前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
サブタイ通り、王都に行きます。
「王都までってどれくらいかかるんだ?」
馬車に揺られて五分ほど経った頃、俺はキースたちにそう尋ねた。
「大体三十分くらいだな。まぁまぁかかるぞ」
「確かに意外とかかるな...能力で加速してやろうかな」
「怖いからやめてくれ。それにこれ以上速くなったらチュチュが酔う」
「ちょっ、酔わないし!」
「なんだ酔うのか。ならしょうがねぇな」
「酔わないってば!前にみんなで乗ったとき酔ってなかったでしょ!」
「ってことは速くなったらどうなるかわからないってわけだな?...後でこっそり試してみようかな」
「聞こえてるからねー」
「冗談だ」
俺も普段は酔わないけど、速かったら酔うと思う。コンクリートで街道が整備されているだなんてことはないため、普通に地面に凸凹が多い。そんな中馬車の速度なんて上げたら、グラグラ揺れて抵抗する間も無くリバースすると思う。
「ほんとに冗談?」
「ほんとだよ。そんなこと俺がするわけないじゃないですかやだー」
「…そんなに付き合い長いわけじゃないけど、普通にしそうだと思っちゃった」
「だな」
「ちょっと俺に対する印象おかしくない...?」
心外だなーそんなことするわけないのに。
「あっ、ねぇねぇあれって!」
突然チュチュが外を指差す。
「ん...?なんだあれ、鎧か?...あそっか、あの時のか」
街道から少し外れたところに、大きな金属の塊のようなものが落ちていた。鎧だ。二週間ほど前に、このメンバーで倒した軍隊虫が纏っていたものだった。
「まだ片付いてなかったのかあれ」
「まぁあの大きさだしねー」
「そりゃそうか。あれを運ぶのは骨が折れそうだ」
今も多くの作業員らしき人が鎧の周りで作業をしていた。けれど、鎧を運ぼうとしているのではなさそうだった。
「何やってるんだ?あの人たち」
「地面を均しているんだよ。あれだけの大きさのものを運ぶには人の手だけじゃ無理だからな。馬とかを使うために均さないといけないんだよ」
「なるほど...ちょっと思ったんだけど、地面崩したのって魔物じゃなくて俺だったよな確か。帰る前に直しておけばよかったな...」
ごめんなさい作業員さん。その地面の凸凹、ほぼ俺がやりました。
「仕方ないだろ。あれが一番いい策だったんだ」
「そうだよー。それに、私たちがあの虫を倒したから今この道を通れてんだよ」
「んー...それもそうだな。あんまり考え込んでも意味ないか」
鎧の横を通って、馬車は街道を進んでいく。
そうして景色を楽しみ、話しながら馬車に揺られて二十分ほど経ち、馬車が止まる。
「もうすぐ着くでなー。検査が入るから準備しておけー」
「検査?」
「王都だからな、魔物が紛れ込んでないかとか指名手配されているやつが混ざってないかを確認するんだよ」
「そういうことか...そこら辺はちゃんとしてるんだな」
「動くな!」
衛兵っぽい人が声をかけてくる。
「馬鹿!そうじゃない!ちゃんとマニュアル覚えろよお前!」
スパーンと後頭部を上司っぽい人に引っ叩かれる衛兵さん。
「すまんね、こいつ新人なもんで...馬車から降りてくれ、危険物の持ち込みがないか検査するから」
「あっ、はい」
馬車を降りる。二人の衛兵の内、片方は馬車の中に入りもう片方は手荷物検査を始める。危険物...剣とか普通に持ってるけどそれは危険物じゃないのか?何も言われなかった。
「君、鞄の中身を見させてもらうぞ」
「はいどうぞ」
鞄を開けて見せる。
「いろいろ入ってるな...よし!」
無事に通ったみたいだ。スライム入った小瓶もあったけど、それも大丈夫なんだな。
「馬車も調べたぞ。問題なしだ」
「よし、通ってよし!」
「門を開けろー!」
ゆっくりと門が開いていく。そして、その間に馬車に乗り込む。
「少し行ったところで降ろすからのう」
開いた門を通り、そのまま一分ほど走ってから止まった。
「到着だ」
「ありがとうございまーす」
馬車を降りる。
「ここが王都か...そりゃそうなんだが、やっぱカリスと比べるとめっちゃ栄えてるな」
カリスは木造の建築物がほとんどだったが、この王都は違った。石やレンガなどで造られた西洋風建築が、ほとんどを占めていた。
「ヨーロッパってこんなんなのかな?行ったことないからわかんね」
千葉県住みなのであのテーマパークには何回も行ったことがあるが、あれよりもちゃんと西洋していた。マジモンの西洋には行ったことないからあくまで風、としか言えないが。
「さて、まずはどこに行こうかな」
初めて来る町ですべきことといったら...なんだろ?
「じゃあまずギルド行こうぜ」
ギルドか。こういう異世界だと定番だよな、うん。
「それよりも前に宿探しじゃない?」
「宿なんて選ばなければどこかしら取れるんだから後回しでいいんだよ。それに、ギルドへの挨拶って結構大事なんだぜ?」
「そうなのか...じゃあギルドに行こう。どんな依頼があるのかも知りたいしな」
「じゃあこっちだ。ついてこい」
キースたちの後ろについていく。
「ほんと人多いな。さすが王都、どこの店も賑わってやがる」
「そりゃそうだよ。繁盛しない店がここで生き残れるわけないんだから」
「売れない店はすぐに淘汰されるってことか。じゃあどの店も一流なわけね」
武器とか盾とかを新調するのもいいかもしれない。修繕を繰り返して使ってきたが、二ヶ月半使い続けたためもう結構ボロくなってきている。完璧に壊れる前に変えた方がいいだろう。戦ってる最中に壊れたらやばいしな。
「…そういや昼ごはん食べてないな、お腹空いてきた。ギルド行ったら何か食べに行こうぜー」
「だな」
「いい店紹介してくれよ」
「いい店ねぇ...さっきも言ったけどどこもいい店だからなぁ。迷うよ」
「考えるのは後にしとけチュチュ。着いたぞ」
ギルドに着いたみたいだ。
「入るぞ」
扉を開け、中に入る。
「おぉ...ここがギルド...」
結構な賑わいようだ。壁一面に貼られた紙を見る人や、列に並んで受付の順番が来るのを待つ人。机を囲んで談笑している人と色々な人がいた。こちらを見ている人はほぼいない。アニメだと入ってきた人の方をみんなが見るような描写が入ることが多いけど、そんなことは全然なかった。
「壁の紙全部が依頼か?」
「そうだよ?うっわまた増えてる...あんなデカかった掲示板の外まで貼っつけてるじゃん」
「前はもっと少なかったのか?」
「そうそう。めっっちゃでっかい掲示板が壁にかかっててそこに紙が貼られるはずなんだけど、明らかにその枠を超えて貼られてるね」
「依頼が増えてるってことは...魔王軍が何かしてるってことなんかな?」
「多分そうだな。色々見てみるか」
壁に貼られた紙を見てみる。
「魔物退治、魔物退治、魔物退治、土木工事の手伝い...はあそこのか。ってか魔物関連ばっかだなやっぱり」
「仕方ないよね。でも危険が多い分報酬も多いよ?ほら」
一番近くにあった魔物退治の依頼の報酬は、巨大トレント退治の報酬と同等くらいだった。
「すご。やっぱ金あるんだな王都って」
「見るのはそこまででいいだろ。とりあえず登録しに行くぞ」
「オッケー」
「わかった」
…登録?よくわからないけどとりあえずキースたちに続いて列に並ぶ。いくつかある中で、一番短い列だ。
「カード持ったかー」
三人が一枚のカードを取り出す。
「なに?そのカード」
「ああ、それはね...」
「次の人どうぞー」
「あっ、呼ばれちゃった」
俺たちの番が回ってきたようだ。で、結局カードはなんなんだ?
「許可証の提示をどうぞ」
「これでいいよな」
キースが三人分のカードを受付の人に渡す...許可証?なんの?
「三枚...あの、後ろの人は連れでないので?」
「連れです。カリスから初めて王都に来たやつでしてね、許可証を持ってないんですよ」
「お、おいチュチュ。許可証ってなんだよ」
「依頼を受けるのに必要な許可証だよ」
「そんなのカリスになかったろ?」
「カリスの周辺には強い魔物はいなくて比較的安全だからね、無駄な手続きを省くために許可証も無くしているんだよ」
「あんなトレントが出て安全って...」
「それはイレギュラーだから置いといて...王都より北側になると魔物も強くなってくるから、一応許可証を発行するの。許可証を持っていれば魔物に傷を負わされたり、最悪死んじゃったとしてもなんらかの補填が入る。逆に、許可なしに勝手にやって勝手に死んだら自己責任ってことにするための制度だよ」
「なるほど...」
今のチュチュの言葉から察するに、許可証がなくても依頼を受けることはできるけど、あった方がいいってわけか。
「というわけで、だ。こいつの許可証を作ってくれねぇか?」
「わかりました。では空いている日時をお教えください。試験の日時を決めますので」
「…試験だぁ?」
キースが驚く。なんでだ?大体こういうのって試験があるのが普通だと思うんだけど。
「俺の時はそんなのなかっただろ?いつそんな試験ができたってんだ!」
「二、三ヶ月前でしょうか。最近、魔物たちの力が増しています。さらに、それほどの力を持っていない者が許可証を持ち、依頼を受け、傷つき帰ってくる事態が多発しました。当然、それによる当方からの補填がなされましたが、これからも補填し続けることは現実的ではありません。なので、許可証を渡すべき者を選別することになりました」
なるほど。永遠に補填することは財源的に不可能。だから、力を持つ者にのみ許可証を渡すことにして、全体の母数を無闇に増やさないようにしたのか。
「…ああ、安心してください。既に渡した者に対して試験を課すことはありませんから」
「しゃあないか。試験を受けなきゃいけないんだろ?いつなら都合がいいかな...?」
「そんなのする必要ねぇだろ。俺たちは今日あの巨大トレントを倒してきたんだぜ?十分力を持ってるって証明できるだろ」
そういえばそうだったな。今日だったわ。
「巨大トレント...?その情報は入ってきていません。証明にはなりませんよ」
「…チッ」
おいキース舌打ちすんな。倒したのは今日なんだから、俺たちが倒したなんて情報がここまで届いているわけないんだし、知らなくて当然だ。
「……そうだ。こいつは神の使いなんだ!それで力の証明になるだろ!ほらカリヤ、あの印を見せてやれ!」
「神の使い...⁉︎」
「見せればいいのか?えっと...これで見えるか?」
グイッと服を引っ張り、うなじに刻まれている印を見せる。
「これは...本当に...!」
受付の人が驚く声を上げると、周りの人もざわざわし出す。
ざわ...ざわ...
マジで聞こえる。ほんとにこんな風に聞こえるんだな。
「えっと...こんな時どうすれば...」
「あの、結局どうなるんです?」
あたふたとしている受付の人に声をかける。
「あー...えっと、と、とりあえず今日のところはお帰りください。上の者と相談しますので...」
「そいつはねぇだろ。今決めてくれよ!」
「まぁまぁ、落ち着けってキース。何も今日しなきゃいけないってほど急いでるわけでもないんだからさ。とりあえず今日は王都をめぐるだけのつもりだったし、今日はここまでってことにしとこうぜ」
「…カリヤがそう言うならいいんだが...」
「みなさんすみませんお騒がせして。今日はここで失礼します。では」
このままここに居続けても何も起こらない気がした。それに、騒ぎが大きくなりそうだったので、俺はギルドの外に出た。三人も俺に続いて出てくる。
「いやー、あんなにざわつかれるとは思ってなかったな。ちょっと耳が痛い...」
「ほんとによかったのか?」
「良いって言ってるだろ?ほら、ご飯行こうぜご飯。お腹ぺこぺこだわ」
「それもそうだねー。ご飯いこー!」
「なんかオススメのところある?何系でもいいから一押しのところ連れてってくれ。王道でも大衆レストランでも隠れた名店とかでもなんでもいいからさ」
「じゃあ...」
「あっち」
「こっちだ」
「あそこ」
「…どれか一つにしてくれる?」
たくさん店があるからバラけるのは仕方ないとはいえ、ここまで方角がバラバラになるとは...逆にすごいな。
「話し合って決めてくれ。俺はどんな店か知らないから選べん」
「わかった。じゃああれやるぞ。一回勝負、負けても文句なしだ。いいな?」
「絶対勝つ」
「俺もだ」
何が始まるんだろう。決闘でもしようってのか?
「ジャンケン!」
「「「ボン!」」」
まさかまさかのジャンケンかよ。出してる手は俺の世界でメジャーなやつとは違うけど。チュチュが片手で輪っかのようなものを出し、キースは普通のパーみたいなのを出し、ギブドは人差し指と中指をくっつけたチョキのような手を出した。
「なにこれ...あいこか?」
「負けた...」
「えっ、今のでチュチュが負けんの?」
それぞれ別の手を出したんだからあいこかと思ったが、違うみたいだ。
「ジャンケン!」
「「ポン!」」
二人が出した手は、さっきのもののどれでもなかった。キースは手のひらを上に向け、指を動かし続けていた。ギブドは人差し指だけを出していた。何個あるんだ?このジャンケン。
「…勝った」
どうやらギブドが勝ったみたいだ。
「じゃあこっちだ。着いてきて」
「負けちまったもんは仕方ねぇ。ちゃんといいところに連れてってくれよ?」
「安心して。ちゃんと美味しいところだから」
「ちょっと待って何がどうなってギブドが勝ったんだ?ルール教えてルール。行き道でいいからルール教えてくれ」
「えっ、なに?ルール知らないの?」
「俺が知ってるのと違う」
ギブドについて行きながらチュチュにこの世界のジャンケンのルールを聞く。
「まず何個手があるのさ。五個?」
「そうだよー」
「5すくみなのか。で、どれがどれさ」
「えっとね、私がやったのが水。輪っかが水溜りとか湖みたいだから水ね」
「水か...さっそく俺が知らないのが出てきたな」
「んで、キースが最初に出したのが木で、次に出したのが火。それぞれ手の形が木と火みたいでしょ?」
「開いたパーが木で、指動かしてるのが火か...それで?」
「ギブドが最初に出したのが天の怒りで、次に出したのが人。天の怒りの時はズバッと空気を裂くみたいに出さないといけないんだよ」
「へー...なんか人が場違いじゃね?他は自然物なのにさ」
「さぁ?なんで人を入れたんだろうね?」
流石にそこまでは知らないか。
「どれがどれに勝つんだ?」
「えっとね、火は天の怒りと木に勝って、天の怒りは人と水に勝って、人は木と火に勝って、木は水と天の怒りに勝って、水は火と人に勝つよ」
「…ちょっと待って、今整理するから」
わかりやすいところから考えていこう。まず、人は木と火に勝つ。木は人が切り倒すし、火は人間が作るものだ。こう考えれば納得できる。
次に水。火に勝つのはわかりやすい。人に勝つのはちょっとよくわからないが、洪水とかのことを考えれば納得できる。海がないらしいこの世界に洪水があるかはわからないが。
次に考えるのは天の怒り、すなわち雷だ。水に勝つのはわかる。人に勝つのは...雷で死んだ人が多く出てるからかな。勇者にしか使えないからただの人間には勝てるってことかもしれない。
わかりにくいのは木と火だ。木が水に勝つのと、火が木に勝つのはわかる。でも、雷に勝つのはなんでだ?火はあいこ、木は逆に負けそうなもんだけど。
「なんで木と火は雷に勝てるんだ?」
「天の怒りが落ちたところは燃えるでしょ?だから火が勝つの。木は...なんでだろうね?」
「そこら辺は曖昧なんだな...いや、どの手も公平になるような調整がされた感じか」
「多分そうだね」
一個だけ強いのがあってもそれはそれで面白そうだけど、この世界のジャンケン製作者はそうしなかったみたいだ。
「カリヤの知ってるジャンケンってのはどんなんなんだ?」
「えっ?えっとね、俺の故郷だとグーとチョキとパーの三つだけだよ」
「それぞれなんなの?」
「グーは石でチョキはハサミで、パーは紙だな。石をハサミは切れないからグーの勝ち。ハサミは紙を切れるからチョキの勝ち。紙は石を包めるからパーの勝ちだな」
「…なんで包んだら勝ちになるの?」
チュチュがどこぞの漫才師みたいなこと言ってきた。
「そんなの知るか。作った人に言え」
「着いたぞ」
そんな風にジャンケンについて話しているうちに、目的地にたどり着いたみたいだ。
「なんの店だ...?」
看板を見る。
「ラーメン...だと⁉︎」
何度見てもラーメンと書いてある。ラーメンと読める異世界語が書いてあった。マジでラーメンなの?翻訳ミスってるわけじゃないよな?
「何してるんだカリヤ?入るぞ」
「お、おう...」
中に入ると、なんとも言えない香りが漂ってくる。醤油とも味噌とも違う匂いだ。一番近いのは塩かな?
「マジでラーメンだ...」
近くに座っている客が食べているのを見る。見た目は完全に俺の知るラーメンだ。スゲェな。誰が考案したんだろ?
「大将、いつものやつで。みんなもそれでいい?」
「なんでもいい」
「いいよー」
「メニュー見てないけど...まぁギブドが選んだのならいいや」
「いつもの四つね、あいよー!」
ギブドが注文を終えたので、みんなでテーブル席に座る。
「完全に雰囲気がラーメン屋だな...でも箸はないと」
箸のないこの世界だと、ラーメンは何で食べるんだ?
「チュチュ、それ取ってくれ」
「はいはい」
チュチュが置いてあった箱から食器を出す。フォークとスプーンが融合したやつだ。なんでこれがあるのに箸ないんだよ。
「あっ、俺のはいらないや」
「じゃあ何で食べるのさ」
「自前のがあるから」
鞄から箸を取り出す。
「…なにそれ?」
「俺の故郷で使われてる食器だ。ちょっと難しいけど、慣れると使いやすいぞ」
どこで取り出してもちょっとびっくりされるんだよな。俺が箸を広めてやろうかな。ラーメンくらいは箸で食べてほしい。
「それ、自分で作ったのか?」
「うん。木をダガーで削って作ったんだ」
「へー...結構ボロボロだね」
「まぁ木だしな。ちょっとずつ削れてくよ」
「どうやって使うの?そんな棒二本で本当に食べれるの?」
「食べれるよ。ラーメン来たら実演してやるから見てなって」
しばらく待つと、ラーメンが四つ運ばれてくる。
「いただきます」
レンゲ欲しいなと思いつつ、麺を箸で掴んで口に咥え、すする。うん、美味しい!やっぱり俺が知るものとちょっと違うが、普通に美味しい。
「おぉ...ほんとに食べれてる...」
「多分それを使うよりも食べやすいと思うよ?慣れれば、だけどね」
そのままラーメンを食べ進める。美味い美味い。具材も俺の知ってるやつと同じだし、普通に食べれた。ナルトも乗っていたけど、なんの魚で作ったんだろ?川魚で作ったんかな?
「美味い美味い...あっ」
やべっ
「どうしたの?」
「ぺっ...箸噛み壊しちゃった」
強く噛みすぎたみたいだ。先端部分が折れてしまった。
「ありゃりゃ、どうする?これ使う?」
「いや、すぐ直すわ」
「直す...?」
折れた箸をテーブルの上に置く。
「『製作』っと」
箸が空中に浮き出す。そして俺の手の上で一度バラバラに分解され、箸の形を再形成する。
「物体製作のスキルか」
「そうだよ。一度作ったものなら材料さえあれば作り出せるスキルだ。まだ簡単な構造のものしか作れないけど、結構便利だろ?」
壊れた箸を材料にすれば、新品の箸を作ることができる。使っているうちに削れてしまうため、材料が減り、ほんの少しずつ完成物が小さくなってしまうという問題点はあるが、微々たるものだ。
「材料があれば量産ができるんだけど、みんなの分も作ろうか?」
「いや、いいや。これでも食べれるし」
「便利なんだけどなぁ...」
そのまま作り直した箸でラーメンを食べ進める。十数分ほど食べ、最後に残ったスープを飲み干し、完食した。
「ごちそうさまでした」
いやー美味しかった。何度でも言いたくなるほど美味しかったね。
「そういえばだけどいくらなんだ?これ。メニューメニュー...」
メニューを取り、値段を見ようとする。
「俺が払うから、気にしなくていいよ」
ギブドが払ってくれるみたいだ。
「そう?ならゴチになるわ。あざーす」
「ありがとー」
「あっ、キースとチュチュはちゃんと払ってね。奢るのはカリヤの分だけだから」
「ちょっ、酷くなーい?私の分も払ってよー」
「カリヤは初回だからさ。二人はここ、前にも来たことあるんでしょ?」
「そうだけど...」
「というわけで、二人は自分で払ってね」
「ちぇっ」
渋々といった感じでキースとチュチュが財布を取り出す。
「いつかもっかい来ようかな」
そう考えていると、三人が会計を終えて戻ってきた。
「次どこ行くー?」
店を出る。
「んー、どうしよっかな」
武器屋に行くのもいいし、先に宿を取っておくのもいいかもしれない。
「…じゃあ武器屋に...」
「ちょっと君、いいかい?」
肩をぽんぽんと叩かれ、声をかけられる。
「はい?」
振り返ると、門のところで見たのと同じ制服を纏った人が二、三人立っていた。
「俺になにかようです?」
「君、カリヤくん...であってるかな?」
「そうですけど...」
「ちょっと着いてきてもらうよ」
……もしかして俺、捕まるの?
ジャンケンの話で1500字ほど使っているという...なんという字数稼ぎ。
せっかくルールを作ったからには、何回かは登場させないとですね。