「『西住 みほ』・・・それがミポさんの」
「うん、本名だよ。マギーさんはここじゃ本名は禁句だって言ってたけど
これを言わなきゃ私が一体どういう人間なのかは知らないと思うからね。」
それじゃあ続けるよと言うとミポはこう続けた。
「私は黒森峰女学院って言う女学校で戦車道・・・リク君は聞いたことあるかな
そういうの?」
「ええと・・・名前程度でしたら聞いたことがあります、
確か本物の戦車で戦う競技でしたよね?」
「そ、それだよ。戦車道は文科省が主軸になって行っている競技で
世界規模になってたんだけど最近じゃあ縮小傾向なんだ。」
「何でです?」
リクがそう聞くとミポはこう答えた。
「戦車道の学校は学園艦って言う主に第2次世界大戦時での空母をベースにして
そこに町を造って海の上で航行させる、戦国時代から海外では似たようなのが
あったけど日本で始まったのは高度経済成長期に人口増加によって土地代が
跳ね上がった事から学園艦を建造して人口増加における物件問題の解決に
導いたってリク君これって歴史の授業であると思うけど聞いたことある?」
「ええ一応、今は触り程度ですけど。」
「それで解決したんだけどバブル経済が崩壊して経済が低迷して今じゃ
更に大きな問題が学園艦に襲っているんだよ?」
何かわかると聞くとええととリクは暫く考えて・・・こう答えた。
「人口減少・・・ですか?」
そう聞くとミポは首を横に振ってこう答えた。
「それもあるかもだけど最も重要なのはね・・・学園艦の耐用年数。」
「・・・・・あ!」
それを聞いてリクは目を見開くとそうだよと言ってこう続けた。
「耐用年数が規定値越えだったり例え耐えきっていたとしても維持費には
莫大なお金がかかって結局は学園艦は廃艦になって学園艦にいた人たちは本土に
戻って現状残っているのは僅かにだけど街ごと移転させた学園艦か・・・
戦車道で一世を風靡させて巨大になっている大型の戦車持ちの学園艦位で
私は去年の秋までは黒森峰の戦車道で戦車部に入っていたんだけど戦車道には
大きく分けて2つの流派があるの。」
「流派・・・ですか?」
「そう、先ずは変幻自在な戦法を駆使して戦う『島田流』。
そして私の家でもある硬い鉄壁と苛烈なる攻撃力を持って殲滅するのが『西住流』それが私の流派だったの。」
「それが・・・臆病者って言葉と何か関係があるんですか?」
リクがそう聞くとミポは暫くして・・・こう答えた。
「あれは去年の秋の全国大会の時に私は新人戦で隊長として一部隊を
率いていたの。」
「隊長ッて・・・凄いじゃないですかミポさん!」
「えへへ・・・まあ家のあれとかあったかもしれないけどあの時は雨で然も
戦闘するフィールド近くには大きな河があって私達はそこで
進軍していたんだけど・・・敵が待ち伏せしていたの。」
「待ち伏せ・・・それでどうしたんですか?」
「その時に一台の戦車が戦闘で・・・河に落ちてしまったの。」
「河にって・・・ちょっと待ってくださいよ!雨の中そんなことしたら」
「そう・・・幾ら戦車でも浸水して其の儘溺れてしまうって思った
私はその時落ちた戦車の中の人達を助けようと思ってその時隊長機の戦車から
降りたんだけどその後に攻撃されて私達は負けたの。」
「それで・・・乗っていた人たちは?」
どうなったんですかとリクがそう聞くとミポはこう答えた。
「助かったよ、まあ其処迄なら良かったんだけど部の人達から
こう言われたんだ。」
「何って・・・言われたんですか?」
リクがそう聞くとミポはこう答えた。
「『お前のせいで黒森峰10連覇を逃した!お前は黒森峰の・・・
西住流の恥さらしだ!」
「そんな・・・何で!」
どうしてなんですかとリクが言うとミポはこう続けた。
「当時から黒森峰の優勝は決定的でそれを逃した私を人身御供とすることで
学園はパッシングから逃れようとしていてね、それで黒森峰からは
それから行ってなくてお母さんからもこう言われたの。」
「『わが西住流において勝利は絶対、僅かな犠牲で勝利を掴めるのならば
その犠牲の上で勝利するという冷酷さが必要。それが無いというのでしたら・・・西住の家から去りなさい』。」
それを聞いてリクはそんなとか親がそんなことをとか呟いているが
ミポはこう続けた。
「だから私は逃げたの、家からも、戦車道からも逃げて逃げて逃げて・・・
今ここにいるの。」
そう言うとミポは深呼吸して・・・少しぎこちない笑顔でこう言った。
「最低だよね私、何もかも逃げて捨てて今ここにいてもまたどこかで間違って
皆の信頼失っちゃうかもしれないって思っちゃうから・・・私ここで」
そう言いながらログアウトボタンを押そうとするとリクはその手を掴んで其の儘引き寄せて・・・抱きしめたのだ。
「りりりりりりりりリク君!これっていいいいいい一体」
「俺は・・・ミポさんのやったことは間違っていないってそう思っています。」
「・・・・へ?」
「俺はガンプラバトルは皆が楽しんでやる場所だって思ってますし
ミポさんだって最初は戦車道やっていたときはそう思っていたんでしょう?」
「うん・・・小学生の時はね。」
「それに俺は勝利よりも仲間の命を考えたミポさんの事
尊敬しているんですよ?」
「・・・本当に?」
「本当ですよ、確かに勝つことは大切なことかもしれないけど
それ以上に俺は・・・誰かを犠牲にすることで得られるものなんて
そんなの虚しくなるだけだと俺はそう思ってます。」
「・・・リク君。」
「だからミポさん、自分を卑下しないで下さい。俺は・・・
・・・・俺はミポさんの行動を肯定します、そして俺はミポさんのやったことは人として間違っていないってはっきり言えます・・・だから・・・
もうそんな辛い顔はもうしないで下さい。」
「・・・・!!」
それを聞いてミポは体を震わせるとリクに向けてこう聞いた。
「リク君・・・私ね、何処かで否定されるんじゃないかって思ってたの。」
「はい。」
「私・・・本当はね・・・お母さんに褒めてもらいたかった・・・・
お姉ちゃんにね・・・慰めて・・・もらいたかった・・・。」
「はい。」
「本当は私・・・戦車道・・・辞めたく・・・なかった・・・!!」
「ハイ。」
「私・・・私・・・・ううううううううううううわあああああああああ・・・・うわあああああああああ・・・・!!」
「ミポさん、ここはさ。現実世界じゃないんです、もう自分を偽らないで・・・いっぱい言いたいこと吐きだしてすっきりさせてそして・・・また0から
頑張りましょう。俺達が付いていますから・・・ね。」
「うわあああああああああ・・・・ああああああああああ・・・・
ああああああああああああ!!」
この時初めて西住 みほは自分の心の中で封じていた思いの丈を吐き出して
そして・・・これまで出せなかったこと全部出しながら泣いた。
リクがミポの頭を撫でながらミポは其の儘リクに甘えるかの様に泣き続けた。
ぶっちゃけて言えばあの時運営委員が天候を考慮して中止またはフィールドの
禁止エリア作成などをすればあのような事故は起こらなかったから・・・
本当に給料泥棒だな国家公務員。