前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回会話多めです。
「クソ...選択ミスった!」
水の触手でアクセルの転移先を潰す。そのためのものだったはずなのに、魔族たちに逆利用されて攻撃されてしまった。すぐ治すことはできたが、一度腕を切り飛ばされた。こうなった以上、そのまま触手を出しっぱにすることはできない。
そして触手をしまったことで、転移攻撃が避けられなくなる。アクセル自身、自分でもいつ来るのかわからない転移のサポートに慣れたようで、だんだん攻撃がクリーンヒットし出してる。
ノリに乗っている。このままアクセルを調子付かせたらマズイ。ってのはわかっているのに、こっから巻き返す方法が見えない。
最初から作戦を間違えた。正々堂々一対一とかしてる場合じゃなかった。魔力は足りていたのだから、略奪でアクセルの固有能力を引っ張って、さっさと殺しておけばよかったのだ。
略奪を使い続けたことと、単純に魔力量が増えたことにより、略奪で使用する魔力量は全魔力量の五分の二にまで減った。だからやろうと思えば、二度目の略奪をアクセルに使うことができたのだ。けれど、もう魔力をだいぶ使ってしまった。略奪は使えない。
選択を間違えた。こっからアクセルに勝つのは非常に難しい。けど、勝てないわけではない。アクセルを倒すことを勝利とみなすなら、相討ちでもっと確率を上げられる。
現状、最も良いのはもちろんアクセルに勝って、残る二人の魔族との戦いに合流すること。次点で良いのは、アクセルと相討ちになること。一番マズイのは、俺が負けてアクセルがあっちの戦いに合流してしまうことだ。その最悪さえ逃れれば、もう俺の勝利と言ってもいいだろう。
「なんとしてでも...俺は勝つ!」
刀を構えて、アクセルが一瞬の隙を晒すのを待つ。この状況から勝つにはこれしかない。
回避は捨てる。あらかじめ魔力を全身に巡らせて、打撃を受けた瞬間に表面に出して硬質化させることで無理矢理防御する。落○の情のような技だが、どうしても後出しになるため完全な防御はできない。少しはダメージを受けてしまう。
けど、狼狽えはしない。痛みに耐え、来るべき一瞬を待ち続ける。
「……チッ、面倒な...!」
集中して待っていたいのに、魔法がちょくちょく飛んでくる。ただ単に流れ弾なのか、それとも狙って撃ってきているのか...どっちかはわからないけれども、めっちゃイライラする。
「おいアクセル!一対一で遊ぼうつったのはお前だぞあいつら注意しろ注意!」
もう文句言うしかないよなぁ!
「ってかそもそも!転移攻撃自体ズルじゃねぇか何が一対一だアクセルテメェ!」
「何を言っているんだい?これは戦いさ。使えるものはなんだって使う」
「テメェ...アクセルはそんなこと言わねェ!」
そうだ。アクセルはこんなこと言わない。ガネルで俺と戦った時、仲間の魔族に命を助けてもらったことにも怒っていたあいつが、使えるものはなんだって使うだとかそんなこと言うわけない。
こいつはみんなの記憶から作り出さられたアクセルの幻影。俺の記憶だけ使われていたなら、こんなこと言わなかっただろう。みんなが持つ、魔族への先入観のようなものが入り込み、本物とは違う箇所が出てしまったのだ。
俺の知っているアクセルと違う。冷静な思考をするならば、今までアクセルと戦ってきた経験が意味を成さないかもしれないと考えるべきなのだろう。
だがしかし、俺とアクセルの間には、敵の関係でありながら奇妙な絆のようなものが生まれていた。一種の信頼関係とも言えるだろう。
それを崩された俺は、何故だろう、怒りが沸いてきたのだ。
「テメェは絶対に俺が殺す!!」
『色彩剣装 原色・赤』
擦ればそれでいい。刀に赤い光を纏わせて、速度探知を頼りにアクセルの動きに合わせて刀を振る。
「消えろ偽物!...そうだ!消してしまえばいい!!」
6941ページ 黒のみ 光学操作
魔法で周囲の光を捻じ曲げ、おそらく後ろの方にいるであろう転移の魔族からこちらの動きが見えないようにする。
魔族はどうやって転移する対象を決め、転移先を決めているのだろうか。転移先は目視か、転移前の位置からどれくらい離れた位置かを示す座標で決めていると思われる。それでは、転移対象は?
おそらく、これも目視。それに加えて魔力探知もあるだろう。だから姿を見えなくしただけでは転移は潰せない。念のため魔力探知も妨害する必要がある。
6799ページ 黒のみ 血液操作
わざと爪で人差し指の平を引っ掻いて出血させ、自分の血液を周囲に漂わせる。血液には魔力が宿っている。貧血を起こさない程度にばら撒くことで、魔力探知を妨害できるのだ。
「さぁ!転移は封じたぞ!」
これで転移攻撃は封じれた...はず。あとはアクセルの音速移動さえ対応できれば勝てるはず。問題があるとすれば、血をまぁまぁ使ったためあまり激しく動くのが辛いってことだが...普通のアクセルの速度ならもう慣れてる。動く必要はない。
アクセルが近づいてくる。刀を構え、待ち構える。この一撃で決めるしかない。
俺に向かって真っ直ぐ走ってくるアクセルは、俺がばら撒き漂わせている血潮をその身に浴びる。そもそも避けられない位置にあるから当たるのは当然なのだが、まったく気にせずに最短距離で突き進んでくる。
「そいつは悪手だぜ...!」
血液操作はまだ生きている。アクセルについた血液の形を変え、その身体に突き刺す。そしてそのまま進行方向と反対向きに絶えず移動させ、速度を無理矢理遅める。
「テメェはもう...終わりだァ!」
刀を振る。アクセルの右肩から左の脇腹にかけて斬れるような軌道で振る。もうアクセルは俺の能力の範囲内にいる。左右へと移動するような素振り、速度はない。このまま真っ直ぐ来るだろう。アクセルの能力的に、ここからの減速は間に合わない。赤の光のおかげで防御もされない。
絶対に斬れる。
「……は?」
俺の刀から血が滴る。今も刀が刺さっている、アクセルの胸の傷口からも、血が流れ出る。
けど、これはおかしい。刀が刺さっているというのが、もうおかしいのだ。途中で刀が止まることは、色彩剣装を使っているからあり得ない。
何故こうなったのか、いつものことではあるが、速度探知は鮮明に一部始終を捉えていた。
まず、アクセルは減速をした。普通なら、音速で動いてる状態から急には止まりきれない。けれど、アクセルは少し減速できるだけでよかった。
俺が血液操作で減速させていたのを利用して、アクセルはほんの少しではあるが減速できた。その頃には俺は剣を振り始めていて、ちょうど今くらいの高さに刀はあっただろう。
そしてアクセルは、刀に干渉した。触れることなく、刀に直接干渉した。
雷装でだ。アクセルの雷装は俺のものよりも強い。触れる前から電気を使って磁力を生み出し、金属である刀を止めることもできないわけではないはずだ。
いや、俺が無意識のうちに、アクセルの雷装なら出来るかもしれないと思ってしまっていたからこそ出来たのだろう。本物のアクセルには出来ないのかもしれないが、こいつは出来る。それだけのことだ。
そうして刀を止めたアクセルは、すぐに直進。止まった刀に自ら突っ込んで胸に刺した。刀を動かして空振りさせ、自分に当たらないようにすることもできたはずなのにこんな選択をしたのは、おそらく俺の動きを止めるため。刀の間合いに傷ついてでも入り込み、俺の手を掴むためだ。
「く、そがァ...!」
アクセルの力が強すぎて、一切手を動かせない。アクセルのこの傷は大きいけど致命傷ではない。心臓から絶妙に外されている。あと少し、この手をちょいと動かすだけで致命傷になるだろうに、それができない。
そしてこのまま待っても、アクセルは死なない。刀が刺さったままなせいで出血死も期待できないからだ。なんとかしなければいけない。なのに、策が浮かばな...
いやある!俺の中にある魔道具を使って、刀を次元収納の中にしまってしまえば手を動かさずに取り除くことができる!そうすれば失血死を狙える!これならいける!
と、ここまでがアクセルに頭蓋骨を殴り砕かれるまでにできた思考だった。
全滅したことにより、闘技場システムで蘇生した俺たち。創り出された偽魔族たちは消え、横穴に六人残された俺たちは...
「やられたな...」
はい、ただいま、お通夜みたいな雰囲気です。こっちは最初にフロートを殺しただけ。倍もあった人数差をいとも容易くひっくり返されたのだからこうなるのは当然ともいえる。
「なんていうか...完敗ね」
「だな...反省会する気力残ってる人いる?」
みんな俯いたままだ。こりゃ無理か...?
「このまま進めていいわよ...多分言いたいことあったらこのまま言うと思うから」
「わかった。じゃあ最初から振り返るぞ」
「フロートを殺したやつだね」
「あれは流石に最適解だったと思う。フロートがいたら、何かと面倒だったと思うし」
「初っ端からアクセルに化けてたからな...残したら面倒だったのは明白だな。もし魔族と戦う時があったとしたら、今回と同じようにフロートを最初に抹殺するってことでいいな?」
「そうね。それでいいと思うわ」
「じゃあ次。こっから先は分断してたからまずどんな戦いをしてたのか共有するぞ」
こっちはアクセルとどんな戦いをしたのかを、そしてみんなから二人の魔族との戦いを聞く。
「なに魔族に正々堂々やれって怒ってるのよ」
「仕方ないだろ頭に来たんだよ」
「それがわからないのだけれど...まぁいいわ。そっちは反省点ある?」
「初っ端略奪使って殺さなかったことかな...あとは頭に血が昇って冷静に戦えなかったこと。まぁ怒り狂ってたにしては、それなりにいい動きできたと思うけどな」
「たしかに、聞いた感じはそうね。転移封じ、参考にさせてもらうわ」
「なんで略奪すぐに使わなかったの?」
「普段戦ってる時の感覚でやっちゃったからだな。ちゃんと戦ってやらないとって思っちゃったわけだ」
「……できれば、やめてもらえると助かるわね」
「善処します。んで、そっちは反省点あるか?」
「こっちはこっちで、最善は尽くしたのだけれどね...私が早めに魔法拡散を使って障壁を破っていたらよかったのかしら」
「たしかに、転移の魔族に好き放題やらせるよりかは、手の内を明かしてでも妨害した方がよかったのかもね」
「まぁそれはIFの話になるし、あんま後悔してもしょうがないかもな。使ってたとしても、なんやかんやで同じ結果に至っていたかもしれない。それに、そんなことを言ったら俺が合流できなかったのが悪いってことになるしな。俺がさっさとアクセルを倒して、六対二にしてれば勝てたかもしれないし」
「それはないわ。こっちの責任よ」
「カリヤが来れなかったから負けたって言うつもりはない」
「慰めてくれてありがとう。冗談で言ったことだけど、みんなの優しさが沁みるわ...」
「……なんか損した気分ね」
「あっ、そうだ。転移を聖域展開で妨害するっての、レストが考えたんだって?凄いな」
「久しぶりに褒められた気がする」
「そうか?それはともかく、この転移対策も実用的で十分使えるな。罠にかけて動きを封じることもできるし、転移攻撃から一時的に逃れることもできる。時間制限があることを考慮しても、使いようは色々ある」
「タイミングは難しいけど、転移にはもう慣れた。次も決められる自信あるよ」
「そいつは助かる」
……会話が途切れた。もう話すことはないってことかな。
「……今回一番の敗因は、対魔族の戦闘経験が私たちに一切ないことよ」
俺が話題を考えていたら、ニアが切り出した。
「カリヤは何度も戦ったことがあるけど、私たちは一回もない。クミリアは一回あったけど、人間体だったからないも同然。事前情報はカリヤの持ってる情報だけ。経験無しに戦ったら負けるってのは、薄々わかっていたのよね」
「……そうだな。多分みんな、あいつらが行動するたびに、俺から聞いたやつだって思っただろ?身体に染み付いた記憶じゃないから、どうしてまワンテンポ遅れてしまう。初見じゃ倒せないのは当然...当然って言いたくはないけどな、認めざるを得ない」
「魔族を倒すには、経験が足りない。となると、反復練習をするしかない。負けても突破判定になるおかげで、そのまま次の階層に行ってもなんの問題もないけれど...」
「もう一回、いや一回と言わず何度も挑むか!」
「そうしたいのは山々だけど、再挑戦はまだ今度にしましょう」
「まぁそりゃ今すぐに再挑戦ってのはしないけどさ。時間的に帰らないとだし」
「いや、明日は次の階層に行くわ。そうね...第九十階層を突破したら戻ってきましょうか」
「……その階何かあったっけ?」
「僕の聖剣の力がさらに解放されて、技を使えるようになるのがその階層を突破したらなんだ。魔族とまた戦うのはそれを回収したらにしようってこと」
「私たちに足りないのは経験もそうだけれど、単純な実力不足もあるわ。再挑戦するのは、もっと実力をつけてからでもいいと思うのよ」
「それには俺も賛成かな。もっと魔力増やしたり、適性値上げるなりして略奪わ使える回数増やしたいし」
「みんなそれぞれ反省点があると思うわ。今回の負けを活かして、本物の魔族と戦った時に全員死なずに乗り越えることを目標に頑張りましょ」
「だな。それじゃあ反省会はここらで終わりにして、カイスに戻るか」
「そうね」
俺とニアが立ち上がる。それに続いて、一人二人と立ち上がっていき...
「ん?ステラどうした?」
ステラは立ち上がらなかった。体育座りで俯いたままだ。そういえば、反省会で一言も喋ってなかった気がする。
「大丈夫か?」
「……怖いね」
「え?」
「死ぬのって...怖いね」
ああ、そういうことか...闘技場システムで生き返れるとはいえ、一度は死んだのだ。そりゃ心にくる。
一応、俺以外のみんなは全員初めて死んだと思う。クミリアは一度もガネルで負けてないはずだから初だろうし、ライトやレストも初めてだろう。ニアは魔力体での死は経験したはずだけど、生身の死は初のはず。
みんなにとって初めての死。ステラと比べるとみんなあまり気にしていないようだが...まぁそれぞれ何かしらの理由はあるのだろう。俺含め、死にかけた経験を持つ人が大半を占めてるわけだし。
「そうだな、死ぬのは怖い」
「カリヤも怖い?」
「怖いさ。まぁそれなりに恐怖心は薄れてきてるけど...」
俺、死んだの何回目だ?えーっと、この世界に来たので一回、色彩剣装を教えてもらうために三回、クミリアと戦ったので二回、今回ので一回...え、死にすぎじゃね?雷に打たれて死にかけたのとか、魔族と戦った後に気絶したとかのも死亡回数に含めるとしたら多分両手の指で数えられなくなるぞ。
「いいか?死に恐怖し、怯えるのはいいことだ」
怯えているステラが落ち着くよう、言葉を選びながら励ます。
「恐怖を知らない方が不味い。勇気と無謀を間違え、無茶な行動を取って死ぬことになる。それを回避できるのが恐怖だ」
……なんか、俺が言うと説得力に欠ける気がするな...俺が言えたことじゃないってこれ。ライトとかニアあたりが言った方がいいと思う。
「話は変わるが、人間がここまで生き残れたのはなんでだと思う?」
「……?」
「恐怖を知った個体が生き残って、子孫を残したからだ。危険に怯え、対応すること。それは恐怖をしない者にはできないこと。恐怖できる者は生き残った」
「そんなこと言い切れないじゃない」
「まぁな、そうだと言い切ることはできない。けど、もし恐怖が必要のないものなら、この時代になるまでに削ぎ落とされてなくなっているはず。俺たちは恐怖する。それ自体が、恐怖が必要なものだという証拠になる」
恐怖の必要性は説いた。あとは、恐怖した後のことを話そう。
「今、ステラは恐怖している。死への恐怖は、他のどんなものに対する恐怖よりも強いものだ。だから乗り越えるのも難しい。けど、乗り越える必要がある」
「恐怖を...乗り越える...」
「まず、恐怖から逃れる方法は二つある。一つは、ひたすら逃げること。目の前、もしくはいずれ来ると予見できる脅威の及ばない安全な場所まで逃げることだ」
「それじゃ...ダメ」
「よくわかってるな。逃げるだけでは、一時的な対処にしかならない。より良いのは、恐怖に立ち向かい直接取り除くこと。これが、恐怖を乗り越えるってことだ」
こんなこと、この世界に来る前の俺には絶対言えないことだよな...変わったな、俺。
「まぁ、立ち向かいすぎてもそれはそれで無謀に繋がりかねないから、逃げることも悪いわけじゃない。必要なものだ。適材適所ってわけだな」
例えば一人でいるときに魔族に鉢合わせしちゃったとか、そういった時は流石に逃げてほしい。声には出さないけど。絶対お前が言うなって言われるし。どうも、町中でフロートを見つけて一人で戦い挑んだ者です反省してます。
「……とまぁ、ここまで恐怖がどうとか色々言ったわけだが...一番大切なのは自分がどうしたいかだ。ステラ、死ぬのは怖いか?」
「うん、怖い」
「そっか、じゃあ逃げる?」
「頑張る。頑張ってもっと強くなって、生き残る」
「よし、それでいい。死なないのが第一だ。みんなで一緒に頑張ろうな」
「うん!」
よし!立ち直ったみたいだな。まぁステラなら自力でこの答えに辿り着けただろうけど、元気なステラはこのパーティーにいい雰囲気をもたらしてくれるから早く立ち直らせた方がいいと思ったから励ました。うん、元気でよろしい!
「それじゃあ帰ろうか。みんな帰ろーぜー」
最初あったお通夜みたいな雰囲気はどこへやら、もうみんないつもの調子に戻った。疲れたーと言いながら横穴を出て、螺旋状の坂を登っていく。
「あ、そうだ。カリヤに言いたいことあったんだった」
「なんだ?ステラ」
「カリヤさっき、自分はそれなりに恐怖心が薄れてきてる...みたいなこと言ってたじゃん。あれってどういう意味?」
……ん?
「ど、どういう意味って?」
「そのまんまだよ。なんでかなーって思って」
「それはまぁ...色々修羅場をくぐり抜けてきたから、多少慣れてきたっていうか...」
「うん、そんなことだろうと思ってたけど、やっぱそうなんだね」
んー...なんか怖いぞ?
「えーっと、ステラ?何か怒らせるようなこと言ったのかな俺」
「言ったってよりかは、やったかな」
あ、怒ってるのは確定なんですね...
「どうしたのステラちゃん。またカリヤがやらかした?」
「そうなのニアさん!」
ホントに何やったんだ俺...ステラが怒るようなことといえば何だ?
「カリヤさっきさ、勇気と無謀を...ってのも言ってたじゃん?言われたこと思い返してたら、ちょっと気になっちゃったんだよねー」
「……俺がそうなのに何言ってんだって?」
「そんなとこ」
「あーそれ私も思ってた。カリヤの方が無茶するわよね」
「うん、それ自分でも思いながら喋ってたわ。話してる最中にはツッコミしないでくれってずっと願ってた」
「それでね?もっと話遡るんだけど、カリヤとアクセルが戦ってた話聞いてて思ったの」
なんか変なことあったっけ?
「カリヤ言ってたよね。最後の方は、相討ちも狙ってたって話」
「あっ...」
やっとわかったぞステラが言いたいこと。
「どうせ生き返るんだから死んでもいいって思ったんじゃない?」
「それは...思ったかもしれない」
「本当の戦いだったら生き返らないんだよ?たとえ訓練だとしても、そんな選択取っちゃダメだよ?」
「はい、その通りです...」
「本番でも訓練でも、命は大事に!いつも私たちが傷つかないように心配して、頑張ってくれてるのは知ってる。けど、自分も大事にしてね?」
「自分も大事にします...」
「カリヤもみんなと頑張ろ?ねっ?」
「そりゃ当然、頑張らせていただきます」
「……なんで敬語なの?」
「カリヤって完全にステラちゃんの尻に敷かれてるわよね」
「かれこれ何度説教を受けたことか...」
「だってカリヤ危なっかしいんだもん」
会話が途切れない。みんなで楽しくカイスへ帰っていく。
そんなみんなの心の中では、魔族への対抗心のようなものがメラメラと燃えているのであった。
実はみんな、最善手を使っていればこの偽魔族くらいには十分勝てる見込みがあるんですよね。
本文内で明言されてないものとしては、キネットとサーマルの二人に色彩剣装 無彩・黒を使えば、未来からの斬撃で同時に首を切り落とせるよねっていう方法があります。
まぁこれ、ニア視点の話を書き終わった後に気づいたんですけどね。