前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8309字。

きっかり戦争開始直前まで書き切りました。
次回人魔戦争開始です。


開戦の狼煙

ステラちゃんに見守られながら、しかも速度操作を発動せずに寝た俺は、ぐっすりと寝ることが起き、無事陽が昇る前に目が覚めた。だいぶ早い時間に寝たからまだこの時間だけど、普通に半日以上は寝た。十七時間くらいか?一回も起きずにここまで寝れるとは...本当に疲れてたんだな。

 

「それで問題は...これだな」

 

なぜか!俺の隣で!ステラが寝てる!ほんとなんで⁉︎

 

「……大方、俺がちゃんと寝てからも見守っていたら寝落ちして、でも椅子に座ったままだから眠りが浅くすぐ目覚めた。でも寝ぼけたままだからとりあえずベッドに入ろうとして潜り込んできた...とか?」

 

まぁなんにせよ、どう考えても大問題すぎる。運がいいことに、ステラは布団の中にまでは潜り込んできていない。布団の上からベッドに乗って寝ているだけだ。ギリギリ致命傷は回避しているけど、誰かに見られたら死にかねないことには変わりない。

 

……一旦、速度操作を発動して出来る限りゆっくーり動いて、ステラを起こさないようにしながらベッドから降りる。

 

「……さて、どうしよう」

 

ステラをこのままにしておくわけにはいかまい。ステラの部屋に運んだ方がいいだろう。まだ夜だし、廊下には誰もいないはず。ここから少し遠いところだけど、移動中に誰かに見られる心配はいらないだろう。

 

「よし、一旦運ぶ前に扉だけ開けといて...あっ」

 

やべ、ついいつもの癖で独り言喋ってたせいでステラ起きちゃった。

 

「ふわぁ...あれ...カリヤぁ?」

 

「よ、よぉステラ。おはよう」

 

「そっかぁ...寝ちゃったんだっけ...もうちょい寝るぅ」

 

「ちょい待てステラ寝るならせめて自分の部屋で寝てくれ俺のところで寝るな...!」

 

「え...ここどこぉ?」

 

「俺の部屋だよほらステラん部屋行くぞ」

 

「んー」

 

むくりと起き上がったステラの手を引いて、部屋を出る。

 

「眠い...カリヤは寝れたぁ?」

 

寝ぼけ眼で、軽く目を擦りながらステラが聞いてきた。

 

「バッチリ寝れたわ。それこそ、ステラが潜り込もうとしているのに気づかないくらいにはな」

 

「んー?」

 

よくわからないといった様子だけど、寝起きで頭が回ってないんだろう。

 

「ほらステラ、ここだぞ」

 

ステラの部屋の前にたどり着いた。

 

「ふわぁ...カリヤおやすみ〜」

 

「ああ、おやすみ」

 

ステラは少しふらつきながら部屋に入っていき、そのままベッドに倒れるように寝転がった。そこまで確認した俺は扉を閉め、自分の部屋に戻る。

 

「……さて、なんか変なイベントが挟まったが...何をしよう」

 

まだ日の出まで時間がある。こんな早い時間に目覚めるのなんて久しぶりだし、何かしたいな。既に二度寝できないくらい頭が冴えきってしまってるし。

 

「……一旦風呂でも入るか。日没前に寝ちゃったから入れてなかったし。そのあとぷらーっと散歩でもして時間潰そう」

 

そんな感じで適当に予定を立てた俺は、着替えとタオルを持って風呂場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてステラ、今日は何をするか覚えてるか?」

 

今日もそれぞれ分担して動く中、俺とステラはガネルに来ていた。昨日できなかったことの続きをしに来たのだ。

 

「うん!ガネルの冒険者の育成と、人材集めだよね」

 

「ああ、大体そんな感じだ。というわけで、ステラには人を探してもらいたい。とりあえず、フレアとミレアを探してくれ。昨日会った女の子二人だ。覚えてるか?」

 

「覚えてるよ。見つけたらどこに行けばいいの?」

 

「んー...人が多いところだと見つけにくいから、南側の門の近く辺りにいてくれ」

 

ギルドや北の門辺りは冒険者が多く集まっているから、待ち合わせには使えない。南の門も今は他の町からの往来があるから混み合ってはいるけど、ギルドほどではない。すぐに見つけられるはずだ。

 

「わかった。じゃあ行ってくるねー」

 

空を飛んでいくステラ。フレアたち、ちっちゃいから上から見るよりも歩いて探した方が探しやすそうだけど...まぁいいか。

 

「……気にしてないで探すか。こっちはこっちで探す人多いんだよなー」

 

人材集め。これは今冒険者じゃない人の中で素質のある人を探す、という意味ではない。ガネルの冒険者という枠組みで戦闘するのではなく、俺たち勇者パーティーに混じって戦う人を集める、といった意味だ。

 

冒険者の中には、他をことごとく凌駕する才能を持った者がたまに混じっている。そんな人を、防衛だけに使うのはどう考えても非効率的だ。俺たちと共に攻撃し、前に進むために戦わせたい。攻撃は最大の防御とも言う。攻め入ることは町を守ることに繋がる。だから高い戦闘能力を持つ人を、別働隊として招き入れたいのだ。まぁ、もう一つ理由はあるが。

 

「速度探知だけで人まで見分けられたら楽なんだけど...!」

 

人混みの中に入り、目当ての人物がいないかを目視で確認する。速度探知で見れる体型は参考程度にしかならない。特徴ある武器を持っている人はすぐにわかるけど、そうでもない限り速度探知だけでは特定することは難しい。結局は目視が一番だ。

 

「……っと、武器で発見できる奴を目視で見つけちった」

 

少し遠くにいたそいつに向かって、人混みをかきわけながら進む。

 

「おーい、カノウー!」

 

「……誰か呼んだか?」

 

「ここだここ!カリヤだ!」

 

「おお、カリヤか。久しぶりだな」

 

目当ての人物一人目、カノウとの接触にひとまず成功した。別働隊入りに乗ってくれるかはわからないが、交渉の腕の見せ所だな。

 

「……で、久しぶりに見かけたから声をかけたってわけじゃないんだろ?何の用だ?」

 

「単刀直入に言うと、戦争の時、俺ら勇者パーティーと一緒に来て戦ってもらいたい。カノウのその力、防衛だけに使うには勿体なさすぎる。近距離遠距離どちらもできるアタッカーとして、お前が欲しい」

 

「……別に構わないが...必要あるのか?」

 

「必要大有りだ。俺たちは魔物を薙ぎ倒しながら進んで、魔王城まで向かわないといけない。しかも、たどり着いたらそこで終わりなわけじゃない。そこでも戦う必要がある」

 

「道中で魔力やスタミナを使いすぎないように、代わりに戦ってくれる戦力が欲しい...ということか?」

 

そう、これがもう一つの理由だ。速度操作での加速で魔力もスタミナも回復できるけれど、感覚としての疲労感は拭えない。疲れた状態で魔王と戦うなんてことになったら最悪だ。ただでさえ魔族たちとの戦闘も間に挟まるというのに、そこに辿り着くまでに消耗しきっては目も当てられない。魔王城までの道筋は、誰かに戦ってもらうのが得策だ。

 

「そんな感じだ。ああ、一応言っておくが、魔王城前まで着いたら、ガネルにみんな帰らせる予定だ。流石に魔王討伐まで付き合わせるつもりはないよ」

 

「なるほど...安全に帰れるってんなら、断る理由がないな。その話、乗らせてもらう」

 

「助かる、ありがとうカノウ。そうしたら、南の門の辺りで待っていてくれ。他にも何人か呼ぶつもりだから、全員集まるまで待機だ。いいか?」

 

「了解した...あ、そうそう。次会った時に伝えようと思っていたことがあったんだった」

 

「なんだ?」

 

「これ、お前が作らせたんだってな。いい武器だ。使わせてもらっているよ」

 

と、カノウは自分の持つ刀に触れながら言った。そういえば、前は普通の剣を使っていたな...刀に変えたんだな。

 

「俺はイメージを出しただけ、その刀がいいのは鍛冶師の腕がよかっただけさ。じゃあな」

 

その場を後にして、次の人を探しにいく。

 

「えーっと、あと見つけたいのは...三人か」

 

とりあえず戦力になりそうだと思い浮かんだのが、さっきのカノウを含めて四人。まぁ、他にも強そうな人を見かけたら声をかけるつもりではあるけど...

 

「みーつけた。戦力にしたい人第一位!」

 

人混みを嫌ったのか、大通りから少し外れたところにいるのを見つけたので、近づいて声をかける。

 

「よっすワンナ。久しぶり」

 

「……久しぶり」

 

俺としては半月前くらいに会ってるんだよなと思いながらワンナの返事を聞く。まぁ、あれはフロートだったわけだけど。

 

「こんなところで何をしてんだ?」

 

「ギルドに頼まれていてね、ここから、あそこにいる人たちの一番の武器を見ていたのさ。略奪をほんの一瞬だけ使ってすぐに解除すれば、本人にはバレずに力を覗き見ることができる。その情報を報告するんだ」

 

「そんなことしてたのか...」

 

ギルドがそんなことをねぇ...何のために?冒険者の情報は元々ギルド側も持っているはず。わざわざ確認する理由がなくないか?やはり、ライトが言っていたように、魔族が紛れ込んでいて最新の情報を集めようとしているとか...?

 

「あとは、魔族を見分けるためでもある。どうやら略奪は、魔族と人間を見分けることができるらしい。この集団の中に魔族が紛れ込んでいないか調べるというのも、ギルドの依頼のうちだ」

 

「あっ、なるほど...」

 

それなら納得だ。というか、情報収集の方がついでなんだろうな。

 

「……で、それを踏まえると、あの時アクセルに略奪をした時と同じ反応をしたカリヤは魔族なんじゃないか...と思えてしまうんだが、どう?」

 

「どう?ってなんだよ。何聞きたいのかよくわからん」

 

「まさか魔族だったりしない?」

 

「んなわけあるか」

 

「そりゃそうだよな。いやすまない、あまりにもこの作業が退屈だったもんで、少し意地悪したくなった。反応が淡白すぎて退屈なままだけどね」

 

「今のは慌てふためいてくのが正解だったのか?...そんなに退屈なら、いい話がある」

 

「いい話?それは退屈しないかい?」

 

「しないさ。戦争の時、俺ら勇者パーティーについてきて共に戦ってくれないか?って打診だ。このままギルドの言うこと聞いて戦うだけよりかは、よっぽど退屈しないはずだぜ?」

 

「ふむ...たしかに面白そうだ。カリヤの仲間たちの力をいくつか奪うのはありか?」

 

「物によってはありだ。基本は、魔物から奪って欲しいところではあるが」

 

「了解した。当日はそっちに行く。いつそっちに合流すればいい?」

 

「そういった話はあとでまとめてやるつもりだ。他にも何人か呼ぶつもりだからな。とりあえず、その作業が終わったらでいいから南の門の近くまで行ってくれ。俺はまだいないかもだけど、もうカノウが待ってるはずだから、一緒に待っていてくれ」

 

「じゃあ早速ギルドに報告して向かうとしよう」

 

そう言うとワンナは足早にこの場を去っていった。

 

「よし、ワンナ引き込めたのはデカいぞ...!」

 

ワンナの武器は、略奪によって生まれる手数の多さだ。単純に魔物の力を削ぐことはもちろんのこと、俺たちから魔法をいくつか奪って使うこともできる。しかもこれ、適性や技量ごと奪うため、本人と同じ精度で使うことができるのもポイントが高い。例えば、他と一線を画しているニアの魔法拡散をそのまま使うことがでるし、聖域の中なら蘇生魔法も使えるだろう。

 

さらに嬉しいのが、奪った魔法を発動させるのに使う魔力はワンナの魔力だということ。何を当たり前なことを言っているんだと思われるかもしれないが、言ってしまえば、もしニアが魔力切れになったとしても蘇生魔法を使える、ということなのだ。本人の代理で魔法を発動することができる。魔力切れを起こすことなんてそうそうないだろうけど、魔力の節約に使うには良い能力だ。

 

そして最後。ワンナの一番重要な役割は、魔族キラーであること。さっきワンナ自身も言っていた通り、略奪は魔族に効く。いつもは俺かニアが、大量の魔力を消費して発動させていたけれど、ワンナならほぼ魔力消費無しで魔族を抑えられる。正直、魔王城の中までついてきてもらいたい人No. 1だ...本当に来てもらおうかな?

 

「よし、次探そう...つっても、ここにいるかはわからんが...」

 

残る二人は魔法使いなため、ガネルにいるかどうか不明だ。カイスにいる可能性もあるし、片方は戦力的に王都やカリスの防衛担当になっていても不思議ではない。とりあえず全部回って、いなかったら他の町を探すことにしよう。

 

「っと、その前に少し休憩...」

 

昨日たっぷり休んだとはいえ、この人混みの中にずっと居たら流石に疲れる。能力関係無く疲れるのもそうだけど、やっぱり情報量多くてしんどい。

 

一度休憩して、頭痛が治ってから探すことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……見つけた!」

 

捜索再開してしばらく経ち、ようやく一人見つけることができた。ちゃんとこっちに来ていたようでよかった。

 

「よぉ、久しぶりだなカイ」

 

「ん?...ああ、カリヤか。久しぶり」

 

三人目はカイだ。一点特化の熱操作は、単純な力ながらも絶大な威力を叩き出せる。魔物を一瞬で焼き尽くし、周囲の空気ごと氷漬けにできる。範囲攻撃可能な魔法アタッカー。是非とも戦力として取り入れたい。

 

「こう言うと不謹慎だが...こうやって一丸となって魔物と戦うとなると、あの時を思い出すな。懐かしささえ出てくる」

 

「懐かしい...か。たしかにそうだな。カイにとっては半年ぶりなわけか」

 

多分だが、カイスでの戦争を懐かしむ時、カイの頭にはその日に死んでしまった相棒のことが浮かんでいるはずだが...この様子だと、もう完全に吹っ切れてるようだな。

 

「噂で聞いたが、カリヤはガネルでも戦争したんだってな。魔族と戦ったんだって?」

 

「そうなんだよ。アクセルってんだが、驚くことに以前依頼で一緒に戦ったことがある奴でさ、まさか魔族だったとはーってなったわ」

 

「そんなことになってたのか...」

 

「ってか、これ結構有名になりつつある話なんだけど、カイは知らなかったのか?」

 

「ああ。魔法の修行をずっとしていて、あまりギルドには行っていなかったからな。噂を聞く機会があまりなく、人伝に聞くくらいだったんだ」

 

「なるほど...修行って具体的にどんなのだ?熱操作をさらに極めたのか?」

 

「いや、他の魔法にも手を出してみたんだ。といっても、熱操作に比べたらあまり上手くは使えないが...水分操作は人並みにできるようにはなったよ。いずれ、ミリフに追いついてみせる」

 

「……頑張れよ」

 

「当然だ。それはそうと...カリヤ、さっき誰かとこんな話をしていなかったか?戦争の時に、勇者パーティーについてきて一緒に戦ってくれ...みたいな」

 

「マジか、近くにいたのかよ...今声をかけたのは、その話をカイにもしようと思ってのことだ。どうだ?乗ってくれるか?」

 

「うーん...どうして僕が?他にも強い人は山ほどいるだろ」

 

「今のところ引き入れたのは、近中距離の物理職に、大体なんでもできる万能枠。となると、足りないのは広範囲に攻撃できる魔法使い。その条件で、火力も持ち合わせていて、なおかつ俺の知り合いってなるとお前しかいないんだ」

 

「俺の知り合いにもっと強い魔法使いいるぞ?紹介しようか?」

 

「……カイお前、熱操作が弱いとか思ってないよな?」

 

「そんなことないけど...?」

 

「じゃあ来てくれよ。絶対零度領域なんてものを使えるのはお前しかいないんだ。お前は十分に強い。来てくれると本当に助かる。俺はお前が欲しい」

 

「……そこまで言うなら構わないが...まさか、そこまで俺のことを買ってくれているとはな」

 

「当然だ。熱を操るとかいう魔法が弱いわけない。となると、それを極めた魔法使いは当然強いだろ?」

 

どこぞの魔術○の赤も炎が普通に強すぎて二回も退場させられたんだ。カイの熱操作はそれに加えて、ホル○神みたいな氷や冷気まで扱えるんだから、これで弱い方がおかしい。クソ強ス○ンド二つくっつけたようなもんだぞ。

 

「それじゃあ詳細は後で説明するから、南の門の辺りで待っていてくれ。俺が持ってるこの武器と同じようなのを持ってる人がいたら、そいつのところに行けばいい」

 

「わかった」

 

カイが南に向けて歩いていく。妙に早く人混みを抜けられているのは、通りたい道を微妙にあったかくして、そこにいる人が無意識のうちにそこを避けているからだろうか。随分変なことに魔法使ってんなオイ。

 

「よし、あと一人...!」

 

最後の一人が、ガネルにいることを祈りながら探し回る。ギルドで誰がどこの担当になったのかを聞ければいいんだけど、たとえ神の使いであったとしてもそこまでは教えてくれなかった。サーマルならポロッと言ってくれそうな気がするけど、昨日も今日も受付にいなかったんだよな。

 

「……いたっ!」

 

最後の一人は、速度探知でも見つけることができる。それだけ、特殊な身体的特徴を持つ人間だった。

 

「まさか、速度探知で見つけられる君が最後になるとは...ナルミさん」

 

最後の一人、それはカイスの戦争の時に、ほんの少しの間だけ共闘したナルミという名の少女だった。ほんの少しと言っても、フロートを撃退するのに一役買った功労者なのだが。

 

「……えっ?神の使い⁉︎お久しぶりです!」

 

「ああ、久しぶり。カイスの戦争の時以来だな」

 

あの時共闘したけれど、実はあの後一度も会話をしていなかったりする。俺にしては珍しいけれど、なぜか会う機会がなかったんだよな。ガネル行った時ぐらいの俺なら、町中探し回ってでも挨拶しに行っていただろうけど...あの頃はまだそんなことするような性格してなかったからな。能動的に会いに行くようなことはしていなかった。

 

「あの時は助けていただいて本当にありがとうございました!感謝できずにいて、それが心残りで...」

 

あの時...ああ、降ってきた巨大化魔物を回避した時の話か。

 

「感謝はいらないよ。ああやって助けるのは、あの場にいれば誰だってやることだし。逆に感謝したいのはこっちだ。あの時ナルミさんがいなければ、フロートを倒すことはできなかった」

 

「いえいえ!私がやったことなんて鞭で引っ叩いたことくらいで...あなたの魔法拡散が無ければそれすら出来なかったんです。カリヤさんのおかげですよ」

 

「ただ鞭で叩いただけじゃないだろ?なんな一撃必殺の技使っといて謙遜は良くないぜ?...そして、そんな力を持っているナルミさんに、話がある」

 

「なんですか?」

 

「俺たちと一緒に戦ってもらいたい。戦争の時に、ガネル側ではなく俺たち側について、一気に前線を突っ切る役目を担ってほしい。君の力があれば、俺たちは大いに助かる。どうだ?無理強いはしないが、受けてくれると嬉しい」

 

「……私でお役に立てるのなら、ぜひ!」

 

おお、快く引き受けてくれた。非常に助かる。

 

「ありがとう。じゃあ色々話すことがあるから、ついてきてくれないか?他にも声をかけてる人がいて、南の門の辺りで待たせてるんだ」

 

「わかりました」

 

俺とナルミさん、二人で南の門へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうとう、夜が来る」

 

フロートの宣戦布告から二日が経ち、もうすぐ陽が沈み切る頃合いだ。もうそろそろ、魔物が人間側の防衛ラインへと到達する。

 

「それじゃあそろそろ移動するぞ。全員、アレはちゃんと持ったな?」

 

「もちろん」

 

この場にいる十人全てが、それを持っていることをお互いに確認する。

 

全員が持っているのは、カイスの戦争の時にも持たされていた魔法石の強化版だ。カイスの時は、前方以外の方向から飛んできた魔法を受け流す、という効果だったが、今回は魔法に限らない。カリスからの超遠距離射撃があるため、対魔法だけでは足りないのだ。射撃されたものならばなんでも逸らせるようになっている。

 

「みんな、これが終われば、この世界に平和がもたらされる」

 

魔物の進軍を抑えるための防衛拠点に様変わりし、元の町の面影が完全に消え去っているガルムの中央を突っ切りながら、みんなに向かって話す。

 

「これが、最後の戦い。何が起こるか、誰にも分からない。女神にも魔王にもわからないだろう。でも、わからないからこそ、結果が決まっていないからこそ、俺たちは選択できる」

 

ガルムを出る。迫り来る魔物の大群が目に入るが、俺は言葉を紡ぎ続ける。

 

「ただの勝利だけじゃ足りない。俺たちが目指すのは、誰も死なない完璧な勝利だ。可能性は限りなく小さいが、未来は変えられる。その未来だって、掴み取れる」

 

古代道具(アンティークギア) 起動(ブート)

 

刀を抜き、魔物に切っ先を向ける。

 

「……言葉出てこないから締めはライト頼む。勇者だろ」

 

「えっ...」

 

突然振られて驚くライトだったが、しばらく考えたのち、聖剣を握って俺と同じように突きつける。

 

「僕たちの平和な未来を取り戻す...こんな無益な戦い、さっさと終わらせよう!」

 

この場にいる俺たち以外には聞こえていないはずなのに、そのライトの声が開戦の合図となった。

 

西から冒険者が魔物の大群に襲いかかり、東からは魔法が飛んでくる。そして南からは矢が雨のように降ってくる。

 

最後の人魔戦争、開始だ。




めちゃ強い六人が揃っているとはいえ、流石に六人だけで中央突破なんてしたら魔王城着く頃には戦闘不能でしょと思い、臨時追加メンバー招集しました。
過去キャラを出せて嬉しい...ナルミが登場したの百話以上前で、自分でもびっくりですわ...絶対喋り方変わっちゃってますね。

ちなみにステラちゃんにフレアとミレアを探させたけど、あの二人は強化の方で呼んだだけで、勇者側には行きません。
流石に追加メンバー六人は多いんじゃ、すまぬ。
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