前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8114字。

第七十五階層です。


属性竜を討伐せよ

第七十五階層

 

「よし、行こうか」

 

この階層の勇者の記憶はなんとか読めたようで、既に情報共有および作戦会議は宿で終わらせている。あとは大ボスを倒すのみだ。

 

ドアを開けて、ボス部屋に入る。

 

「あっちぃ...火山かよ」

 

想像よりも暑く、早々に出てきた汗を拭う。

 

「でもそんなこと関係ねぇ。行くぞ!ドラゴン退治!」

 

刀の切っ先を、俺たちに向かって今まさに炎を吐こうとしているドラゴンに向ける。

 

「なにカッコつけてるの...!」

 

前に出たレストが盾で炎を吸収しつくす。

 

「カウンターできるよ!」

 

「あいつの実力見たいから後回し!作戦通り行くぞ!」

 

俺、ライト、クミリアの三人でドラゴンに突撃する。一瞬で首の下を通り越し、腹の下まで辿り着いて...

 

「『雷装』『水刃』!」

「『雷装』『一閃』!」

 

「なんかカッコいいことしてるズルい!」

 

クミリアを一旦無視して、二人でドラゴンを十文字に切りつける。皮膚が裂け、血が滴り、その奥の脂肪と筋肉が少し見え隠れする。

 

「ヨイショォッ!」

 

そして即座にクミリアが十文字の交差している点に叩き込む。二つの斬撃が命中した一番深い傷にクミリアの拳が炸裂した。そして拳が触れたことにより、あらかじめ描いてあった魔法陣が起動してドラゴンの傷口に棘を作り出して内側から筋肉組織を破壊する。

 

クミリアのグローブに描いたのは、ニアの鞭に刻まれている魔法陣と同じものだ。ただでさえ火力のあるクミリアのパンチが、さらに極悪火力へと進化している。ニアが面白半分でやったことだけど、想像以上にエグいぞこれ...

 

「よし、次は」

 

「足!」

 

ここまでは纏まって動いていたが、こっからは別々に動く。ライトは左前足、クミリアは右前足に向かっていく。俺は後ろ足二本を担当だ。

 

「おおっと、空は飛べねぇぜ?」

 

ドラゴンは腹を切られたためか、炎の翼を使って空を飛ぼうとした。けれど、その瞬間腹の中の棘が急に大きくなって地面に刺さり、縫いとめてしまう。ニアが棘を媒介として魔法を発動させたのだ。ドラゴンはもう、地面を引っこ抜く勢いで飛ぼうとしなければ抜け出せない。

 

「その足もらおうか!」

 

『色彩剣装 原色・赤』

 

赤の光と、魔力を流したことで刀身が伸びた刀を使い、まずは右後ろ足を完全に斬り飛ばす。

 

「こっちも!」

 

すぐさま横っ飛びで移動し、そのままの勢いでもう片方の後ろ足を斬る。

 

それと同時くらいのタイミングで、二人が前足を破壊し終わった。切れた足を求めているかのようにジタバタと暴れ出すドラゴン。どうやら既にステラが両眼を撃ち抜いているらしく、視界と足を奪われたドラゴンは完全にパニック状態だろう。

 

傷口からドバドバと出る、沸騰した血に気をつけながらドラゴンの真下から出る。ニアの棘のおかげで、足を全て失っていてもドラゴンの下に空間ができていたため簡単に抜け出せた。これも作戦通りだ。

 

「想定よりも弱いな。もういいか...レスト、やれ」

 

もう情報収集は必要ない。さっさと倒してしまおう。

 

「わかった」

 

レストが盾を繋ぎ合わせ、巨大な盾を形成させる。

 

誘引が発動する。目の見えないドラゴンは、なんとしてでもあそこに攻撃をしなければ!という思考で埋め尽くされ、首をレストの方に向けて大きく口を開く。

 

「よーしやれやれ。最大火力でやってやれ」

 

「なんでそっち側なのかわかんないけど巻き込んでいい?」

 

「やめろ」

 

ドラゴンが溜めに溜めた超高温の炎を吐き出す。一点集中され、極限まで圧縮された炎は青く燃え盛っており、通った空間は蜃気楼のように歪められる。

 

が、レストに向けて撃たされたのが運の尽き。圧倒的火力はレストの盾に当たると同時に跳ね返り、その身を一瞬にして焼き尽くす。炎を使う以上ある程度耐性を持っていそうなものだが、それすら貫通して焦がした。

 

「知能低い魔物相手だと面白いほど綺麗に決まるなぁ...」

 

「まぁ眼も足も潰されてたら、この一撃に全てかける思いで攻撃して来るしね」

 

「ってか威力やばくね?もう骨も無いしなんなら灰すら消えてるんだけど...って、倒したから消えただけか」

 

灰すらも燃やし尽くしたのかと思って一瞬びっくりしちゃった。飛び散ってた血も消えてるし、単純に倒したから消えただけだよな、うん。

 

「なに勝手に驚いて勝手に解決してるのよ」

 

「いやーごめんごめん」

 

「ほら、さっさと次行くわよ」

 

「へーい」

 

ドラゴンを倒したことで現れた扉まで向かう。

 

これで第七十五階層は終わり...なわけはない。この階層はいわばボスラッシュのようなもので、一回目は今倒した炎のドラゴン。次は氷を使うドラゴン。最後に、それらが合体したドラゴン。

 

なんか寒暖合体した奴前にも倒したことある気もするけど、その時とどう違うんだろうな...と思って一体目を倒したわけだが、なんか思ってたよりも弱かった。俺たちが強くなったって考えた方がいいのかもしれないな。

 

「よし、開けるぞー...多分今度は寒いんだろうなぁ」

 

扉を開けると、予想通り猛吹雪が待ち構えていた。

 

「ひゃー寒いねぇ!」

 

吹雪で視界悪すぎ。あとこれは俺だけだけど、吹雪の速度がバンバン頭の中に流れ込んでくるせいで、ちょっと頭痛くなって来る。

 

「陽動行ってきます!」

 

地面も凍結しているが、それは特に問題ない。一気に加速して地面を滑るように移動し、氷のドラゴンに接近する。

 

そして、今回は刀ではなく魔力銃を両手に握っておく。まずはワイヤーを壁に撃ち込んでからドラゴンの周りをぐるっと回り、足に食い込ませる。

 

「ほーれこっちを見ろ!」

 

『雷装・銃』

 

残っている左手の魔力銃をぶっ放す。モードは起爆。二度引き金を引き、ドラゴンの首筋近くで爆発を発生させる。

 

グワアアァァァッ!と、白い雪の吐息を漏らしながら叫び、ドラゴンがこちらを見る。これで五人がヘイトから外れた。しばらくは自由に動けるだろう。

 

「悪いけど、吹雪は俺には効かねぇぜ?」

 

俺を凍らせようとドラゴンが吹雪を吐いてくるが、俺にそれをしても意味はない。速度操作で温度を上げるのは一瞬だ。どれだけ低温の吹雪を出そうとも、あったかい風と少量の水が降りかかるだけだ。風はともかく、水が飛んでくるのはちょっと嫌だけどな。

 

と、そんな感じで耐えながら攻撃を引きつけていたら、ステラが弓で両眼を同時に貫いていた。ああも的確に目を撃ち抜けるの凄いな...

 

次に動いたのはニアだ。周囲に浮かべていた水はこの気温で勝手に凍りつき、できた氷を飛ばしていく。

 

炎のドラゴンに炎が効きにくいのは容易に想像できるし、その通りだ。けれども、氷のドラゴンに氷が効かないなんてことは起こらない。単純な互いの強度勝負になる。

 

ニアの作った氷はもちろん脆い。外気で急速に冷やされてできただけだから、ドラゴンと衝突すれば簡単に砕けてしまう。

 

しかし、あまりにもコストが安い。今ニアがやっているのは、氷を作るのではなく水を生み出し、それを操ることだけだ。直接氷を作るよりも安上がりなため、数を量産できる。威力にはあまり結びつかないが、それでもダメージは蓄積していくからバカにはできない。

 

……え?なんで炎とか雷を使わないのかだって?そりゃ当然だ。並大抵の炎だと一瞬で鎮火させられてしまうし、かといって火力を上げると雪が蒸発して水蒸気爆発的なことが起こらないとも限らない。

 

雷も同様だ。電気分解が起きて混合気体がばら撒かれた後に、剣が衝突した時に火花が少しでも出ればお陀仏。そもそも俺が魔力銃で起爆攻撃すると決めているので、下手に誘爆してしまうのを避けるという理由もある。

 

氷には氷。それが安牌だし、一番だ。

 

ここでクミリアが動く。一歩ごと地面の氷を踏み砕きながらドラゴンの死角を進んで回り込み、俺の爆発によってできていた首筋の傷に拳を叩き込む。棘がドラゴンを貫き、内側から肉を引き裂く。

 

そして仕上げはもちろんライトだ。俺がつけ、クミリアが広げた傷口に向かって跳躍し、真の姿を解放した聖剣を振る。

 

「ハイ終わりー...サラッと流したけどやってることすごいな」

 

ライトがどうやって氷の上を移動したかというと、クミリアが踏み抜いて滑らなくなった場所を通っていったのだ。体格も本来の歩幅も違うだろうに、ちゃんと成功させるんだもんな...そしてスパッとドラゴンの首を切り落とせる聖剣の切れ味よ。ヤバいね(語彙力消滅)

 

「……よし、この調子でラスト行くか」

 

この流れが切れる前に、さっさと次の部屋に行こう。今の感じで行けば、簡単に倒せるはずだ。

 

「開けるぞー。今度は快適な温度が待ってるはず...!」

 

俺は次のボス部屋に続く扉をドンッと開け放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……は?三つ首?」

 

三つの首で、身体は一つ。左の首は炎のドラゴンのもので、右の首は氷のドラゴン。

 

なら、真ん中の首はなんだ?二つ首じゃなくて三つ首だったのはもうこの際どうでもいい。少し前から勇者の記憶を完全に覗けないってことが多くなっていたから、現実との齟齬が起こるのも普通だからだ。

 

今重要なのは、真ん中の首がなんのドラゴンのものなのか。なんらかの属性は持っているだろう。炎と氷で挟まれてるから無属性ですーなんてことは流石にないはず。

 

それぞれ、ドラゴンには特徴がある。炎も氷も、それを想起させるような模様や立髪がついていた。それを踏まえて、正体不明のドラゴンの力を推察する。

 

真っ先に目に付いたのは、鶏のトサカのような毛。奇妙な形をしている。まるでイナズママークのような...

 

「って、マジかよ...⁉︎」

 

ドラゴンが口を開いた。口から覗くは、炎でも氷でもなく紫電。

 

『雷装』

 

みんなを守ろうと、すぐに飛び出そうとしたレストを掴んで後ろに放り投げ、急いで前に出る。

 

714ページ左上 黒のみ 土流

 

地面に手をつき、周囲の土を集めて盛り上がらせて、巨大な土の壁を作る。そして魔力銃でワイヤーを遠くの壁に向けて撃ち込む。

 

準備完了。そしてその瞬間にドラゴンの攻撃が飛んでくる。

 

「魔物が雷使うってマジかよ...!」

 

ドラゴンの攻撃、口から出した雷撃が俺の身体に直撃する。雷装を使っているおかげで、俺自身にはほとんどダメージはない。ただ、受けた電気エネルギーをこのままにしておくことはできない。どこかに逃す必要がある。

 

そのための準備だ。壁の裏にいる仲間に電流が行かないように、雷装で電流の流れやすい箇所を作って誘導し、土の壁やワイヤーをアース代わりとして、電流を壁や地面に逃す。

 

「勇者にしか使えないはずなのに、どうやって魔物に雷を使わせたんやら...シレンの穴の謎がさらに深まったな」

 

電流を逃し切った。移動の邪魔になる土の壁を崩し、ワイヤーも外す。

 

「ありがとうカリヤ。流石にあれは僕には受けきれない」

 

「真ん中のあいつ、奴の攻撃は俺が受ける。両側は任せたぞ」

 

見れば見るほどティ○キンのキング○リオークみたいだなと思いながら、俺は三つ首ドラゴンに飛び掛かる。あれはたしか雷が左だったっけ?...そんなことはどうでもいい。

 

さっきの二回の戦闘から察するに、こいつらのブレスは一回吐いたらクールタイムが必要らしい。秒数はどうせ早くなっているだろうから参考にならないけど、一発撃った雷のドラゴンの首を初手で切り落としたい。

 

「おっ、いいのか?」

 

炎と氷のドラゴンが頭をこっちに向けて、口を大きく開けている。ブレスを放とうとしてるわけだが...これでしばらくブレスは飛んでこなくなる。あとは避けて攻撃するだけだ。

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

0.2秒の跳躍によって、13メートルを一瞬で移動する。雷のドラゴンの首の上だ。ここで、炎と氷のブレスが衝突したことによって起こった水蒸気爆発から逃れる。

 

さっきまで単体で攻撃してきた炎と氷が合わさればこうなるのは、あらかじめわかっていたこと。みんなもレストの後ろに隠れて爆発をやり過ごす。そして各々やるべきことを成すために動き出した。

 

「こっちもやることやらないと...ってこっちみんな!」

 

首がグルンと回って、雷のドラゴンがこっちを見てきた。思わず持ってたダガーをぶん投げて眼に刺しちゃった...咄嗟のことだったけどナイスだ俺。

 

「おおっと危ない」

 

眼はもう見えないはずだけど、電磁波とかで周囲の様子を察知しているのだろう。口を開けて噛みつこうとして来る。

 

まだ着地してないから普通ならそのまま噛まれてしまうが、落下速度の加速でドラゴンの胴体に着地して回避する。

 

そして魔道具経由の次元収納で眼に刺さったダガーを回収し、刀を構える。

 

『色彩剣装 原色・赤』

 

赤の光を纏わせて、刀を鞘に押し込んで音速の抜刀を...⁉︎

 

「チッ...!」

 

ドラゴンが空を飛び始めたせいで、ほんの少しバランスが崩れてちゃんと刀を振れなかった。少し掠った程度で、大きなダメージにはなっていない。

 

そしてドラゴンが口を開き出した。ビリビリと紫電が漏れ出している。どうやらブレスのクールタイムはもう終わりみたいだ。

 

「オラ来やがれ!」

 

雷装で受け流す準備はできている。効くかどうかはわからないが、ドラゴンの胴体に丸ごと流してやろう。

 

「……って、え?」

 

なかなか撃ってこない。まるで、何かを待っているかのように、タイミングを伺ってるかのようだった。

 

何を待っているのかを探るために、辺りを見渡す。自分のことに集中しすぎて、今みんながどう動いているのかわかっていない。誰かが何かしたのかもしれない。そう思って状況を確認するが、特に変なことは何もない。ステラが炎のドラゴンの眼をもう潰していたり、多分手でも一本もぎ取ったりしたんだろう痕跡として血が地面にばら撒かれてたりしているが、ドラゴンのあの行動と繋がらない。

 

他の首と連携しようとしている?と思い、別の首を見てみる。すると、氷のドラゴンが口を開けていた。けど、すぐに下に向けてブレスを吐いた。地面が凍りつき、巨大な氷柱が造られる。

 

そしてそれを待っていましたと言わんばかりに、雷のドラゴンが雷撃を地面に向けて撃ち込んだ。

 

氷と雷を使った感電攻撃。けれども、みんな氷のブレスを避けた時点で、氷からは距離をとっていたから無傷だ。俺がよくやってる攻撃だし、慣れもあって対処が完璧だ。

 

「クソ...そういうことかよ!」

 

氷に、雷に、炎。よくよく考えると、この組み合わせはマズイ。そして、もう炎のドラゴンが口を開けていた。この組み合わせは偶然なんかじゃない。こいつらは意図的に水素爆発を起こそうとしてやがる。

 

最優先で倒すべき首は雷じゃなかった。炎を先に仕留めて起爆を防ぐべきだった。

 

ひとまずドラゴンの胴体から降りる。これをどうにかするには、あの火炎ブレスをなんとかして混合気体にふれさせないようにするしかない。屋外だったら風で気体を拡散させればいいだけだが、密室だからそれはできない。

 

一番手っ取り早いのは、障壁でドラゴンから下を塞いでしまい、気体に火炎ブレスが触れないようにする方法だが...それをすると、障壁を永遠と解除できなくなってしまう。解除すれば爆発してしまうから、そのままにせざるを得ない。そしてそうなると、上にいるドラゴンを攻撃できなくなってしまう。

 

……ダメだ。すぐにはいい方法が思いつかない。いっそのことライトのカウンターに任せてみるか?いや、それをするなら全員でドラゴンの背中に退避した方が早い!

 

「全員!ドラゴンの背中に退避!爆発が来る!」

 

一瞬で落下し、空を飛べないレストを抱えてから壁を蹴って上へと移動する。ステラとニアとライトは自力で空を飛び、クミリアは地面を蹴った反動でひとっ飛びしてドラゴンの背中に着地する。

 

「衝撃注意!」

 

念のためにとニアが障壁でみんなの周りを囲み、万が一にも爆発を喰らわないようにする。

 

と、ここで炎のドラゴンが火炎ブレスを吐き、地上で大爆発が起こる。まぁ流石に自分の攻撃を喰らうわけはなく、ドラゴンは爆発に巻き込まれない。当然、俺たちも無事だ。

 

「またやられちゃ面倒だ!さっさと一本落とすぞ!」

 

一度爆発が起こって場がリセットされてしまえば、もうどれから仕留めたところで爆発は起こせなくなる。なら、普通に面倒な雷から落とすに決まっている。

 

「いくぞライト!やることはわかってるな!」

 

無言で頷くライト。まず最初にやるべきは...雷よりも前に翼を切り落とす!

 

「「『色彩剣装 原色・赤』!」」

 

ニアの障壁解除と同時に駆け出す。真反対の方向に飛び出して、若干のタイムラグはあったもののほぼ同時に翼を根本から切り飛ばした。

 

「もういっちょ...!」

 

ドラゴンと共に落下しながら刀を鞘に収め、ドラゴンの首めがけて走り出す。

 

この落下中に、満足に動けるのは俺だけだ。みんなは動こうと一歩踏み出した時点で多少なりとも上方向の力が働き、ドラゴンの胴体から足が離れてしまう。俺は落下速度加速で再度足をつけることができ、普通に走れるわけだ。

 

そうして雷のドラゴンの首までたどり着いた俺は、鞘に刀を押し込み鞘内蔵のギミックを発動させる。

 

「っ...!」

 

グルッと首を回して、口から紫電を漏らすドラゴンがこちらを見ていたけれど関係ない。音速の斬撃で首を斬り落とす。

 

「キッツ...」

 

ギリギリ切られる直前に放たれた雷撃が直撃し、電気エネルギーが行き場を求めて身体中を駆け巡る。

 

「そんなんされたら利用するしかねぇよなァ!」

 

刀に雷撃の電気エネルギーを全て移し、氷のドラゴンの首に向かって投げつける。色彩剣装の光は手から離れたことで消えてしまったが、それでも元々の切れ味がいいのでドラゴンの首に深々と突き刺さり、電流を撒き散らす。

 

「よし!みんな退避!」

 

そろそろ地面に激突する。全員跳ぶなり飛ぶなりしてドラゴンの胴体の上から退避する。

 

その二秒後。ドラゴンが地面に激突した。そして、おそらくニアの魔法なのだろう。ドラゴンの背中から大量に杭のようなものが飛び出した。地面に設置していたところにドラゴンが落ちたため、腹と背を突き破って出てきたのだろう。

 

「エッグゥ...まだ死んでねぇのかしぶといな」

 

あんな傷を負ってもまだ生きてるとは驚きだ。全て首を切り落とさないとダメなのだろうか。

 

「んー...それなら、ライト!俺らの爆発を見せてやろうぜ!」

 

「わかった」

 

爆発には爆発で応えよう。全員ドラゴンから離れ、ライトの放つ起爆魔法に巻き込まれないようにする。

 

「いくよ...」

 

水、雷、風、炎。四種の力を混ぜ、ライトが起爆魔法を発動させる。混合気体は放った。あとは起爆のための火の粉を飛ばすだけ。

 

けれど、ドラゴンも最後の抵抗とばかりに口を開き、ブレスを放とうとする。明らかに何かをしようとしているライトに顔を向ける。

 

「撃ってもいいぜ。自殺するってんなら止めねぇ」

 

氷のドラゴンは首を刀で傷つけられたため、ブレスを吐くことができなくなっていた。必然的に、炎だけが放たれる。

 

既に見えない気体はドラゴンのすぐ近くまで迫っていた。ドラゴン自身の炎で巨大な水素爆発が起こる。

 

爆炎、熱が撒き散らされ、炎が消えた時にはもうドラゴンは完全に消え去っていた。

 

「……死んだか。大ボスにしては、そこまで強くはなかったな」

 

首を切り落としたりしたから少し離れたところに着地していたので、次元収納に武器をしまってからみんなのいるところに戻る。

 

「何か耐性があったわけじゃないしね。固くはないから、攻撃できれば勝ちだった」

 

「爆発だけちょっとびっくりしたけどね。あと天の怒りを使ってきたのにも」

 

「それは俺も驚いた。精霊でも勇者でも無しに雷を使うとかわけわからん。古代にも雷装を使えた人がいて、理論作って魔物に使わせた...わけでもないだろうし」

 

もしそんな経緯があれば、雷装が現代まで継承されてないことだったり、そもそも存在すら知られてなかったことに説明がつかなくなってしまうからだ。

 

「それを言うなら爆発もよね。氷や水、それと天の怒りと炎で爆発を起こせるってこと自体、カリヤが見つけて知れ渡ったことなわけだし」

 

ボスは倒せたものの、古代の魔法技術と科学知識が実のところどこまで進んでいたのか、謎が深まってしまった。

 

「……まぁいいや。次行こーぜー」

 

考えたって仕方ないことはさっさと忘れて、俺たちは次の階層へと向かうのだった。




二連続で三話構成の話が続いたので、今回は一話にまとめてみました。
展開メチャ早になってしまったけど、しっかり書くのとこれくらいスピーディーなのとどっちがいいんだろう...

書いてて思ったけど、ステラちゃん目を撃ち抜きすぎじゃない?
弱点は目だよって何度も言ってくるイタズラ妖精でもいるのかな?
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