前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8192字。

今回も説明多めですね。
飽きさせない説明をできる能力が欲しくなってくる。


天の怒りを操りし勇者

「クミさんって何気にカイス初めてくるんだよね」

 

「あっ、私も私もー」

 

別時空を通っての転移が終わり、カイスの中に入る時、クミリアとステラがそんなことを言った。

 

「ステラはまぁなんとなくわかってたけど、クミリアがカイス来てないのちょっと意外だな」

 

普通に魔法使ってるし、一回は来てるもんだと思ってた。まさか、ガネルだけで完結していたとは...

 

「ガネルでも魔法はある程度学べるし、格闘と合わせるための魔法ならガネルの方が発展しているからそこまで意外でもないわよ」

 

「そうなんか...まぁそっか」

 

ガネルはガネルで独特の魔法が研究されてるのはわかりきってたことだったな。ワンナの略奪しかり、カノウの色彩剣装しかり、ミルキーの演奏魔法しかり...案外、ガネルの方が魔法技術が発展してると言えるのかもしれない。

 

「俺も俺で結構久しぶりに来たからな。ちょっと懐かしいわ...そういやレストは少し前までここにいたんだっけ?」

 

「そうだよ。そんなに色々な場所を回ったわけじゃないし、大体は適当なパーティーに混ざって依頼受けてたからあんまり町の探索はしてないけど」

 

「あれ?魔法学ぶとか言ってなかったか?」

 

「混ざったパーティーの人に教えてもらう感じで学んだよ。だから、学校に行ったとか誰か師匠を作ったとかじゃない」

 

「なるほど、そういうことね」

 

「そういやあんた、どうやってお父様に魔法を教えてもらったわけ?たとえ神の使いでも、簡単に教えるような人じゃないはずなのだけれど」

 

「雷装に興味を持ってくれたってのが大きな要因だけど、推薦書を書いてもらえてな。フレアとミレア、あとニトラスの三人分貰えて、それも理由だと思う」

 

「ああ、フレアちゃんにミレアちゃんか...それにニトラスって、確か引退したんじゃなかったかしら。いつ会ったのよ」

 

「ニトラスとは、カイス行きの馬車で偶然乗り合わせてな。ちょうど引退するって日だったから、まぁ会ったのは偶然だ。フレアとミレアは、その少し前に依頼で知り合った感じ。うん、どっちも偶然」

 

「そりゃ人と会うのは全部偶然でしょうが...運が良かったのね」

 

「まったくだ。リヒト以外にこんな魔法図鑑なんて代物作ってくれる人いないだろうし、ほんと幸運だぜ」

 

「当然だ。私以外に誰がこれを作れると言う」

 

「おわびっくりしたぁ...」

 

いつのまにかもうリヒトの家のすぐ近くまで来ていたみたいだ。そして、ちょうど家に帰ってきたところだったらしきリヒトに聞かれていた。

 

「中に入って待っていてくれ。地下室から魔導書を持ってくる」

 

「お邪魔しまーす」

 

リヒトの家に入る。ああ、こんな感じの部屋だったな。めちゃ懐かしい。

 

「ただいま」

 

「あそっか、ニアにとっては実家なのか」

 

「そうよ。懐かしいわね...」

 

「……そういや、リヒトにこの部屋だけは入るなって言われたところがあったな。もしやニアの部屋?」

 

「入ってないわよね?」

 

「入ってない入ってない。ってかさっきの話ウソ。地下室とここと庭しか出入りしてないさ」

 

「なんなのよその無駄しかない嘘は...」

 

「相変わらずみたいだなカリヤ」

 

「まぁそりゃ半年じゃ変わりませんて」

 

リヒトが地下室から戻ってきた。

 

「ほら、出してきたぞ」

 

「これが勇者専用魔法の魔導書...」

 

「ありゃ、ニアは見たことなかったのか?」

 

「見たことないわよ。あんたはあるの?」

 

「うん。俺が雷装使えるから、この魔法も使えるんじゃないか試してくれと言われて、その時に見た。まぁ、結果は案の定だったが」

 

「そう...」

 

なんか、ちょっと悔しそうな顔をニアがしていた。自分は見せてもらってないぞズルい!って感情かな多分。

 

「……で、君が勇者でいいんだな?」

 

「あっ...はい」

 

「じゃあ今から魔法の説明をしていく。試し撃ちしてもらうから、庭に出る。ついてきてくれ」

 

「わ、わかった」

 

「君たちはそのまま待機していてくれ。後で呼びに来る」

 

「わかったわお父様」

 

リヒトに連れられて、ライトが庭へと出ていった。

 

「……なんか、すっごいリヒト悪い顔してなかった?」

 

「あれは新しい魔法を発見して、早く試してみたいって顔ね。どんな魔法を見つけたのかしら...後で教えてもらわないと」

 

「どう考えてもそんなことであんな顔するわけないと思うんだけど...あー...いや、たしかにしそうだわ、うん」

 

初めて会った日に、雷装の仕組みを解明するためとはいえ、スタミナ切れの激痛で倒れるくらいまで発動し続けろと無茶言われたのを思い出した。そのせいでなんか納得出来ちゃった。

 

「……なんか、すっごい音しない?」

 

ステラの言う通り、たまにだが、庭の方からドーンッとすごい音が鳴ってくる。雷の落ちる音...とは違う気がする。いや、さっきまでは雷っぽい音だったんだ。それが少しずつ別の音に変わっていってる。なんていうか...爆発みたいというか...

 

「何やってんだろ。さっきニアが言ってたことから察するに、新しく見つけた魔法を伝授してるとかかな?」

 

「それはあり得るわね」

 

「どんな魔法だと思う?」

 

「単純に考えれば火系統でしょうけど、流石にもう少し複雑でしょうね」

 

「これでただ単に雷の威力がエグいだけだったらヤバいな」

 

ガチで自然現象としての雷をそのまま操れるのだとすれば、これくらいの音が鳴ってもおかしくはない。

 

「ああでも、気体の操作とかはありそうだな。燃えやすいとか爆発しやすい気体をばら撒いて爆発させるとか、無くはない」

 

……いや待て。雷の魔法に、爆発?...まさか、な。

 

「習得完了した。みんな来てくれ」

 

リヒトが呼びに来た。実演させるとのことなので、みんなで庭に出る。

 

「さぁ、見せてやれ」

 

「み、見られてる...緊張してきた」

 

「がんばえー」

 

「気が抜ける応援...よし、じゃあまずは基本から...」

 

バッ、とライトが手を前に突き出す。

 

そして次の瞬間、その手から空気を切り裂く雷が打ち出され、少し先にあった木に命中する。

 

「おぉ...結界のせいで威力分かりにくいな」

 

この庭には、破壊を防ぐ結界が貼られている。そのため、肝心の威力がちょっと分かりにくかった。まぁ、結構な距離あった木に当てれていたから、電圧は相当高いんだなとは思う。普通に雷装よりは威力高いだろう。

 

「他にはどんなのがあるんだ?」

 

「他のは...一つずつ見せていくよ」

 

次に、ライトは空に手を向ける。すると、今度は手からではなく、空から雷が落ちてきた。雨雲なんてない。雲なしで、どこからともなく雷を降らせられるみたいだ。流石は魔法、物理法則を軽々と無視してきやがる。

 

そんなことを考えていると、ライトが今度は地面に手をつけていた。地面に流すのは流石に厳しくねぇか...?と思っていたが、下から上へと雷が駆け上がっていった。一応下から上に雷が落ちることはあるにはあるけど、それよりも遠隔で雷を出せる方に驚きだ。

 

次、自分の胸に手を当てるライト。すると、その身体を中心として周囲に雷が撒き散らされる。身体に流す雷装に近いが、どう見ても雷装よりも火力が高い。周囲二、三メートルは近づけないだろう。

 

今ので四つ。俺があの魔導書を読んだ時、魔法は八つあったのを覚えている。カスタムできないせいで汎用性は薄いが、種類の違う雷をうまく使い分けて戦う感じなのだろう。

 

「なぁ、ちょっと思ったんだけど、その手の予備動作って必要なのか?それあると、戦闘中に使うのはちょっと厳しくね?」

 

「必要ないけど、あった方が発動しやすいなって感じ。余裕ある時はやりたいけど、ダメかな」

 

「必要ないんかい...まぁ、余裕あるなら全然やってもらっていいけど、流石に魔族を相手にする時はやめた方がいいかもな」

 

「確かに、そうかも。じゃあ続きいくね」

 

そう言ったライトは、腕をブンと横に振る。すると、その腕の動きと似たような感じで横薙ぎに雷が走っていく。

 

六つ目。ライトが聖剣を持って構えると、それに雷が纏わりつく。これも、雷装・剣の強化版みたいな感じだな。

 

七つ目。聖剣を戻したライトは、懐から杭のようなものをいくつか取り出した。そしてそれを辺りにばら撒いて、手をギュっと握る動作をとる。そうすると、ばら撒いた杭に向かって雷が落ちてきた。杭に当たった雷は、その杭を中心として辺り一体に放電をする。

 

雷のカース○ノンみたいな攻撃だな。周囲に杭をばら撒くという予備動作に時間がかかるのがネックだけれど、罠みたいな運用ができそうだ。ばら撒くだけばら撒いておけば相手は警戒せざるを得なくなるし、本命を通すためのブラフとしても使えそうな感じだな。

 

さて、最後の八つ目だが...あれ、なんか終わりみたいな雰囲気出してるぞ?

 

「あれ?八つ目は?」

 

「なんか、条件付きの魔法だったから今は使えないんだって」

 

「へー、そんな魔法だったのか」

 

どんな時に使えるんだろう。気になるな...

 

「とりあえず、天の怒りの魔法はこんな感じだ。どうだ?」

 

リヒトがそんなふうに聞いてくる。どうだ...って、どういう返答を求められてんのかよくわからん。

 

「……俺からの感想は、全体的に雷装の上位互換だなって感じだ。みんなはどうだった?」

 

「攻守使い分けられるし、かなり使えると思うよ」

 

「それぞれ名前を決めておいた方が、連携しやすいかも...味方を巻き込みかねない魔法もあったから、僕が守らないといけないかもだし」

 

「私空飛ぶから、レストが言うように巻き込まれるかもってのはちょっと怖いかな。気をつけてくれればどんどん使ってもいいと思う」

 

「大体言われちゃったわね...私もそんなところよ。誰かを巻き込まないように使って欲しいわ。あと、カスタムが出来なくて魔法の軌道が固定されてる弱点は私たちでカバーできると思うわ。軌道変更もあるし、こいつの跳弾鏡射もあることだし。ある程度適当に撃ってもらう方が、逆に意表をつけるかもしれないわね」

 

「……だそうだ」

 

「うん、この魔法を使うときは、周りに気をつけて使うことにするよ」

 

「まぁそこら辺の打ち合わせは後でもっと詰めてもらうとして、だ。もう一つ見せたいものがある」

 

「さっき待ってる時にドカンドカン聞こえてきていたが、やっぱ別であったか。どんな魔法だ?」

 

「まぁ待て。今見せる」

 

「やるのは僕だけど...みんな、もう少し下がってて」

 

かなり広範囲に攻撃する魔法なのだろうか。言われた通り、少し下がる。

 

「じゃあいくよ」

 

ライトの斜め後ろに陣取り、手元の動きを見る。

 

まず、水が現れた。そこに超高圧の電流を流し込み、一瞬で水が分解される。そのままだと辺りに散らばるだけだが...どうやら、風系統の魔法で圧縮して球体状の箱のようなものに閉じ込めているらしい。

 

そして、その圧縮した分解気体の入った球体を前方に飛ばす。球体も中身も気体なので、目には見えない。ストレイ○ャットの空気弾みたいな感じだ。

 

しかし、ライトはそれを知覚しているらしい。ほんの少し時間が経ったのち、ギリギリ見えるくらい小さなサイズの炎を前に飛ばす。これまでの時間、およそ二秒。

 

その後に起こる結果は、水を電気分解し始めた時から分かり切っていた。

 

大爆発が起こる。結界がなければ、爆心地は何も残らないくらいの威力。それが、準備期間二秒で行われた。

 

「えっぐぅ...」

 

「カリヤのじゃん!」

 

「威力は過剰気味だけどな...いや、逆に言えば威力抑えれば抑えるほど早く撃てるから、使いやすいまであるか。やっぱエグくね?」

 

爆発音で一応予想はしていたが、まさか本当にこれだとはな...

 

「前に、カリヤがこんな攻撃法をしているのを観察させてもらったからな。勇者専用魔法と組み合わせて、複合魔法を作ってみた。試し撃ちできないから成功しているかはわからなかったが、使えるレベルになっていてよかった」

 

確かに庭で魔法耐性持ちの魔物と戦った時に使ったけど、まさかそれを再現するとは思わなかった。

 

「使えるレベルどころじゃないだろ。準備にかかる時間と威力がおかしすぎる。十分すぎてビビるわ」

 

「これも、使い所を考えないと巻き込まれるのは同じね。ただ、こいつの言う通り発動までのタイムラグがあまりないのと、直前までどんな攻撃が来るのかわからないというのは大きな利点ね」

 

「そうそれ。初見殺しすぎるんだよなこれ。あと、そのあとすぐに水系の魔法で追撃入れやすいからそういうの覚えておいた方がいいかも」

 

爆発で水が生まれるからな。その水を利用してすぐに攻撃する技術を磨いた方がいいだろう。まぁ、それはライトじゃなくとも、俺やニアがやるでもいいんだけどな。

 

「とまぁ、これで私が勇者に教える魔法は以上だ」

 

「……その言い方だと、他の誰かに教える魔法があるみたいな感じだな」

 

「まさか私?私に何かあるのお父様?」

 

「いや、ニアじゃない。そして、魔法でもない」

 

魔法じゃない...?

 

「じゃあなんだってんだ?」

 

「カリヤ、君に渡したいものがある。だがその前に、やってもらいたいことがある」

 

「俺?」

 

リヒトは一枚の紙を持ち、俺から少し離れたところに立つ。

 

「その位置から、この魔法陣を起動させてみろ。空気中を通してだ」

 

「いいけど...」

 

何のために?と思いながらも、指を向けて構える。

 

「そんな距離、届くわけ...」

 

「前やった時よりも遠いな。でも、今の俺なら...!」

 

魔力の弾丸を作り出し、撃ち出す。一昨日のアンデッド屋敷でやったように高密度の魔力で外側を覆っているので、空気中で消滅し切る前に魔法陣に着弾する。

 

「うそ...でしょ?」

 

「まっ、こんなところだね。練習の甲斐があったわ」

 

「……ふむ、これなら作る必要なかったか...?」

 

「ところで、これには何の意味があったんだ?」

 

「いや、な。できない想定で話を進めようとしていたから、できれば今のは忘れて欲しいんだが...普通は、こんなことはできない。私にも、ニアにもできない。魔力は空気による減衰が酷く、遠くまで飛ばせないのが通説だ」

 

「それはなんとなく知ってるけど、普通はどれくらい飛ばせるものなんだ?」

 

「今の距離の、三分の一届くか届かないか...といったぐらいだ」

 

ってことは、一メートルも行くかどうかってぐらいなのか。そんなに難しいことなんだな...

 

「だが、君はできる。前回の時ですら、常人の二倍は飛ばせていたからな。最初は、これが才能かと打ちひしがれたものさ」

 

「ハッキリ言って化け物ね。あんた本当に人間?」

 

「そこから疑われるようなことなのか...?」

 

この世界の人間じゃないから、そういう意味では違うとも言えそうだけど。

 

「けれど、別段魔力を込めていたわけではなかったはずだ。加速も使っていない。なのにより遠く飛ばせていた。才能なんぞで片付けるには遅い、何か秘密があるはず...そう思ったわけだ」

 

秘密があると言われてもな。今はまだしも、前にやった時は特に細工をしてなかったと思うんだが...ああでも、イメージはあったか。霊○とか、レー○ガンとか。力を込めるイメージと、撃ち出すイメージを固めるためだったけど、そんなイメージくらいならこの世界の人にも別のものをイメージすればできると思うんだが。

 

「カリヤ、君は魔力を撃ち出す時に、箇所によって魔力の密度を変えていたりはしないか?」

 

「おお、よくわかったな。外側を厚くして減衰しにくくしてるぞ。まぁ、最近やり始めたことだけど」

 

「今は意識的にやってるみたいだが、昔も無意識にそれをやっていたのだろう。さっき撃ち出した魔力の消え方が、前のとよく似ていた」

 

一回見ただけで比較できるってどういうことだよ。ってか前回がどんなだったかよく覚えてんな。

 

「前回の時も、今の俺みたいなことをしていたってのはわかった。でも、それがなんだってんだ?」

 

「君の無意識の行動によって、魔力操作の常識が大きく変わった。君のその技術を応用すれば、誰でも遠くまで魔力を飛ばすことができるようになる。だから...」

 

リヒトは懐から何かを取り出しながら言った。

 

「魔道具として、魔力を撃ち出す道具を作った」

 

「拳...銃...⁉︎」

 

見た目が、どう見ても自動式拳銃だった。ただし、撃鉄がなく、スライドっぽいところはあるが動かなそうだ。だが、照準器はついているし、安全装置もある。なんなら弾倉っぽいのもあるし、交換することもできそうである。

 

「拳銃...とはなんだ?」

 

「……すまんそれは忘れてくれ。これの説明を頼む」

 

「……まぁいい。まずはグリップを握ってくれ」

 

明らかに拳銃なそれを握る。

 

「次は、セーフティを解除してくれ。側面についている、レバーのようなものを上に上げればいい」

 

カチッと操作する。

 

「上についている照準器を使って狙いを定めて、引き金を引けば撃ち込める。一回やってみろ。そこから撃て」

 

C.A.R.システムっぽい感じで銃を構え、魔法陣を狙って引き金を引く。

 

その瞬間、グリップ側に魔力が流れるような感覚を感じた。速度探知で、どんな仕組みかを見てみる。

 

グリップへと流れた魔力は、弾倉っぽい箇所にあった魔法陣を発動させるために使われたようだ。そして、魔力と、魔法陣によって発動した魔法をひっくるめてチェンバーっぽいところへと移動。弾丸として魔力の塊と、それを覆う膜のようなものができた。

 

弾丸が完成してすぐ、魔法によって推進力が与えられ、バレルへと移動。そこでさらに推進力が与えられて加速、魔力の弾丸が銃口から発射される。

 

「……音出ないんだな。まぁ、爆発させてるわけじゃないから当然か」

 

弾速はかなりのものであり、この程度の距離ならば撃った直後に命中した。ちゃんと魔法陣が起動している。

 

「撃ったカリヤはもうわかってるだろうが、引き金を引くと魔力が吸われる。すると、魔道具内部の機構によって自動的に魔力の弾丸が発射されるようになっている」

 

「……うん、消費魔力も思ってたよりも少ないな。これなら誰にでも使えるだろう」

 

まさか、この世界で最初の銃火器が自動式拳銃になるとはな...まぁ仕組みは魔法によるものなんだけど。なんか、この感じで進んでいくと普通に金属の弾丸を飛ばす銃が造られたりしそうだな。その時には、火縄銃とかフリントロック式の銃とかを通り越して拳銃が造られそうな気がする。

 

「なんかそれを持ってるカリヤ、様になってるね」

 

「うんうん、似合ってる感じがする」

 

「というか、なんか使い慣れてない?まるで使ったことがあるみたいな...」

 

地球では、モデルガンなりエアガンなりを集めたりしてたからな。サバゲーをたまにしてたりもするから、慣れてるように見えてもおかしくはない。

 

「そんなわけないだろー、ところでなんだが、この機構はなんなんだ?取り外せるみたいだけど、メンテナンス用か?」

 

偶然気がついたように装いながら、マガジンを外して手に持つ。

 

「それが魔道具の中枢であり、弾丸の元となる機構だ。カリヤの言うようにメンテナンスのためでもあるが、外れるようになってるのにはもう一つ理由がある」

 

ひょいと、リヒトが俺に向かって何かを放り投げてきたので、それを掴み取る。

 

「これは...」

 

これもマガジンみたいだ。ただ、中身の魔法陣が違うような...?

 

「魔法陣を入れ替えれば、魔力以外のものを撃ち込めるようになる。速さはそのまま、炎や水を撃てるようになるわけだ」

 

「おお、ほんとだ炎撃ち出してる」

 

かなり連射もできるみたいだ。しかも、残弾管理の必要がない。己の魔力にさえ気をつけていれば、リロードなしでいくらでも撃てるはずだ。

 

「今のところは入れ替えが必要だが、いずれは一つにまとめ、スイッチで撃ち分けできるようにするつもりだ。完成したら、流通させようと思っている」

 

「これが出回るのか...」

 

かなりの革命だよなこれ。魔法を習わなくてもある程度使えるわけだし、当てる練習をすれば誰でも使えるから敷居も低い。護身用に一人一つ持ち歩くレベルまで広がりそうだ。

 

「プロトタイプ版だが、それをくれてやる。自由に使ってくれ」

 

「おう、ありがとうリヒト」

 

他にも、いくつかマガジンを渡される。

 

「今私にできることはこれまでだ」

 

マガジンを渡し終えたリヒトが、そんなことを言う。

 

「ほとんどの人とは初対面だが、そんな私にもいいチームだとわかるよ。魔王討伐、頑張ってくれ。ニアの口から武勇伝を聞く日が楽しみだ」

 

……こりゃ、ニアも絶対生還させないとダメだな。

 

この中の誰も欠けさせない。その決意がさらに深まった。




一応、一話でモデルガンの収集をしてるという設定を書いていたので、銃が登場することは予測できないわけではないという...
C.A.R.システムを出したのは、これはもう完全にリ○リコ意識ですね。
カリヤくんも見ていたんでしょう多分。

ちなみに、サバゲーも銃の収集も作者はエアプなんで、銃の設定がおかしいとかあるかもしれませんが悪しからず...
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