってるので是非
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