前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8180字。

戦闘続きもアレだから、前回ラストでレストが提案した自由時間を少し描写しようとしたら一話分になってしまったの巻。


妬みと僻みと和解

「魔力銃のコツねぇ...」

 

昼ごはんを食べた後の自由時間、レストに魔力銃のコツを教えてほしいと頼まれた。

 

「カリヤが使ってる姿がすごい様になってたから、教えてほしい」

 

「って言われても、俺も初心者だぜ?教えられることなんてあると思うか?」

 

初めて銃が生まれたのだから、初心者と主張しないとおかしなことになる。それに、銃はそれなりに知ってるつもりではあるけどあくまでネット知識だし、撃つ方の経験はエアガンとかサバゲーくらいだし、教えられることはないのも本当だと思う。

 

「でも、やけに知ってる風だったような...まぁいいや。なんか、うまく安定しないんだよね」

 

「構える位置の問題じゃねぇか?ちょっと一回構えてみ?」

 

レストが銃を構える...って、俺の真似してC.A.R.システムで構えてやがる。

 

「それ、近距離用の構え方だな。遠くにいる奴を狙うなら、こう構えた方がいいと思う」

 

肩幅くらいに脚を開き、利き腕側の脚を半歩ほど下げる。首は傾けずに両腕を前に伸ばして、肩の力を抜いて...

 

「そう、そんな感じ。照準がついてるから、それを見て狙って撃つ。それだけで当たるはずだ」

 

「やっぱりなんか詳しくない?」

 

「き、昨日の夜のうちにどうやったら撃ちやすいか試してたんだよ」

 

「本当に...?というか、これでも結構ブレるね」

 

「そう?構えは正しいと思うんだけど...って、そっか盾つけてるからか」

 

こんなんつけてたら、重量でブレるよなそりゃ。

 

「でもそうなると、あとは慣れろとしか言いようないんだよな...盾の重量に負けずに銃を構え続けて、しっかり狙って撃つ。これを徹底すればちゃんと当てられるようになると思うぞ」

 

「カリヤの反射があれば楽なのに...」

 

「跳弾鏡射の制御って結構めんどいから自力で当ててくれ」

 

「えー」

 

「えー、じゃない。頑張れ」

 

「上達が遠い...」

 

「今んところ誰も使ったことないんだから、コツなんてあるわけないんだ。逆に言えばレストが魔力銃全一になって開祖になることもできる。目指せてっぺん」

 

「そんなこと言われても...既に盾は一番だし」

 

「おおぅ自信がすごい」

 

うん、たしかに盾は一位だな、うん。

 

「んじゃ、そろそろ俺は行くぞ。他にもお呼びがかかっていてな」

 

「デートだデート」

 

「レストお前そんなこと言う奴だったか...?」

 

「前にカイスで冒険者夫婦のいちゃつきを見たから...」

 

カイスの冒険者夫婦ってそれログとメリッサじゃ...

 

「何をカイスで学んできてんだお前...デート違うからな。それじゃっ」

 

レストに別れを告げ、待ち合わせ場所にさっさと移動する。

 

「よーし二人ともお待たせ。そして俺ってほんとにいるの?」

 

ステラとニアに合流する。

 

「ニアがいるなら、店の紹介役は十分だろ?」

 

ステラはこれから矢を買い足しに行くのだが、彼女はカイスに初めて来たため店の場所がわからない。だからカイスの店を把握している俺とニアが抜擢されたわけだが、地元民だけで十分じゃね?俺いらない気がする。

 

「あんたに用があるのは私よ」

 

「えっ、そんなん?」

 

「私もいて欲しいと思ったから呼んだんだけどね。なんか、魔力増やしたいんだって」

 

「ああ、そういうこと...」

 

店を回っている間に、加速を利用して魔力を増やそうという魂胆だろう。時間の有効活用ではあるが...なんかパシられてるような気分だ。

 

「魔力増強に付き合うって、言質は前に取ったはずよ。拒否権はないわ」

 

「へいへい...んじゃ、ぼちぼち行きますか」

 

弓矢関連の店はあっちだったよなと、思い出しながら歩き出す。

 

「もう既に魔力枯渇させてあるわ。加速させなさい」

 

「準備早いな...ん?ステラも使い切ってるな」

 

「私も魔力増やしたいの」

 

「ほら、ステラちゃんは魔法をあまり使えないけど、使えるようになりたいって言ってたでしょ?適性を今すぐに高めるのは難しいけれど、魔力量を増やして発動できるようにすることはできるし、魔道具で空を飛ぶのにも魔力が必要だから増やしておきたいのよ」

 

「ガッテン承知。加速させるわ」

 

二人の魔力回復を加速させる。

 

「おぉ...なんか変なかーんじ」

 

「結構早いわね...でも、想像よりは遅いかも?」

 

「どんくらいの早さを想像してたんだ?まぁでも、走る時の速度と比べると遅く感じるのも当然か」

 

概念系の加速って自分でもどれくらいまで加速できるのかよくわかんないんだよな。移動速度みたいな、単純な秒速で考えられないからわかんなくなる。単位をつけてくれ単位を。

 

「でもこのペースなら...ステラはすぐじゃないかな。んで、ニアは一時間くらいかかるんでない?」

 

「それでも普段の何倍も早いから軽く言って革命ね」

 

ちょっと思ったんだが、この世界に革命って単語存在するんだな...未遂事件として存在してたりするのかな?

 

「あっ、溜まった」

 

「早っ」

 

「やっぱり私魔力量少ないんだなぁ...間に合うかな?」

 

「こいつがいるから十分間に合うと思うわ」

 

「こいつ言うな。名前で呼べ名前で...」

 

「そういえば、私前にカリヤのことおにーさんって呼んでた時あったよね」

 

「そういやそんなこともあったな」

 

「あんた...まさか呼ばせ「呼ばせてねーよ」...本当に?」

 

「ほんとだ。まだ名前を教えてなかったころだから、仮で呼んでただけだぞ」

 

「ああ、そういうこと...」

 

「おにーちゃん♪」

 

「なんで急に爆弾投下したのステラ?」

 

ニアがすごい目で見てくるんだけど?今さっきとれたばっかの誤解が一瞬で再燃したよ?どうしてくれるん?

 

「えへへー、懐かしいでしょ」

 

「破壊度は前よりも増してるんだが?俺がどこぞの兄を名乗る不審者になっちゃったらどうするつもりだよ。悪ふざけされるとこっちの社会的な立場がアレになって...」

 

なに?俺はお兄ちゃんだぞって言わせたいの?

 

「そしてニアは睨むのやめてくれませんかね...?ってか話ずれすぎだ。ステラが魔力溜まったって話だったろ?」

 

「……そういえばそうだったわね...まだ少し時間あることだし、もう一サイクル行くわよ」

 

「はーい」

 

そう言って、ステラは指から炎を出す...が、か細い炎は、ものの十数秒で消え去ってしまう。

 

「ほんとに魔法あんまり使えないんだな...」

 

「そうなんだよねー」

 

魔力量がめっちゃ少ないってわけでもない。体質のせいとしか言いようがないんだろうが、まさかここまでとは思ってなかった。前にバンバン火装を使ってるところを見ていたからかな。ちょっと予想外だ。

 

「この魔力量だと、カリヤからもらった指輪をうまく使いこなせないんだよね。次の夜まで保たせられないの」

 

「あ、そうなんだ...それじゃ、頑張って魔力増やさないとな。いつでも付き合うぜ」

 

「ありがと♪」

 

「私にも付き合ってもらうわよ」

 

「へいへい...引っ張りだこだな俺。自由時間ほぼ消滅するんじゃね?」

 

「流石にそこまで拘束する気はないよ。魔力増やすのはあくまでついでり本命は矢を買い足すことなんだから」

 

「だな。そして到着だ」

 

弓矢を取り扱う店に到着する。

 

「矢はどこかな〜」

 

「ちょいちょい、俺からそんなに離れるんじゃない。加速できなくなるじゃんか」

 

キラキラした目で店の中に入って行ったステラを呼び戻す。

 

「あそっか。忘れてたよ」

 

「あと、店ん中で走っちゃダメだからな。前はこんなことしなかったよな?」

 

「初めてくる店だし、ちょっとワクワクしちゃってたや。反省!」

 

「よーしいい子いい子...んで、どうしてそんな目で見るんですニアさん?」

 

「何を見せられてるの私は...あと、女の子の髪の毛を無闇に触るのはやめておきなさい」

 

「いって叩かれた。前に許可もらったからいいんですー、なっ?ステラ」

 

「うん」

 

「しかもよぉ、ニアもちょっと前に頭撫でてたじゃんか。それはええんかぁ?」

 

「それは...いいわよね?」

 

「いいよー」

 

「事後承諾じゃねぇか」

 

あんまり頭触るのってよろしくないのは知ってるけれども、許してくれてるからなんだかんだ撫でてしまう。なんか庇護欲が掻き立てられるんだよな。

 

「んでステラ、いい感じの矢は見つかったか?」

 

「やっぱり品揃えはカリスよりも少ないよねー」

 

「まぁそりゃ弓矢の町と比べたらそうなるだろ。一応この町で一番なんだけどね」

 

「でも、質は思ってたよりいいかも」

 

「魔法のおかげじゃないかしら...そこまで違いがあるようには思えないけど」

 

「いやいや、結構違うんだよニアさん。似たような矢でもちゃんと真っ直ぐ飛ぶ飛ばないがあったり、鏃が違ったりしてて気をつけないといけないんだよ」

 

「そ、そうなのね...そうなると、弓にも違いがあるのかしら。素人目だと一切わからないけれど」

 

「わかりやすいのもあるよ。ほらこれとか、滑車がついてて子供でも引きやすいし」

 

「あら本当ね...」

 

「そういやニアって魔法拡散対策で魔道具いくつか持ってるんだったよな?こういった弓矢を持つのもありなんじゃね?」

 

「確かに!弓はいいよぉ」

 

「やめておくわ。装備を増やしたくないもの」

 

「まぁ確かに重量は嵩むけど、保険は必要だぜ?」

 

「あんたが持ってくれるならいいわ」

 

「荷物を押し付けるんじゃない。ほら見てみろよ。俺めっちゃ装備あるんだぞ?これ以上持ったら流石に厳つすぎる」

 

「でしょう?私もあんたと同じ、必要なもの以外は全て次元収納に突っ込んでるわ。これが最適、この装備が最も魔力効率がいいの」

 

「弓矢なんて持ったら魔力の循環が悪くなるってことか?」

 

「そうよ」

 

なるほどねぇ...まぁ確かに、服とかにも色々細工してるみたいだし、コスプレじみた魔女っぽい服装だがそれなりに意味があるのだろう。こうなると下着の類にも仕掛けがありそうだが...気にしないでおこう、な。

 

「そっかぁ...仕方ないね」

 

「残念そうにしないでちょうだいステラちゃん。そうね...魔王を討伐して、平和になって魔法を使う必要がなくなったら使ってみようかしら。だから、ステラちゃんにできることを頑張って、私に弓矢を使わせてみなさい」

 

「なんかカリヤみたいな言い回しするね。いいよ♪」

 

「おいおいその流れでなんで俺が睨まれるんですかね...?」

 

まぁ確かに俺が使いそうな言い回しだけれども。

 

「ってかそろそろ俺のこと嫌うのやめてくれません?俺何かニアにしたっけ?」

 

「何もしてないわ」

 

「だよな?...まさか、何もしてないからってわけないよな?」

 

「何を言ってるのかよくわからないけど、単純に僻みや妬みよ」

 

「自覚してるんならわざわざ表に出さなくていいんじゃないですかね...?心ん中で思ってるだけなら全然いいんだけど、それを表面に出されると気分が悪いっていうか、困るんだよね」

 

わざわざ外に出して不和を撒き散らすのやめてもらいたい。そういうのが雰囲気を悪くするって、ニアならわかってると思うんだが...

 

「戦闘中は出してない、これでいいでしょ」

 

確かに戦闘中は普通にコミュニケーション取れてんだよな。なんならいろんなことが許容される。移動のためとはいえお姫様抱っこの状態で何一つ文句言わなかったし。なんか言われるんだろーなと思ってたから、肩透かし喰らった気分だ。

 

「普段からやってほしいんだわ」

 

「妬む余裕もないほどに力の差を見せつければいいんじゃないかしら。あんたなら余裕でしょ」

 

「余裕なわけあるかい。ってか、また俺みたいな言い回しなってんぞ」

 

「逆に言えば、あんたが私の言い回しを真似してると言えるんじゃないかしら」

 

「逆に言う必要がある時点でその理屈は通用しねーんだわ」

 

「はいもう口喧嘩しないの!」

 

「「っ!」」

 

やっべ、ステラがいる前でやってしまった。

 

「仲間なんだからそんなことで言い争いしちゃダメっ!ニアさん!」

 

「な、なに...?」

 

「カリヤの何が嫌なの?」

 

ちょっ、そんな直球どストレートで聞くの?

 

「ってかそれ話したらまた言い争いになるんじゃ...」

 

「遺恨は残しちゃダメ。お互いに冷静な状態でちゃんと話して、仲直りしないと!で、どこが嫌なの?」

 

「うー...ほんとに言わないとダメ?」

 

「ダメっ」

 

「……才能なんてクソ喰らえ」

 

……ヒェッ

 

「ってのが私の信条よ。私がこんなこと言うとそれこそ恨まれるでしょうけど、ハッキリ言って私に才能なんてものはないわ。天才なんかじゃない」

 

ニアの独白...独白?が始まる。

 

「だから努力してきたわ。お父様は私のことを努力の天才と言っているけれど、それは違う。真の天才ならもっと少ない努力で結果を出せるもの。天才じゃない私は、ただ時間を使うしかなかった」

 

天才とは、努力しない人間ではない。努力する前の初期能力値が他人よりも高く、かつ努力の必要量が少ない者。これが俺の考えてる天才の定義なのだが、ニアも同じようなことを考えていそうだ。

 

「過程は色々飛ばすけれど、努力の甲斐あって私は魔法使い最強になれた。英雄にも選ばれた。そして、他の町の英雄や、勇者はどんな強い人なのかと期待した」

 

「俺が期待外れだった...って話ではなさそうだな文脈的に」

 

「あんたは強いわ。勇者の聖剣の力を除けば、おそらくこのパーティーのなかで一番強い。しかも、成長性は保証されている。間違いなく最強になるわ」

 

「……俺の力が、神から貰った借り物だから嫌っている...とかか?」

 

「大体はそんな感じよ。もちろん、努力していないとは言わないわ。使いこなす努力や、ここまで鍛えるための努力はしてきたでしょうし。でも、それでも、やっぱりずるい」

 

もしこの世界に、速度操作能力なしで召喚されていたらどうなっていただろう。おそらく、初日に死亡確定だ。俺が生きるためにも、世界を救うためにも、この能力はなくてはならなかった。でも、この世界に元々存在しない力は、努力なしでポンと与えられた力は、やはりこういった軋轢を生んでしまう。

 

「お父様が専用の魔導書を作ったというのも、妬みの理由の一つかもしれないわね...正直言って、私にもこの妬みの原因がなんなのかよくわからないわ。納得があって、羨望があって、劣等感があって、嫉妬があって...それに加えて、こいつの命を救ってやった恩人だという優越感みたいなのも混ざってぐちゃぐちゃになって、よくわからないの」

 

「そっか...ニアさんは、カリヤのことが羨ましいんだね」

 

「うん...多分」

 

「誰かを羨ましいと思うのは普通のことだよ。私だって、ニアさんやカリヤの魔法が羨ましいよ。でも、嫉妬なんてしないよ?」

 

「それは...ステラちゃんが優しいから「これでも昔、今のニアさんみたいなことを考えてた頃があったんだ」...えっ?」

 

トルクのことか...

 

「私の本当のお兄ちゃんがほんっとうに強くて、私にはない力を見せつけられた。最初は私の方が強かったのに急に上に立たれたんだから、当然嫉妬した」

 

「ステラちゃん...?」

 

「でも、そこでカリヤと出会って、一緒に戦って、励まされて、変われた。強くなって見返してやろうって、そう思えたの」

 

「ステラちゃん...」

 

「私の場合とは少し違うだろうけど、きっと解決方法は私と同じ。ニアさんはずっと努力してきたんでしょ?それなら、もっともーっと努力して、カリヤよりも強くなっちゃえばいいんだよ!」

 

俺の前でそれ言う...?と思ったけど、ステラの前で口喧嘩した俺に言えることではないな。

 

「こいつよりも強く...?」

 

「こいつじゃないよ。カリヤ」

 

「うぅ...か、カリヤよりも強くなんて無理じゃないかしら」

 

「どうして無理だと思うの?」

 

「速度操作がある時点で、私に勝利の目はないわ」

 

「自分にないものを考えてもしょうがないよ。自分にあるもの、自分にできることで勝負しなきゃ!ニアさんには何があるの?」

 

「私にあるもの...」

 

ちょっと考えさせてという風に手を出して、考え込むニア。そして、口を開く。

 

「まだ飲み込めないところはあるけれど、妬んでいてもどうしようもないのは自分でもわかっていたわ。ちゃんと吐き出す機会をくれてありがとうねステラちゃん」

 

「私に言うんじゃダメだよ。カリヤに言わないと」

 

「……そうね。本当にできた子だなステラちゃんは」

 

軽くステラの頭を撫でてから俺の方を向いてくる。

 

「私はいつか、あんた...カリヤをぶっ潰すわ!」

 

「へ?」

 

「そのためにも、教えてたくないって渋ってた魔法を全て教えるわ。共有して、その上で勝つ。狙うは完全勝利よ!」

 

ちょいちょいステラさんなんかニアが悪い方向に覚醒しちゃった気がするんですけど⁉︎

 

「ちょっ、えっ、え?」

 

「いつか絶対あんたを出し抜いて、参ったって言わせてやるわ。覚悟してなさい!」

 

「……なぁステラ。こうなると思って焚きつけました?」

 

「いや、こうなるとは思ってなかったけど...まぁいいんじゃない?」

 

「確かに、今までのあの目を向けられるよりも、ライバル視されてる方が全然マシではあるな。健全な対抗心だから、互いの成長にも結びつきそうだし」

 

切磋琢磨できるライバル関係と、ただ単純に嫌われてるのだと、前者の方がいいだろう。よほどのドMでもなければ、後者がいいという奴はいない。

 

「あと、これからも今みたいに魔力増強に付き合ってもらうからそのつもりで!」

 

「ちょっ、俺を倒そうってのに俺のサポート受けるってどういうこと?それでいいんか?」

 

「最強の私になるにはあんたの力が必須よ!あんたも、戦うなら万全の私でいてくれた方がいいんじゃないかしら?」

 

「……まぁ、返り討ちにするなら言い訳できない状況の方がいいわな」

 

「カリヤ...それはどうなの?」

 

「宣戦布告されたわけだから、それに応えたまでさ。こっちだって、手は抜かない。俺が真面目に付き合わなかったから負けたなんて言い訳されても困るしねぇ」

 

「言い訳なんてしないし、させないわ。あんただってみっちり鍛えてあげるわよ」

 

「……なんか、さっきと同じぐらいバチバチしてるような...でも仲良くはなってる...?」

 

ステラを混乱させながらも、なんとか仲直りという方向で着地した。正直自分達もよくわかってないが、前よりはマシな関係にはなっただろう。

 

「ところで、俺を出し抜くと言ってたけど具体的にどうするおつもりで?」

 

「あんたの速度操作はどうしようもないから、まずは雷装ね」

 

「雷装を手に入れようってんなら引き止めるが。ってか多分使いこなせないと思うぞ。遠くまで雷飛ばせないし」

 

「そうじゃないわ。あんなのを浴びるとか正気じゃないし」

 

し、正気じゃない、か...そりゃそうだよな。それで死にかけた二人を救ったのはニアなわけだし、浴びたくないと思うのも当然だ。

 

「魔法で代用できないか探るのよ。今ある天の怒りを操る魔法は、女神様から与えられたものであって、人間が発見したものじゃない。探せば、必ず一般人にも使える魔法があるはずなのよ」

 

「雷装もあることだし、あり得ない話ではないよな...でも、難しいだろうな。リヒトもやってたけど、半年以上やって見つけられてないわけだし」

 

「難しいからといって、諦める私じゃないわ。努力は必ず実を結ぶわけじゃないのは知っているけれど、努力することにも意味があるもの」

 

「それはそう。ステラも努力したから英雄の座に戻れたわけだし...ってあれ?どこ行った?」

 

気を逸らしていたからステラがいなくなってたことに気づかなかった。どこ行った...?

 

「魔法の話になってわからなくなったから、話してる間に矢を買ってきちゃった」

 

「……そういや、ここ店の中だったな」

 

めっっちゃ言い合いして、重い話して、なんやかんや和解してと、店のことを考えずに色々やってしまった。

 

「お店の人、ちょっと怒ってたから後で二人でちゃんと謝ってきてよね」

 

「そうだな...ステラもごめんな。こんなんに巻き込んじゃって」

 

「いいの。これでこれからの旅が楽しくなるならね」

 

「ごめんなさいステラちゃん。これからはこいつともちゃんと話をするようにするわ」

 

「ま〜たこいつに戻ってるよ?カリヤだからね」

 

「ふふっ、そうだったわね。すぐに変えるのは難しいけど、ちゃんと変えていくわ」

 

「なんなら幸希って呼んでくれてもいいんだぜ?」

 

「呼ぶならカリヤで。コウキって私だけ呼んでるの嫌だし」

 

「なにそれひどい」

 

「コーウキ♪」

 

「なーに?」

 

「謝りに行ってらっしゃーい。ニアさんもね」

 

「「はーい...」」

 

なんか尻に敷かれつつある?と思いながら、二人で店員に迷惑かけたことを謝りに行くのであった。




カリヤがニアと会ってからまだ二日目なんですよ...なんでもう和解してるんですかね?
ギスギスなんて書きたくないっていう作者の感情もあるんですけど、こういったいざこざはステラがいるとすぐに解決しそうという感じがあるんですよね。
なまじキャラの性格や実力が優秀すぎるが故に、そもそもいざこざが起きること自体少ないだろうし。

優秀設定にして、無能設定にした時とは別ベクトルの問題が出てくるとは思わなんだ。
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