前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
前回後書きで言った通り、魔族視点の回です。
これは、ある日の魔族の日常を切り取った物語...
『でさーカリヤがさー』
『……前から気になっていたのですが、神の使いに心を許しすぎではないですか?いつの間に名前呼びに...』
『そう?そんなつもりはないけど...』
言葉の端々から漏れてるんですよね...このままだといつポロっとこちらの情報を漏らすかわかりませんね。姉さんには注意してもらわないと。
『改めて言いますが、ある程度親密になることは重要です。姉さんは魔族ではないというお墨付きを町レベルの調査でもらっているのですから、親密になれば情報を得れるチャンスは大いにありますので。ですが、度をすぎて親密になり、こちらの情報をポロッと口にしてしまうようではダメですからね?』
『……』
『今、また説教が始まったか...とか思いましたか?』
『……』
『今絶対心の中でギクッ、となりましたよね?姉さん私は本当に心配なんですよ姉さんがちゃんとしていればそれだけ私たちの...』
『あ、ごめんキネット今ちょっと立て込んじゃってるからまた後でね!』
『姉さん⁉︎そんなのやりながらでも念話はでき...』
切りやがりましたよバカ姉さんはまったく...今度会った時、もう少し厳しく叱ってやる必要がありますね。
まったく、どうして姉さんは姉さんなんでしょう。もう少し頭の出来が良ければ...アクセルの方が何倍も頭の出来はいいですし、もう少しどうにかならなかったんですかね。まぁアクセルはアクセルで、融通の効かない部分がありますし、言ったことにはちゃんと従ってくれるからそこだけ見れば姉さんも良いところあるんですけどね。
固有能力も、単体性能で見たらフロートに次いでいろんなことができる汎用性があるというのに、それをセンスでしか使えていないのがどうにも...はぁ、もう少し頭が良ければ...
「次の方どうぞ」
そもそも、何が立て込んでいるというのですか。私もこの長蛇の列を一つずつ誰よりも早く捌いているのですよ?見習ってほしいですし、それを言い訳に使わないようにしてほしいですね。腹が立ちます。
それにしても、どうして今日はこんなに人が多いのでしょうか。何か特別な依頼が出たわけではないはずですし...情報収集のために、今相手をしてる人に聞いてみましょうか。
「あの、なぜ今日はこんなにも多くの人が集まってるのでしょうか」
「おん?ギルドの受付で特別依頼の受注をしてるってんで来たんだが...ないのか?」
「そんな事実はないですね。上からはそのような話は聞いておりません」
「なんだ、ガセネタかぁ?チッ...せっかく早く並んで待ってたのに意味ねぇじゃねぇか」
「せっかく並んだのであれば、ちょうど欠員が出ている依頼があるのですが...ある程度報酬も弾むそうなんで、どうでしょうか」
「……たしかに内容のわりに報酬高えな。いいやつあんじゃねぇか。いいねそれ受けよう」
「ありがとうございます。でしたらここに名前を...」
ふむ、特別依頼があるというガセ情報が出回っているようですね。それでこんなにも人が集まってるというわけですか...いったいだれがそんな情報を流したのでしょう。
まぁでもそれなら、今の人から真実が知れ渡り時期に人も捌けるでしょう。それまでの辛抱ですね。
「次の方どうぞ」
「なぁ、特別依頼があると聞いたんだが...」
「すみません。そのようなものはただ今受け付けおらず...」
パッと顔を見て気づく。
『こんなところで何をしているのフロート』
こいつはフロートね。念話のパスも繋がってるから間違いじゃないですね。
『もしかして、その変な情報を流したのも貴方ですか?」
『ああ』
口では普通の会話をしておき、念話でフロートと会話をする。これなら周りの人に重要な会話を聞かれることなく、自然に話をする時間を稼げる。
『どうしてそのようなことを?まさか、私を困らせたいがためにやってるわけじゃないてすよね?』
『いーや違うさ。高難易度の特別依頼があるとなれば、それなりに実力のある奴らがギルドに集まるだろ?そいつらを俺の能力で模倣してやれば手数になるってわけだ』
……フロートって、普通に賢いんですよね。その頭の回転を普段は外道なことにしか使わないせいで、その印象は全くないですけど。
『それなら先に私に伝えておいてください。さっき、そんな依頼はないと伝えてしまいました。先に教えられていれば、うまく引き留めて模倣の時間を稼げたでしょうに、これだとすぐに帰ってしまいますよ?』
『そいつは問題ねぇ。既に全員模倣済みだ』
『……流石に早すぎないですか?貴方、模倣には十秒触れ続ける必要があったはずでしょう?』
人が集まりだしてから、まだそこまで経っていないはず。一人十秒だとして、それをこの人数分やるには時間が足りなすぎる。
『……まさか、お前も眠ってたのか?』
『眠る?何の話ですか?』
『このギルド全体に、睡眠だとか気絶だとか、色々魔法使って立ったまま意識を無くしてやる魔法をかけていたんだ。その様子だと、完璧に機能したみたいだな。誰一人違和感を抱いてねぇ』
『……サラッと神業みたいなことしないでほしいですね...どこの誰を模倣して得た魔法ですかそれは』
『色々混ぜた結果だ。屋内でしか使えないし、味方を巻き込むから戦闘では使え無さそうだが、面白い力だろう?』
『ええ、貴方にはピッタリの力ですこと。それよりも、不審がられたりはしないでしょうね?体感時間よりも時間が経ってるはずでしょう?』
『そんなもん、冒険者相手なら心配いらねぇよ。長い列を並んでいる奴らが時間気にするわけないだろ?』
『それはそうですが、ギルド職員は別ですよ。いかに定時で帰れるかを目標にして働いている人もいるのです。そうした人たちが、この体感時間と現実時間のズレに気づかないはずないですよ』
『それはお前がなんとかすればいい。じゃあ俺は目標達成したんでこれで』
『ちょっ、待ちなさい!』
……行ってしまった。なんてことをしでかしてくれてるんですかね...まぁ、最悪私がここに潜入されていることさえバレなければ問題ないですし、いざとなったらフロートがやったことにして乗り切ることにしましょうか。事実ですし。
「ほんと、迷惑な奴」
正直に言って、私はフロートが嫌いだ。あんな奴がどうして魔王様に忠誠を誓っているのか不思議に思うくらい。能力が能力だから、あの性格で従っていることが疑問だ。叛逆したりしないでしょうね...
何をしでかすかわかったもんじゃないし、これからはフロートにも警戒しておこうと思いながら、仕事をこなしていくのだった。
「お、カリヤ久しぶりー」
受付の仕事をテキトーにこなしていたら、神の使いがやってきた。シレンの穴の攻略を連日していて、最近はギルドに来てなかったからやけに久しぶりに感じる。
「……お前、いつの間に俺のこと名前呼びするようになったんだ?前はあんたって呼んでただろ」
「そうだっけ?気分で変えてるからわかんね」
「気分で呼び方変わるのわかるわ...」
「んで、久しぶりに来てくれたわけだけどどうしたの?今日は攻略お休み?」
久しぶりに来てくれたわけだし、情報収集しないとね。
「ちょっと色々あってな。数日間休みなんだ」
「何かあった?」
「……話が広がって心配されるとアレだから、ここだけの秘密にして欲しいんだけど...」
お、これはなにか聞けそうな予感...!
「ちょーっと一人負傷しちゃって、ただいま寝たきり状態なんですよね...」
「エ゛ッ゛、それ大丈夫なの...?」
「まぁうちの魔法使いは優秀だからさ。回復は完璧だし、時期に起きると思うんだけどな。ただ、いつ起きるのかはわからないからこうやって時間潰しのために依頼を受けようと思ってきたわけだ」
「そっかぁ...心配だなぁ」
「そんな心配してくれなくても大丈夫さ。お前にそんな顔されたらこっちが困るってかそんなに心配なのか?」
どうよ私の心配してる演技は!人間アピール完璧私すごい!
「逆にそっちがあんまり気にしてない方がおかしいと思うけど。普通そういうの気にしない?依頼受けてる場合じゃないと思うんだけど」
「絶対戻ってくるって信じてるからさ。隣にずっといてやるのも良し、心配しながらも自分のことをやるのも良し、信じるにも色々あるってだけだ」
「そういうもんかねぇ...」
「そういうもんだ。あっ、これ今回受ける依頼だから受付お願い」
「はいはーい」
これはかなりいい情報を得れたんじゃないかなと思いながら、依頼書を受け取る。仲間の一人が負傷してる、ねぇ...誰のことを言ってるんだろう。そこを改めて聞くのは流石に怪しまれるから...考えてみようか。
まず、カイスの英雄ニアではない。魔法使いが治したって言ってたしね。勇者が寝たきりになるというのはあまり考えにくいからこれも除外。カリスの英雄ステラだったら、もう少し取り乱してそうだからこれもないかな。
ということは、残るはガルムの英雄レスト、ガネルの英雄クミリア...流石に盾使いが寝たきりになる程の負傷を受けるとも思えないし、クミリアの方かな。あとでキネットちゃんに報告だね。
「そういやこの前さ、魔族にまた襲われたんだよね」
「へ、へー...そうなんだ」
これ、私とフロートのことだ多分。
「二人が来て、前にも何回か戦ってる姉妹のバカの姉の方と、もう一人だったんだけど」
ば、バカって言われた...目の前にいるのがその魔族ですよーバカとか言うもんじゃないですよー。ムカつくしあの計画が無ければ今すぐにでも殺してやりたい...
「最初は普通に妹の方だと思ってたんだよ。転移とか使ってたからさ。そうそう、なんか俺だけ長距離転移されてみんなから引き剥がされたんだった」
そんなことしたなぁ...フロート発案だったけど。
「それでバカの方を上手くあしらいながら元の場所まで戻ってきて、そのままもう一人の方に近づいたら、実はそいつがフロートでさ。どうも味方すら騙してたっぽいんだよね」
はい私、騙された方です。
「まぁ見た目も魔力も、固有能力も模倣できてるから見分けつかないのは仕方ないと思うんだけどさ、実の姉ならそこは見抜こうぜって思わない?」
「そ、そうだね...」
……これ、私が魔族だってバレてて、この話をして反応を見ようとしてるなんてことはないよね?怖い...
「い、いくつか気になったことがあるんだけど、聞いてみてもいい?」
ここはちょっと話を逸らすためにも質問を...
「さっきから魔族のことを一人二人って呼んでるけど、どうして?普通は一体二体って呼ばない?魔物側なわけだし」
これ、普通にちょっと気になってたんだよね。なんでなんだろ?
「あー、それ前にもみんなに聞かれたことあるわ...なんとなくそう呼んじゃうんだよな。人型だから自然と呼んじゃうのかもな」
「えーでも魔族だよ?」
「あともう一つ理由があるんだが...これは俺が神様から聞いた話だから、信じられないならそれでいいんだけど、どうやら魔族って人間の魂を使って生み出されてるらしいのね?だから根源的なところから考えると、魔族も人の一種だって考えることができて、それを知ってるからこういう呼び方になってるのかもしれない」
「魔族が人の魂から...?」
なにそれ知らないんだけど。私の魂が、元々人間のもの...?なにそれどういうこと?
「信じられないって顔してるけど、さっきも言った通り別に信じなくてもいいからな?与太話だと思ってくれていい」
これは...報告するべきなのかな。よくわからない。
「じ、じゃあもう一個質問するね?近づいたらフロートだってわかったって言ってたけど、わかるの?」
「うん。なんか何度か戦っているうちに、どんな人に模倣していたとしても変わらない部分があるってことに気づいて、速度探知で捉えられるようになったんだよね」
「へー。参考までに聞くんだけど、それってどこ?他の人でも見ればわかるところ?」
「いや、体内だから俺以外には無理かな。ってか体内でもないんだよね...」
「どういうこと?」
「違う部分はね、魂なんだよ」
「魂?」
「どれだけ姿形を似せたって、魔力を似せたって、固有能力を有してる己の魂だけは変えられない。特に、他の魔族の能力を模倣してる時は、魂が二個あるような状態になってて不自然さ天元突破してるんだよな。だからわかりやすい」
「魂を認識してるの...?」
「略奪で何回か魂を引っ張られてるから、それで自分の魂を認識できるようになったんだよな。そのおかげで他人のもの見れるようになったけど、一度略奪を使って引っ張った魂じゃないとわからないから実質魔族のしか見れなくて、今んところフロートとアクセルのしかわからないね」
「魂を引っ張られるってどういうことよ...」
「おー一度喰らってみるか?」
「エ゛ッ゛」
「冗談だ。魔族にしか魂を引っ張るなんてことできないしな」
あ、焦ったぁ...!でも、私が魔族だってことがバレていないと確定したから、そこだけちょっと安心...
「ってなわけで...いつまでそうしてるつもりだフロート!」
そう言いながら、神の使いは回し蹴りを放って後ろに並んでいた冒険者に襲いかかった。な、何事⁉︎
「そうやって見分けてたわけか...なるほどな」
何事かと周りにいた人たちがどよめき出すが、神の使いの発したフロートという名前と、それを否定しないその男の言動で状況を理解したようで、逃げる者は逃げ、立ち向かう者は武器を構えた。対応早いなーって思ってる場合じゃないけど、加勢もできないしなぁ...どうするつもりなんだろフロートは。
「流石に魂を塗りつぶすことは俺にもできねぇなぁ...本当に、もうお前には通用しないってわけか」
「そういうこった。で?こんな人数に囲まれて、これからお前はどうなるんだろうなぁ?」
「さぁな。一つ言いたいことがあるとすれば...」
「なんだ?遺言か?」
「あんなに近くにいて俺にしか気づけないのは変な話だよなぁ?」
「……なんのことだ?」
ちょっ、フロート何言っちゃってんの⁉︎今のそれ、すぐ近くに魔族いるのにどうして気づかねぇのって意味だよねぇ!本当に何言っちゃってんの⁉︎
「まぁいい。もう用は済んだからな。退散させてもらおう」
「させると思っ...チッ、聖域の中からも転移自体はできるんだったか」
あっ、普通に逃げるのね...よかった、キネットちゃんの力を模倣してたんだね。
「逃して残念?」
「まぁな。もう用は済んだってのが気がかりだが...俺は触れられてねぇし、放置して問題ないだろ」
神の使いに触れてないとなると、それ以外のこの場にいる冒険者全員を模倣して回ってたのかな?そんな時間あったとは思えないけど...まぁどうにかしたんだろうね。
そう、そこはどうでもいいんだ。どうやって模倣する時間を稼いだかなんて関係ない。今重要なのは、みんなを模倣したというのに放置していいと神の使いが言ったことだ。
模倣のストックが命の数に直結していることをこいつが知らないわけない。つまり、ストックが増えても問題ないと言ってるようなものなわけで、フロートを殺す算段がついていると考えられる...はず。
「……ところで、受付は終わったか?」
「えっ、あ、うん。はいこれ」
「サンキュ、じゃあ、行ってくる」
「気をつけてねー」
……今日はキネットちゃんに報告することが山積みだね。久しぶりに褒められそうな気がする...!
「……流石に毎日野宿は辛いな」
アクセルの名前と姿が世間に広まってしまっているせいで、どの町にも入れなくなって早三ヶ月ちょい。毎日森の中で野宿して生活しているわけだが、前みたく美味しいものは食べられないし、湖の冷たい水でしか体も拭けないしで、少し辛くなってきた。
「魔族としてはこれが正しいんだろうが...サーマルたちが羨ましくなるな」
前にあった時、いかに美味しいものを食べているのかを力説されたことがある。冒険者として人に紛れていた時は、紛れるために相応のものしか食べてこなかったからな...食べておけばよかった。少し羨ましい。
「変身魔法...キネットに頼めばいけるだろうか」
私は魔法がほとんど使えないから、魔族としての人間体でしか人に紛れることができない。けれど、キネットなら魔法を使ってなんとかしてくれるかもしれない。別の姿に変えてもらえば町の中でも普通に活動できるはずだ。
「問題は、その連絡をする手段がないことなんだが...」
一応私たちは念話の回線で繋がっているけれど、魔法を使えない私から発信することはできない。たまに私にも送られてくる連絡の時に頼んでみよう。
「……カリヤに頼むのもあり...なのか?」
あらかじめ戦わないと伝えておけば、もしかしたら町の中に入れてもらえるかも...?変身魔法も使えるだろうし、案外いけるかもしれない。
「この時間なら、カイスの入り口で待っていれば会えるだろうか...よし、行ってみよう」
「それは困るな」
いざ走り出そうとしたら、知らない声が後ろから聞こえてきた。けど、この気配は...
「……よくここにいるとわかったな、フロート」
「魔力探知を使ったからな」
「それで、何が困るんだい?」
「今から神の使いに会いにいくのはよしてくれ。今日はサーマルと共に襲撃を仕掛けようと思っているんだ」
「なるほど...了解した。けど、よくサーマルが協力に応じたな。あまりお前のことをよく思ってなかったはずだが」
「キネットの姿を使ったからな。襲撃も、その姿でいこうと思っている」
「はは...そんなことを続けていると嫌われるぞ?」
「大丈夫だ。どうせもう嫌われている」
「そんなことを言うもんじゃない。私たちは仲間なのだから」
「仲間ねぇ...そうは言うけど、お前だってあいつらの命令を無視したりするだろう?」
「そりゃ仲間だからといって、言うこと全てに従う必要はないさ」
「言うこと二転三転しているが...それもそうなんだよな。というか、キネットは俺たちに指示を出しすぎなんだよ。こっちだって考えてるってのに。そしてキネットの言うことに従い続けているサーマルも気にくわねぇ。あいつは自主性ってものがねぇのか?」
「サーマルは結構自由にやってる方だが...なるほど、その意趣返しも込めた襲撃ってわけか」
キネットの指示外の襲撃をし、サーマルにキネットを信じすぎだと諌める...これで二人に嫌がらせをしようというわけだ。
「また嫌われるぞ?」
「会話がループしてるぞ...嫌われてもいいだろ。どうせ俺たちは最後には死ぬんだ」
「それはそうだが...まぁいい、これ以上言っても無駄か」
「それに、お前は俺を嫌わない」
「ああ、頼まれればいつでも協力してやるさ。お前は危なっかしいからな...」
「そんなに危なっかしいか?」
「多分、私たちの中で最初に死ぬのはお前だぞ」
「……俺の能力を忘れたか?」
「それでもだ。お前がやろうとしていることを考えればな」
「たしかに、最初に衝突する予定だが...その時に死ぬつもりはないさ。せめて赤髪姉妹よりも後に死んでやる」
「はは...なんで敵視するかなぁ」
もう少し協力してもらいたいものなんだが...いや、ガチでこの話を続けていたら、カリヤを殺さないと我が儘を言い出した私に飛び火するな。やめておこう。
「……それはそうと、襲撃するんじゃなかったのか?」
「おっとそうだった。サーマルを回収してこなければ...じゃあなアクセル。あいつらが帰る時に絡みにいくのならいいから、俺らの襲撃が終わった後に出待ちでもしたらどうだ?」
「そうすることにしよう。勇者らの情報収集は頼むぞ」
「ああ。そっちは神の使いを頼むぞ」
フロートがキネットの姿へと変わり、転移していく。
「……暇な時間ができてしまった...」
カリヤたちがどれくらいで攻略を終わらせるかが毎回変わるせいで、狙って待ち伏せることはできない。フロートが言うように、最初から出待ちするしかない。何時間待てばいいのやら...
「待つしかない...か。暇を潰すのには慣れているしな」
私は頃合いを見てから、シレンの穴へと向かった。
こうやってアクセルはあの日出待ちをしていたけど、状況が状況でご飯を食べるために町に入れてくれなんて言うことができず、カリヤの勘違いで戦うことになったんですね。
カリヤを一旦引き止めるために一度攻撃はしたけれど、アクセルは戦いに来たとは一言も言ってなかったんですよね...仕方ないとはいえ、カリヤくんピリピリしすぎじゃない?
あと、フロート色々しすぎ問題。
そりゃ味方にも嫌われますわ...