前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8152字。

前回の続き、日常回...と思わせて?


敵はすぐ近くまで

「ありがとーごぜーます!」

 

「ふざけた感謝するわね...」

 

魂の疲労のせいか、次の日の朝まで目覚めなかったらしい俺は、宿の個室にてみんな(主にステラとニア)に土下座感謝をしていた。

 

「いやいや、誠意100%の感謝ですよこれ。助けてくださり、誠にありがとうございます...」

 

「なんか、そんな口調されると違和感すごいわね...」

 

「本当に助かったよ。あれ喰らっても死にはしなかったろうけど、痛いもんは痛いし」

 

まぁ、別にあの指輪があったとしても、過去改変が起こるまでは痛いんだけどな。傷にならないというのが利点なわけで、一瞬受ける痛みは耐えなければならない。結局、そのあと地面をバウンドしたから傷ついたんだけどな。

 

「何を勘違いしているのよ」

 

「ひょ?」

 

ひょ?じゃねぇわ。つい条件反射で言葉が出てしまった。

 

「死なないのは分かり切っていたわ。ただ、傷付いたら治すのは私なのよ?面倒は減らすに越したことはないわ」

 

「へいへい、ツンデレあざまーす」

 

「何を言っているのかよくわからないけれど、そんなに変なことを言えるくらい元気があるなら大丈夫そうね」

 

「よかったよカリヤぁ、ずっと目覚めないんだもん心配したんだよ?」

 

「完璧に治したはずなのにって少し心配してたもんねニア」

 

「私の魔法にミスなんてないから、心配するわけないじゃない」

 

色々喋り出す女子たち。一人ずつ反応したかったところだけど、そうするよりも前にレストが近づいてくる。

 

「動ける?」

 

「そりゃ問題ない。別に、怪我のせいで寝込んでたわけじゃないからな」

 

「怪我のせいじゃないってどういうこと?」

 

「速度操作のリミッターを一時的に解除したせいで、魂が疲労した...って言えばいいかな」

 

「よし、じゃあ今日は休みにしよう」

 

「えっ」

 

そうなっちゃうの?ってかレストが決めるん?

 

「それでいいよね?みんな」

 

「いいわよ」

 

「どうせカリヤ本調子じゃないだろうしね」

 

「いやいや、俺は動けますよ?戦えますよ?そんなわざわざ休みにしなくても大丈夫だぞ?」

 

「いーの。カリヤは今日休もう」

 

「どうせ元々休日だしね。しっかり休んで明日キリキリ働いてもらいましょ」

 

「休日とかそんなん今まで気にしてなかったじゃんか...」

 

デイトラブルによって決められた休日。確かに今日だけど、先週は休みじゃなかっただろ。

 

「別に、カリヤを置いてシレンの穴の攻略をするでもいいのよ?それをしないで回復を待ってあげてるんだから感謝しなさい」

 

「全員で挑むために待つのはいいと思うけど、動けるつってんだからその感謝の強要は通用しないぞ?」

 

「ああもう口答えしないで休みなさい!見張りで絶対一人は置いていくから、変なことしないで休むのよ!」

 

そう言ってニアは部屋を出て行く。

 

「……強引だなぁ」

 

「ねぇねぇ、魂の疲労ってどういう感じなの?」

 

「で、最初の見張りはステラってわけね」

 

ステラ以外のみんなは部屋の外に出ていった。この連携の取りよう、最初から休みは確定してたってわけか。

 

「魂の疲労かぁ...どういう感じって言われてもな、感覚的すぎて自分でもよくわからん」

 

「そっかぁ」

 

多分外には出させてもらえないので、見張り役の人と話して時間を過ごすことにしよう。

 

「あっ、ちゃんとベッド入ってね」

 

「眠くないんだけど...?」

 

「横になった方が楽でしょ?」

 

「まぁそうだけど」

 

仕方ない。眠くはないけど、ベッドに横になってくつろぐ。

 

「よいしょ...っと、何かお話しよっ!」

 

ベッドの横まで椅子を動かして、座るステラ。

 

「ああ、俺もそのつもりだ」

 

「何話そうかなー」

 

こっちも何を話そうかと話題を考えてみる...けど、まぁ改まって何か話すこともないしな。世間話つっても最近は大体一緒に行動することが多いから話題にならないし、過去のことはまだ話せないしで、こっちから話題を振るのは難しいな。

 

「あっ、そうだ!カリヤさ、魔王倒した後って何するか決めてる?」

 

「魔王倒した後?あー...考えたことなかったな」

 

魔王倒した後は自由に生活してもいいと神様に言われている。けれど、魔王を倒すことに集中しすぎて、その後のことなんて考えたことなかった。倒せないとその後の計画なんておじゃんになるだけなんだから、今考える必要はないと思っていたのも理由の一つだな。

 

「ちょっと待て今考える...先にステラのを聞かせてくれない?」

 

「いいよー、私はねぇ...弓矢をもっと広めたいかな」

 

「弓矢を広める?どういうこと?」

 

「なんかね、少しずつカリスの弓矢使いが減ってきてるんだって。弓を使うよりも魔法を使う方が便利だからーって感じでね。若い人もどんどん別の町に行っちゃって...」

 

ステラも十分若いのに何を言う...まぁ、確かにそうなるわなと思う。魔法を習いにカイスに行く人は多いだろうし、冒険者になったらガネルの方に行くってこともあるだろう。それに、王都に近いとはいえ、町の造りは田舎っぽい。若者ならば、他の町に出たいと思ってしまうだろう。

 

「でも私はさ、ほら、魔法が使えないからさ。弓矢に専念するしかなかったんだよ」

 

「そうだな」

 

「でも逆に考えれば、弓矢を極められているってことでしょ?私が教えたら、弓矢を使ってくれる人が増えるんじゃないかなーって。そうしたら、カリスに来てくれる人も増えるだろうし」

 

「いい目標を持ったな。まぁ教えれるように、技術を言葉で説明できるようにならないといけないわけだけど」

 

「できるよ多分!」

 

「俺に弓矢を教えた時の感じを思い出してみろ。あれで人にものを教えられると思うか...?」

 

「うっ...これから頑張るのっ!そうだ!カリヤも一緒に教えにきてよ!その方が、いろんな人に教えられるだろうし!」

 

「そうだな。体格違うと技術も変わってくるだろうし、その時が来たら手伝ってやるよ」

 

「やったぁ!」

 

また一つ約束が増えてしまったな...魔王討伐頑張らないとって気持ちになる。

 

「なんか最近カリスの近くに強い魔物が出るようになってて、人を集めないといけないんだよねー。魔王討伐したら治まるかもだけど、止まらなかったら困るから計画してるの」

 

「……そういや、前に神様が言ってたんだ。女神の力が弱まってきているって。カリスの近くで強い魔物が出るのも、それが原因かもな」

 

「女神様の力が?それって結構まずいんじゃない?」

 

「けど、俺たちがどうにかできる問題じゃないからさ。それに、魔王が悪さしてるって話だし、魔王を討伐すれば元に戻るはずだ」

 

「それならよかったぁ...で、カリヤは何するか決まった?」

 

「会話してる最中に思い浮かぶと思うか...?」

 

「うん。カリヤなら何かをしながら考えるってこと簡単にできるでしょ?」

 

「その通りだ。ちゃんと考えついたよやること」

 

「なになにー?」

 

「電気機械を作る」

 

「んー...どういうこと?」

 

「雷の力を使って作業をする道具を作るのさ。例えば冷気を出して食料を保存できる道具だったり、遠くの人と会話ができる道具だったりね」

 

「そんなことできるの?」

 

「わからん。できるかはわからないけど、雷装を使える身として、技術革新の土台を作るくらいはしておきたいんだ」

 

俺には知識がある。完璧な知識ではないものの、中学の技術の授業で基盤を扱ったことはあるし、高校の情報の授業とかでも色々学んでいる。一語一句を鮮明に覚えている俺なら、魔法技術を交えながらであれば似たものを作れると思うのだ。

 

「その道具って、雷装がなくても使えるの?」

 

「もちろんさ。こうやって雷を貯蔵する道具もあるわけだし、別の道具を使って発電することもできる。うまくいけば、この力を誰しもが手に入れることのできる世界になるはずさ」

 

充填器を見せながら言う。スタンガン的なものなら比較的作りやすいだろうし、最近ブームになりつつある魔力銃くらいには広まるだろう。

 

「おぉ...規模が大きすぎてよくわからないけど、すごいね!歴史に名を刻めるんじゃない?」

 

「そんなもん魔王討伐した時点で刻めてるだろ。ステラもだステラも」

 

こういう転生ものって、現代技術を持ち込んで歴史を変えるのを良しとしない風潮あると思うけど、そんなことは気にしない。だって神様に自由にしていいって言われてるし。多分、魂初期化事件で既に元々辿るはずだった歴史から逸れているから、魔王さえ倒せばこの先どう変わってもいいってことなんだと思う。魔王に打ち勝ち、人類が繁栄すればこの世界には問題ないのだ。

 

「あとやるのはこの銃の発展くらいかな。改造のノウハウとか教えたい」

 

「あっ、そうだ。私もちょっと魔力銃持っておきたいって思ってたんだよね。買ったら改造してくれない?」

 

「いいよ。ってか、前に俺が買ってやるって言ってたっけか。今から買いに行こーぜ」

 

「そうだねいこー!...って、ダメじゃん今日は休むの!」

 

「バレたか...まっ、買いに行く必要はないんだけどな」

 

「どういうこと?もしかして、既に買ってある感じ?」

 

「いや、こうする」

 

9902、9903ページ 次元収納

 

魔力銃を手に持ち、必要な素材を次元収納で引っ張り出す。

 

『製作』

 

スキルにより、手に持っている魔力銃と完璧に同質なものを、素材を使って作り出す。

 

「製作のスキルかぁ」

 

「そういうこと。使い続けてたら、ゼロから作ったことないものでも、改造するとかして手を加えたことがあるやつなら作れるようになったんだよね。その分魔力は喰うようになったけど」

 

着実にスキルが成長していっている。最初は自分の手で作ったものしか作れず、しばらくしたら魔法を使って作ったものでも作れるようになって、今度は改造だけでも作れるときた。さらに極めると、作ったことがないものでも過去に一度でも触れてさえいれば作れるんだったか。極めてみたいけど、一体どれだけかかることやら。

 

「とまぁ、とりあえず銃本体は完成だ。あとは弾丸の改造なんだが...どんな弾を撃ってみたい?改造する」

 

マガジンを抜きながらステラに聞く。どんなのを撃ちたいかによって魔法陣を描き換えなければならない。

 

「えーっとねぇ...」

 

次の見張り係が来るまでステラの魔力銃の改造をするのだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「交代よ」

 

「と、これで完成だな。ナイスタイミング」

 

ニアが見張り役交代のために部屋に入ってきた。

 

「ニアさんこれ見てー!」

 

「魔力銃?カリヤに作ってもらったの?」

 

「そうなの!」

 

「よかったわね。じゃあ、私と交代ね」

 

「はーい!」

 

「あっ忘れた。ちょっと待てステラ」

 

部屋から出ようとするステラを引き止める。

 

「なにー?」

 

「これ返し忘れてたわ。受け取れ」

 

指輪を投げ渡す。

 

「ありがとっ!じゃーねー!」

 

ステラが部屋から出ていく。

 

「……ニアも改造するか?」

 

「お願いするわ」

 

ニアの魔力銃を受け取り、マガジンを取り出す。

 

「どんな感じに...って、仕様書なんて作って何のつもりだ?口頭でいいじゃんか」

 

何でわざわざ作って欲しい機能を紙に書いて持ってきたんだ?まぁ、見る限り口頭で説明するのが面倒いってのもありそうだけど、それだけじゃないような...

 

「作業しながらでいいわ。少し聞きたいことがあるのよ」

 

「聞きたいこと?なんだ?」

 

「ちょっと失礼するわよ」

 

ニアは俺のポーチから魔法図鑑を取り出す。

 

「前に見させてもらった時に、気になったことがあったのよね...そうここ」

 

とあるページを広げ、俺に見せてくる。

 

「この記号はなに?」

 

その指は、俺がメモ書きとして書いていた日本語を指差していた。

 

「あー...それ?」

 

「今まで見たことないのよね一度も...これ、なんなのかしら?」

 

「何て言えばいいかな...これは俺にしかわからない暗号みたいなもんだ」

 

とりあえず、暗号ということにしておこう。俺にしかわからないってのは本当だし。

 

「暗号?何のために?」

 

「奪われた時に解読されないように...って言いたいところだけど、普通の文字も残ってるからあんまり意味ないんだよな」

 

「そうね、だから何のために暗号なんてものを使っているのか聞いたのだけれど」

 

「なんでだろうな?」

 

俺がそう言うと、すっごい変なものを見るような目で見られる。そりゃそうだ。理由もなく暗号作るとかわけわからんだろう。何かいい感じの言い訳は...

 

「し、正直なこと言うと、こっちの方が読みやすいんだよ。ちっちゃい頃からこの暗号を使っててさ、今じゃ普通の文字よりもスラスラと読めるようになってんだ」

 

地味に嘘でもないんだよなこれ。この世界の文字を見ると、日本語に翻訳された意味が頭に流れ込んでくる。日本語に置き換わって見えているわけじゃないから、一瞬混乱してしまうんだよな。

 

「そんなことあり得るのね...」

 

よし、信じてくれた。

 

「あとは、魔族対策にも使ってたりする。思考共有で攻撃する時、この文字で情報を送ると効き目が大きくなるんだよね。自分達にとって意味不明な文字を必死に理解しようとしてしまうから、普通よりも復帰に時間がかかるんだ。賢いが故に、理解できないものを理解しようとして時間を喰う。結構使えるぞ」

 

「なるほどね...ちょっと解読してみていいかしら?」

 

「いいぞ。できるとは思えないけど」

 

文法構造から違うし、この世界の発音と結びついてるわけでもないし、到底解読は無理だと思うんだよな...ああでも、漢字がそれぞれ何を意味してるかくらいは、もしかしたらわかるかも。まぁわかるのは、せいぜい漢字の分類の中の象形文字が関の山だろうけど。

 

……何か言い返してくるかなと思っていたが、ニアは黙々と解読作業にかかり始めた。しょうがないので、俺もマガジンの魔法陣改造に集中する。

 

「……」

 

「……」

 

なんか喋りたいなぁ...あれ?俺ってずっと何か喋ってないと死ぬタイプの人種だったっけ?さっきステラとずっと和気藹々と喋ってたから、そのギャップで沈黙が強調されてるだけか...?

 

「……ってかこれ銃本体も改造した方が良さげだな。弄っても問題ないか?」

 

「グリップ部分さえ変えなければいいわよ」

 

「りょーかい」

 

仕様書に沿ったものになるように、魔力銃本体にも改造を施す。主に、魔法陣の切り替えができるレバーの設置や、照準器の調整などだ。あと、つけた方が良さそうなのでストライクフェイスをつけておく。魔力銃にはスライドがないため何かに押し付けていても普通に発射可能だが、撃たれる魔法的に銃口と標的との間に空間が必要なためだ。

 

「……よし、完成したぞ。そっちはどうだ?」

 

「ぜんっぜん。まるでわからないわ」

 

「まぁそうじゃないと暗号にならないしな」

 

「ちょっ...と悔しいわね」

 

「わかんなくていいもんだしいいだろ別に。いずれ読み方教えてやるよ。せいぜい悩め」

 

と、俺がそう言った時だった。ガチャリと扉が開く。

 

「交代はまだなはず...って、ステラちゃん?どうしたの?」

 

入ってきたのはステラだった。

 

「いやー忘れ物しちゃって」

 

そう言ってこっちに近づいて...

 

俺は一瞬の躊躇を振り切り、そいつの首を掴んで壁に押し付ける。

 

「ちょっ...カリヤ何をしているの⁉︎」

 

「や、め...て...」

 

首を絞められて苦しそうな声を出す。

 

「何しにきた...フロート!」

 

「えっ...フロートですって?」

 

「は、は...出会ってすぐによくわかったな。なぜだ?」

 

苦しそうな演技をやめ、首を絞められながらも普通に話し始めるフロート。

 

「当たり前だ。仲間だぞ」

 

そうは言ってみるものの、速度探知がなければわからなかっただろう。こいつが、今さっき本人に渡したばっかの指輪を持っていないことに気づかなければ、こんなことはできていない。

 

「何をしにきた」

 

「さぁ?なんでしょう」

 

「とぼけんな。それとも、今ここで死にたいってか?」

 

「お前に俺が殺せるとでも?」

 

「殺せるさ」

 

「いいや、無理だな。さっきお前は躊躇した。たとえ一瞬だったとしても、お前は仲間の形をしたものに攻撃することを躊躇った。お前に俺は殺せない」

 

「そんな...こと...!」

 

首を握る力を強める。

 

「い...たい...よぉ...」

 

「その声で...その顔で喋んな魔族がァ!」

 

拳を振り上げ...

 

真横からニアに魔力銃で撃たれ、思わず首を掴む手を離してしまう。

 

「おっと、これは予想外...お邪魔したね、帰らせてもらう」

 

「待て!フロート!」

 

急いで追いかけようとするも、動きが鈍い。さっきチューニングした、ニアの魔力銃の効果だ。部屋から出ていくフロートを追いかけることなんてできなかった。

 

「ニア...何であんなことを!仕留めるチャンスだったんだぞ!」

 

「今のあんたにやらせるわけにはいかないわよ...鏡見なさい。酷い顔してるわよ」

 

「えっ...」

 

……鏡なんて見なくても、速度探知でわかる。ニアが酷い顔と言うのも頷ける、精神的疲労に満ちた顔をしていて...

 

「ちょっ、カリヤ大丈夫⁉︎」

 

さっき俺がやったことを思い出し、吐き気、動悸、過呼吸に襲われる。声にならないか細い呼吸音が口から漏れ、その様子を見たニアが慌てて俺の背中をさする。

 

記憶に、さっきのが鮮明に刻みつけられてしまった。あれは確かにフロートだ。そのはずなのに、瞬間的に思い出されるのは視覚的記憶だけで、そこにはステラの姿が映っている。そして、その首を俺が締め付けている。あれはフロートだったという記憶が思い出されるのが遅れるせいで、仲間を傷つけてしまったという自責の念が生まれてしまう。事実とは違うはずなのに、苦しんでしまう。

 

「カリヤ落ち着いて!あれはフロートよ!魔族よ!ステラちゃんじゃないわ!」

 

「そんなのわかってる!わかってる...はずなのに...」

 

震えが止まらない。トラウマに刻みつけられる。

 

「カリヤ、私の目を見なさい。そう、じっと見て、ゆっくり深呼吸して、ゆっくーり目を閉じて...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ、いつの間に眠ってたんだ...?」

 

確か、ニアの魔力銃を改造して...そのあとどうしたんだっけか。よく覚えていない。寝落ちしたのか?

 

「あら、起きたのね」

 

ニアが部屋に入ってくる。

 

「なぁ、今何時?」

 

「もうそろそろ日没よ」

 

「マジか。結構寝てたんだな...」

 

「……一つ報告することがあるわ」

 

「なんだ?」

 

「カリヤが寝ている間に、フロートが襲撃してきたわ」

 

「ふ、フロートが⁉︎」

 

「ええ、ステラちゃんの姿をコピーして現れたわ」

 

「マジかよ...ついに仲間の姿を模倣してくるようになったか」

 

「渡したはずの指輪を持っていないのに気づいて見破ることができたからよかったものの、もし気づかなかったらと思うとゾッとするわ」

 

「そうだな...時期にステラは戻ってくるからその時に気づけたとはいえ、少しの間潜入されるのも怖いな」

 

「もう一つ報告することがあるわ」

 

「なんだ?」

 

「さっき本物のステラちゃんに会って、その時に聞いたのよ。ここ最近で、誰に身体を少しの間触られたことがあるかって」

 

「そっか、コピーされてるってことは一定時間触られてるってことだもんな」

 

コピーするには一定時間触れる必要がある。あくまで推測ではあるが、おそらくあってるはずなのだ。

 

「それがねぇ...そんな経験、勇者パーティーに入ってからはしてないって言ってるのよ」

 

「……マジ?ならいつコピーされたんだ?」

 

「指輪は持っていない。けれど、空飛ぶ魔道具と弓は持っていたのを見るに、英雄に選ばれた後、勇者選定前の間ってところね」

 

「カリスの英雄選抜は勇者選定の一週間前だから、その一週間のうちにコピーされたってことか?」

 

「そう考えるのが妥当でしょうね。カリヤがいないから、コピーするには絶好の機会でしょうし。一応その間に誰かに触られてたりしないか聞いてみたけれど、前すぎて覚えてないみたいよ」

 

「結構前だしな、そりゃ仕方ない...いつコピーされたかは分からずじまいか」

 

これだと、誰がフロートなのかを割り出すことも不可能だな。

 

「こんなことが起きた以上、単独行動は危険ね。必ず二人以上で行動するように心がけて、入れ替わりやコピーされる危険性を排除しないと」

 

「だな。というか俺、よく起きなかったな...寝てる間も速度探知してるから、ドタバタしてたら気づくだろうに。それだけ疲れてたってことかな」

 

「そ、そうね。念のため、ご飯食べたらすぐ寝るのよ」

 

「わかった。しっかり疲れを取って明日に備えるよ」

 

俺はベッドから身体を起こし、宿の食堂へと向かうのだった。




曇らせ展開ってこんな感じでいいんですかね...?
見かねたニアが魔法で記憶を封じ込めたおかげで、とりあえずはパニック発作から脱したわけなんですけれども...これ、どう考えても記憶が戻った時やばいですよね?
さーて、いつ戻してやろうか...(ゲス顔)
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