前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8147字。

日常回...のはずなのにいつのまにかまた説明が始まっているという...
めっちゃ設定開示したくなったんです三話連続すみません。


魔族と過ごす時間

「おっす待たせたな」

 

入れ替わりのダンジョンから出るレストと俺。魔力もしっかり満タンだ。

 

「遅い」

 

「アクセルお前よくその立場で言えたな...」

 

おかしくない?あっちって頼んできた側だよね?なんで俺らが文句言われんだよ。

 

「そんな文句言うなら町中で変身解除させんぞまったく...」

 

ちなみに、アクセルに魔法をかけるのはニアがやることになった。俺があんまり使ったことない魔法だし、魔法の練度ならニアのほうが高いということで決まった。ならなんでわざわざ寄り道して魔力回復させたの?と聞かれれば、一応の保険としか言いようがないな。

 

「……ってか、今更だけどよかったちゃんとアクセルだな」

 

「そっか、よくよく考えてみるとフロートだった可能性あったのか」

 

「カリヤが普通に話してたから、疑いもせずにアクセルだと思い込んでたわね...」

 

あっぶね。下手すりゃフロートに全滅させられてたじゃん怖すぎる。

 

「いやまぁ速度探知なくてもアクセルがアクセルなのはわかるけどさ...」

 

「そうなのかい?なんか嬉しくなるね」

 

「魔族としてその反応はどうなんですかねぇ?」

 

「まぁもし私がフロートだったとしたら、カリヤが魔力切れだという話を聞いた瞬間に殺すか模倣しにかかってるから、その時点で違うとわかるだろうけどね」

 

「そりゃそうなるわな。さっきの時も隙だらけなわけだし...ダメだこっちも魔族を目の前にした人間の反応が取れてねぇ」

 

心を許しすぎだ流石に。アクセルじゃなきゃみんな死んでるぞこれ。

 

「お前がお前でよかったよほんと...んじゃ、先に変装しておくか。頼んだぞニア」

 

「わかったわ...まさか、こんなことに魔法を使う時が来るとはね」

 

そう言いながらニアはアクセルに魔法をかける。

 

「どんな姿にすんだ?」

 

「無難にカリヤに似せればいいでしょ」

 

「どこが無難なんだ...って、そういうことか」

 

アクセルの姿を変えたとしても、俺たちと一緒に行動してるそいつは誰なんだという話になる。そこで誤魔化すなら、調べればボロが出る可能性が高いみんなよりも、俺の関係者だとする方がボロは出にくい。どう調べても、まず出身地すら出てこないんだから確認の取れようがないしな。多少疑われはするかもだが、ある程度納得してもらいやすいはずだ。

 

「背丈を変えるのは面倒だからこのままにして、見た目の筋肉量を少し落として、特徴的な髪色を変えて...」

 

少しずつアクセルの見た目が変わっていく。高い身長はそのままだが、人目を引く青い髪が黒く染まる。他にも身体中いろんなところが変わっていったが...全部説明するのはなんか変態チックな感じがしたからやめておこう。

 

「ってか、見た目だけじゃなくて完全に変えるんだな」

 

「見破られにくくするならこっちの方がいいわ。本来は体に相当負担がかかるけれど、魔族だし気にしなくていいしね」

 

「そもそも魔族は二つの体を使い分けるからな。体を変形させるのには慣れている」

 

今、ニアは人間じゃないから気にする必要ないという意味で言ったよな。さらっと毒が出てますねぇ...アクセルは魔族の体質的に気にしなくていいという風に読み取ったみたいだけど。

 

「名前はどうするよ」

 

「たしかに、普通にアクセルって呼んだらダメだけど...名付けなんてしたことないしなぁ」

 

「俺はパス。ネーミングセンス皆無だ」

 

「じゃあカリヤで」

 

「パスつったよな俺今?...トライア、いや違うのにしよう」

 

アクセル繋がりで言おうとしちゃったけど、これにするともっと速くなりそうだからやめておこう。

 

「うーん...じゃあ適当にディセラで。言いづらいとかいう文句は無しな」

 

「ディセラってなにそれ」

 

「アクセルの対義語。加速の反対は減速だから、Decelerationでディセラだ」

 

そもそも英語が伝わらないからこの辺の説明は無駄だろうな。

 

……というか今思ったけど、魔族の名前って誰が決めてんだ?魔王?誰かは知らないけど、もしかして能力から名前をつけたって説ある?...いや、それだとフロートがよくわかんねぇや。関係ないか。

 

「ディセラ...なんか響きがあまり良くないな。別にいいが」

 

「そりゃ減速なんて名前にしたからそうだろうけど...変身も終わったし行くぞ」

 

「ところでアク...ディセラさん?はどこに行きたいの?」

 

「カイスだ。前に仲間に自慢された店があってな」

 

「カイスはやめた方がいいと思うわよ。変身していても問答無用でバレるわ」

 

「それは一度中に入ったことがあって、魔力を登録されていたらの話だろう?実はカイスの中には一度も入ったことがなくてね。大丈夫なはずだ」

 

「お前がバレてもいいってんならカイスに行くが、正直半々だぞ?前にフロートがアクセルの力を使った状態で門を出たことがあった。模倣した魔力ではあるが、もしそれが一致すればどうなるか...」

 

「くっ...カイスは諦めるしかないか」

 

「じゃあこの場はお開きってことで」

 

「ちょっと、勝手に締めないでくれ。別にカイスじゃなくてもいい。どこかいい店を知ってはいないだろうか」

 

「いい店ねぇ...」

 

俺あんまり外食しないからなぁ...ほとんど自分で作るか宿のご飯食べるかしかしてないから、外食することなんてみんなで食べる時か、旅してた時の、宿をまだ取ってないその町に来た初日くらいしか...

 

「……あっ。こいつん家はどうだ?」

 

レストの肩を抱きながら言う。

 

「ガルムの英雄の家?なに、実家が飯屋なのか?」

 

「そうだけど...え、魔族連れてくのはちょっと...」

 

「乱暴したりはしないさ。ただ食べて帰るだけ。ご両親に危害を加えたりは決してしないさ。もちろん、味が悪くなければの話だけど」

 

「……言っておくけど、美味いから。舐めた口聞かないで欲しい」

 

スゲェなアクセル。今の味が悪ければ〜の件わざと言ったのか。一発でレストの実家の店に行く流れになった。前から思ってたことだけど、アクセルって普通に頭良いんだよな...多分、自分のこと頭良いと思ってそうな転移の魔族よりも頭良いと思う。

 

「それじゃ行き先決まったことだし、次元転移でサクッと行きますか」

 

9936、9937ページ 次元転移

 

アクセル含め、全員次元の裂け目に入り、ガルムへと移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む、美味しいな。流石は英雄の実家」

 

「多分あんまり関係ない...」

 

そうは言いながらも、顔には嬉しそうな表情が漏れ出ているぞレスト。

 

「ガルムに来ることは少なかったからな...こんな店があったとは驚きだ」

 

「まぁ一年間ガネルで大会に出てたわけだし、他の町のことをあまり知らないのも当然だよね」

 

そう言うクミリアの言葉に、たしかにと納得する。だがそうなると、なんで行ったこともないカイスの店を知っているんだという話になる。仲間から話を聞いたと言っていたが、つまり仲間の魔族がカイスの中にいるということだよな?いい機会だし、うまい具合に情報を引き出せるだけ引き出した方がよさそうだ。

 

「ってか、普通にみんなも話せるようになってきたな」

 

「敵意がないのがわかるからね」

 

「無防備な今私を襲えば、この人数差だし簡単に捕らえられるはずなんだがね」

 

「何が無防備だお前。敵意をまるで見せずにいつでも反撃する用意するとかいう凄技してんだろ」

 

「手を出したら反撃されるのが分かりきってるから話すしかないってのはある」

 

「それに...ねぇ?魔族の正体を知っちゃったから、少し手を出しづらいというのが...もちろん、アクセ...ディセラだからというのもあるけど」

 

なるほど、人間の魂が使われてるというところがみんな引っかかっちゃってるわけか。一つ何かが違えば人間として生まれていたはずだった、というのが気になってしまう要因だろう。

 

「というかそもそも疑問だったんだけどさ、なんで魔族は人を襲うわけ?そんなことしないで、人間体のまま人に混じって生きていけばいいのに」

 

「そうしたいのは山々だけど、魔王様の意志があるからねぇ」

 

「魔王の意志ってそんな抗えないものなのか?というかそもそも、どうして人間と魔王は争ってんだ?」

 

ゲームやそういう小説のイメージが強すぎて、魔王=人間と争って世界征服を目指しているもの、と無意識に思っていたけれど、そもそも本当にそうなのか?

 

いやまぁ、神様の予知だと魔王が勇者パーティーを全滅させて世界を征服...って、言ってなくね?全滅までは言ってたけど、世界征服とまでは言ってなかったな。本格的に魔王の目的がわからなくなってきたぞ?もしかしたら、人間側が先に戦いを仕掛けていて、魔王側はそれに応じているだけだったなんてことだったりしない?

 

「なぁ、こうやって町に入れて飯を食べれてるというは一つの貸しに値するよな?」

 

「ん?まぁそうなるだろうね」

 

「なら、どうして魔王は戦っているのか、その理由を話してくれないか?ギブアンドテイクってやつだ」

 

流石に踏み込みすぎか...?と思うけど、どうだろう。

 

「……まぁいいか。話したところで、別に何かが変わるわけでもないしね」

 

「まーた長話が始まるのね...」

 

あ、ごめん。さっきまで俺が延々と長話してたのを聞いてたみんなからすればもう勘弁してくれって感じだよな。

 

「みんなは軽く聞き流してていいよ。俺が全部覚えておくから、聞きたかったら後で俺に聞いてくれ。で、どうして魔王は人間と戦うんだ?」

 

アクセルから、魔王がなぜ戦うのかを聞く。

 

太古の時代まで話が遡ったりもして、俺がした話くらい長くなったから理解が大変だったが、一応理解できた。

 

要約しよう。

 

魔王はそもそも、人間を滅ぼそうとはしていないらしい。とある目的の達成に邪魔になるから、邪魔されないように数を減らしておこうという目的で戦っているようだ。

 

じゃあその目的ってのは何なのか。それは、魔神の封印を解くこと...らしい。

 

そもそも魔神というワード自体初出だ。そんなのがこの世界にいるだなんて、どんな本にも乗っていなかったし、口伝されてる昔話とかにもなかった。だが、魔神というのは確かにいるらしい。

 

たしかによくよく考えてみると、この世界に神は二柱以上いないとおかしいと気づいた。もし一柱だけ、人間側についている女神だけしかこの世界にいなかったとしたら、「女神」とは呼ばず「神」と呼んでいたはずだ。わざわざ男女の区別をつけているのだから、男の神がいる、すなわち二柱以上いると考えられる。

 

で、なんでその魔神とやらが封印されているのかというと、女神との争いに負けたかららしい。

 

と、ここでその争いの話に移って、時代は太古に遡る。それも、この世界の始まりにまでだ。

 

かつて、この地に神は二柱いた。同時に生まれた神たちは、その力でこの空間を創り出し...というところで早速仲違い。どちらが主導権を握るかで争いが起きる。だが、お互い戦っても決着はつかないと分かっていたため、自らが創り出した生命体を用いて代理戦争をさせることになった...なんか、ひ○らしとかうみ○この、駒を使った魔女たちの遊びみたいになってんな。

 

閑話休題。代理戦争の話に戻そう。魔神が創り出したのは、魔物。対して女神が創り出したのは、人間やそれに友好的な動物だった。神たちは己が創り出した生命体に、相手を滅ぼせという命令を下した。これが、人魔戦争の起源だった。

 

ちなみに、その時に神たちは己が創り出した生命体が有利になるような領域を広げ合った。それが今の聖素と魔素の元になったらしい。おそらく、魔物が人を襲うのも、人間が魔物を容赦なく殺せるのも、この時の命令が根付いているからなのだろう。もしかしたら、そもそもどうして魔王は人間と戦うのかという疑問がこの世界の人間に生まれなかったのも、その命令が染み付いていたために戦わないという選択肢が思い浮かばないからかもしれない。

 

またしても閑話休題。こうして始まった人魔戦争だが、知能が低かった魔物が知能の高い人間に勝てるはずがなく、女神側があっという間に勝利した。魔神は到底受け入れられず再戦を要求するが、当然呑まれることはなく、その後も創造を続ける女神の邪魔をしたため封印されることとなった。

 

その封印の地が、なんと、俺たちがついさっきまでいたシレンの穴の底らしい。女神はそこにもう一つの空間を創り出し、幽閉したそうだ。

 

幽閉されれば、当然無理矢理にでも出ようとするだろう。だが、封印があるため外には出られない。けれどその力の一端だけは外に漏れ出るらしい。それが、シレンの穴の中を丸ごと埋め尽くしている魔素だった。人間サイドに魔素を操ることができるのか、前から疑問だったがそういうことだったんだな。

 

そうして穴の底から漏れ出た魔素は、女神と人間の手によって、その穴から出ることのないように細工された。大量に横穴を作り、そこに魔素を流し込んでギミックを起動させるエネルギーとして消費させるのだ。エネルギーが節約できて都合がいいからという理由で、魔神封印の穴は百のダンジョンがある穴に生まれ変わったらしい。

 

こうして完璧に魔神が封印され、人魔戦争は終わりを告げた...はずだった。

 

魔神は女神より一枚上手だった。人魔戦争中、早々に負けると見切りをつけ、とある生命体を創り出した。それが魔王。魔神は元々自分の領土だった山に魔王を宿らせてから封印されたのだ。

 

それから長い長い時が経ち、魔王が動き出した。人魔戦争再来。魔王という存在によって統率が取れた魔物は、人間を圧倒した。

 

だが、結局は敗北した。女神が力を与えた勇者に倒されたのだ。

 

女神は魔王を倒すために、勇者に聖剣を与え、魔神が封印されているダンジョンの穴に潜らせた。魔王の力は魔神の力。魔神の力が漏れ出ているあの穴ならば、育成は容易かった。あっという間に勇者は完成し、魔王を打ち倒した。

 

そうして第二次人魔戦争は終わったころ、女神は魔神の封印が弱まっていることに気づいた。そこで勇者に、封印の強化をさせた。その方法が、聖剣を地面に刺すことだった。今は聖剣と勇者の力の完全解放という目的で伝わっているが、本来は封印の強化という意味があったようだ。

 

と、呑気に封印の強化をやっていた女神サイドだったが、魔王は死んではいなかった。また力を蓄え、人魔戦争を仕掛けるようになる。何百年も何千年も、それを繰り返してきた。目的は、魔神の封印を解くこと。だからその障害となる勇者と戦うのだ。

 

だから、封印が解けて魔神が復活したとしても、魔神が人間の絶滅を願わない限り、魔王が人間を滅ぼすことはないそうだ。まぁ、敵対する女神が創り出したものをそのまま残すとは思えないわけだが...

 

……といった感じか。自分で振り返る途中で気づいたこととかもあって話がどっか行きがちだったが、大体こんなところだろう。

 

「だいぶ面白い話を聞けたが...本当にここまで話してよかったのか?というか、よくそんな太古の時代の話まで知ってんな。しかもそんな精細なところまで」

 

「そりゃあ魔王様から聞いた話だからね。その当時を生きた者の話だから、正確なのは当然だ」

 

正直、そんな前から続いていた因縁だったのかと驚くと同時に、そんな神同士の争いの歴史が一切残っていないことが不思議に思う。女神が意図して消したんだろうか。

 

「それと、こんなに話して良いのかという話だが、最初に話した通り、こんなことを伝えたとしても、何も変わらないだろう?」

 

「まぁそれもそうだが...」

 

たしかに今の話を聞いたからと言って、俺たちが何か出来るわけでもないし、行動を変えるわけでもない。魔神が人間を滅ぼさない可能性にかけるなんて事しないし、封印をもっと強めておくかなんてのも意味がない。聞く前とやることは変わりない。

 

「もっとも、これから話すことは今後に重要なことだろうけどね」

 

「……なんだ?勿体ぶらずに言えよ」

 

「その前に最後の一口を...っと」

 

アクセルが最後の一口を味わう時間を待たされるが、それよりも次の情報が気になる。さっきの話よりも重要なことってなんだ?

 

「ふぅ...じゃあ結論から言おうか。人魔戦争は今回で最後だ」

 

「……なんだと?今回で終わり?」

 

「ああ。ハッキリ言って今回、魔王軍の戦力は史上最高だ。前回前々回からの仕込みもある。今回負ければ、この先の戦争に勝ち目はないだろう。だから、今回が最後。魔王様は今回の戦争に、言葉通り命をかけている。今回は魔王様の死が魔王軍の負けになる。逆に言えば、そうならなければこちらの勝ちだ」

 

「なるほど...仕込みってのが若干気になりはするが...こっちも戦力は史上最高だ。勝つのは俺らだぜ」

 

「それはどうかな」

 

お互い、軽くだが睨み合う。そして...

 

「ご馳走様。会計は任せてくれ」

 

ふっと笑ったかと思えば、アクセルは会計をしに行った。町に入れないのにちゃんと金は持ってたんだな...

 

「お、おう...」

 

「どうだった?さっきの話」

 

「だいぶこんがらがったが、まぁ理解はできた。聞く前にも言ったが、興味があるなら俺に聞いてくれ」

 

「お待たせ、会計は済ませた。出ようか」

 

「え、まだ居て良くない?」

 

「何を言っている。全員食べ終わったのだから、早く出た方がいいだろう?」

 

「空席何個かあるし良くない?もう少し話聞かせてよ」

 

クミリアお前は話なんて聞いてなかったろと思ったが、アクセルを引き止めるために言っているのだろう。もし引き止められたとして、話を聞くのは俺なんだよなぁ...

 

「それでも皿を下げたり机を拭いたりと色々あるだろ。話なら外でしてやる。出るぞ」

 

「魔族なのにそういうところ気にするのね...」

 

全員で店を出る。そして俺はアクセルの手をガッと握った。

 

「急にどうした?」

 

「お前マジで俺と気ぃ合うな...!」

 

さっきアクセルが言ったことは、俺が外食する時にたまに思うことでもあった。まだ地球にいた頃、家族と外食した時に、もう食べ終わってるのに会話し続けて居座っているのがすごい嫌だった。数分でも嫌なんだよな。すぐに出ようよと言っても別にいいじゃんと返されることがほとんどだった。

 

まさか、そんな俺と同じ考えを持つものが、異世界に居ただなんて...

 

「ほんと、お前が魔族じゃなかったらどれだけ良かったか...絶対親友になれたよ」

 

「なに、別に人と魔族だからといって親友になれないわけではあるまい。またこうやって変身させてくれれば、人間らしく仲良くすることだってできるさ」

 

「人間らしく、ねぇ...魔族らしい仲の良さってなんだ?」

 

「……すまない、魔族同士はあんまり仲が良くなくてな。私にもよくわからない」

 

「仲良くないんだ...まぁたしかに、フロートがみんなに嫌われてるってのは想像しやすいな」

 

「私は気に入っているんだけどな。私はフロートよりも...っと、まだ二人の名前はバレていないんだったね」

 

うわ惜しい...名前知るチャンスだったのにギリギリのところで気づかれたか。

 

「危ない危ない...このままだと色んなことを口走ってしまいそうだから、今日はここらで終わりにしようかな。みんな、私の我儘に付き合ってくれてありがとう」

 

「いいわよ別に。魔族も一枚岩じゃないのがわかって面白かったわ」

 

「一応言っておくが、勝負の時もこうだという勘違いはしないでくれよ?勝負の場であった時は...カリヤ、わかっているね?」

 

「ああ。その時は人間と魔族、対立する者として正々堂々戦ってやる。俺とお前は、一番のライバルだからな」

 

「ライバル...君にそう思ってくれていて、私も嬉しいよ」

 

そう言って、アクセルは立ち去ろうとする...が、すぐに立ち止まって振り返った。

 

「ところで、この変身はいつまで続くんだ?」

 

「あんたが遠くまで行けば自然と元に戻るはずよ。今すぐに解いて欲しいならそうするけれど」

 

「おっと怖い怖い...じゃあ退散させてもらおう。今日は本当に楽しく、良い日だった。またこんな日が訪れることを祈っているよ」

 

そう言って、今度こそアクセルは音速で立ち去っていった...前は聖域だと音速は出せてなかったよな?しっかり速くなってやがんな...

 

「ってか、最後まで魔族っぽくないこと言って去っていったな。ほんと、魔族じゃなければなぁ...」

 

アクセルと共に旅に出る...そんな、あり得ないifを思い浮かべる俺だった。




会話にするとまた長くなって次回に持ち越しなんてことになりかねないから、地の文での説明にしたところは成長なはず...!

次回は久しぶりの戦闘回になる...はず!
というか絶対にする!
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