前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8348字。

少し前にもやったけど、またライト視点やります。


模倣魔族に複製魔族

「これで終わりか...」

 

雷を使いこなすための個別訓練だったようだけど、昨日のカリヤの特訓のおかげで慣れていたから簡単だった。やけにあっけなく感じる。

 

空間が歪んで、元いた場所に戻ってくる。

 

「あっ、もうニア終わってたんだ。早いね」

 

「……」

 

「なんで黙って...」

 

そこで気づく。前にカリヤが、フロートがニアの姿を既に模倣している可能性が高いと言っていたのを思い出し、目の前のニアが姿を変えたフロートだということを確信する。

 

「フロート...だよね?」

 

「神の使いはどこだ」

 

「やっぱりフロートか...帰ってくれない?」

 

カリヤがアクセルにやっていたように、会話を試みてみる。

 

「質問に答えろ。神の使いはどこだ」

 

やっぱり会話なんて無理だよ...

 

「今、誰かの訓練に混ざってるからどこにいるかはわからない」

 

「そうか...一応聞くが、ここで待っていていいか?」

 

「そんなこと、許すと思ってる?」

 

「まさか、冗談だよ」

 

「君の存在は冗談にもならない。消えてもらおうか」

 

聖剣を一振りする。が、ニアの体にも関わらず軽やかに避けられてしまう。

 

「こんなところで戦うつもりか?戻ってきた誰かを巻き込んでも知らないぞぉ...?」

 

ニヤニヤしながら言われるのすごいムカつく。

 

「なら、外に追いやるだけだ」

 

聖剣を振って攻撃し、フロートを外に出るように誘導する。その最中、フロートにバレないように魔法で壁に傷をつけ、みんなに対するメッセージを残しておく。カリヤなら速度探知で見つけてくれるだろうから、気づかれないということはないはずだ。

 

「ほらほら、追ってこい」

 

「逃げてる方が何を言う!」

 

ニアの姿のまま走って逃げるフロートを追って、シレンの穴の外まで出る。

 

……あれ?なんで魔族がシレンの穴という、魔素で包まれた場所から出るんだ?聖素が混じっている外に出れば弱体化は免れないのに...いや、僕と戦うならどうせ聖素に反転させられるんだからいいやってなったのかも。無駄な思考だったな。

 

……いや違う!やっぱり意味あるよこれ。シレンの穴の外に出たら、僕は中で使えていた聖剣の力が使えなくなってしまう。聖域展開はできるけど最小限しかできないし、聖域展開も使えない。ちゃんと考えての行動か...やられたか?

 

「こんなところで君だけ...僕に勝てると思ってるの?この前首を切り落としたの忘れた?」

 

「お前だって一人だ。頼みの綱の紙の使いもいない。ほいほい着いてきてもらえて助かったぜ」

 

……そんなに僕カリヤのこと頼みの綱にしてるかなぁ?まぁでも確かに、カリヤがいないと略奪がないから、一撃でフロートを殺すことはできない。

 

「お前一人じゃ、俺を一回殺すことすらできないだろうなぁ?」

 

……全力疾走を使ってその首を切り落としてやりたいという衝動に駆られるけど、今は抑える。ここでその手札を切るのはダメだと思う。ここは殺すのは捨てて、誰か...特にカリヤが来るまで受けに回る方が良さそうかな。

 

「さぁ?それはどうだろう...ね!」

 

魔法をいくつも発動させて攻撃しながら走り出し、フロートに近づく。ニアを模倣しているとはいえ、それは何ヶ月か前のニア。魔法拡散も今ほどの技量はないはず...⁉︎

 

「あっぶ...そっかカリヤのから模倣してたんだっけ」

 

魔法をぶつけてこちらの攻撃を相殺したフロートは、そのままいつのまにか手にしていた魔力銃で攻撃をしてきた。ギリギリで避けられたからいいけど...注意しないと。

 

カリヤの魔力銃は、連射速度がすごい魔力弾と、ワイヤー、起爆魔法の三種類を撃ち分けることができる。中でも魔力弾は厄介だ。魔族の魔力なんて喰らってしまったら、レストがゾンビのスタミナを吸い取った時みたいに不調になってしまうだろう。弾数は多いけど、集弾性が強いから少し動けば当たらないし、うまく避けていこう。

 

ワイヤーは...無視でいいかな。この辺は平原だから立体機動はできないだろうし...でも、一応障壁を使って移動してくることもあるか。優先順位は低いけど警戒はしておこう。

 

起爆魔法は雷装がないと意味がないから無視...できないね。アクセルから雷装をコピーしていてもおかしくないし、魔素操作の魔族が電気を使ってたらしいから、そこから手に入れてるかもしれない。引き金を引いたのに何も起こらなかったら警戒しよう。

 

「……!」

 

こっちに銃口を向けながら引き金を引こうとしていたからすぐに身を捩って回避した。が、銃口からは何も出なかった。起爆魔法だすぐに離れないと!

 

「……こない⁉︎...っ゛!」

 

回避先を狙われた。しかも、あいつが撃ってるのは起爆魔法じゃない。見えないように細工した魔力弾...か?

 

そうだ、カリヤからコピーした状態のまま使ってるとは限らないんだ。魔族だって改造することもあるだろう。その可能性を失念していた...!

 

けど、運がいい。魔力弾は肩に当たったけど、頭と心臓に近いから魔力が多く流れていて悪影響が出る前に押し流せた。ちょっと痛みがあるだけで問題無し!

 

というか戦いの最中に考えすぎ!カリヤじゃないんだから最低限の思考で最善を掴み取れ!

 

フロートは魔力銃を撃ちながらニアの魔法を使い、僕に攻撃してくる。けど、攻撃の密度が薄い部分が必ずどこかにある。誘われているのかもしれないけど、飛び込まなきゃ何も始まらない...!

 

加速系のバフを大量に発動し、秒間速度を跳ね上げた状態で未来跳躍を発動させる。転移先はフロートの後方少し奥。普通の移動では辿り着けない、魔法の飛んでいない死角だ。

 

「……っし!」

 

転移直後に聖剣を振り抜く。位置が微妙に遠く、切断とまではいかないまでもうなじのあたりを切り飛ばせた。

 

「誰が一人じゃ殺せないって?」

 

「事実だ。まだ殺せていない」

 

たしかに、致命傷にはなっていないみたいで、ある程度高難度の回復魔法で治されてしまう。

 

けれど、それでいい。どんな人間でも、回復中は隙になる。それは魔族も同じだ。その隙を突き、再度未来跳躍でフロートのすぐ足元まで転移して脚を切る。

 

次は頭を...くっ!

 

未来跳躍でフロートから離れる。脚を切断したことで吹き出してきた血を攻撃に使ってきたからだ。血には大量の魔力が含まれている。流石にあの量を喰らうのはマズイ。

 

そして、僕が離れたからその間に脚を回復しようとフロートが魔法を発動させる。脚と散らばった血が傷口に向かって移動しているから、多分逆行再生だろう。治るまでにタイムラグがあるから、魔法拡散が間に合うはず...!

 

「ニアじゃ僕には勝てない!」

 

ニアとは何回かガネルで戦ったことがある。単純に戦闘経験を積む目的で二回、ニアがフロートに模倣されていることが判明した後に、対策する目的で三回は戦った。その時戦ったニアよりも過去のニアなのだから、負けるわけがない。

 

「一回死ね...ごふっ⁉︎」

 

フロートに切り掛かる直前、何かが横からぶつかってきて勢いよく突き飛ばされてしまう。今のフロートには魔法は使えないはず...それに、フロートが何かをしたようには思えなかった。他にも魔族がいるのか...?

 

なんとか着地して、僕を突き飛ばした犯人の方へと向く...と同時に、犯人は既に僕の目の前に来ていて、拳を突き上げていた。

 

「アクセル⁉︎」

 

すぐに避けられないことを悟って防御したけど、その圧倒的な身体能力に押されてしまいもう一度吹き飛ばされてしまう。

 

そして、着地するよりも前にもう一度攻撃を喰らい、今度は空中へと投げ出されてしまう。

 

アクセルの速度にとてもだがついていけない。聖剣解放と全力疾走、あと雷装を同時発動すればまだ対応できるものの、聖剣解放ができないからどう足掻いても無理だ。防御に徹することすら許してくれない。

 

けど、ここで逆転の発想。空ならば、アクセルの機動力は活かせない。空中でも一回ジャンプできる魔道具を持ってるらしいけど、一回軌道修正できたところであの速さを空中で制御し切るなんて無理なはず。僕のいるところに向かってピンポイントで跳んできて攻撃するのは無理だ。

 

そこで、さらにカウンターを用意する。聖剣を構えながら、周囲に自分の魔力を放出する。半径二メートル。この魔力の領域にアクセルが触れれば、瞬間的な超反応で斬撃を与えられる...かもしれない。可能性の域を出ないけど、これに賭けるしかない。

 

普通なら空を飛んでいたら、フロートに下から魔法で攻撃されただろうけど今はそれをされる心配はない。さっきの魔法拡散は、遠隔で発動させる座標設置型じゃなくて、直接魔法陣を刻む固定型だ。攻撃で近づいた時に、フロートの着ている服に魔法陣を刻んでおいた。これなら動かれても魔法拡散からは逃れられない。

 

「……!」

 

アクセルが跳んできたベストタイミングで聖剣を振る。空を飛んでいるため斬撃に体重が乗っていないが、アクセル自身がこちら側に来る勢いを利用して刃を深く差し込むことに成功する...が。

 

「う、うわわっ⁉︎」

 

身体に刺さった聖剣を支えとして僕に掴みかかったアクセルは、そのまま僕の上を陣取ってそのまま下に向かって蹴り飛ばしてきた。

 

地面に墜落する前になんとか立て直すけど...もう一度アクセルが乗ってきて、下に蹴り飛ばされる。もう一度立て直しても、同じことを繰り返すだけ。上手く横方向に移動しても、空中ジャンプ一回で追いつかれてしまう。カウンターじゃダメか...!

 

しかもまずい。もうそろそろフロートの服に刻んだ魔法陣から魔力が抜け切るころだ。ニアの魔法攻撃が飛んでくる...!

 

ドスッ...と地面に叩きつけられるけど、今はもうどうでもいい。なんとかして、この二体の魔族の攻撃を凌ぐ方法を考えなければ...

 

「……これなら...!」

 

あった。二体に対抗できるかもしれないただ一つの方法。それは、シレンの穴へと戻ること。あの中なら聖剣解放を使えるから僕の方が有利だ。もちろん魔素だけの空間だから魔族たちも強化されるけど、それよりも聖剣解放を使える方が何倍もメリットになる。

 

なんとか二体の攻撃を躱しつつ、シレンの穴に近づけられれば...!

 

「っ...⁉︎」

 

けれども、それを許してくれる魔族じゃない。アクセルに蹴られて、シレンの穴から遠ざかってしまう。

 

だがそのまま連続攻撃を許す僕でもない。未来跳躍で回避して、少しでもシレンの穴に近づいて...ぐっ!

 

また攻撃された!けど変だ。背後から蹴り飛ばされて、今度はシレンの穴の方へと近づけた。さっきのは偶然か...?

 

というか、どこかアクセルの様子が変だ。いつもの雰囲気と違うというか...カリヤがいないとこうなるのか?それとも、何か別の理由が...?

 

どっちにしても、話が通じるわけではない。こうなったらアクセルに蹴り飛ばしてもらってシレンの穴に近づけば...

 

「っ、転移か...!」

 

転移の魔族ではなく、フロートが発動したみたいだな。転移先の周囲には既に発射されている魔法が大量にあり、次の瞬間僕をめちゃくちゃにする用意ができているみたいだった。

 

その魔法のことごとくを魔法拡散で分解してことなきを得る。今の魔法拡散は僕の服に縫い込んである魔法陣の効果で、一日一回、一瞬だけ発動できて周囲の魔法を消しとばしてくれるのだ。一日一回だから、もう今日は使えない。これ無しでフロートの魔法を凌ぐ必要がある。

 

けれど...

 

「やっと来たね...!」

 

空に転移されたおかげで、シレンの穴を凄い勢いで駆け上るカリヤたちの姿が見えた。あと少し耐え忍べば終わりだ。頑張るぞ...!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクセルは俺がいく!みんなはフロートを!」

 

「私はライトを回復させるから三人で行きなさい!」

 

「りょーかい!」

 

俺はアクセルのいるところに、ニアは治療のためにライトの方に、残る三人はフロートに向かって走る。

 

9934、9935ページ 全力疾走

『雷装』

 

加速もバフも全開にして、一瞬でアクセルとの距離を詰める。そして、避けられることを考慮しながらダガーを勢いよく突き出す。

 

ザクッ...

 

「……は?」

 

刺さった?なぜ避けない?いや違う、避けきれなかったんだ。だから、最初に刺そうと思っていた腹から逸れて、脇腹に突き刺さっているんだ。

 

でもおかしい。アクセルの速度ならこれくらい避けられて当然だ。たしかに、聖素の比率が多い場所だからそれなりに弱体化していて本調子じゃないとはいえ、これくらいなら避けていたはず。避けられることを想定していただけに、当たったことに驚きが隠せない。

 

「お前...アクセルじゃない?」

 

アクセルが暴れ出したので、刺さっていたダガーを引き抜いて距離を取る。

 

「いやでもフロートはここにいるわけだし...っと危ない」

 

アクセル?が攻撃を仕掛けてきた。けれど、避けやすい。いつもアクセルがやるような、速度を活かした攻撃...所々でフェイントを混ぜたり、大ぶりの攻撃と隙を突くような攻撃を混ぜたりといった、ちゃんと考えて組み立てられた攻撃をしてこないからだ。

 

ただ速度に身を任せているだけで、そこには思考が混ざっていない。攻撃が単調で読みやすい。そして、隙が大きいからこっちの攻撃もよく当たってしまう。

 

「……そういや狂化を使えるんだったか...?」

 

ワンナがアクセルに略奪を使おうとした時に、アクセルは狂化を使えるということが判明している。この攻撃も、アクセルが狂化を使っているとすれば納得だ。

 

「でも、なんで使ってんだ?」

 

なぜアクセルが狂化を使っているのか。その理由が思いつかず、納得ができない。

 

……あれ?前にもこんな感じの奴と戦ったことがあるような...

 

「……お前!巣穴の時の魔族か!」

 

アクセルと同じような力、容姿を持っていたあの魔族。そいつと今戦っているこいつはよく似ている。

 

「やっぱりあの時のはフロートの仕業か...!」

 

フロートの持つ、模倣能力。それとは別に、物を複製する能力もある。俺の魔力銃も複製していたからな。複製能力があることは確実だ。

 

フロートの持つ能力は二つ。一つは触れた相手の姿形、記憶、魔力に魔法適性全てを模倣し、自らのストックとして溜め込む能力。もう一つは、触れた物や人を複製し、同じものを作り出す能力。おそらく根源的には同じで、一つの能力なんだろう。やっとフロートの固有能力のタネが全て割れたな。

 

「ってか魔族も複製できるとかどういうことだよ...!そんなんできたら最強じゃねぇか!」

 

そんなことができるんなら、さっさと魔族を量産して俺たちにけしかけているはずだ。そうしていないということは、何かしら理由があるはず...

 

考えられる理由その一。本物よりも弱体化する。こうやって俺が思考に耽っていながらも戦えていて、しかも押せていることからも、弱体化していることは確実だろう。弱体化で遅くなった速度を補うために狂化を使っているのだろうか。

 

理由その二。複製は一つのものにつき、一つしか同時に存在できない。二つ三つと複製を繰り返すことはできないのならば、今までやってこなかったことにも納得だ。

 

理由その三。複製をすると、複製元に何かしらの悪影響が出る。これはあり得そうだと思っていて、俺の魔力銃をフロートが複製してからしばらくの間、魔力弾の射出速度や威力が落ちていたことがあったから半ば確信している。

 

他にも、フロート本人への負担が大きい説だとか、滅多に使えない技説とかはあるけど、大体こんなところだろう。

 

何はともあれ、複製体だろうがなんだろうが関係なく殺すまでだ。もうそろそろ複製アクセルは処理できる。終わったらさっさと対フロートに加勢しよう。

 

「終わりだ」

 

何故か雷装を発動させていないアクセルに、ダガーを思い切り突き立てる。直前に大量の電流を浴びせて痺れさせていたので、当然避けられるわけもなく心臓を一突きで穿つ。

 

「弱すぎて話になんねぇ。こんなん作るくらいなら本人連れてこいよフロートよぉ」

 

一瞬でフロートに近づき、蹴り飛ばしながら呟く。

 

「ってか、ニアの身体使ってんだなお前。成長した本人がいる目の前でそれ使うとか舐めプか?」

 

「ハッ、こっちにも考えが「爆ぜろ」んなっ⁉︎」

 

突如としてフロートの脇腹辺りが弾け飛ぶ。

 

「いったい何が...!」

 

「お前がアクセルだったら説明してたんだけどなぁ...お前にはしねぇよ」

 

今やったのは、雷装とリンクさせた魔力を蹴りと同時にフロートの体内に流し込み、内側から爆ぜさせる新技だ。体内から雷撃剣が生成されるため、身体を突き破るような攻撃になる。フロートの身体から超極細の魔力の線を伸ばしていて、その線を引っ張ることで発動することができる。感覚としては、手榴弾のピンを抜いている感じだ。

 

「お待たせ」

 

「ほーら二人も戻ってきた。六対一だ。流石のお前でもこの人数差じゃ厳しいだろ」

 

フロートは手数があっても、所詮一人に過ぎない。六人がかりで何度も何度も殺せばいいだけだから、他の魔族と比べれば比較的倒しやすいと言えるだろう。

 

「たしかにキツイな...それに、もうこの体も使い物にならないしな」

 

何度も傷付いては治してを繰り返したのだろう。服はもうボロボロだし、痛々しい傷痕が至る所に残っていた。

 

「だったら増やせばいい」

 

グッと自分の胸を掴むような仕草をするフロート。それはまるで、身体の中から何かを引っ張り出すような動作で...

 

フロートの身体の中から六つの光の結晶が飛び出した。

 

「コイツらと遊んでな。俺は帰る」

 

ニアの姿から変わり、どこの誰ともしれない男の姿となったフロートが一瞬にして姿を消す。

 

そして残された六つの結晶。その形が変わっていき...

 

「ニアに...ニトラス⁉︎」

 

光の結晶はそれぞれニアとニトラスの姿を形作る。残る四つもそれぞれ、冒険者っぽい風貌の男女へと変わっていく。

 

まさか、直接本人に触れていなくても、既に模倣しているなら複製が使えるのか⁉︎...いや違う!模倣のストックを捨てて複製に回したんだ!

 

複製のデメリット!人物を複製するには一度模倣する必要があり、なおかつそのストックを捨てる必要がある!今まで複製をあまり使ってこなかったのは、このデメリットがあったから!今のフロートには、アクセルもニアもニトラスもストックに無いわけだ!

 

「面白いしいい収穫だ!情報をほとんど与えずに情報を得れた!すんごいアドバンテージだヨシッ!」

 

思わずガッツポーズしてしまう。

 

「何やってるのよさっさと倒すわよ!」

 

「そんなもん魔法拡散で魔法を封じれば終わりだ。ニア、やってやれ」

 

「そうは言っても、あの四人はどうすんのよ!魔法拡散が効くかはわからないのよ!」

 

「んなもん関係ねぇ。もう殺せる」

 

「え?」

 

ザンッ!と複製冒険者四人が縦に真っ二つに切断される。

 

「なんかテンションハイになってんなぁ...雷装の調子が良い!」

 

四人を殺したのは雷撃剣の応用だ。地面に雷装をリンクさせた魔力を流し込み、相手の足元に蓄積させてから雷撃剣を生成して切断したのだ。普通なら地面に雷装を流そうとしても抵抗のせいで無理だが、魔力は地中にも流せるのでその中を通せば雷装を送り込むことができるのだ。

 

「……もうそのまま二人もそれで倒しなさいよ」

 

「えっやだ。知り合い手にかけるとか無理」

 

「さんざん闘技場で殺し合ったくせに今更何言ってるのよ」

 

「まぁそれもそうなんだけど...やってみるか」

 

ニアはここにいる。つまり、ニトラスの隣にいるあいつは複製体で本物のニアじゃない。さっき殺したあいつらみたいに、殺せば光になって消えるだけ。本当に死ぬわけじゃなく、本来なら存在しないものが消えるだけ。

 

だから殺してもいい。殺しても...いい。殺しても...

 

スパンッ、と二人の首が飛ぶ。

 

「ら、ライト...?」

 

「カリヤ、手が震えてる」

 

「っ...やっぱ、ダメか」

 

多分、ニトラスの方は普通に殺せる気がする。前に、ワンナの姿になっていたフロートに殺すつもりで戦えたから、普通の知り合い程度なら、余裕ってわけでもないだろうけど殺せはするはずだ。

 

けれども、仲間は無理だ。守るべき相手という認識が強すぎて、殺そうとしても動きが鈍って、やがて止まってしまう。

 

フロートが俺たちの姿を模倣して使ってくるなんてことが、この先何度も起こるだろう。だから、慣れないといけないのに...

 

「カリヤ...少し休みましょ。次同じようなことが起きた時は、私たちでなんとかするから。それでいいわよね?」

 

「ああ...その時は頼む」

 

……なんか、凄い眠気が...

 

「悪い。テンション乱高下しすぎて疲れた...ちょっと寝る...」

 

雷装のスタミナ減少のせいでもあるのだろう。疲れによる異常な眠気に耐えきれず、俺はフラッと倒れるように眠りについた。

 

誰かはわからないけど、頭を打たないようにしっかり支えてくれた誰かには感謝だ。




カリヤは仲間の姿をしたものを殺せない。
これってウィークポイントになってるんですかね...というか、ぶっちゃけどうやって乗り越えるか考えてないから死に設定になりかねないんですよね。
どうにかしないと...
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