前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
入れ替わり後半です。
ちゃんと前後編にまとめられました。
前中後編にならなくてよかった...
「なんか運悪くねー?」
何度も何度も分かれ道でハズレを引いてしまう。その度に引き返し、別の道を選んでまたハズレ。いつまで経ってもボス部屋まで辿り着けない。
「なんだろ、なんかギミックを解かないと永遠にボス部屋着かない的な感じのやつなのかな?」
スーパーマ○オブラザーズのワールド8-4みたいな、正規ルートを通らないとループするみたいなこと、ありそうじゃね?
「壁とか天井に細工がないか、速度探知で確認してもらわないとダメかなこりゃ」
「たしかにそうかもしれないけど、まだ通ってない道があるからそこを確認してからでもいいんじゃないかしら」
「まぁそれはそうだよな。じゃあさっさと通ってないところ調べますか」
探索を再開する...が、その後は困難なくサクッと進んでいく。探索にかなりの時間がかかったおかげか、みんな今の体に慣れたみたいで驚くほど連携が上手くいったのだ。レストが魔法図鑑を使いこなせないとか、速度探知で女子たちの体見ちゃって赤面するとか、その他諸々しょうがないことはあるもののほぼ問題なしだ。
「おおっとなんか広いところに出たぞぉ?そして待ち構えてる大量の魔物!」
首都圏外郭放水路みたいに、遮蔽物となりそうな柱がいくつもある広い空間に出てきた。その柱をきちんと遮蔽物として使って待ち構えている魔物が目視できたのだけでも二十四くらい。おそらくもっといるだろう。
「うっわしかも自分達で柱倒して壁作ってやがる...」
こっから先は完全に魔物達の領域ってわけだ。かなり知能も高そうだし、それなりに強そうだぞ...
「連携...する?」
「囲まれて袋叩きされると面倒よ。ここは逆に、バラけて各個撃破でいいんじゃないかしら」
「賛成」
「みんなもう動けるし、それでいいと思う」
「じゃあそうしよう。まだボス部屋にはたどり着いてないわけだし、ここで消耗し切るってことはないように気をつけて、いこー!」
みんなで同時に飛び出し、魔物のいる方へそれぞれ散らばる。
「さぁ!お前らは俺と付き合ってもらおうか!」
俺が走ったのは真っ正面。倒れた柱の裏にいる魔物を引きつけにかかる。跳んで柱に掴み、よじ登ったらガンホルダーから魔力銃を抜いて引き金を数回引く。
「ほら、こっちだぜ?」
全弾異なる魔物に一発ずつ命中する。そのおかげでヘイトが完全にこっちに向けることができた。
「おぉおぉ牙剥き出しで怖いねぇ...ほれ!」
『
真っ先に飛び掛かってきた犬っころを、右手で持った左腕の盾で弾き飛ばす。そしてすぐさま弾き飛ばした犬っころに向かって走り、地面に落ちたところを思いっきり踏みつける。
それと同時に、後ろに振り返りながら右手で持っている盾を振り回す。既にもうすぐそこまで来ていた魔物が盾に衝突し、衝突時の盾の角度が悪さしたのか、魔物は上へと吹き飛んでいった。
あの魔物はスタミナも少ないし、落下してそのまま死ぬだろう。すぐ次の魔物に標的を移して動きを見る。
「おっとそいつはさせねぇぜ?」
魔法を放とうとしていた魔物に対して魔力弾を撃ち込み、魔法を暴走させて妨害する。
「ほいっと三体目!」
魔力銃をしまい、魔法の暴走により動きの鈍った魔物にナイフを投げる。持ってはいるけどほとんど使っていないレストのナイフ。ちゃんと使ってあげないとな。
「あらよっと見えてるぜェ?」
左右から飛びかかってきた魔物を転がるように避けながらさっき倒した魔物に近づき、ナイフを回収する。
「ああでもやっぱ、こっから先は守りに入った方が良さげだな」
だいぶ囲まれている。さっきまでは、奇襲や意表を突いた攻撃をしたおかげで一体ずつ戦うことができたが、ここからはそうはいかない。元々レストは攻撃能力あんまりないし、盾でスタミナを削って耐久の方がいいだろう。
「まさか、速く動けないってのがここまでストレスだとはな...っと危ないねぇ!」
のけぞるような姿勢で魔物の突進攻撃を回避し、横から盾を叩きつける。
「スタミナの心配ないってのは楽だな」
盾で魔物を叩けばスタミナを奪える。スタミナ切れで動けないってことにはならないから、思う存分激しい動きができるな。
「っと、一応周りも見たほうが良いよな...?」
この体に染み付いた戦闘経験のおかげか、何かを考えたり別のことをしようとしていても、ある程度は戦えることができた。なので回避とシールドバッシュを適当にしながら、周りで戦っているみんなの様子を見る。普通に戦ってしまっていたが、今の俺の役割は防御。誰かを守ることなのだ。
最優先保護対象は、ニアの姿をしたステラ。ニアの適性があるとはいえ、使い慣れておらず不得手な魔法を行使して戦うのは難しいだろう。魔物に囲まれれば、焦って魔法を上手く制御できないなんて状況もありえる。
次点でステラの姿をしたニア。空を飛んでいるからある程度危険は少ないとはいえ、弓矢を射るのにかなり集中する必要がありDPSが低い。見た感じ空を飛ぶ魔物も何体かいるし、魔法で対空攻撃できる魔物もいるからジリ貧になっている可能性がある。
他の三人は別に大丈夫だろう。クミリアも流石に剣に慣れてきたから、勇者の力をフルに使えなくとも十二分に戦えるだろう。ライトは普通にバフをかけて殴れば問題なし。レストは俺の体使ってるわけだし問題ないだろ。
「……空飛ばれてると守れないから行くべきはステラの方だな。でも行くなら行くでこいつら処理してからの方がいいか...?」
助けに行くにしても、こいつらを引き連れて行くわけにはいかないだろう。こいつら全員のスタミナを削り切るのもなかなかに面倒だし、さてどうしたものか...
「……おっ、ナイス助かるぜレスト」
風が吹き抜けたかと思えば、魔物がばったばったと倒れていく。かろうじて捉えたその姿は俺、と入れ替わったレストだな。ダガーを使って一瞬で魔物を切り捨てていった。ナイフを使ってたわけだから、感覚的にダガーが手に馴染んで使いやすいのだろう。結構生き生きとしている。
「助けに来てくれたついでにニアのサポートに行ってくれレスト。俺はステラの方に行く」
「わかった。僕の体なんだから無理しないでよ?」
「そりゃこっちのセリフだ。ミスってどっかに衝突するとかしないでくれ...って言い終わる前に行きやがったあいつ」
まぁいい。とりあえずステラのいるところまで移動しよう。
「クッソ、足遅いな...速度操作がないとやってられねぇなチクショウ」
体に流す雷装を使えればもっと速く走れるのだが、使えないのだから仕方ない。これでもレストの使えるバフをいくつか重ねがけしてはいるんだが、それでも今の速度操作の前では焼け石に水程度にしか思えないんだよな。それなりに速くはあるんだけど...やっぱ強いわ速度操作。
「おぉやってんねークミリア」
バカスカ雷落としているクミリアを横目に見ながら走る。ってかステラどこだ?遮蔽物多すぎてどこにいるのかわからん。最初に飛び出したからステラがどこ方向に向かっていったのかもわからないから、とりあえずぐるっと回って探すしかないな。速度探知が使えたなら、どこに向かっていったのかわかったんだろうけど...しょうがない。
「どこだーっていたいた。中々苦戦してるみたいだな」
やはり魔法発動に手間取ってしまうため数をあまり減らせてないようだ。それなのに囲まれていないのは、立ち回りが上手いからなのだろうか。流石は近づかれたら終わりな弓矢使い。魔物に攻撃されない間合いを保つことは得意なのだろう。
「ステラー助けに来たぜ」
ステラに近づくと、それだけで発動中の盾の誘引が影響して魔物たちのヘイトがこっちに向く。これで一旦最低限の仕事はできたな。
「俺が引きつけとくから、ステラは魔法を目一杯楽しんでけ!」
「うん!いっくよー!」
指を銃のようにして照準を定め、魔法を撃っていくステラ。楽しそうに魔法撃つなぁ...でも精度はまだまだというか、当たりはするけど掠った程度だったりそもそも威力が低かったりしてるな。もうちょい上手く魔法を使えれば...
「あっ、そうだ。ステラ!炎弓使え!炎弓!」
炎弓は炎の矢を作り出す魔法。カスタムすれば弓も生成することができるため、ステラには使いやすいはず...!
「炎弓?...そういえばそんなのあったかも...!」
おそらく、前に教えてもらっていたのだろう。カスタムまできっちり発動し、炎の弓矢を構えるステラ。
「これならいけるかも...いや、いける!」
さっきまであまりちゃんと当たっていなかったのが、まるで嘘かのように当たり出す。やはり弓矢が使い慣れてるんだろうな。数秒もしないうちに、周囲にいた魔物たちを全て撃ち抜いてしまった。
「これあるの忘れてたよ。教えてくれてありがとーカリヤ」
「やっぱステラは弓矢使うのが合ってるんだろうなぁ...他の魔法よりも精度いいし。これ、ナイスアシストでいいよな?」
「当っ然!」
むふーっとどこか誇らしげな顔をするステラ。むふーってどこぞの千年生きたエルフかな?
「よしステラ。ちょっくら誰かの援護行きますか」
「よし行こー!」
「あっ、もう全部終わったよ」
「あっ、そうですか...」
レストが他の三人を連れて戻ってきた。なんだよこれから二人で行くぞって意気込んだところだったってのに...
「終わったならさっさと進んでボス部屋行くか...」
「そうね。でもその前に魔力を回復しましょ。クミリア」
「あいあいさー!『魔素反転』『聖域展開』!」
クミリアが聖剣を地面に突き刺し、聖域を作り出す。
「うわ、魔力回復を加速させるの難しい...」
「レストがこうやって手間取ってくれると、相対的に俺の株が上がるからもっとやってくれていいぞ」
「何言ってるのよあんた...」
多分もうちょいでストップ高になるよなーっとそんなことをぼやーっと考えていると、聖域が消えた。思考の加速をしてないから凄い早く感じるな...
「みんな回復できたか?」
俺はあんまり魔力を使わなかったからすぐに回復し切ったが、みんなはどうだろうと思い聞いてみる。
「大丈夫だよー」
「途中でみんなの回復速度がゼロになったから、全員回復し切ったと思う」
「オーケーレストがそう言うなら確定だな。進んでボス部屋いこーぜー」
そう言って俺は先頭に立って歩き始め、来た方とは逆方向にある道を進む。
「……って行き止まりなのかよっ!」
嘘やん?あんないかにも正解のルートですよって感じに敵配置しておいて、一つ角を曲がったらすぐ行き止まり?そりゃあ許せんよ。
「さっきのはハズレのルートの先にある、いわばトラップ的なものだったのね...」
「しゃーねぇチクショウさっきの分かれ道まで戻んぞ!」
この階層作った製作者ゼッテェ許さないねぇと思いながら、俺たちは来た道を戻るのだった。
「チキショウ結局全部外しやがった!」
やっっっとボス部屋の前まで辿り着いた。辿り着くまでに、全てのハズレルートを引いたわけなんだが...なんでこんなクソ雑魚運なん?
「僕の体でそんなカッカしないでもらえる?」
「すまん、叫ばないと心が保てなかったわ...よし調子戻った。もう冷静だ」
深呼吸深呼吸っと。
「勇者の記憶もないし、サクッと突入しますか」
「だね。行こうか」
いつものように俺が扉を開け...
「うわわっ⁉︎」
俺が扉を掴んだ瞬間独りでに扉が開き、俺たちは吸い込まれるようにボス部屋に入ってしまう。
忘れていた。俺が扉を開けても平気だったのは、おそらく俺の魂がこの世界のものではないからだろう。元々この世界に存在していない魂なため、シレンの穴に認識されず扉も作動しなかった。けれど、今の俺はレストで、この体に宿っているのはレストの魂だ。だから扉が作動して吸い込まれてしまった。
「クッソ油断した...そしてあっぶね!」
すぐに起き上がり、腕を振って盾で攻撃を弾き飛ばす。
「へぇ...懐かしい敵だな、ステラ」
「ん?...そうだね、ちょっと因縁の相手って感じだね」
どうやら今回のボスはトレントらしい。数は三。大きさは普通のに比べればちょっと大きいくらいだ。
「超巨大なのと戦ってるから、全然脅威に感じられねぇな...よし、行こうか!」
俺がそう言うと、クミリアとライトとレストが飛び出す。俺も思わず飛び出そうとしてしまったが、俺の姿が見えたから踏み止まれたぜ。
前衛三人に後衛三人、いつもの戦闘スタイルでトレントとの戦いを始める。
『
トレントの基本攻撃手段は木の根や枝による物理攻撃だ。だからあらかじめ左腕の盾を手で持って起動しておく。
……戦闘中に考えることではないのかもしれないが、この立ち位置すごい良いな。戦況を俯瞰で見れるというか、誰がどうやって動いているのかを一目で見れるから情報の整理がしやすい。これで速度操作があれば、もっと効率よく情報処理できるんだけど...流石に防御に集中しないとまずいか。
トレントの攻撃は、基本的に左へと逸らしていく。下だと地面が抉れて動きづらくなってしまうし、上だと空を飛んでいるニアに当たってしまうかもしれない。ステラは俺の右後ろ側で魔法を撃っているので、自ずと逸らす方向は左へと限定されるわけだ。
一方向に逸らし続けるのには利点もある。一つ、魔物同士で攻撃が当たったり、木の根が絡まったりして動きを封じれる可能性が出ること。そしてもう一つは、必ず魔物の一部がここに集まると決まるわけだから、そこに攻撃をするだけである程度成果を出せるようになることだ。
「そぉい!」
……なんか叫び声はアレだけれども、クミリアの聖剣がトレントたちの絡まった木の根を丸ごと一刀両断する。
「傷口にほっのおー!」
そして斬り飛ばされた木の根の断面に向けて、ステラは炎弓で炎の矢を撃ち込んでいた。掛け声は可愛いのにやってることエグいな...いや、掛け声もそれなりにヤバい?
バキィッ!!
木のへし折れる音が聞こえた。多分ライトがトレントを殴るなり蹴るなりしてへし折ったんだろう。ここからではよく見えなかったけど、一番奥にいたトレントが傾いているから何かやったのは間違いないな。
そしてスパスパと切られて落ちてくる木の枝と葉っぱ。この体の反射神経ではギリ追えるくらいで、かろうじてレストがダガーで切り落としているのがわかった。このままだとあの一番手前のトレント、一分もしないうちに禿げ上がりますねこれ。かわいそ。
そもそもあのサイズの木の枝をどうやってダガーで切断してんだ?...あそっか、スタミナを吸いとってるから脆くなってんだな。それなら納得...
「いや、違うなこれ。あいつ一丁前に刀使ってやがんな」
刀身伸ばして一気に切ったりしてるのが遠目から見てもわかる。使うのは良いけど、折らないでくれよ...?
「天の怒り使うよー!みんな離れてー!」
クミリアが叫び、退避を促す。
「あとステラちゃん水お願い!」
「えっ?わかったー!」
水使うってまさか起爆させる気か...?いやでもそれなら複合魔法の使えば良いだろうし...
と、考えている間にステラは水魔法でトレントたちを水浸しにし、クミリアが雷を落とす。
「これで炎を出せば...!」
あっ、やっぱ起爆させようとしてるのね。自分で複合魔法使ってやらなかったのは単純に忘れてるのか、それともステラに魔法を使わせたかったのか...うん、どっちもありえるからわからんな。
「まとめて吹き飛「あっ」...え?」
クミリアが炎を出して混合気体を燃やそうとしたその瞬間、ちょっと間の抜けた声を出しながらニアが火装の矢を撃ち込んでしまった。
「クミさんがやりたかったのにー!」
「ご、ごめんなさいつい体が勝手に!」
水素爆発が起こり、大量の水を生み出しながら爆炎を放出する。大量の熱で危うく身を焦がされそうになるが、物理攻撃の範疇なので盾の効果で受け切ることができた。元から近くにいたステラと、矢を射ってからすぐ逃げ込んできたニアも盾によって守ることができた。
残る三人は...それぞれちゃんと回避したみたいだ。ライトとレストはおそらく未来跳躍で回避して、クミリアは元から相当距離を取っていたので問題なかった感じだな。
さて、スタミナを削り取っていて脆くなっているから、今の爆発はだいぶダメージに繋がってるはずだけど...
「やっぱほぼほぼ消し飛ぶよなぁ...」
……前から思っていたことなんだが、この水素爆発、やってることは言ってしまえば爆炎を辺りに撒き散らすだけなわけで、それなのにこんなに火力が出ることにちょっと違和感があるんだよな。普通に巨大な火炎をぶつけるのとあまり変わらないはずだ。
けれども、他の魔法を使った時よりも水素爆発は断然威力がある。実際問題、地球で水素爆発が起こったとしてもそこまで大きな被害は出ないはずだ。なのに、何故こんなにも威力が強いのか。
理由はまるでわからない。爆発の後に水が生成されるのが何かしらの悪さをしているのか?それとも、他に理由があるのか...まぁこの世界には魔力とか魔素とか聖素とかいろいろ地球に無い謎物質があるわけだし、その辺のものが作用してるとかはありそうだな。
「ってかまだ生きてんのか...誰か追撃!」
真っ先にクミリアが飛び出す。今さっきニアに仕事を取られてしまったから、ここで暴れたいと思ったのだろう。
「カノウの色彩剣装を使って...」
聖剣に赤い光がまとわりつく。
「ついでに雷装も!」
ここぞとばかりに体にも雷装を流し込んでいるクミリアは、雷装によるバフによって得た身体能力を活かして高速でトレントの生き残りに近づくと、その鞘付きの聖剣を一気に真横に振り抜く。
既にほぼ瀕死であったトレントはその攻撃が致命傷となり、ボス特有の消滅現象により跡形もなく消え去った。
「ふぅ...疲れたぁー」
聖剣を杖代わりに地面に突き刺し、そこに全体重をかけてだらーんとするクミリア。おそらく、初である雷装の行使によって想像以上にスタミナが削れたためだろう。
「お疲れ様クミリア。雷装使ってみてどうだった?」
「めっっちゃ楽しい」
「それはよかった。ステラも魔法使えて楽しかったか?」
「うん!」
「よかったよかった。たしか、ここって何度来ても入れ替わりはできるんだったよな?」
「そうだね。もう一度来ても入れ替わりできるよ」
一応このシレンの穴、どの階層も攻略後に再挑戦することができる。周回プレイができるわけだ。どんな利点があるんだと聞かれればあまり無いと答えるしかないけど、この階層に限って言えばそれなりにやる価値はあると言えるだろう。
「魔法の練習がしたいってなったらまた来るのもいいかもな。体に経験が刻まれないから、あくまでイメージトレーニングみたいな感じになると思うけど」
「そうね、またやりたいって思ったらいつでも言うのよ、ステラちゃん」
「わかったー」
「んじゃ、みんな元の体がそれなりに恋しくなってきてるだろうし、さっさと進んで元に戻るか」
「元の体が恋しいっていうか、カリヤは速度操作が恋しいだけでは?」
「そうとも言う」
出口へと向かって歩いていく。色々困難はあったけど、特に怪我とかもなく終われてよかったぜ...
「ねぇ、カリヤ」
突然、後ろからレストに声をかけられる。なんだなんだ?せっかく終わりみたいな雰囲気作ってたというのに。
「ごめん」
「何だよ急に謝ったりなんかし...て...」
レストの手には、刀身のちょうど真ん中あたりでポッキリと折れている刀と、折れて取れてしまった側の両方が...
「ふぁ...」
「ふぁ?」
「○ぁっきゅー...!」
震える指で、俺は小指を突き立てるのだった。
小指を突き立てたのは完全にどこぞのバンドアニメの影響ですねこれ。
そしてセリフはナ○ィー先生という...作者がハマったものをすぐに取り入れられるの、カリヤくんの死んだのは早くとも2049年という設定のおかげほんと偉い。