前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8270字。

テストが無事終わり投稿再開!
ストック十二話あるけど、いつも通り三日おきの投稿です。

100話にてついに勇者選定...!
なお、意外とあっさりめに決まるんですよね。
自分にもっと文章力があれば...


勇者パーティー結成!

「それでは...勇者選定の儀を始めようか」

 

カルトのその宣言によって、選定の儀が始まった。なんか、そんなに堅苦しくないな。儀式は儀式だけど、そんな粛々とした雰囲気でやるようなものではなさそうだ。

 

あと、俺てっきり関係者席的な場所に案内されてそこで見るもんなんだと思ってたけど、普通に一般人の中に混じって見てろと言われてそうしてる。さっき一般人の集団の中にレストがいるのが見えたし、多分他の町の英雄たちも同じようにこの中にいるんだろうな。

 

「勇者候補三人、前に」

 

勇者候補たちも俺たちと同じように集団の中に混ざっていたらしく、スート、アライブ、ライトの順に前へと出て行く。

 

「この者たちが、二年もの間人知れず己を鍛え上げた勇者候補である!」

 

まずは、勇者候補のお披露目。既に知っている者ももちろんいるだろうが、ほとんどの人は勇者候補が誰なのかすら知らない。だから、まずお披露目するのだ。

 

そして、たったそれだけでとてつもない歓声が上がる。当然だ。この中から、この世界を救う勇者が生まれるのだから...もし、勇者になれなかった者がどういった末路を辿ることになるのかを知ってしまえば、こんな風に歓声を上げるなんてことできないだろうな。知らないというのも、時には必要なのかもしれない。

 

「一人ずつ、名を」

 

カルトが三人に指示を出す。

 

「スート」

 

「アライブ」

 

「ライト」

 

こんな感じで進んでくんだなぁ...なんか、思ってたんと違う。ほんと、もっとこう...仰々しい感じなんじゃないの?...まぁ、実際こんなもんなのかな。ゲームでも、勇者が選ばれる場面ってあんまり描かれてない気がするし。

 

というかそういえばなんだけど、カルトが仕切るんだなこれ。魔王討伐の全権を任されてるからなんだろうけど、流石にこういう重要なのは王様が出てくるもんじゃないの?俺この国の王様と会ったことないんだけど...ま、普通神の使いだからといって簡単に会えるわけないよな。てか会えちゃった方が困る。確実に不敬やらかして首が飛ぶ。

 

そういうのを考えると、こんな感じで進んでくれた方が気が楽だ。観客もそういうふうに思っていそうというかある種の娯楽感覚で見ていそうだなこれ。

 

「では...早速選定だ。皆の衆!あの聖剣をご覧あれ!」

 

カルトの指した手のひらの先を見ると、そこには聖剣が台座のような場所に突き刺さっていた...鞘付きで。

 

うん、台座に聖剣が突き刺さってるってのだけ見れば、結構ありがちな奴だなという印象で終わりだったんだ。でも、なんで鞘ごと刺さってるわけ?そこが一番の謎すぎて、軽く思考停止する。聖剣がどういったものなのかは世間には広まっていないため、周囲の人たちも驚いていた。ざわめきがすごい。

 

「これは勇者にしか引き抜くことができない、勇者のためだけの剣である!三人のうち、これを引き抜くことができた者、最後まで触れることができた者が勇者である!」

 

最後まで触れる...?と思っていたら、三人とも聖剣の柄に手を触れる。なるほど、順番に引き抜けるか確かめるんじゃなくて、同時に引き抜くのか。そして、勇者になれなかった者は弾かれるから誰が勇者になったのかわかる...と。

 

「三人とも、覚悟はいいかい?...良さそうだね」

 

三人に了解を取ってから、カルトは宣言する。

 

「今ここに!我らが勇者が誕生する!」

 

三人とも、力を振り絞って聖剣を引き抜きにかかる。二人になんか負けない。俺が引き抜くんだとばかりに、全力を持ってかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短く、しかし彼らにとっては長い時間が経ち、聖剣は引き抜かれた。聖剣を手にしたのは一人。二人は手の甲に刻まれた紋章を失い、勇者の手の甲に鳥の紋章が完成する。

 

俺は、神様に勇者に選ばれる者の条件をあらかじめ聞いていた。そのため、誰が勇者になるのかはなんとなく予想がついていた。

 

勇者に選ばれるのに必要なのは、剣の腕でも魔法の実力でもない。選考材料の一部ではあるが、重要なものではない。

 

一番必要なのは、スキル。取得困難なスキルを多く手に入れた者が、勇者に選ばれる。これは、勇者が勇者になれなかった二人から力を引き継ぐことになるため。スキルを手に入れやすい素体の方が、力を引き継ぎやすいからだそうだ。

 

スキルは入手困難でさえあればなんでもいい。

 

武術を極め、その極致にて至ったものをスキルとするのも良い。ゴモンの反撃流がこれに当たる。

 

魔法を極め、新たな魔法を作り出したりカスタムを見つけ出すのも良い。ワンナの略奪魔法がこれに当たる。

 

そして、この三人の中に、三人の入手したスキルの中で最も入手困難なスキルを持つ者がいる。

 

現在、この世界で三人しか持っていないスキル。

 

そう。雷装だ。

 

勇者になったのは、ライトだ。

 

「そん...な...」

 

「く...ソ...!」

 

聖剣に弾かれた二人。アライブの顔が絶望で染まり、スートは怒りに震える。

 

「僕が...勇者...!」

 

バッッ!と聖剣を上に振り上げるライト。それを見て、観客らは歓声を上げる。や地面の上で蹲ったり、ただ上を見上げているだけの二人は見えていない。彼らには、勇者しか見えていない。

 

「我らが勇者が誕生した!女神様!勇者ライトに祝福を!」

 

その瞬間、ライトを中心として風が吹いた。暖かく、心地の良い風。女神の祝福とやらだろう。

 

「僕の...力が...」

 

「俺の魔力が...魔法が...消え...!」

 

そんな風も、二人にとっては冷風。己の無力さを突きつける向かい風。邪魔なものでしかない。

 

「……それでは、このまま勇者パーティー結成を始める。呼ばれた者は前に出るように!」

 

あっ、こんな感じなんか。誰が最初だろう...あっ、アライブとスートが連れてかれてる。二人にそのまま居続けられると困るからなんだろうけど、流石に連れて行き方雑じゃねぇか?もう少し、こう、労ってやれ。

 

「神の使いカリヤ!」

 

あっ、俺からなのね。とりあえず観客集団をかき分けて前に出る。

 

「よっすライト。勇者になれてよかったな」

 

「ありがとう。ちょっと恥ずかしかったけど...頑張ってみるよ」

 

「おう、頑張りな。リーダーさんよっ」

 

「リーダー...僕が?」

 

「そりゃ当然だろ。勇者なわけだしな。パーティーのリーダーだろ」

 

「僕が...リーダー...うぅ」

 

「心配すんなって。俺もサポートしてやるからさ」

 

っとと、会話に集中しすぎたな。カルトからの視線を感じたので、観客の方に向き直って軽く手を振る。

 

「神の使いの、仮谷幸希だ。勇者パーティーの一員として、魔王討伐に貢献することを約束する」

 

指を真上に突き上げ、天を指差す。

 

「俺の目的は、世界を救うこと!そのためにも、俺は仲間を絶っ対に死なせない!勇者も英雄も、みんな生き残って必ずここに戻ってくる!期待して待っていてくれ!」

 

歓声が上がる。カイスでの演説の経験が、思わぬところで生きた気がする。

 

「次!カイスの英雄、ニア!」

 

カイスから...ってことは、英雄が決まった順番と同じかな。カイス→ガルム→ガネル→カリスの順だろう。

 

ついに、ニアとの初のご対面だ。いやまぁ、俺の意識がない時に会ってはいるんだが、これはもう初と言ってもいいと思う。

 

集団をかき分けて出てきたのは、中肉中背の女。魔女と言われて思い浮かぶイメージの殆どがそのまま当てはまるような服を着ており、けれど杖のようなものは持っていなかった。

 

そして帽子からら髪の毛が少しはみ出ており、若干だが赤みを帯びていた。だいぶ長い。アクセルよりちょい短めぐらいだ。あまり動かない魔法使いだからだろうな。

 

この人がニア...か。

 

「初めまして...じゃないんだっけか。俺は仮谷幸希。あの時は助けてくれてありがとう」

 

「あの時...?」

 

えっ、覚えてない感じ?

 

「……ああ、カリスで助けた人だっけか。そっかそっか忘れてたわ」

 

少し考えるような素振りを取っていたが、無事に思い出せたらしい。

 

「なんであんた天の怒りに撃たれに行ったわけ?私が偶然カリスに立ち寄ってなければそのまま死んでたわよ?」

 

「それには色々と深ーい事情が...」

 

なんか急にお説教始まったわ。そして、特に深い事情などない。ただ、雷装手に入るんじゃないの?って感じで行っただけだしな。雷の直撃喰らったのも事故だし。ってかとりあえずお説教は後でにして欲しい。見られてるんですよ?

 

「雷装を手に入れたかったとか、こいつと同じ理由じゃないでしょうねぇ...」

 

こいつ...って、ライトのことか?そして、雷装を手に入れたかったってのはあってるから反論できん...

 

「こいつもこいつで私が偶然あの場所を通ってなければ死んでいたし、なんでこうも神様に目をつけられた奴は怒りに触れるのかな...」

 

えっ、ライトもニアに命救われてるの?...あー、そういえば前にライトが、雷受けてなんとか王都まで戻ってきたけど門の前で力尽き倒れた。そうして生死の境を彷徨っていたところを誰かに助けてもらったみたいなことを言っていた気がする。ニアのことだったのか...ニアがいなかったらそれだけでこの世界終わってるんだよな。英雄すぎる。

 

「あのー、ニアさん?お説教は一旦やめにして、観客の皆さんに挨拶を...」

 

「……わかったわ。後でしっかり問い詰めるから、覚えておきなさい」

 

ヒェ、こわいこわい。ニアってこんなんなのか?そういや、魔法の実力と努力の天才っていうことしかニアについて聞かされてないんだよな。性格についての情報が皆無だったわ。大丈夫?恩人であることを盾にして後で強請られたりしない?

 

「私はニア。現世界最強の魔法使い。パーティーの主力として活躍するつもりなので、その功績をしっかり後世に伝えるように!」

 

……これ挨拶?まぁとりあえず、自信家っぽいのはわかった。

 

「次!ガネルの英雄、レスト!」

 

「ちょーっと...通りますよ」

 

ぬるっと集団から抜け出して、くわーっとあくびをしながらレストが前に出てくる。久しぶりに会ったけど、こんな時でも通常運転なんだな...ちょっと懐かしい。

 

「もう日中だってのにまだ眠いんかレストぉ?」

 

「久しぶりカリヤ...長く眠ると余計に眠くなることってない?」

 

「あるある」

 

頭も痛くなったりするよな。なんで寝るのに体力消耗することあるんだろほんと人体って不思議。

 

「ってかもしかして、背ぇ伸びてたり...する?」

 

「よくわかったね。速度探知?」

 

「うん。まだ成長すんのかお前ちょっと身長分けてくれない?」

 

「分けれるならいいけど。そんな魔法あるの?」

 

「いや知らん。冗談だから真に受けなくていいぞ」

 

「あるわよ体型を変えられる魔法。使う?」

 

「ニアも真に受けなくていいんだぞ」

 

と、話はこの辺にしないと。軽くレストを小突いて促す。

 

「あっ、そうか...えーと、レストです。みんな守ります。頑張ります...これでいい?」

 

「知らん。何か言わないといけないってわけでもないし」

 

俺が最初に名乗りを上げたせいで、その後の人たちも同じようにやらないといけないみたいなテンプレできてたけど、特に何か言えって指示されたわけじゃないんだよな...あれ、二人とも俺が挨拶するように促したんだった。ごめん。

 

「次!ガネルの英雄、クミリア!」

 

なんかグダグダだなと思っている間に、クミリアが出てくる。

 

「よっすよっす」

 

「これクミさんも何か言った方がいい感じ?」

 

「さぁ?名前ぐらいは言ったほうがいいと思うけど」

 

「そうなの?じゃあなんでカリヤは色々言ってたわけ?」

 

「ノリでなんとなく」

 

「あっそうなのね...」

 

「……なんか、あんた知り合い多くない?」

 

急に、ニアにそんなことを言われる。

 

「まぁこの一年でいろんな場所回ったしな。英雄が決まる瞬間に立ち会うぞみたいな感じで巡ってたし。勇者候補たちと会ったのは全部が全部偶然ではあるけど」

 

「私は?なんで私の番には来なかったの?」

 

「巡り始めたころにはもうニアは英雄になってたからな。ああ、あとカリスの英雄も立ち会ってはないな」

 

「そうなの?なんで?」

 

クミリアですよろしくーといった感じで挨拶を簡単に済ませたクミリアを横目に見ながら、ニアに答える。

 

「まぁ、誰が英雄になるか、分かり切ってるからな。わざわざ行って見に行くほどじゃない」

 

「次!カリスの英雄、ステラ!」

 

「カーリーヤ!」

 

「うわっと、急に飛びついてきちゃ危ないだろ?ステラ」

 

カリスの英雄になったのは、ステラ。ちゃんと宣言通り、英雄になって、勇者パーティーの一員として会うことができた。

 

「だって久しぶりに会うんだもん♪」

 

「だな。ちゃんと英雄になってくれて、俺も嬉しいぜ」

 

「英雄になれなかったら指切られて、一万回殴られて、針を千本飲まされちゃうからね」

 

「ちょっと待てそれを今言うな誤解される...!」

 

アカン。ニアにすごいヤバいやつを見るような目で見られてる。うわクミリアにもなかなかの目を...男連中はよくわかってなさそうでちょっと助かった。あっ、いやこれあれだ。ライトは初対面多くて萎縮してて聞こえてないだけだ。レストも眠くて聞いてなかったとみたね。

 

「仕返しだよー」

 

「仕返しって何のさ」

 

「だって私の英雄選抜を見に来てくれなかったし...」

 

「ああ、そういうことか...あれだよ、ステラが英雄になるって信じてたからさ。見に行くよりも、自分を鍛えて強くなった方がいいかなと思って」

 

「信じてた...いいね。許してあげる」

 

なんか色々装備増えてるね。後で色々話聞かせてよと言ってから、ステラは振り向く。

 

「カリスの英雄ステラですっ!まだ子供ですけど、精一杯頑張ります!」

 

暖かい拍手が...なんか完全に子供対応だな。

 

「なんか思ってた反応と違う!カリヤなんで?」

 

「さ、さぁな」

 

「むむむ...」

 

「手っ取り早く背でも伸ばす?」

 

「ちょっとニアさん黙りましょうか...あっでも結構背伸びたなステラ。さすが成長期」

 

「えへへーやっぱカリヤはわかってくれるよね!お兄ちゃん全然気づかないんだもん」

 

「そりゃ家族は気付きづらいさ。ずっと一緒にいると、日々の変化は微々たるものだからわからない。こうやって久しぶりに会うからわかるのさ」

 

「前はお兄ちゃんすぐに気付いてくれたんだけどなぁ...」

 

「ステラに英雄の座取られたから嫉妬してんじゃね?」

 

「そうかな...そうだと面白いね。見返してやった感じがする」

 

「だろ?」

 

「以上が、勇者パーティーのメンバーである!」

 

っと、長く話しすぎたな。進行の邪魔しちまった。

 

「皆!世界を救う英雄たちに盛大な拍手を!」

 

盛大な拍手が一気に鳴りだす。音圧がすごい。耳がちょっと痛くなりそうだ。

 

「……では、これで儀式は終わりとする。各自解散!」

 

「えっ、そんなんで終わらせるの?」

 

終わらせ方雑すぎひん?こんなゆるゆるな感じで終わらせていいのか...

 

「みんな、ご苦労だった」

 

カルトがこっちに近づいてきて、そう言ってきた。

 

「まぁ、特に何もしてないんでご苦労も何もないんだけどな...というか、こんな終わり方でいいんですか?」

 

「私は体調不良の王様の代理だからな。自由にやっていいと言われたから、堅苦しいのは無しにした」

 

「流石にゆるすぎだったけどな...これから俺たちは何をすれば?」

 

ってかナチュラルに俺が先頭に立って話しちゃってるけど、これライトの仕事か?まぁ人見知りしててしばらく何も出来そうにないから、俺がやるしかないか。

 

「ここから先は自由だ。こちらもサポートはするが、基本的に自由に動いてもらって構わない」

 

「そうか...わかった。仲間と相談して動くことにしよう」

 

「だいぶ敬語が抜けてきたな。冒険者に染まったのかい?」

 

「えっ...そうですね。まぁ会うのは二回目だし。こういうのもなんですけど、進行役が王様じゃなくてカルトさんでよかったと思ってます。王様だったら多分首飛んでる」

 

「不敬をしてもそんな簡単に首は飛ばないさ。我らが王はお優しい。笑って許してくれるだろうさ」

 

ほんとかねぇ...魔王討伐したら流石に謁見することになるだろうし、マナー調べないと...どうやったらわかるんだ?

 

「よし、それでは私はここらで帰らせてもらう。六人とも、頑張ってくれ。我らが王も応援している。魔王討伐の知らせを待っているよ」

 

そう言って、カルトはギルド職員らしき人の方へと歩いていった。

 

「……さて、これからどうしようかみんな」

 

「あんたが仕切るのね」

 

「そりゃあ勇者様がこんな調子だしねぇ...」

 

ライトくんまだビクビクしてますよ。勇者とは...?

 

「他に仕切れる人いる?」

 

「むりー」

 

「この中で知り合い多いのカリヤだし、カリヤでいいんじゃない?クミさんは無理」

 

「どうぞどうぞ」

 

「だってさ。ニアは?」

 

「……ずっと一人で旅してたから、自信ない」

 

「ということで、ライトがまともになるまでは俺が仕切るぞ。とりあえず、これからまず何をするかだけで決めたいんだけどどうする?」

 

「どうしよっか」

 

「なんでもいいよ」

 

「レストは自分の意見を持ちなさい」

 

「まずは山降りない?」

 

「確かに。ここ居てもやることないし、とりあえず山降りるのはアリだな。他の意見あるかー...ん?」

 

誰か後ろから来てるなと思ってたら、トントンと肩を叩かれた。誰ぇ?

 

「あっ、お兄ちゃん!来てたんだ!」

 

なるほど、誰かと思えばトルクだったのか。

 

「妹の晴れ舞台なのだから兄が来るのは当然だろう?ちょっと、カリヤくんを借りてもいいかな」

 

「私はいいけど許可はカリヤに取ってよねー、私のものじゃないんだよ?」

 

「それもそうだ。カリヤくん、ちょっと時間もらってもいいかな」

 

なにそのブル○カのショート動画のタイトルみたいな言い方。というか、ステラの兄に対する態度かなり変わったな。結構柔らかくなった気がする。反抗期抜けたかな?というか、英雄になって劣等感みたいなのが消えたおかげかな。兄妹の仲が良いのはいいことだ。

 

「いいですよ。ちょっと行ってくるから、俺が戻ってくるまで意見出し合ってある程度纏めておいてくれ。誰か任せた」

 

「ついてきてくれ」

 

トルクの後ろについていく。ってかこいつ髪の毛めっちゃ緑だな。ス○ルド族かな?前にトルクと会った時は、もう夜中で明かりがほとんどなかったから気づかなかった。

 

というか、この世界の髪の色ってどういう風に決まるんだろ。どうやら遺伝したりはしなさそうなんだよなこれ。ステラの髪の毛、栗色みたいな感じだし。なんだろ、魔力とか適性とかが関係していたりするのかな...

 

「ここらでいいか。時間をとらせてすまない。少し聞きたいことがあるんだ」

 

「はいなんでしょう」

 

「うちの妹にあの力を与えたのは君かい?」

 

「あの力...ああ、雷装のことですか?そうですね、俺が与えました」

 

「そうか...」

 

何を言われるんだろう。なんか怖くなってきた。

 

「君と出会ってから、ステラは笑うことが多くなってね。以前よりも努力をするようにもなって、強くなって...ついには僕を追い越してしまった」

 

……何が言いたいのかわからん。

 

「君がステラを変えたんだ。あの子は強くなった。でも、まだまだ発展途中。アレにも慣れてないみたいだしね」

 

アレってなんだろう。

 

「もしかしたら、ヘマをやって傷ついてしまうかもしれない。もしそうなったら...僕は君を許さないよ」

 

あっ、そういう話ね...

 

「君がステラを勇気づけなければ、僕が英雄になるはずだった。そうなれば、ステラが傷つくことはない。でも、君が変えてしまった。だから、ステラが傷ついたら僕は君を許さない」

 

「そう...ですね」

 

「なんとしてでも、ステラを守ってくれ。君ならできるだろう?」

 

「それは当然だ。俺は、勇者パーティーを守るためにここにいる。ステラも例外じゃない。絶対に守ってやる」

 

「嘘じゃないな?」

 

「嘘じゃないさ。信じてくれよシスコンさん」

 

「シス...なんだって?」

 

「なんでもない。まぁ信じてくれよ。そもそもステラは後衛。レストも守ってくれるからほとんど危険はないだろう」

 

「そのレストって人はちゃんと守ってくれるのか?見ていて不安なんだが」

 

「確かに、見てくれはあれだが実力は本物だ。他の人たちも、強い奴ばっかだから安心して妹を任せてくれ」

 

「……そうだな。任せた」

 

手を差し出してきたので、ギュッと握ってやる。

 

「任された!」

 

「話は終わりだ。時間とってしまってすまなかった。もう戻っていい」

 

「オーケー。トルクさんはカリスの安全を守ってやれ。ステラの帰る場所をちゃんと守るんだ」

 

「その考えいいな。そうするよ」

 

勇者パーティーの元へと戻る。

 

みんなを守るというタスクに追加して、ステラを守ることを心に決めた瞬間だった。




儀式なんていう堅苦しいのがどうしても書くことができず、こんな形に...いやーむずい。
勇者もカリスの英雄も決まって、やっと勇者パーティー結成ですわ。
セリフに特徴持たせないと誰が喋ってるのかわからないってのが難しいですね...これだからあまり複数キャラを同時に出したくなかったんですけどね。

あと、ステラの髪の毛栗色っていう設定を前に出した気がしていたけど、読み返してもなかなか見つからないんですよね。
どの設定を出していて、どれを出してないのかわからないの困るわ世の作家さんはどうしてるんだろこれ。
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