前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
久しぶりの戦闘回です。
「巨大化魔物が増えてるらしいんで、全部殲滅しようと思います」
宿にて、依頼書を見せつけながら俺はみんなに向かって言う。
「巨大化魔物...最近増えてるらしいわね」
「ああ。各地で暴れ回ってるそうだから、中でも大きくて被害が出始め出るやつを討伐しにいくことにした」
「依頼書多っ、これ何枚あるの?」
「17枚。魔物の数は23だ。この数だし、全員で一体ずつ倒して回るよりも手分けしたほうがいいと思うんだが、どうだ?」
「その方がいいと思うわ。どう分ける?三人?それとも二人ずつ?」
「東西で分ければいいんじゃない?三々で分けようよ」
「そうするか。流石に二人ずつにすると、魔族が襲ってきた時に対応できなくなるしな。ってことは、俺とライトは別々の方がいいよな」
「じゃあ私とレストは一緒にしてもらいたいわね。この中で誰かの守りが必要なのって私とステラちゃんくらいだけど、ステラちゃんは空飛ぶし」
「となるとクミさんとステラちゃんがペアだね。じゃあ...こっちはカリヤもらいまーす」
「相性はその方が良いか。スピードタイプでまとまったな」
「僕はニアとレストか。なんか...バランス良いね」
うまい具合にスムーズにグループ分けが終わったな。
「それじゃあ分かれて倒しに行くか。俺らは東側を行くぞ。バラけてるから俺らが適任だ」
そういうわけで、俺たちは二手に分かれて巨大化魔物を倒すことになったのだった。
「一体目はあいつだな」
カイスに一番近いところにいる魔物のところまでやってきた。いい感じの岩があったので、それを遮蔽物にして様子を伺う。
「サイズ...かなりデカいね」
「そうか?まぁたしかに最近はシレンの穴の魔物ばっか見てたからデカく見えるけど、巨大化の中ではそこそこじゃね?」
巨大化魔物と戦うのが久しぶりすぎて、ちょっと感覚狂ってる気がする。十数メートルの魔物はデカい...デカくない?
「さて、どうやって戦おうか...あいつ確か物理耐性持ちなんだよなぁ」
「じゃあカリヤしか攻撃できないじゃん」
カイス側だから魔法耐性持ちが多いと読んでこっち側にしたんだけどなぁ...初っ端から当てが外れたな。魔法しか通らない以上、俺が戦うしかない。
「オーケーとりあえず行ってくるわ。真に神の使いになった俺の力を見せてやらァ!」
ずんぐりむっくりな鳥の魔物に向かって歩き始める。
「つっても、正面切って戦うつもりはないんだけどな...おい鳥頭。パァになっちまえ」
5114ページ 黒のみ 思考共有
超久しぶりな魔法を使い、今この瞬間に処理している速度探知の情報を全て魔物の脳に送りつける。
「……よし、動かなくなったな」
簡易無○空処みたいなのを受けて動けなくなっている魔物に近づく。足元まで来たがそれでも動かない。
「それじゃ、吹っ飛ばして魔素出して終わりだな」
9929ページ 黒のみ 閃光・改
魔力を大量に込めた閃光を射出し、魔物の頭部を丸ごと吹っ飛ばす。そうしたら、丸い肩の辺りに飛び乗って、速度操作で魔素の流出速度を加速させて魔物を小さくさせていく。
「神の使い効果なのかな。だいぶ加速の最大値伸びたな」
女神のバフのおかげか、能力のリミッターが少し外れたらしく、秒速77メートルまで加速できるようになっていた。そのため、魔素の流出もだいぶ早くなっており、数十秒もすれば元のサイズまで戻った。
「ただ、加速が範囲拡大に追いついてないんだよなぁ...」
加速の最大値が伸びると同時に、能力の適用範囲も同じく広がった。半径6メートルだったのが今は6.8メートルだ。結構広がったのもあって、頭に入ってくる情報量が急激に増えた。一気に増えたせいで、まだ脳が慣れておらず速度操作を使おうとすると少し頭が痛くなってしまう。いずれ慣れるとは思うが...範囲が広いのも考えものだな。
「よーし二人とも。次行くぞー...って、マジか」
二人のところに戻り、いざ次の魔物のところに行こうとしていたら、急に俺たちのいる場所に影が差した。
「おお、向こうから来たね」
「虫だ...あの大きさの翅でよく飛べるね」
「案外翅は飾りなのかもな。ステラの魔道具みたいな感じで」
ステラの持つカバン型の魔道具は、飛行するときに天使の羽みたいなのが生える。けれど、それを羽ばたかせて飛ぶわけではなく、ただ単に飛行魔法を安定発動させるための機構であり、言ってしまえば飾りみたいなものなのだ。あの魔物も、あの大きさの翅で体を支えられるわけないから実際には魔法で飛んでいるのだろう。
「それじゃあ二人で特攻してくるわ。ステラサポート頼むぞ」
「りょーかい!」
ステラは空を飛び、弓矢を放って魔物に牽制し出す。
「クミリア行くぞ」
「あいあいさー!」
ステラが空から攻撃して魔物の注意を引いている間に、地上を走って魔物に近づく。
「ほれ行ってこい!」
7713ページ 黒 赤 重力操作
クミリアが地面を蹴った瞬間に、真上に向かって重力を切り替える。結果、ものすごい速度で吹っ飛んでいき、蹴りが胴体の一部をもぎ取っていく。
「続いて俺も!」
刀に手を添えながら、魔物に向かって跳躍する。
『色彩剣装 原色・赤』
『色彩剣装 原色・緑』
「混ぜて混色の黄!」
見えない刃が空間ごと切り裂きながら伸びていく。微妙に距離が遠く、重量のせいで両断するまでには至らなかったが、斬撃は命中し、空間の裂け目によるダメージが続けて入る。
「こんなんでいいんじゃなーい?」
「だな。二人とも離だ...逃げやがった!」
あとは魔素を抜くだけってところで、魔物が逃げ始めた。空高く飛んでいったため、跳躍だけでは届かなさそうだ。
「追うしかないか...!」
ただでさえ飛行魔法が苦手な俺が、能力で頭痛を起こす今の状態で飛べばほぼ間違いなく制御を誤って墜落するだろう。魔物が飛んでいく方向に地を走って追いかけ続けるしかない...か?
「私追いかけ...るけどカリヤも連れてった方がいいよね?」
「それだ!頼んだステラ!」
その手があったかとステラを褒めながら一旦合流。ステラに俺を抱えさせ、一緒に飛ぶことで魔物に追い縋る。
「ちょっ...と重い...!」
「それはゴメンほんとに一旦武器しまうわ」
魔道具を通して次元収納に武器をしまい、少しでも重量を軽くする。これでさらに速度が上がって...
「追いついた!ありがとうステラ!俺はあいつに飛び移るからクミリアをここまで連れてきてくれ頼む!」
「わかった!カリヤ頑張って!」
ひょいとステラに放り投げられた俺は、ダガーを次元収納から取り出して魔物の身体に突き刺し、なんとかへばりつく。
「ほーら落ちろ!」
魔素の流出速度加速。それと同時に、翅の動く速度を落としていく。どうやら翅の動きが飛行魔法の出力に直結しているようで、翅の動きが遅くなると共に高度も落ちていく。
「ちょうどいいな。これなら着地も簡単...って、お前魔法使えるのな」
ステラが引きつけてくれていたおかげでこっちに飛んでくることがなかったから、全然気づかなかった。頭痛で注意力散漫になってんな...とりあえず避けるか。
ダガーを突き刺しながら魔物の体表面を移動し、魔法を回避する。感覚としては、マリ○ギャラクシーのハチの女王の体を這いずり回るアレみたいな感じだな。こいつも虫だし、ほんとにちょっと似てんな...まぁ、毛はないんだけども。
「ってか、こいつエイムいいな...張り付かれるのを想定してんのか?」
魔法が飛んでくるけれども、どれもうまい具合に魔物自身には当たらないような軌道で飛んできている。自滅を誘おうとしていたけど、そう思惑通りには行かないみたいだ。
「まっ、どっちみち結末は変わらないが...な!」
サイズがだいぶ小さくなってきた段階でダガーを深々と突き刺し、そのまま勢いよく振り抜いて肉を剥ぎ取る。それが致命傷となり、魔法の生成が止まる。飛行魔法も完全に止まって落下するが、もうほぼ地上付近なため普通に着地して地面との激突を回避する。
「だいぶ遠くまで来たな...ここに逃げたってことは、ここらに巣でもあるのか?」
この魔物が元々住んでいた巣、もしくは魔族がこいつを巨大化させた地点、何か拠点のようなものがあるのだろうか。それとも単純に俺たちから離れようとしていただけなのか...情報少ないし無駄な推測か。頭疲れるしここらでやめておこう。
「あっ見つけた!おーーい!」
少し待っていたら、二人が俺を見つけて空から降りてきた。二人とも目がめっちゃ良いし、やっぱり見つけるの早いな。
「かなり遠くまで来たねー」
「山一つ越えちゃったじゃん。次の場所どこなんだっけ?」
「あっちの方だから...とりあえず山越えは必須だな。というかそれよりもなんだよな...」
「どうしたの?」
「さっきのやつ、依頼になかったやつなんだよな...最近作られたやつなのかな?」
「ってことは、もしかしたら他にももっといるかもってこと?」
「だな。ここら辺にはいないって話だけど、一応見回りくらいはした方がいいかもしれんな...どうした?クミリア」
なんか変な方向を向いてるのが気になり、クミリアに聞いてみる。
「え?なんか変な音が聞こえるなーって思って」
「変な音?」
「金属同士がぶつかってるっていうか...もしかしてこれ、戦闘音?」
「魔物と誰かが戦ってるってことか?こんな町から遠いところで?」
「こんな時間だし、昨日からここら辺にいる冒険者なのかも」
「ただ戦ってるだけなら俺らとは関係ないな。巨大化魔物なら介入するけど、そうでないなら手助け無用だろうし」
そう、俺が言った瞬間だった。
突如として巨大な魔物が魔法に撃ち抜かれながら現れた。少しよろめきながらこちら側に向かって後退りしてくる...って潰される⁉︎
「あっっぶね!!」
急いで二人を抱えて走ったおかげで、なんとか魔物に踏み潰されるのを防ぐ。戦っているのが巨大化魔物なら話は別だ。加勢してこいつを仕留めなければ。
「巻き込まれたんでな、助太刀を...っ⁉︎」
魔物に向かって飛んでいく魔法使いに声をかけようとして気づいた。その男が誰であるかに。
「お前は...!」
「近づくまで気づけないのが結構面倒よね...」
「デカいから見つけやすいだろうと思ってたけど、まさか細工されてるなんてね」
そんなにデカいのなら簡単に見つかると思って空から索敵していたのに一切見つからなくて、ここのはずなのにおかしいなと思いながら降下したら急に魔物が現れてびっくりした。どうやら、存在がバレないようにある一定の距離まで近づかなければ見えないように魔法がかけられているらしい。存在に気づいた頃にはもう魔物の攻撃射程圏内だからかなり危険だ。よくここまで位置情報がギルドに集まったなと思えるくらいだね。
「でも、ライトの聖剣があるから倒すのは簡単なのよね。見つけることの方が難しいまであるわよこれだと」
そう、僕の聖剣の力があれば、巨大化魔物は一瞬で倒すことができる。聖域展開を魔物に突き刺す形で行えば、巨大化魔物の中にある魔素全てが反転するのでそのまま死に至らしめられるのだ。遠距離でも、必殺技を使えば同じようなことができる。カリヤは魔素を追い出す必要があるから時間がかかるけど、僕の場合は一瞬でできるから楽だね。
「移動の方が時間かかってるもんね」
カリヤがいないため、超高速移動はできない。僕がレストを抱えて、ニアと共に飛行で移動するしか手はない。移動に時間がかかる代わりに、戦闘はほとんど一瞬で終わるから、進度的にはあまり変わりはないとは思う。
「いい加減レストも飛行魔法使えるようになったらどうなのよ」
「飛べるなら飛びたいよ僕も。適性がないんだからしょうがないじゃん」
飛べたら戦術の幅が大きく広がるのになとは思うけど、適性がないんだからしょうがない。ステラが使ってるような、空を飛べる魔道具があればいいんだけどね。
「……あっ、見つけた。行くよ」
レスト飛べない問題について話している間に、次の目的地にたどり着いた。認識阻害の壁を超えたため、巨大な魔物が姿を表す。ゴーレムだ。
「攻撃来るわ!レスト!」
「任して」
レストを掴んでいた手を離し、空中に放り捨てる。放されたレストは空中で体勢を整えると、盾を起動してゴーレムの拳を勢いよく下へと弾き飛ばした。拳が地面に叩きつけられ、大量の土砂が舞うが、その土砂を盾に当てて弾き飛ばす反作用を利用して落下速度を減速、そのまま着地する。
「ゴーレム...固そうだけど聖剣なら!」
『聖剣展開』
聖剣を展開しながら飛行魔法を解除し、それと同時に真下への重力を増やして落下の勢いを強める。その勢いを利用しながら聖剣を振り下ろし、地面に突き刺さったままの手を肘から先丸ごと切り飛ばす。
「チッ...やっぱり魔法は効きづらいわね...!」
ニアが強力な魔法を魔物に撃ち込むも、どうやら魔法耐性があるようであまり効き目がない。さっきからこの調子だから、ニアとクミリアが逆だったら良かったのにと思ってしまう。どうしてガネル側なのに魔法耐性を持っている方が多いのだろう。こうなることを予想して、魔族たちは逆に配置したのだろうか。
「ったく、しょうがないわねぇ...!」
残っているもう片方の腕を振り上げた魔物に大量の鎖が巻き付いて、動きを阻害する。魔法攻撃が通らないなら、妨害に徹する。ニアはすぐに切り替えて行動していた。
「さっさとやっちゃいなさい!」
「わかってるよ」
『聖剣納刀』
聖剣を鞘付きの状態に戻し、魔物の胸付近に近づいて突き刺す。
「『聖域展開』!」
魔物の体内に聖域を作り出す。すると体内に詰め込まれていた魔素が一瞬にして聖素に入れ替わり、それに呼応して巨大化も一瞬で解除される。次の瞬間、自らの体積では有り余るほどの聖素が収まることができず、行き場を失った聖素が放出、内側から魔物を浄化して消滅させてしまう。
「ふぅ...」
魔物が消滅したことで、聖剣の切っ先が何にも触れていない状態になったため自動的に聖域展開が解除される。この技は何かに刺している時にしか発動しないため、切っ先が何かに触れていないと止まってしまうのだ。
「まーた魔法が効かない魔物だったわね...」
「そうだね。でもだからといって、あんなに魔法を撃ち込むのはやめた方がいいと思うよ。魔力足りる?」
聖域展開でどこでも魔力を回復できるとはいえ、カリヤがいないからその回復量は微々たるものだ。いつもの調子で強力な魔法を撃ちまくっていたら、いずれ魔力切れになってしまうだろう。
「しばらくは大丈夫よ。減ったとしても、魔力体に使ってる魔力を戻せば回復はできるし。できれば途中で補給したいところではあるけど...どいつもこいつも魔法を使ってこないのよね」
そう、今まで戦ってきた魔物たちはいずれも、魔法を一切使わない物理型だった。そのせいで、ニアは魔法核酸を使った魔力補給をできていないのだ。レストも魔力貯蔵ができていないため、カウンターを思ったように使えていない。これらが出来ていれば、もっと戦いやすいんだけど...僕も魔力が無限にあるわけじゃないし、どこかで休憩を入れる必要はありそうだね。
「ニアがこっち側に来るって魔族たちに読まれてたのかな...」
「あの時の会話をフロート辺りに聞かれていたのかも」
「あり得なくはないわね...転移でカイス側の魔物と入れ替えればいいわけだし」
「でもそれだと、依頼書の情報と食い違ってるはずだよ。見た目の情報と位置情報は依頼書の通りだから、転移で入れ替えたわけではないんじゃないかな。多分最初の配置の段階で、こっち側にニアが来ると読まれてたんだと思う」
「でも、そもそも二手に分かれること自体今日の朝決まったことよね?私たちが全員で行動していたら、この細工は何の意味も成さないわ」
「二手に分かれることを仕向けられたのかな。あれだけ多く巨大化魔物を配置しておけば、誰だって分担することを考える。その時にカイス側を広くばらつかせておけばカリヤはそっちに行くはずだし、カリヤは以前、カイスで魔法耐性持ちを、ガネルで物理耐性持ちの魔物と戦わされた経験があるから、カイス側に行く時にクミリアとステラを連れて行く可能性が高い」
「なるほど...誰がどう組むかは私たちが決めたつもりでいたけれど、もし私たちが何も口を出さなかったとしてもカリヤはこういう風に分ける。それを魔族が読んでいたから、配置の段階で細工ができたわけね」
「こう言うとあれだけど、カリヤの性格とか考え方は、アクセル経由でだいぶ魔族側に漏れてるだろうし、読むのは簡単だったと思う。でも、ちょっと変なところもあるんだよね」
「変なところって?」
「魔物の情報が偏りすぎなんだ。姿形と位置がわかっていて、魔法が効くかどうかの情報が一切ないのがおかしい。姿と位置がわかってるということは、一回魔物と会ってるということ。情報がギルドに伝わっているから、その人は生還しているはず。逃げる時に魔法での攻撃を一回もしてないなんていうのは不自然だよね?」
「……たしかに、それもそうよね」
「これは憶測でしかないんだけど...ギルドの職員に魔族が紛れ込んでいるんだと思う。そいつが意図的に魔族の情報を隠す、もしくは流してるんだ」
「ギルド内部から情報操作をしてるってわけね。フロートがやりそうなことだわ」
「いや、多分フロートは関与してないと思う。フロートはいろんな人の姿で暗躍してるでしょ?だから長期間一人になりすまし続けるのは難しい。この情報操作は一回でできるものではないから、それ専用に人員が割かれてると思う」
「フロート以外となると、転移か魔素使い?それともまだ未発見の魔族か...」
「誰がそうなのかはわからないけど、ギルドの職員には少し警戒したほうがいいかもしれないね。じゃあ休憩はここらで終わりにして、次に行こうか」
会話をすることによって自然に休憩を織り交ぜていたけど、そろそろ次の場所まで移動しておこう。
……実はもう一つ気になってることがあるけど、これは移動中に言おうかな。
巨大化魔物を倒した後にばら撒かれるあの大量の魔素。あれは時間経過で勝手に消滅するものなのだろうか。それなら別に何の問題にもならないけど、もしそのまま残り続けるとしたら?魔素と聖素の量は元来一対一、均等だ。そのバランスが崩れてしまうことになる。もしかしたら、それがカリヤが言っていた、女神の力が落ちてるという話に繋がっているのだろうか。
……うん、自分だけで考えててもわからないし、ニアとレストの意見も聞いてみよう。
そう思い、口を開こうとしたその時だった。
突如として地面が揺れる。
全員危険を感じ取り、即座にその場から飛び退く。
次の瞬間、地を割って巨大な魔物が飛び出してきた。
「急に何よこの魔物!こんなの依頼書にあった⁉︎」
「いやなかった!新たに作られたか、ギルドの魔族が隠した魔物だ!」
どうせこいつも魔法が効かないような種類のやつなんだろう。一旦レストに攻撃を凌いでもらってから、ニアに拘束してもらって僕がトドメを刺せば...!
「……って地面が⁉︎」
地面が急にどろどろになり、足どころか腰ぐらいまで浸かってしまう。これがあの魔物の能力...地面の中を進む時に泥にして進みやすくする力を、僕たちの動きを妨害するために使ったのか。巨大化の影響か泥になった範囲が広い。一足先に飛び始めていたニアを除いて、泥で身動きが取れなくなってしまう。
「まずい、攻撃が...!」
急いで障壁を展開して魔物の突進攻撃を受け止める。攻撃方法は突進しかないみたいだからダメージをもらうことはないだろうけど、このままだと攻撃ができない。
……なるほど、こいつはデバフを喰らわない勇者対策の魔物か。勇者である僕自身ではなく、地面に魔法をかけることによって間接的に妨害をする。僕がこっち側に来ることも読まれていたか...!
「ライト!早く抜け出しなさい!やっぱり魔法じゃ倒せない!」
「そうは言っても、取っ掛かりが...まずい、このまま固められたら...!」
抜け出そうともがいたら逆に深くまで引き摺り込まれそうで、思ったように動けない。けれど、このままだと地面の泥化を解除されて完全に抜け出せなくなってしまう。
「早くなんとかしないと...え?」
魔物が再度突進しようとしてきていたので障壁を貼り直して防御しようとしたその時だった。
何か、槍のようなものが魔物の側頭部に突き刺さり、勢いよく真横へと吹き飛ばしていったのだ。
魔物が離れたためか、地面の泥化が解除される。けれど、魔物から遠い位置から段階的に解除されるようになっていたため、足先の地面が先に固まり、足の踏み場ができた。地面を蹴ることで、泥地帯を抜け出すことに成功する。
「い、今の攻撃は一体誰が...」
服についた泥をはたき落としながら、槍が飛んできた方向を見る。そこにいたのは...
「き、君は...!」
勇者/神の使いの目の前に現れたのは...
「アライブ...⁉︎」/「スート⁉︎」
勇者に選ばれなかった、脱落者たちだった。
退場したと思ってたキャラの再登場は良いものですね...書いてる最中に良いんじゃね?って思いついただけなんですけどね。
あまりにもライブ感で書きすぎているから、いつか設定崩壊したりしないか心配で仕方がない...今更だし、なんならあらかじめ決まっていた話の方が少ないから問題ないか!