前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8108字。

テスト終わったんで投稿再開です。

少し前からやろうと思ってた話だけど、なんかあまり上手く書けんかった...


武器がないなら作ればいいじゃない

第八十階層

 

「うえーん武器取られたー」

 

どうやら武具使用禁止の階層らしく、俺たちの持つ武具を全て取られてしまった。あの土偶の階層を超えてから、ずっと勇者の記憶が読めないせいでこうなるとは知らなかった。知ってたら対策できたかもしれないのに...まぁ、次元収納の中の武具も取られてたから無理だろうけど。

 

「いつも通り動けるのは私とクミリアだけね」

 

「魔法使いと格闘家は武具禁止の影響ほぼ意味ないしな。まぁクミリアはグローブを取られたわけだけど」

 

「そのせいでちょっとだけ弱体化してるから、いつも通りなのはニアだけだね」

 

ステラは弓矢と護身用のダガーを取られた。レストはナイフと盾を取られた。そのせいで、二人はほぼ何もできない。自分の仕事を全て取られたわけだ。

 

ライトは聖剣を取られた。聖剣も取られるのかと驚いたが、ライトは魔法も使えるからある程度仕事はできるだろう。

 

ニアはさっき言った通り。クミリアも同様。二人は普通に戦えるだろう。クミリアは弱体化を自己申告していたけど、まぁそんなには弱体化していないだろうな。あのグローブにはそこまでちゃんとした魔法がかけられてるわけじゃないし。

 

俺?ほぼ全部取られたよ。ダガー二本、刀、弓矢、鞭、次元収納の中の武具。あと、なんで武具扱いされてるのかわからないが次元収納とリンクしている武器倉庫の魔道具も取られた。そしてこれは本当にわからないんだけど、魔法図鑑も取られたんだが?本じゃん。どう考えても武具じゃなくて本じゃん?どうして取るん?

 

あっ、あとみんな魔力銃を取られたな。正直、これが武具カテゴリーにちゃんと入っていることが驚きだ。ほんとここ最近に初めて造られたもののはずなのに...もしかしたら、俺たちの認識を読みとってるのかもな。

 

「取られた数だとカリヤがダントツだよね。大丈夫?」

 

「大丈夫じゃないよぉ...魔法図鑑ないとか、ほぼ魔法使うなって言われてるようなものだよぉ...」

 

「普通に詠唱するなり魔法陣描くなりで使いなさいよ。あとその話し方ちよっと気持ち悪いからやめなさい」

 

「ごめん。でも、魔法使えないはマジなんだよなぁ...詠唱も魔法陣描いて発動させるのも苦手なんだ。あらかじめ描いた魔法陣に魔力を流すのが一番早いし楽だ」

 

「それなら格闘でもしてなさい」

 

「おけ」

 

魔法がなくとも、俺には加速攻撃がある。いざとなればスキルで魔法を使えばいいしな。いくらでもやりようはある。

 

「じゃあ進むか。ってかボス戦だけだしさっさと攻略して魔法図鑑取り返したい」

 

「依存しすぎじゃないかしら...心配になるわよそれ」

 

「じゃあ開けんぞー」

 

扉を開けて中に入る。

 

「うっわうじゃうじゃいる...そういう感じのボスなわけね」

 

結構久しぶりかも。こういう軍隊型のボス戦。

 

「クミリアいくぞ」

 

「いや、ここは二手に分かれよう?二人まともに戦えない子がいるわけだしね」

 

「……そっか、じゃあ左頼んだ」

 

「オッケー行ってくる!」

 

クミリアが走っていくのを見届けてから、俺は右側の敵を殲滅しに行く。

 

部屋に入ってから俺たちが飛び出すまで、それなりに時間があったはずだが魔物は襲いかかってこなかったのをみるに、魔物に一定距離近づかなければ襲われないと思われる。これなら戦えないステラとレストも安全だろう。まぁ一応、近い敵から順に倒していくつもりだが。

 

「オラァッ!」

 

武器を何一つ持っていないので、思い切り魔物をぶん殴る。秒速65メートルのパンチならこの程度の魔物は一撃で粉砕できるな。ただ...

 

「ちょくちょく強いのが混ざってやがるな...」

 

五体に一体くらい混ざっている、他よりも強い個体。見た目からではわからない。殴るまでわからない。こいつを倒すには、数回殴る必要があるだろう。

 

けれど、倒せないくせに吹っ飛んでいくせいで他の魔物と混ざってしまう。倒せないことよりもそっちの方が面倒だ。このままだと強い個体だけが残っちゃうんだよな...なんとかするか。

 

「これなら...どうかな?」

 

こいつは違う。こいつも違う...こいつはそう!

 

殴った瞬間に、強い個体だということはわかる。思考の加速でそれを感じ取った瞬間、魔力操作で拳から杭のようなものを作り出して魔物が吹っ飛ぶのを無理矢理抑えつける。

 

「成っ功!オラ死ねっ!」

 

足払いで魔物を地面に転ばせ、もう片方の拳を何度も叩きつける...これするなら、最初から転ばせた方がよかったか?

 

「まぁいい次!」

 

引き続き魔物を倒していく。その最中、後ろからニアの魔法が飛んでくる。奥の方にいる魔物を狙ってるみたいで、今のところこっちにはあまり影響はない。なんか、カイスでの戦争を思い出すな...

 

ライトも雷を使った攻撃と、ニアに負けず劣らずの魔法攻撃、純粋な体術による攻撃を混ぜ合わせて戦っている。三人の勇者候補の力が全て集約されたような感じだな。

 

「俺も負けてらんね!『雷装』!」

 

最近、雷装に魔力を込めて操作できるようになってきたので、さっきの杭攻撃の改善策を試してみる。

 

「名付けて...ダメだいい名前思いつかね。雷装・剣はスキル名で既にあるしなぁ...」

 

電流を魔力で保護し、空気中での減衰をほぼゼロにする。その消費分を魔力が肩代わりしている形なので、ゴリゴリ魔力が減っていくが魔法は使う気がないのでバンバン使う。

 

減衰無しとなり、かつ自由に操作できるようになった電流で剣を形作る。一般人が触れれば即感電死間違い無しの剣。見栄えだけだと思って作ったが思ったよりも殺意マシマシになった剣。

 

さぁ、さっそく使ってみよう。

 

「よーしお前実験台になれ!」

 

近くにいた魔物に向かって...よし決めた、雷撃剣(仮)を振ってみる。

 

ズバァッ!

 

「おおぅ、結構威力あるねぇ」

 

切断ってよりかは、焼き切った感じだな。引っかかる感触なく触れ抜くことができた。

 

「けど維持が大変だな...」

 

魔物に雷撃剣(仮)が当たっている間、電流は魔物に流れていく。雷装と魔力操作を常に起動して、雷撃剣(仮)を常に生成し続けないと消えてしまいそうになってしまうのだ。火力はあるけど、集中する必要があるから少し使いづらいなこれ。

 

「火力はいくらでも上げられるんだけどなぁ...」

 

もう一度、今度は別の魔物に雷撃剣(仮)を振る。そして電撃が魔物を焼き切る瞬間、電流に流れている魔力を炸裂させる。

 

自己以外の魔力は基本有害である。電流による傷の内側から魔力が肉を切り裂き、焼き焦がす。

 

「はえー、これやると魔力も電流みたいな性質になるんだな...おもしろ」

 

魔力についてもまだまだわからないことだらけ。新たな発見がどんどん出て来るな。

 

「他にも色々やってみるか」

 

雷装と魔力操作の合わせ技。剣以外にも、何か使えるものがあるかもしれない。例えば...槍とか?剣と変わらなそうだけど試しにやってみるか。

 

「雷...槍でいいのかな?」

 

これも名前被りしてるから微妙なネーミングだなぁと思いながら、電流を操作して槍を形作る。

 

「でもこれ投げれないからあんまし意味ないかな...?」

 

槍の利点って、剣よりも長いリーチと、振り回して範囲攻撃ができることだと俺は思っている。けれど、この槍は魔物に命中した瞬間、一瞬だけ形が崩れてしまうため範囲攻撃がしにくい。範囲攻撃で一気に複数体に攻撃しようとすれば、振り終わる辺りでもう槍が消滅してしまうことだろう。

 

それに加えて、槍を投げて使うことができないのが痛い。槍が手から離れれば、電流を保つために流している魔力が途切れてたちまち霧散してしまう。投げれない槍なんて槍じゃねぇ!次!

 

「っと、来たら危ねぇぜ?」

 

次は何を作ろうかと考えていたら、近くにいることでこっちを認識した魔物が襲いかかってきた。だが、今の俺は雷装を発動している、触れてきたらすぐに電流を流してダメージを...いいこと思いついた。

 

「ほい盾」

 

電流で盾...というか壁のようなものを作り出す。そこに魔物がモロに突っ込み、大量の電流を浴びて体が一度ビクンと跳ねたのち地面に倒れる。こりゃ死んだな。

 

「咄嗟の守りに使うなら、使えないこともないな...」

 

なんかあれだな。原○崩しの盾みたいだ。まぁそれは置いといて...使えるってのだけ覚えておいて、次のを試そうか。

 

「あとは...鞭?銃は無理だし...なんか、あんまし武器のバリエーションないな俺」

 

ガネルで珍しい武器使ってる人見なかったか...?何かいいアイデアは...

 

「ああもう邪魔くんなこっち」

 

さっきとは別の方向から飛び掛かってきた魔物の顔を掴み、大量の電流を流し込んで駆除する。ああ、いいアイデア出てこないなぁ...

 

「カリヤおつかれー」

 

「……へ?」

 

思考の海から上がり、周りを見渡す。

 

「あれぇ?もう魔物いないの?」

 

みんなが削ってくれていたのもあるが、考え事しているうちに魔物を全滅させていたみたいだ。まったく気づかなかった...

 

「気づいてなかったの?大丈夫?調子悪い?」

 

「まぁそりゃ魔法使えないだから調子は悪いんだが...考え事してただけだから心配はいらないぞ」

 

「そ」

 

「カリヤあんた、さっき何をしてたわけ?」

 

クミリアと話していたら、ニアが近づいてきた。

 

「雷装の電流を使って武器作ってみた。実用性はあまりないけど、まぁなんかやってて楽しかった」

 

「それならよかった...とはならないわよ?なに武器使用禁止の訓練で武器使ってるのよ」

 

「えっ、そこ?そんなことできるのかってところに驚くんじゃない?普通」

 

「カリヤならそれくらいできるでしょ」

 

「たしかに」

 

「なにその謎の信頼」

 

わけわからないことやってても俺なら納得ってか?ちょっと酷くね?

 

「後ろで見てて、変なことしてるなーとは思ってたわよ。でもカリヤならそんなこと簡単にできるでしょう?あと純粋に気になるから後でどんな感じなのか教えなさい」

 

「教えるは教えるけど、何かの役に立つのか?それ」

 

「ただの興味本位よ。実用性があるかとかは関係ないわ」

 

「そういうもんなのか...ところでライトは何をして...ってマジ?」

 

出口の扉が現れていない。それを知ったことで、ライトの行動の意味を理解する。

 

魔物の残党がいないか探しているのだ。透明化してるだとか、めっちゃ小さいとかでまだ倒せてない魔物がいるのだろう。扉が現れてないということは魔物を倒しきれてないということ。探すしかない。

 

「……あっ」

 

俺の能力で探してやるか。そう考えていたが、俺はマズイ事実に気がついてしまった。

 

扉開かないのこれ、俺が最後の魔物にトドメを刺しちゃったからじゃ...?シレンの穴に認識されていない俺が試練終了条件を満たしてしまったため、バグって終わらなくなってしまったのだ。

 

……これ、どうやって説明すればいいんだろう。こっからはどうやっても試練終了条件を満たせないため、一度この階層から出る必要がある。けれど、みんなが納得できるような説明をできる気がしない。

 

シレンの穴に認識されてないって言っても信じてもらえないしなぁ...よしんば信じてくれたとしても、なんでそんなことになっているんだって話になって俺の出自について話す必要がある。

 

別に今ここで話してもいいんだけど、シレンの穴の最下層、全て攻略しきったあとで話すって決めてるんだよね。うん、別に言っていいんだけども...まだその時じゃないんだよな。こんなところで言いたくない。

 

「カリヤ。そこら辺走り回って魔物を探してちょうだい」

 

「えっ...あっ、そうだ。もしかしたら時間制限があったんじゃないか?一定時間が経ったら一体魔物が逃げ出して、攻略不能になるっていう」

 

どうだ...これで納得してくれるか?

 

「……あり得なくはないわね。こんな深い階層なわけだし、時間制限くらいないと変よね」

 

よっしゃあ!言いくるめ成功!1クリとまではいかないけど3くらいは出したでしょこれ!

 

「でも一応見えない魔物がいないか確認してきなさい」

 

「オッケー行ってくる!」

 

速度探知でいたる所を探し回る...うん、いないね。

 

「よしいない!一回戻ってもう一回入ろーぜー」

 

「なんでそんなにテンション高いのかしら...」

 

全員で一度、ボス部屋の外に出る。もう一度入り直せば、また魔物と戦えるはずだ。

 

「あっ、俺魔力少ないから戦闘お願いね」

 

嘘である。魔力を相当使ってしまったのは本当だけれど、戦えないほどではない。こうでも言って戦闘から外れないと、また俺が最後の一体を倒しちゃうなんてことになりかねない。

 

「ふざけて変なことしてるからもう...魔力回復できないし、後ろで待機してなさい」

 

「はーい」

 

何をやっているんだと呆れられてしまうが、仕方のないことだと割り切っておく。

 

「じゃあ開けるぞ」

 

もう一度ボス部屋に入る。

 

「じゃあ頑張れー俺はここで見てるわ」

 

「ミスしてその態度なのは後で説教!」

 

そう言ってからニアは少し前に出て魔法を魔物に向けて撃ち込み出す。

 

「……ねぇねぇカリヤ。さっきの剣とかってどうやって作ったの?」

 

「なんか盾も作ってたよね。なにあれ」

 

……もうクミリアもライトも魔物を倒しに行っていて、近くにはステラとレストしかいない。ニアは比較的近い位置にいるけど、まぁ魔物を倒すのに集中してるし大丈夫だろう。

 

「雷装に魔力を流して、武器の形に固めてるんだ。実演してやろう」

 

大丈夫というのは、実演しているのをニア達に見られて、普通に戦えるじゃないとツッコまれる心配がないという意味だ。

 

『雷装』

 

「まず雷装の性質について説明するんだが、普通に雷装を発動させると、大体八割が体内を流れて、二割が体表面に流れるか外に漏れ出して消えるかするんだ。そしてあの技を使うには、外に出る二割を内側にまず押さえ込む必要がある」

 

ビリビリと外に漏れ出ている電流を、体内に押し込める。

 

「これをすると、ロスなく雷装を使えたり多くの電流を溜め込めたりできるんだけど、あの技を使うためにはもう一捻りする必要がある。二人は雷装を使えないからわからないかもだけど、体に流れてる電流ってバラバラの方向に走ってるのね?それの向きを揃えて、身体中を循環するように流す」

 

血が心臓から全身を巡って心臓に戻るように、電流を全身に流していく。

 

「ここであらかじめ血の巡りと同じように流しておくと、あとが楽になる。全身に雷装を流したら、その巡り方とまったく同じになるように魔力の巡りを揃えていく」

 

体内の魔力を操作して、雷装と同期させる。

 

「とまぁこれで準備は終わり。雷装と魔力が融合したから、こっからは魔力を操作すればいいだけになる。あとは魔力を外に出して、自分の思い通りに形を作るだけだ」

 

試しに剣を出して、二人に見せる。

 

「へー...あっさりやってるけど、結構工程多いね」

 

「戦闘中にやってるの?それ」

 

「準備は一回終わらせてしまえば、そのあとは魔力を操作するだけだから思ってるよりも簡単だぞ。あいにく、魔力の消費は多いけどね」

 

「そういえばだけど、それやって大丈夫なの?魔力切れしちゃわない?」

 

「大丈夫大丈夫。戦えるほどはないだけで、こうやって見せるくらいの魔力はあるから」

 

「じゃあ弓作ってよ弓!」

 

「弓?おっけわかった」

 

たまに使う弓を思い浮かべ、雷装で作り出す。

 

「おおー!射ってみてよ!」

 

「あっ、それは無理」

 

「えっ、なんで...?」

 

「俺の雷装は、空気中に流すとすぐに消えちゃうからさ。剣とか弓とかを作るのは魔力で保護してるから平気だけど、矢を射るとなると無理。保護するには常に魔力を流す必要があるから、それができなくなった時、つまり弓から矢が離れた瞬間に消えちゃうんだよね」

 

「そうなんだ...」

 

「多分だけど、ライトが同じことをすれば電流の矢を放てるんじゃないかな?ライトの方が雷装の威力強いし」

 

電圧が高ければ空気中にも電気を流すことができるだろうから、矢を放てるとするならばライトだろう。まぁ、ライトに雷装と魔力の同期させるこの芸当ができるかわからないが。

 

俺にこんなことをできているのは、人よりも自分の魔力を認識しやすいこの体質と、雷装をおよそ一年も使い続けているゆえの経験と、体内のものの動きを認識できる速度操作があるおかげだ。経験は努力で補え、時間で解決できるだろうが残る二つはライトにはどうしようも無い。習得には時間がかかるだろうな。

 

……そうだな、後でライトに一応やり方教えておこう。もしかしたら、あっさりと出来るかもしれない。あっ、入れ替わりの階層で俺の身体の中に入ってもらえば練習できるか。となると、思ったより習得は簡単かも?

 

「まぁ電気を飛ばしたいなら、普通に矢に宿して射るなり、水に流して飛ばした方が楽かもな」

 

「そっかぁ...雷装で弓矢を作れたらよかったんだけどなぁ」

 

「ん?どうしてだ?」

 

「ほら、今みたいに弓矢がないときにも戦えるようになるでしょ?そんなこと起こるとは思えないけど、矢を使い切ったり弓を取られたりとか可能性がないわけじゃないからさ」

 

「たしかにな。でも、ステラの雷装は矢にしか宿せないから、雷装で弓矢を作れたとしてもステラには無理だね」

 

「そうなんだよねぇ...でも雷装で作れないにしても、何かしら対策はした方がいいよね?」

 

「そうだな。シレンの穴でこんな武具使用禁止なんて試練を作るくらいだから、魔王軍の中に装備を取ってくるやつがいてもおかしくない。弓矢を取られても戦える方法を作っておくのはいいことだ」

 

装備を取って来るやつ、少なくとも一人いるもんな。ほら、略奪をコピーしたフロート。略奪のコピー体は殺したからもう略奪の力を持ってないと思いたいが、またコピーしてないとも限らないからな。

 

「前に弓矢が使えない時や敵に近づかれた時用にダガーを買ったわけだけど、今回はそれも奪われたまたは壊れるなどして使えないと想定しよう。手っ取り早いのは格闘戦を出来るようにすることだけど、たしかクミリアに習ってるんだったっけ?」

 

「うん。まだまだ上手くできないけどね」

 

「なら、そっち方面はクミリアに任せるとして...そうだな、いっそのこと弓矢をその場で作るのはどうだ?」

 

「作る?」

 

「さっき雷装で弓矢を作れればよかったって言ってただろ?雷装じゃ無理だけど、別のもので弓矢を作ることはできる」

 

「カリヤがたまにやってる、木で剣を作るやつみたいなこと?」

 

「そうだ。ステラは魔法が苦手だけど、製作スキルなら普通に使えるだろうしな」

 

製作スキルは魔力を使うけど魔法ではない。物を作るのにかかる本来の時間を魔力で代用してるだけ。魔法ではないから、ステラにも使えるはず。もしかしたら俺が使う時よりも魔力を喰うかもしれないが、俺が魔力増強を手伝ってるわけだし、使える量は溜まっているはずだ。

 

「一度自分の手で弓矢を自作してみるんだ。そうすれば、材料さえあれば弓矢を作ることができる。木とか金属とかは現地調達なり今いる場所から引っ張り出せばよくて、弦に使う糸を持ち歩けばできるはずだ」

 

「はいはい!弓矢は前に自作したことあります!」

 

「それならあとは材料集めるだけでいいな。今度、ちゃんと製作できるか試してみようぜ」

 

「うん!」

 

「楽しく話しているところ悪いけど、もう終わったわよ」

 

「えっ?あっ、ホントだ」

 

「随分楽しそうだったわねぇ...出来るだけ急いだおかげか、さっきのより早く終わらせられたわ。ちゃんと扉も現れた。感謝しなさい」

 

「はは〜」

 

五体投地で感謝の意を示す。

 

「はぁ...次の階層行くわよ」

 

みんなで現れた扉に向かい、開け放つ。

 

「おっ、取られたもん全部あんじゃーん」

 

俺の武器は...なるほど、次元収納の中にあったやつは勝手に返されてるわけね。そして、魔道具を介して取り出してた武器も同じ...と。つまり、俺が回収するのは魔道具と、魔法図鑑、あと魔力銃くらいか。

 

「うっわ全員分まとまって置いてある...これは俺のだな」

 

同形状のものはまとめて置いてあるのか、魔力銃七丁が一箇所に並べて置かれていた。速度探知で中の魔法陣を確認し、俺の二丁を回収する。

 

「これはニアので、これはステラの...あっ、これライトのね」

 

と、そんな感じで取られた武器を全て回収した俺たちは、次の階層へと向かうのだった。




最近ずっと戦闘回ばっかだったので、次回は日常回にしようと思ってます。
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