前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8299字。

前回に引き続き説明パート。
そして全編通して会話パートです。


勇者の力、完全解放

「よし、再開すんぞ」

 

小休憩を終えた俺たち。こっから後半戦だ。

 

「えーっと、魂初期化事件に関わった人たちが全員次の世界に行った後の話だな。他の人たちがどんな人生を送っているのかまでは知らんが...そのうちの一人、戸崎和人は仮谷幸希へと生まれ変わっていた」

 

「やっとカリヤが出てきたね」

 

「そんな俺は17歳の時に、不幸な事故で亡くなってしまったんだが...それによって、神様と再会した。まぁ、俺は事件のことは一切覚えてなかったんだけどな。あの時の約束を果たそうという流れになった」

 

「別のせかいに行きたいってやつね」

 

「あらかじめ決められていたのは二つ。俺が今持っている、速度操作の能力を手に入れること。そして、魔法が存在する世界に行くことの二つだけだ。だから、この世界に来たのは神様がここを選んだからだな」

 

「ってことは、もしかしたらカリヤはここに来なかったかもしれないってこと?」

 

「そっか、その神様が別のせかいを選んでたらここにはいないんだ」

 

「いや、神様は必ずここを選んだはずだ。頼み事をしてきたくらいだしな」

 

「頼み事?」

 

「この世界を救うことだ」

 

「せかいを...救う?」

 

「詳しく説明しようか。神がやった世界のシステム破壊、これは半分成功していたんだ。魂の初期化によって多くの人が本来生まれる人から変わってしまい、進むはずだった未来が大きく変わった。決められていた世界が変わった。けれど、ある程度先の未来を予知することはできた。これが半分失敗の部分」

 

未来を予知できるから完全に破壊に成功したわけではない。もし成功していたならば、一秒先を予見することすら神たちはできなくなっていただろう。

 

「そして、当然この世界もその影響を受けた。他の世界と比べると、あまり大きく変化したわけではないらしいが...その小さな変化が、致命傷になった。影響を受けたことで変わった未来。予測できた未来はこうだ」

 

一呼吸置いてから、俺は口にする。

 

「勇者敗北シナリオ。魔王に勇者パーティーが敗れ、世界を征服してしまう未来。これを変え、本来辿るべき歴史に戻すことが、神様の頼み事だ」

 

「勇者敗北...⁉︎」

 

もしかしたらなっていたかもしれない未来に、みんな言葉を失ってしまう。

 

「本来なら、勇者が負けることはなかった。そのはずなのに、魂の初期化がクリティカルに重要なところで起こってしまったんだよな。影響を受けたのは二つだ」

 

相槌することすらできなくなっているみんなだが、気にせずに続ける。

 

「一つ目は、本物の神の使いが生まれなくなったこと。みんな、俺が本当の神の使いじゃない話を聞いて、疑問に思わなかったか?どうしてそんな嘘が通用したのかってな。本物が出てきたら一発でバレる嘘。本物が出てこないのがわかってたからできたんだよ」

 

まぁ、神の使い云々は神様がいつのまにか紋章をつけて、名乗らされてたとも言えるけどな。

 

「二つ目は、魔族が変わったこと。実は魔族は人間の魂から生まれていてな。無作為に選ばれた魂に固有能力が刻まれて生まれるんだが、本来選ばれるはずだった魂が初期化されたせいで、別人になった。だから、本来ならアクセルとかフロートとか、残る二人も生まれてなかったんだよな。固有能力も、あいつらとは別物だったはずだ」

 

そう考えると、厄介な能力ばっかりになったのは逆に奇跡なんじゃないかと思えてくる。転移に模倣に超身体能力...本来はどんな能力になるはずだったのかが気になるところだ。

 

「神の使いがいないことで勇者側の戦力の低下。魔族が変わったことで魔王側の戦力増加。これらが合わさったことで、勇者敗北シナリオになってしまったのだろう」

 

「……で、でも、カリヤがそれを変えにきたんだよね?」

 

「ああ。こっからは、俺がこの世界に来てから何をしてきたかを語ろうかな。まず初日。初っ端神様の転送ミスで森に落下。魔物に追われていたところに...ステラ、君に助けられた」

 

「……えっ⁉︎カリヤが来たのってあの時だったの⁉︎」

 

「ああ。速度操作が使い続けると進化していく仕組みになっていたのと、俺の世界が魔物とかがいない平和な世界だったせいで戦いに慣れてなかったから、この世界に来てすぐだったけどマジでピンチだったんだよな...あの時助けてくれてなければ普通に死んでいた。本当に感謝してもしきれない」

 

「そうだったんだ...もしかして私、救世主だったりする?」

 

「かもな。もしあそこで死んでたら、一切世界を変えられなかったわけだし。あ、そうそう。ついでに今言うんだけど、あの時はまだこの紋章なかったの覚えてる?」

 

「え?...言われてみればそうだったかも...?」

 

「この世界に来てからしばらく経った後に神様がつけてくれたものだから、実はステラには俺が本当と神の使いじゃないってバレる可能性あったんだよな。気づいてなかったみたいだけど...っと、話が逸れたな。ちょっと巻きで行くぞ。具体的に、俺が何に干渉したのかだけ言うわ」

 

一から全て説明するとまた小休憩を挟むことになりそうだから、パッパと先に進めないとな。

 

「まずはステラだな」

 

「私?」

 

「俺がステラと会っていなければ、ステラはカリスの英雄に選ばれていなかったはずだ。トルクに追い越されて、少し自信を失っていて諦めていたからな。雷装・矢の会得と、爆発がなければ英雄に選ばれていなかったはずだ」

 

「たしかに...そもそもトレントと戦ってる時にカリヤが助けに入ってくれたから今生きてるわけだし、カリヤがいなかったらと思うと...ゾッとするね」

 

「次はニア。ニアは俺がいなくても英雄に選ばれていたが、それでも俺がいたことで変化したところは大いにある。蘇生魔法を使う機会がなくなるし、雷雲魔法を覚えることもない。魔力体も俺と張り合ってなければ発想すらなかっただろ?会って一ヶ月とはいえ、だいぶ影響を受けたはずだ」

 

「そうね。カリヤがいたから成長できた部分はたしかにあるわ。まぁ、いなくても別の成長をしてたでしょうけど」

 

「次はレスト。一番影響が直接現れてるな。俺が試験を担当したわけだし。フロートの干渉もあったから、俺がいなければ確実にルードが選ばれていただろう。フロートがわざわざそんなことをしたってことは、実力はレストの方が上だって言ってるようなもんだし、これは確実に変えてよかった事象だと俺は思う」

 

「もし普通に試験で僕が勝ったとしても、盗まれた盾を取り戻すのはカリヤがいないと無理だったし、ルードが選ばれてた可能性は高いね。もしかしたら、フロートがルードになりきる可能性まである」

 

「だな。んでクミリアは、英雄に選ばれるのには干渉してないが...俺がいなかったら、もしかしたらアクセルが選ばれたかもしれないな」

 

「どうしてカリヤがいないとクミさんが負けるわけ?」

 

「大会の半年前に、俺とアクセルが一度接触しているからな。唯一速度で張り合えるかもしれない相手がいたら、どうしたって意識せざるを得ない。もし俺と会っていなかったら、英雄最有力候補のクミリアの対策を万全にして挑んでいたかもしれないだろ?アクセルは俺に執着していた。それが無ければ、クミリアに勝っていた可能性はなくはない」

 

「それでも勝ってたと思うけどなぁ...」

 

「それに俺がいなかったら、アクセルは単独で魔族を倒したという功績を得ることになる。もしそうなれば、実力主義のガネルは大会の結果を無視してアクセルを選んでいた可能性がある」

 

「あー...ありえるかも」

 

「だろ?フロートにアクセル、あくまで可能性でしかないけど、これで魔族二人が勇者パーティーに入るのを防げたわけだ。それで最後にライト。直接会うのは選定の日ギリギリ前だったからあまり干渉できなかったが...」

 

「雷装か」

 

「そうだ。俺が雷装を手に入れてそれが噂になっていなければ、そもそも存在自体知ることはなかった。雷装を得ていなければ、別の人が選ばれた可能性が高い」

 

「そうだね...雷装がなければ僕以外が選ばれる方が自然だと思う」

 

「とまぁこんな感じで、俺は英雄や勇者の人選と成長に大きく関わった。全ては、魔王を倒すための最高戦力を整えるため。俺自身も旅をして、速度操作を成長させながら力をつけてきた。そうして今に至る...というわけだ。とりあえず思いつく限りのことは話したつもりだが...もしかしたらまだ言ってないことがあるかもしれん。何か質問があったらなんでも聞いてくれ」

 

少しの間、みんな考えたのち各々質問をし出した。順番に答えていく。

 

Q.じゃあ前にカリヤが山奥に住んでたって言ってたのも嘘だったの?

 

A.ああそうだな。本当はバリバリの都会育ち...都会つってもわからないか。まぁ異世界から来たって言うわけにもいかないし、山奥から来たって言っておけばボロが出ることも少ない。無難な答えだったろ?

 

Q.カリヤが略奪を普通に使えてたのも、もしかして別のせかいから来たのに関係ある?

 

A.関係大有りだな。俺がこの世界に来る時、神様はゼロから新しく身体を創り出した。魔法の適性って遺伝するごとに変わっていくだろ?その遺伝がゼロの状態だから、全ての魔法の適性が可も不可もない50になっていたんだ。だから略奪も人よりは使えた。多分、失われた古代の魔法にも適性があるだろうな。

 

Q.もしかして前に見せてもらった暗号、あれカリヤのせかいの言語だったりするのかしら?

 

A.そのとおりだ。まぁ俺の世界には無数の言語があるんだが...俺の住む地域で使われていた言葉だな。

 

Q.じゃあどうして普通に話せてるの?最初に会った日から普通に話せてたよね?

 

A.みんなも前に見たことがある、この石のおかげだ。こいつは翻訳能力を持っていてな。俺が自分の言語で話していても、相手の耳にはその人の母国語で聞こえるようになっている。たまに、俺の口の動きと聞こえる声がズレてるように感じることなかったか?このせいだ。

 

Q.文字はどうなの?

 

A.読む時は、頭の中で勝手に自分の言葉に置き換わるっていうか、スッと頭の中に意味が流れてきて理解できる...って感じかな。ただ書くのは自力だ。覚えるしかないからこれだけは頑張って覚えたよ。

 

Q.異様に魔力操作が上手いのはどうして?

 

A.俺の推測でしかないが、俺の世界には魔力がなかったからかな。17年間魔力が無いまま生きてきて、急に魔力という力を得たとする。どうなると思う?違和感が凄いんだよ。生まれた時から魔力を持ってるみんなとは違って、違和感のおかげで俺は強く魔力を意識できる。それが魔力操作の技術に関わってるんだと思う。まぁ単純に速度探知があるからってのもあるけど。

 

Q.……もう特に質問がなさそうだから最後に一つ。どうして今まで隠していたのかしら。

 

……ついに来たか、この質問が。

 

「……一つは、そもそも言うタイミングが難しかったから。まず明かすなら、勇者パーティーのメンバーが完全に決まってから。多くの人に明かすつもりはないから、この五人だけに話したかった。それに、どうしても動揺させてしまう内容だから、ある程度信頼が深まってからでないといけないと思っていた。それらをいろいろ加味して、一番話すに値する時がいつなのか考えたら、シレンの穴の完全攻略時だったわけだ。まぁ、イレギュラーはあったけどな」

 

「まぁ、たしかに初対面の段階でそんなことを言われても、信じれるわけないわよねぇ...カリヤならあり得ると思えるだけの前例がない時に言われてたら無理だったわ」

 

「……というのは、あくまで建前なんだろうな...」

 

「えっ...?」

 

「だって別に、今じゃなくてもよかっただろ?言おうとすればいくらでもタイミングはあった。踏ん切りがついてなかっただけなんだよ。気づかないうちに、心のどこかにみんなに隠し事をしているという負い目が生まれていて、信じてもらえなかったら、なんて悪い想像もあって、怯えてたんだと思う。今まで言わなかった理由は、多分それだ」

 

多分みんなは、さっき言った通り、今より前に言われてたら信じれなかったから、今言うので正解だったよと優しく言ってくれるだろう。けど、それだと俺は俺を許せない。

 

「だから謝りたい。今までずっと隠し事をしていたことと、みんなを信じきれていなかったことを。本当に、ごめんなさい」

 

みんな、黙り込む。何も言わない。俺が求めているものがなんなのか、みんなにはわかっているのかもしれない。

 

「……じゃあこれで全部チャラってことで!」

 

ステラの元気な声が響いた。雰囲気をいつも変えてくれるのはステラだった。

 

「さっさと聖剣を刺して、みんなでかーえろ!」

 

「そういえば聖剣刺してなかったわね...まったく、カリヤの話が長いから」

 

「俺も忘れてたわ...小休憩入れたあたりで完全に頭から抜けたな。んじゃライト、頼んだぜ」

 

「この流れでやるのなんか嫌だな...」

 

そう言いながら、ライトは中央にある刺し口に聖剣を突き刺す。

 

その直後、床全体に魔法陣が描き出された。

 

ハッキリ言って、何が起こっているのかはまるでわからない。それは多分、この場にいるライト以外の全ての者が思ったことだろう。

 

聖剣に掛けられた制限の完全解放。それが行われているのだろうが、傍目から見ても理解はできない。ただ、その神々しさ、神秘的な光景の前に、言葉を失うだけだった。

 

女神の声が聞こえるライトには、何かが聞こえていたのかもしれない。小声で何かを呟いているようだ。その声が俺たちに届くことはなく...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば、魔法陣は既に消えていて、ライトは聖剣を引き抜いていた。

 

「お...終わったのか...?」

 

「うん。これでシレンの穴の外でも聖剣の力を使えるようになった。フロート瞬殺作戦もできるようになったね」

 

ようやく完全な勇者の力を外でも使えるようになった。シレンの穴の中でできていたことが外でできないことで困ったことがそれなりにあったから、すごい助かる。連携練習をシレンの穴じゃなくても、ガネルの闘技場とかでできるのはものすごい楽だ。死なないから危険な技も気軽に練習ができるな。

 

「よーし聖剣も刺したし、もうここには用はない!さっさと出てカイスに戻ろうぜ」

 

「そうね」

 

「宿戻ったら攻略記念にパーティー開こうよ!」

 

「いいなそれ。お疲れ様会でもやるか」

 

「いいねークミさんそういうの好きだよ」

 

「ガネルは祝賀会とか宴会多いもんな。町全部巻き込んでやるし」

 

「人多いのはちょっと...」

 

「俺らだけでやりゃあいいんだよレスト。盛大にやるのは魔王を倒した後だ」

 

「おっ酒ーおっ酒ー」

 

「クミリアあんたこんな真っ昼間から飲む気?」

 

「いいじゃん別に今日もう何もないんだから。ニアも飲もーよ」

 

「私お酒飲まないわ。弱いもの」

 

「そんなこと言わずに〜」

 

「いいの?前に一口飲んだ時、ベロンベロンに酔って矢鱈滅多に魔法を撃ってたってお父様が言ってたけど」

 

「ごめん絶対飲ませない...じゃあカリヤ飲もうよ」

 

「俺?まだ酒飲めねぇぞ?」

 

「カリヤも弱い感じ?」

 

「いやそもそも...あ、もしかしてこの世界は18で酒飲んでいいのか?」

 

「そうだけど、カリヤのせかいだと違うの?」

 

「俺の世界だとまぁ地域ごとに変わったりするが...俺の住んでたところは、20歳になるまではダメだな」

 

「そうなんだ...このせかいだとオーケーだし飲んじゃおう!大丈夫でしょ強そうだし!」

 

「……まぁいっか。初めてだし、弱めので頼むぞ?」

 

「オーケー任せて!」

 

「今ので思ったけど、やっぱりカリヤのせかいとこのせかいって結構文化の違いありそうよね...」

 

「まぁ色々あるわな。そういや俺の世界のことはあんま話してないし、さっきの酒のことみたいに質問があったらいつでも言ってくれよ。なんでも答えてやる」

 

「じゃあ後で色々聞こーっと」

 

と、こんな感じの雑談をしながらゆっくりと螺旋状の坂を登っていく。

 

「あ、ここクミさんが死にかけたところだっけ?」

 

「自分で言うのやめて?反応に困るわ」

 

「今となっては思い出だなぁ...なんかもう随分前のことみたい」

 

「随分前(一週間ちょい)だけどな。意外とそんな前でもないっていう」

 

「この一ヶ月、濃密すぎて随分と長く感じたわ」

 

「だな。まぁ俺は思考加速の影響もありそうだが、四ヶ月以上は経った気分だ」

 

「流石にそれは長すぎじゃない?」

 

「そうか?そんなもんだと思ったが...あ、この前の強制過去回想のせいもあるかも」

 

「たしかに。それでこの一ヶ月を既に振り返ってたから、体感時間が長くなってたのか」

 

「そして今、自発的にまた回想しようとしてるっていうね」

 

「しょうがないでしょ思い出しちゃうんだし」

 

「それだけ体と頭に記憶が染み付いてるってことよ。あっ、ここってレストがゾンビのスタミナ吸っちゃって倒れたところじゃない」

 

「さっきからなんなの?誰かが倒れたところしか振り返ってなくない?もうちょい良い思い出のところの話しようよ」

 

「良い思い出ってどこよ」

 

「えーっと...特にないな。そもそも全編通して戦いしかしてないし、良い思い出も何もなかったか...」

 

これ以上考えると、そもそも良い思い出とは?という話になりそうだからここらでやめておこう。

 

「……そういや俺、魔力使い切ってんだよな。帰る前に入れ替わりのところ寄っていい?魔力回復したい」

 

聖域での自然回復だと一日はかかってしまう。カイスに帰る前に、魂の入れ替わりができるあの場所で魔力を回復しておきたい。

 

「わかったわ。外に出たらまず、一旦そこに寄りましょうか」

 

「よーし一番乗り!」

 

急にクミリアが外に向かって走り出した。

 

「あっ、クミリアお前抜け駆けする気か!」

 

「はーっはっは!バフも速度操作もないカリヤには追いつけまい!」

 

「チクショウってか今更だけど荷物全部下置きっぱなしじゃね⁉︎」

 

「絶対忘れてると思って回収しておいたわよ」

 

「ニア有能すぎるそして待てこらクミリア先頭は渡さん!」

 

「二人して何やってるんだか...」

 

クミリアを全速力で追いかける。ああもうこれ絶対追いつけない...もういいや普通に歩こう。そして無駄にクミリアを疲れさせようそうしよう。

 

「いえーい一番乗りぃ...っ!」

 

ん?どうしたんだろう。外に出たと思ったら、凄い勢いで戻ってきた。

 

「どうした?」

 

「ちょーっとみんなで行った方がいいかなーって。というかせめてカリヤは居てほしい」

 

なんだなんだ?と思いながら、追いついてきたみんなと一緒に外に出る。

 

「……なるほど、そりゃ戻って俺を頼るわけだ」

 

そこには、「やぁ」とでも言いたげに小さく手を振るアクセルがいた。

 

「前にもこんなことあったなぁ...」

 

「やぁやぁみんなシレンの穴攻略お疲れ様。上から見てたけどすごい光だったね」

 

「御託はいいからさっさと本題に入れ。といっても、今は戦えないけどな」

 

これまた「どうしてだい?」と言いたげに首を傾げるアクセル。

 

「今俺は魔力切れ状態だ。色々あって武器も持ってないし、どうやっても戦えない。戦いたいなら後にしてくれ」

 

「ふむ...少々困ったな」

 

「……その調子よ。上手い具合にあしらいなさい」

 

小声でニアが俺に言ってくる。身体能力強化は多分五感にも働いてそうだから、絶対聞かれてるし小声は意味ねぇぞ。わかりきってること言わんくていい。

 

「でもこれならどうにかなりそうか。魔力切れでも問題ない。今日は戦いに来たわけじゃない」

 

「はぁ?まさか、本当に攻略おめでとうと伝えに来ただけなのか?」

 

「そんなわけないさ。まぁ、こっちの方が馬鹿げてるし、信じてもらえないかもしれないが」

 

「じゃあ何しに来たっていうんだよ」

 

「ちょっとしたお願いだ。そのためには魔法がいくつか必要なんだが...魔力切れなら仕方ない。カイスの英雄にでも頼もうか」

 

「……目的を先に言いなさいよ。どうであれ、手を貸すつもりはないけれど」

 

「ただ町に入りたいだけさ。顔も名前も割れてしまっていて入るには入れないから、魔法で姿を変えてほしいんだ」

 

「町に入る理由は?」

 

「仲間から話を聞いていて、気になる店があってね...」

 

「店?何の店よ」

 

「飯屋さ」

 

「……は?」

 

多分、全員シンクロした。は?

 

「ご飯を食べに行きたいだけだ。そんなことも許してくれないのかい?」

 

「……ふつー許されるかそんなもん!」

 

拍子抜け。警戒していたのがもはや馬鹿らしい。なんの悪巧みもしておらず、本当にご飯を食べたいだけなのが丸わかりだった。

 

流石のニアも、(ツッコミながら一発魔法を撃ち込んだが)了承した。

 

こうしてなぜか俺たちは、魔族と飯を食べることになったのだった...ほんとどうしてこうなった?




説明長すぎる...流石に反省します。
かくかくしかじか方式にしておけばよかったのに、なんで全部書こうと思ったんですかねぇ...でも戦闘シーンより会話シーンの方が早く書けてしまうから、今後もこうなるんだろうなぁと思いましたね。

次回はアクセルを交えての日常パートです。
戦闘はまだまだ先かな...
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