前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8186字。

第二十六階層ですが、カリヤくんの出番はほぼないです。


縦横無尽飛行ステラ

第二十六階層

 

「個別訓練?」

 

「そうみたい」

 

ライトが見た勇者の記憶によると、この第二十六階層では各々別の場所に飛ばされて、別々のことをやらされるらしい。今後も、似たような仕組みの階層が出てくるんだと。

 

「カリヤが前に言ってた、分断された時の対策のためかな」

 

「それもあるけど、単純に個人技の強化目的もありそうだな。連携だけに頼るんじゃなくて、自分自身の実力も鍛えとけーみたいな」

 

「まぁ意義は各自考えて臨むとして...これなら特に作戦会議は必要ないわよね?」

 

「そうだな。強いて言えば、それぞれどんな内容なのかあらかじめ知れるのかどうかってくらいだが、勇者の記憶には残ってる?」

 

「あるにはあるけど...知らないまま行った方がいいと思う」

 

「それもそっか」

 

知らないまま臨むってのも必要だよな。今の言い方的に、どの代も同じことをやらされたんだろうなとは予想できるけど。ってか、俺はどうなるんだろ。神の使いポジションで飛ばされるのかな。

 

「それじゃあ、さっさと入ろっか」

 

会議は無し。すぐに切り上げて横穴に入る。

 

「……行き止まり?扉がいくつもあって別々に入る...とかじゃないんだな」

 

ってか、行き止まりなわけだけどどうやって個別訓練が始まるわけ?

 

『勇者、及び英雄の存在を認識』

 

「何だこの声」

 

「声?なにそれ」

 

「えっ、今の聞こえてないの?勇者、及び英雄の存在を認識だとか言ってたけど」

 

「そんなこと誰も言ってないよ?」

 

「確かに変な音は聞こえるけど...」

 

「それも私には聞こえないけれど...耳いいのね二人とも」

 

クミリアだけは、変な音が聞こえているみたいだが...まさか、翻訳能力のおかげだったりするのか?クミリアが音として認識しているのは何かの言語で、翻訳能力がそれを翻訳して日本語として聞こえるようにしてるとか...あり得なくはないな。

 

『空間拡張、隔壁生成、擬似転移を開始します』

 

「擬似...転移?」

 

俺がそう呟いた途端、景色が変わった。村のような場所、大通りのど真ん中に俺は立っていた。

 

「……あれ?カリヤ?」

 

「えっ、なんでステラいるの?」

 

後ろから声がして、びっくりしながら振り返ってまた驚く。個別訓練なはずなのに、なんで二人いるの?

 

「こっちのセリフ...かどうかもわかんないや。どっちかが巻き込まれたのかな?」

 

比較的近くに立ってたから、巻き込まれた可能性は大いにある...

 

「ああでも、俺が神の使いだからってのが一番しっくりくるかな。誰かの個別訓練にお邪魔して、一緒にやるのかもしれない」

 

神の使いって、多分世代ごとに持ってる力が大きく変わるだろうし、特定の訓練やらせるよりかはいいのかもしれない。

 

「確かにそうなのかも...?」

 

「ってことで、一緒に頑張ろうぜ」

 

「うーん...でも、これって元々私の訓練なわけじゃん?ここは私だけの力で頑張りたいなーって」

 

「それならそれでもいいぞ。自分の成長を見せつけるチャンスだし」

 

「そうそう。だから、カリヤは少し離れたところで見ててよ。ほんとにヤバいと思ったら助けに入ってくれればいいから」

 

「わかった。じゃあ気が散らないように姿隠しておきますねー」

 

4983ページ 黒のみ 虚像生成

 

虚像生成を応用し、めっっちゃ遠いところに俺の姿を映して、ステラから見えないようにする。

 

「別にそこまでしなくてもいいんだけど...よーし頑張るぞ!」

 

とりあえず魔道具を起動させて、空を飛ぶステラ。そんな不用意に空飛ぶのも、結構危険なんだよなやっぱちょっと危なっかしい...と思いながら見る。

 

「というか、訓練って何するんだろ...それに、カリスみたいな村みたいだけど、なんでだろ?」

 

それ、俺も思ってた。人もいるし...ああでも、人間ではないんだな。めっちゃ精巧な人形みたいな感じかな。ゴーレムと言ってもいいかもしれないけど、そこら辺の違いはよくわからないし別にいいや。

 

そして、わざわざこんなのを設置して歩かせてるってことは...やっぱりいた。アンデッドが混ざってやがる。まぁこれもアンデッドっぽく見せかけた何かなんだろうけど、血液に魔素が巡りに巡って...ってやべ、ステラ以外には見えてるんだった。

 

「何あれ。もしかして...アンデッド?カリヤが襲われたのかな?」

 

何もない虚空に向けて拳を振るう人の姿を見て、俺をアンデッドが襲っているとステラも気づいたみたいだ。

 

「ということは、人を誤射しないでアンデッドを倒せ...ってことかな?」

 

多分、ステラの考察は正しい気がする。弓矢を使うにあたって、気をつけないことの筆頭は味方や一般人への誤射だろう。どいつがアンデッドなのかを見抜き、誤射することなく正確に撃ち抜く。その技術を向上させるための訓練なのだ。

 

「よし、ならまずわかってる奴から...!」

 

空中から正確無比な矢が飛んでくる。矢は俺を攻撃してきたアンデッドの頭蓋を貫き、そのまま消滅させる。

 

……普通、脳を破壊してもアンデッドは死なないはずだけど、ある程度ダメージを負わせられれば倒した判定になるらしい。消滅してくれると、倒したと視覚的に認識できて少し楽だな。

 

「消えるんだ...次を探さないと」

 

ステラが移動していく。俺もついていくために、建物の屋根に飛び乗り、屋根伝いに移動していく。これならアンデッドに襲われる心配もなしだ。

 

「うーん...どうやって見分ければいいんだろ?魔法使えないってやっぱり困るなー」

 

索敵も訓練の一部なんだろうが、ステラにとってはこれが一番キツいと思う。弓矢の実力は十分。見つけることさえできれば、すぐに矢を射って撃ち抜くことができる。そこにいくまでの索敵が、魔法を満足に使えないステラにとっての難所だ。

 

「普段索敵はカリヤとニアさんに任せちゃってるからなぁ...自分でもできるようにならないと!」

 

ちなみに、こうやって屋根の上を移動している俺だが、速度探知で何体かアンデッドを見つけていたりする。体感だが、五人に一人はアンデッドだ。結構な数いるし、最終的には全員発狂状態になってゾンビパニック的な感じで暴れ出す気がする。それを誤射しないように対処しないといけないわけで...やっぱ魔法使えないと厳しいな。

 

「……あいつアンデッドっぽい!」

 

ステラは少し先の方にいた、少しだけよろよろとふらつきながら歩いている人に向かって矢を放った。命中寸前に勢いよくぐらついたため腕に着弾したが、頭に刺さった時のように綺麗さっぱり消滅した。

 

「どこに当たっても同じなんだ...なら、狙うのは脚か胴体かな」

 

脚に矢が当たれば機動力を削げる。胴体は他の部位と比べて避けにくく、命中しやすい。どこを狙っても消えてくれるなら、実践形式で狙って射る方が確かにいいな。

 

「なんとなく見分けもつくようになったし、この調子で頑張ろー!」

 

空を飛び、遮蔽物のない空中からアンデッドたちに矢を放っていくステラ。宣言通り、胴体や脚にだけ矢を命中させている。

 

よく飛んで移動しながら当てられるよな...と思う。飛びながらだと矢に慣性が働いて、普通なら狙いからズレてしまう。そのズレがありながらも、飛びながら、しかも一発で補正して当てていくのすごいよな。俺も速度操作で思考を加速させればできるけど、ステラはそれ無しでできてるわけで、やっぱ一番なんだなと思い知らされる。

 

「よいしょっ...と。結構いるなー、足りるかな?」

 

時々地上に降り、矢を回収するステラ。村は意外と広く、アンデッドの数も結構なものと予想される。肝心な時に弾切れしてしまうのを防ぐためにも、ちょくちょく回収しているのだ。

 

「これ、屋内にもいるのかな?やだなー射線通らないし地上にはあんまり降りたくないし...」

 

大丈夫だぞステラ。屋根越しに建物の中も探知できてるけど、これ中身埋められてるから問題ないぞ。まぁ自分で気づく方がいいから言わないでおくけど。

 

「まぁいいや。とりあえず屋外からやろー。あれは人で、あれも人で...あれは違うっ!」

 

矢がアンデッドに突き刺さる...と、同時にそれは起こった。

 

ピピーッ!!!

 

笛のような音が、村の中央から響いた。

 

「なにこの音⁉︎...ってやばっ!」

 

さっきまでは少し挙動が普通の人と違うかなーって感じで、近くにいた俺を攻撃しようとしたのを除くとほぼ無害だったアンデッドが、唸り声を上げながら活発に動き始めた。そしてそれに触発されたように、普通の人々は悲鳴を上げながら走って逃げようとする。

 

俺が予期した、ゾンビパニック...?が始まった。

 

「誤射が怖い...!」

 

そう言いながらも、しっかりアンデッドだけを撃ち抜いているステラ。逃げ惑う人々と、それを追うアンデッド。動き回る標的と護衛対象。俺だったら数発は誤射してるだろう状況で、正確に撃ち抜いていく。

 

「というかさっきの音を出したのは誰?もしかしてそいつも倒さないとダメなのかな」

 

少し落ち着いてきたみたいで、声に出して状況を整理し出すステラ。もちろんこの間も矢を放ち続け、アンデッドを処理している。

 

「この辺りが片付いたら一旦中央に行こう。アンデッドも集まってるみたいだし」

 

よく見ると、アンデッドたちは先の音の発生源に向かって動いていると気づく。逃げていく人を追うように、真反対の方向へと進むアンデッドも何体かいるが、あくまでそいつらは例外であり、中央へ向かうのが大多数だ。

 

故にステラは、村の外側付近を旋回し、人を襲いに行っているアンデッドを攻撃していく。村の中心へと向かう奴らは一旦無視。後でまとめて倒す寸法だろう。

 

「よし、これで最後...!」

 

外周付近のアンデッドを全て倒し切った。これであとは、中央に集まった奴らだけ。

 

「矢の数は十分、建物は...あっ、中身ないのね。じゃあもう中央の倒すだけかぁ」

 

矢の数と、一応建物の中に誰かいないのかを確認するステラ。まぁ建物はハリボテだったから無意味だったけどね。

 

「よし、爆撃で一掃しよう」

 

空を飛び、村の中央へと向かうステラ。爆撃ということは、三種の属性矢を使うあれを使うつもりだろう。広範囲に火力を出せるから強くはあるけど...使えるかな?

 

「うわめっちゃいる...」

 

俺も見える位置に移動してきたが...だいぶ多いな。五十数体いるなこれ。まとめて倒したいところだけど...

 

「あっ、笛持ってる人いる。あれを倒せばいいのかな...?」

 

それはさておきといった感じで、氷装と雷装の矢をそれぞれ一本ずつつがえ、同じ場所に撃ち込む。

 

「あっやば、気づかれた」

 

まぁ矢を撃ち込めばそりゃそうなるよなって思うけど、集まっているアンデッドたちが全員ステラを見てる。敵を見る目だな完全に。

 

「えーーっとぉ...襲ってはこない感じ?」

 

アンデッドたちはステラを見るだけで、攻撃したりはしてこなかった。ステラが空を飛んでるから、攻撃手段がないのかな?いやでも、カリスの英雄は空を飛ぶ魔道具が継承されるわけだし、対空攻撃手段がないわけないよな...?

 

「うーん...よくわかんないけどドーン!」

 

火装の矢を放って、起爆するステラ。無抵抗な相手になんて酷いことを...なんて言ってみるけど、魔物相手だし酷いとか関係ねー。

 

かなりの数のアンデッドが吹き飛んでいく...というか、ほとんどが消し飛ぶ。一発攻撃加えれば消える仕様みたいだし、そのおかげで爆発をちょっとでも喰らった奴は丸ごと消し飛んでいた。

 

「よし、あとは君と、三体だけだね」

 

残ったのは、笛を持っている奴と、端の方に立っていたおかげでギリギリ爆発の影響を受けなかったアンデッド三体だけだ。

 

「笛持ってる君はちゃんと倒さないとダメっぽいから...まずはお仲間からっ!」

 

爆発をモロに喰らっても生き残っているから、笛持ちは他とは違うのだろう。だからステラは急降下しながら矢を放って先に三体を処理、そのまま笛持ちの近くを飛び回って、多方向から矢を撃ち込む。

 

ピッ!

 

「曲がった⁉︎」

 

おそらく人の形をしてるだけの魔物が笛を鳴らすと、矢の軌道が変わりどれも外れてしまう。

 

「音を使った魔法?そんな感じのニアさんに教えてもらった記憶あるけど...」

 

対処法が思いつかないのか、ひとまず旋回して矢を撃ち続けるステラ。けれども、どのタイミングでも矢は笛の音によって軌道を変えてしまい、一向に当たらない。

 

あくまで予想だけれど、あの魔法は洗脳操作に近い気がする。洗脳操作は音を用いて発動する魔法。本来なら音を聞いた者全てに魔法を付与するが、カスタムによっては対象を限定することもできるし、他の魔法と組み合わせたりとやりようによっては無機物に対しても発動できるだろう。矢も、それによって軌道を逸らされているのだ。

 

「カリヤならすぐになんとかできるんだろうけど...うん、カリヤならどうするかで考えてみよう」

 

矢を撃つのをやめ、ステラは考え始める。反撃してこないからいいけど、随分と隙だらけだぞ...?まだまだ防御面で不安だよなと思う。まぁ、それを守るのがレストの役目であり、俺の役目でもあるわけだが。

 

「うーん...反応できないくらいの速さの矢を射るか、あの笛を取り上げる...とかかな」

 

うん、俺のやりそうなことをよくわかってらっしゃる。この場合なら、接近して肉弾戦するかなって感じだ。略奪で笛を奪うのもアリ。無数にやりようはあるが、ステラはどれを選ぶのか...

 

「あまり近づきたくはないけど...行くしかないか!」

 

ステラは接近を選んだ。縦横無尽に飛び回れるその機動力を活かし、笛持ちを翻弄しながら笛を奪う機会を狙う。

 

「……今っ!」

 

笛を口から離したその一瞬を狙っていたステラ。一気に急接近してその手から笛を掠め取り、そのまま魔物から離れる。

 

「よし!これで矢が効くはず!」

 

そう言いながらステラは矢をつがえて最速で撃ち込む。

 

「って二つ目⁉︎」

 

魔物は二つ目の笛を取り出して吹き、矢を逸らしていく。

 

「しかもヤバっ!」

 

逸されただけじゃない。矢は軌道を変えるとそのままステラの方へと飛んでいく。

 

「もしかして奪うんじゃダメなのーっ⁉︎」

 

ステラは飛んでくる矢を避けながら叫ぶ。ずっと追尾するようなものではなかったらしく、一度避けるだけで脅威はさったのだが...やっと攻撃してきたな。こっからは、下手に矢を撃ち込むことはできない。

 

「ならどうすれば...?」

 

考えろーステラ。憶測でしかないけど、俺は答えに辿り着いたぞ。

 

「もしやこれを使ってさらに軌道を変えるとか...ダメだよね、これを吹いても魔法を使えるわけじゃないし、ばっちいし」

 

うん、それはさっさと捨てよう汚いし。

 

「笛は奪っても無駄だし、矢は跳ね返されるからもう撃てないし...あれ?でもこれ弓矢の訓練じゃないの?」

 

おっ、違和感に気づいた。そうだよそこをもっと考えれば答えは自ずと見えてくるぞ。

 

「でも矢は使っちゃダメ...軌道を逸らすんだから、魔法もダメなんだよね。爆発も逸らされちゃうみたいだし...」

 

そう、遠距離攻撃は無効化されているのだ。でもこれは、弓矢使いであるカリスの英雄のための訓練。弓矢や魔法が封じられた弓矢使いに求められているもの。それが分かれば、すぐにでも突破することができる。

 

「……もしかして、そういうこと?」

 

これは...気づいたか?

 

「さっき近づいたとき、何もされてなかったよね?ってことは、そういうことだよね?」

 

スーッと魔物に近づくステラ。もう手を伸ばせば触れるよねってくらいの距離にまで近づくが...

 

「攻撃してこない...やっぱり、そういうことなんだよね」

 

サクッ...魔物の胸に、ダガーが刺さった。

 

「これで終わり...かな?」

 

ステラがそう言った瞬間、魔物は消滅し、それと共に周囲の風景が歪み始める。訓練終了で、元の場所に戻されるのだろう。

 

「お疲れ様ステラ。一人でよく頑張ったな」

 

「アンデッドがいるって気づけたのはカリヤがいたからだけどねー」

 

「協力しようとしたわけじゃなくてただの事故だったんだけどな。それにしても、よく頑張ったよほんと。最後の仕掛けにもちゃんと気づいたみたいだし」

 

「カリヤはいつわかったの?」

 

「射った矢が跳ね返され始めたくらいからかな。遠距離から攻撃できるっていう弓矢の利点を否定し始めたから、こりゃ弓矢に頼らず攻撃できることを示さないと終わらないって気づいたんだ」

 

最後の魔物を倒すのに求められたのは、接近戦の技量。遠距離攻撃を無効化される、または矢を使い切ってしまいもう撃てなくなったりだとか、接近されてしまったりといった状況に陥った時、どうやって対処するのか。自分の一番の武器である弓矢を捨て、接近戦をすることができるのか。それを見たかったのだ。

 

「ステラも同じような感じでたどり着いただろ?」

 

「まぁね♪訓練だから、どんなことにも意味はある。何をして欲しいのかなーっていうシレンの穴を造った人の気持ちと、それを解き明かそうとするカリヤの考え方を思い浮かべたらピンと来たよ」

 

「なんかステラにどんどん俺の思考パターンを読まれてる気がしてならない。メンタリストなれるんじゃん?」

 

「めん...なにそれ?」

 

「うん、気にしなくていいよ」

 

さて、そんな感じの会話をしていたら、転移する前の洞窟に戻ってきた。俺たちの他には...誰もいないな。みんなの訓練はまだ終わってないみたいだ。

 

「そういや聞きそびれてたけど、ちゃんとダガー使ってくれてるみたいで嬉しいよ」

 

「たまにしか使ってないけどねー、大事に使ってるよ」

 

「そうかそうかそれは良かった。あっそうだ自由時間に暇な時間があったら、ダガーの練習でもしない?そしてステラは俺に弓を教える。一週間じゃできなかったあの時のを、またやろうじゃないか」

 

「いいねそれ!やろーやろー!」

 

「だいぶはしゃいでるわね...何かいいことでもあった?」

 

「おっとニアか、おかえりー」

 

「おかえりー」

 

「ただ...いま?」

 

困惑しながらもちゃんと返事をしてくれるニアさんマジ優しい。

 

「それにしても早いわね二人とも。てっきり私が一番乗りだと思っていたのに...どうせカリヤが一番かしら?」

 

「どうせってなんだよ。あと、俺とステラは同じ場所に飛ばされた」

 

「えっ、どういうことなのそれは?」

 

「神の使いは誰かの個別訓練に混ざるようになってるんじゃねぇかなって思う。一応言っておくけど、俺は何も手を出してないからな。ずっと見てるだけ」

 

「そう...ということは、ステラちゃんだけの力でこの速さってことね。すごい...どんな訓練だった?」

 

「民間人に誤射しないようにしながら、紛れてるアンデッドを撃つって感じのやつ」

 

「面白そうねそれ。こっちは熱いとか寒いとか痛いとかそういった情報を流し込まれながら魔法を発動させる苦行だったわ」

 

「なにそれエグぅ...」

 

どんな時でも魔法を使えるようにってことなんだろうけど、誰だよそれ考えたやつ。鬼畜か?

 

「なになに何の話?」

 

「うわビックリした。おかえりークミリア」

 

「ただいまー」

 

「っと、ちょうど全員帰ってきたな」

 

クミリアを皮切りに、残る二人も順番に戻ってきた。

 

「みんなどんな訓練やったんだ?」

 

「先にカリヤから言ってよ。ただ迫り来る魔物を薙ぎ倒すだけの私の話よりかは面白そうだし」

 

「俺の個別訓練はないぞ。誰かの訓練に混じる感じらしい」

 

「へーそうなんだ」

 

「……それほんと?」

 

「なに?ライト。ほんとだけどそれがどうかしたんだ?」

 

「神の使い専用の訓練があるって記憶にあるけど...ああでも、神の使いの訓練は世代ごとに変わってるみたいだから、そういうこともあるか」

 

あー...これあれだな。俺が本当の神の使いじゃないから、バグってんだこれ。本来なら神の使い専用の訓練場に飛ばされるはずなのに、神の使いじゃないから誰かのに混ざる感じになっちゃってんだ。ってか巻き込まれてるんだろうな。

 

「……まぁそれは置いといて、だ。それぞれどんな訓練をして何を得たのかを、休憩がてら話そうぜ」

 

「そうね。魔力回復してくれると嬉しいわ」

 

「じゃあはい『魔素反転』『聖域展開』」

 

だいぶ手慣れてきた聖域展開をライトがして、休憩を開始する。話を聞いていると、各々手に入れたものがあるみたいでよかった。

 

ただそうなると、神の使いの訓練ってどんなんだったんだろうなぁ...と、この階層ほぼ何もしなかった俺は思うのだった。

 

めっっっちゃ暇だった!次の階層は暴れる絶対!




姿を隠して女の子をずっと観察するって字面だけ見ると完全に犯罪。
ちなみに、空を飛ぶ魔道具を手に入れる前はスカートっぽい衣装だったけど、今はショートパンツっぽくなってます。
見え...とはならないし、させません。
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