前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

167 / 213
8264字。

アクセル戦です。


超音速の戦闘

「さぁ、戦おうか。カリヤ」

 

「……だとさ。今回も一対一がご所望ってことでいいんだよな?」

 

「ああ。カリヤ以外は先に進んでもらって構わない」

 

「先に...?いいのか?」

 

「行くわけないでしょ。五人で先に進んで、赤髪姉妹とバッタリ会ってそのまま戦いに...とはなりたくないわ」

 

「僕たちはここで二人が戦っているのを見ることにするよ。戦いには参加しない。見物しているだけ。これくらいは許してくれるだろ?」

 

おお、ライトも魔族と交渉できるようになったのか...最初会った頃は人見知りだったのに、結構変わったよなぁ...

 

「私は許す。乱入さえされなければ、皆に危害を加えることはないと約束しよう。しかし...そこで見ていたとしても、サーマルたちと戦うことになるのには変わりないと思うがね」

 

「あー...キネットが転移させて無理矢理五人を巻き込むわけか...」

 

「自分の意志で二人のところに行って、覚悟ができてる状態で戦い始めるのと、急に転移させられててんやわんやの状態で戦うのだと、確実に前者の方がいいと思うんだが...どうだい?」

 

「……どっちみちそうなるってんなら、たしかに自分で行ったほうが良さそうね」

 

「それじゃあ僕たち、先に行くことにするよ。魔族が出てきても、僕たちだけで戦う。カリヤが追いついてくる前に倒しておくよ」

 

「おう、その意気で行ってこい。すぐに追いついてやるぜ」

 

みんなは先に進み、俺とアクセルだけがこの場に残される。

 

……なんかみんな、もう俺とアクセルが一対一で戦うのが普通みたいに思ってるよな。いやまぁそれでいいし、話が早いから嬉しいんだけど、普通は「いや.ここは俺も戦う!」みたいな展開になるところじゃない?淡々と交渉して、了解して、みんな先に進んだよね。俺とアクセルの関係がおかしいってみんなよく言うけど、みんなも十分おかしいと俺は思う。

 

「……それじゃあ始めますか」

 

「戦う前に話したりはしないのかい?」

 

「俺も話したいことは山ほどあるが、時間が惜しい。戦いながらしようぜ」

 

「了解した...始めようか」

 

俺もアクセルも、構えを取る。

 

ここには開始の合図をする者は誰もいないが...俺らなら、おそらく同時に動き始める。そんな予感がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハァッ!!」」

 

構えを取って数秒後、俺らは同時に走り出し、同時に蹴りを放った。互いに足首の部分がぶつかり合い、痛みが生じる。

 

初撃が足なのには、もちろん理由がある。これは覚悟だ。これが最後の戦いであり、全力を尽くして戦い、必ずどちらかが終わりを迎えることになる。

 

俺もアクセルも、速く走ることが力であり、生命線だ。足が死ねば、何もできないも同然だ。その生命線を守るのではなく、攻撃に使い叩きつける。後のことを考えない全力勝負。足がどうなってもいい。この戦いさえ勝利できれば...!その覚悟の表れが、この蹴りだった。

 

「同じ思いでいてくれて嬉しいぜアクセル!」

 

「こっちもだ!」

 

「……今思ったが、アクセル。これいつものみたいな試合感覚でやってる?」

 

この一文を言う間に数回攻撃の応酬があったが、それはもうアクセルと戦う時のいつも通りなのでもう思考のリソースを割くまででもなかった。お互いに、まだウォームアップ感覚だな。

 

「いいや、今回はどちらかが死ぬまでやるつもりだ。身体があったまったら本気出す」

 

「本気出したらもっと速くなんだろ?勘弁してほしいね」

 

今のアクセルの速度は、周辺の魔素濃度からしてかなり手加減している状態だ。ほとんど防戦一方で、たまに反撃できるくらいの戦闘を速度操作だけでできる最大速度でできる分には手加減してもらっている。

 

アクセルはここから、全力を出す+雷装を発動させてマッハ2くらいまでいくはずだ。俺も雷装と全力疾走があるとはいえ、まだ完璧にはその速度に追いつけていない。純粋な速度勝負になると、アクセルに本気を出されたらキツくなってしまう。

 

「ってか、どちらかが死ぬまでってその必要あるか?俺が負けて死ぬのはまぁいいんだけど、俺勝ってもアクセルのことあんま殺したくないんだけど」

 

「まぁカリヤからしたら、他の魔族はともかく私を殺す理由はあんまりないからな...大会を除けば人を殺したこともないわけだし」

 

「だろ?ほら、ガネル式で行こうぜ。負けた奴は勝った奴にはあんま逆らえないーって感じのやつ。俺が勝ったらお前は生かす。普通に人間社会に混ざって一緒に遊ぼうぜ」

 

「あんま逆らえないってことは、逆らってもいいのかい?」

 

「いや、流石にガネルの風習を細かいとこまで知ってるわけじゃないから保険であんまつっただけで、できれば従って欲しいがな」

 

「できれば?」

 

「あーもう揚げ足とんなめんどくせぇ!」

 

そしてなんだ?揚げ足取るのと同時に足払い仕掛けてきたのはアクセルなりのお茶目なのか?速度探知があるからすぐに気づけるとはいえ、急にしゃがまれて視界から消えられるとビビる。絶対速度探知なかったら足払いに引っ掛かってたわ。

 

「お前といると楽しいんだよ色々!ほらお前もまだまだ食べてないもん色々あんだろうが!終わったら食いに行こうぜ一緒に!ディセラとしてさぁ!」

 

「とても魅力的だが、その話には乗れないね。私に選べる選択肢は、ここで負けて死ぬかカリヤに勝って生き残るかのどちらかしかない」

 

「だから第三の選択肢を提示してんだろ?まぁ、現実はうまくいかないってのもわかるけどよ」

 

俺個人としての感情としては、人を殺してないアクセルなら普通に人間社会に溶け込むことも可能だと思えるし、ぜひ溶け込んでほしいと願っている。けれど、一般人からしたら魔族ってだけで恐怖の対象だ。排斥されてしまうに違いない。

 

そして、魔族としての使命も邪魔をする。魔王に従うのが魔族だ。であるなら、魔王が魔族を強制的に操ることもできる可能性を否定できない。本来聖域に攻め入ろうとしないはずの魔物を魔族が指揮して進軍させることができるのだから、それと同じようなことが魔王と魔族の間でもできるはず。

 

フロートの口ぶりからして、魔族たちは負けることも計画のうちであるらしい。俺がアクセルを打ち倒したら、その時点で魔王が用済みとして自死させる、なんてことになりそうだ。たとえ加減したとしても、俺が勝てばアクセルは死ぬことになる。どうやっても、魔族と人間の共存はできそうにない。

 

「世知辛い世の中だぜ...そろそろ身体はあったまったか?」

 

「それなりにはな。ぼちぼち本気を出すとしよう」

 

「その本気何パーセントだよ」

 

「さぁ?四割ぐらいじゃないかな」

 

「四割でもほぼ音速に近いんだよなぁ...こっちも音速いきますか」

 

9934、9935ページ 全力疾走

 

全力疾走を発動させ、音速を出せるようにしておく。

 

「ああそういや、最後に一つ、本気を出し始める前に言うことがあった」

 

「なんだ?」

 

「その身体、全然あったまってないぜ?」

 

俺は、アクセルにかけていた加速を解除した。

 

「なっ...⁉︎」

 

「冷え冷えだろ?動きづらいだろうなぁ?」

 

アクセルの筋肉の温度を、速度操作でわざと温めていたのだ。それを解除すれば、温度は速度操作発動前の状態に戻る。動き出そうとした瞬間に、筋肉が冷えて硬直した状態に戻ればどうなるか...初めてやったからどうなるか自分もわからんが、さぞ動きづらいはず...!

 

「ハァッ!」

 

そうしてワンテンポ遅れたところを狙い、腹をめがけて蹴りを放つ。

 

「っ!」

 

転がるようにして俺の蹴りをアクセルは避けていく...が、右腕に足先が掠ったな。

 

「靴に隠し刃...だと?」

 

足から靴に魔力を流し、そこで剣を形成させて攻撃した。避けられたと認識してからすぐに魔力の剣を作り、攻撃の有効距離を伸ばしたのだ。一瞬の判断で、当たらない攻撃を当てて見せたわけだ。

 

「手数は俺の方が上。戦績的にもお前の方がチャレンジャー側だよな。俺に勝ちたいなら、俺の全てを乗り越えてみせな」

 

靴から剣が生えてると走りづらいのですぐに消し、今度は普通にダガーを抜いて切り込みに行く。

 

「ふむ...待ち構えていたのは私だが、たしかにその通りかもしれないな。どのみち私が勝つにはそうするしかない。全て乗り越えよう」

 

ちょっ...急にアクセルの体温が上がったぞ?それに呼応するように速度も速くなってやがる...アクセルの力はただの加速能力じゃなくて身体強化系だったはずだけど、それの応用で体温を上げたのか?ってことはさっきまでのウォームアップは俺に付き合ってくれただけってわけか。俺も俺で速度操作ですぐに筋肉温められるわけだし、ちゃんと戦おうとしてたんなら無駄な時間すぎる...

 

「んにゃろ...早速やってくれんじゃねぇかモロ百パー本気じゃねぇか!」

 

雷装まで使ってるし!チャレンジャー精神燃え出して四割宣言忘れたのか?普通に最高速度出そうとしてんじゃねぇか...!

 

『雷装』

 

アクセルの速度に追いつく、また雷装の攻撃を無効化するためにこちらも雷装を発動させる。まぁ速度は遠く及ばないわけだけど...1.5倍以上の速度の差はかなりキツイな。しばらくは守りに徹して、スタミナと魔力を削るのに集中しよう。思考も、攻撃を見て対処することだけに集中...今日だけで能力範囲拡大して、半径7メートルになったからこれだけあれば対処も間に合う...はず!

 

「っ!」

 

心の中で来たと叫びながら、右斜め後方から来たアクセルの攻撃を弾いて捌く。すれ違いざまの反撃は...届かないからやめておこう。しっかり耐えて、攻撃はスタミナ魔力減少加速に止めよう...それなら持つべきはダガーじゃなくて...

 

「……両手に盾?」

 

俺はダガーをしまい、次元収納の中から盾を二つ取り出す。既に左腕につけているのと同じものだ。滑らすように押し当てれば、逸らす力が働いてアクセルは体ごと飛ばされることになる。これで耐えよう。

 

「持久戦をしたいみたいだけど...」

 

なっ、真っ正面から...⁉︎

 

「そうはさせない」

 

「んぐっ...!」

 

なんとか盾を構えることはできたが、逸らしてる余裕はなかった。真っ正面から拳を喰らってしまい、盾は粉々に砕けてしまう。

 

そしてアクセルはそのまま走り抜けることをせず、すぐさま二撃目を放ってくる。今までは能力範囲外からやってきて一発叩き込み、また外に出るような感じのヒットアンドアウェイ方式で攻撃してきていたから、なんとか攻撃の予兆を見ることができて受けられたが、そのまま攻撃されると読みが間に合わない。このままだと喰らってしまう。

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

0.05秒の跳躍をし、四メートルほど移動することでなんとか回避する。回避先はアクセルの後方だ。アクセルの能力の使用上、急な方向転換や停止は難しいから、飛ぶなら後方が一番安全なのだ。

 

「そうくると思っていた!」

 

「ちょエグ...!」

 

アクセルの奴、速度を維持したまま地面を転がり、強化された握力で地面をむしり取ってそのまま豪速球で投げてきやがった⁉︎つーか速すぎだろこの岩ああ左手の盾が...!

 

「盾はあと一つ...!」

 

アクセルが突進してくる。再度盾を次元収納から出している暇はない。かといって、腕に直接つけている盾で受けるのをミスれば、そのまま腕も持っていかれてしまう。未来跳躍でしか回避はできない...わけないよなぁ?

 

『製作』

 

「吹っ飛べ!」

 

盾を破壊されたのは予想外だったが、すぐに計画を再形成。砕けた盾を素材に製作スキルを発動させ同じものを作り出し、油断したアクセルの攻撃に下から押し当てて上方向へとアクセルを吹き飛ばした。

 

「空中じゃあ動けまい!これでも喰らいやがれ!」

 

次元収納に保管された魔法をいくつも放ち、空中に放り出されているアクセルに攻撃を仕掛ける。

 

「カリヤらしくもない!これを忘れたわけじゃ...!」

 

そう。アクセルには、空中で一度跳ぶことができる魔道具を持っている。決して忘れてはいない。

 

「……なるほどな!」

 

「おぉ...よく見切れんなあれ」

 

おそらく、身体強化で動体視力とかそういった力を強化しているのだろう。そのおかげで飛んでくる魔法の軌道を全て読み切り、動かずそのまま重力に身を任せていれば当たらないことを見抜いたようだ。空中ジャンプをすれば必ず当たるようにしていたのだが...やっぱりアクセルは頭も良いよな。多分サーマルだったら普通にジャンプして喰らっていたことだろう。

 

「当然だ。カリヤが私を理解しているように、私もカリヤを理解している」

 

「そいつぁ嬉しいが、こっちにはお前が知らない手がいくつもあるんだぜ?...あっ、やべ。もしやフロート経由で既に伝わってたり...?」

 

フロートはニアの記憶を見ている。ステラの力もそのせいである程度知られてしまっていたし、俺の力も知られてしまっているかも...

 

「いいや、つまらなくなりそうだから聞いていないよ。戦いながら理解して、乗り越える。その方が楽しいだろう?」

 

「めっちゃわかる。ほんと俺ら気合うよな...死んじまうのが惜しいぜ」

 

「もう勝利宣言?それは少し早いんじゃないかな!」

 

アクセルが突進してくる。それを紙一重で避けるが、アクセルは先ほど抉り取った地面の穴を利用して急停止し、すぐに攻撃を仕掛けてくる。近い距離からの攻撃なため避けるのは間に合わず、盾を片方犠牲にしながらなんとか弾き飛ばす。

 

が、またすぐに次の攻撃がやってくる。地面を踏み抜いて無理矢理方向転換し、攻撃の間隔をどんどん狭めていく。その場で盾を作りながら攻撃一つ一つをギリギリのところで捌いていくが...そろそろキツくなってきた。

 

減速は能力範囲内に入った瞬間から永遠とかけているのに、遅くなった感じが全然しない。アクセル自身の工夫により、全体のスピードは確かに落ちているものの攻撃の頻度は落ちるどころか上がり続けている。これ以上速くなれば...そうなる前に、手を打たなければ!

 

『氷装・盾』

 

冷気を纏い、触れたものを凍らせる氷装の盾。これで手足を凍らせれば、バランスが崩れて動きにくくなるだろうし、それを砕くことで攻撃することもできる。そうならないために、アクセルには躊躇してほしいところだけど...へぁ⁉︎

 

「なんだよその体温!」

 

アクセルの蹴りを盾で受け止める。盾は壊れてしまうが、それでも氷装は発動するはずだった。なのに、凍らない。アクセルの体温が急激に上がっている。凍ったそばから溶かしているのか?身体強化の応用性高すぎないか...?とりあえず凍らせるのは無理か...なら!

 

「逆に加速!」

 

アクセルが地面の窪みに足を突っ込み、方向転換しようとした瞬間を狙って減速を解除、逆に加速させる。

 

「っ...!」

 

どれだけ止まろうとしても、速度操作による加速は基本止められない。自力で出していたマッハ2の速度を落とすことはできても、秒速79メートルからの減速はできない。俺から7メートル離れるまで止まらない。強制的に距離を取らせることができるわけだ。

 

「キッツいなぁ...楔は打てねぇしこっからどうするか...」

 

全体的に速度不足だ。けれども、加速したいがために楔を打つのはダメだ。魂の疲労度的に、どれくらいの楔を打つのか程度にもよるが、できてもあと二回が限度。そのバフが終われば、気絶でもするように眠りについてしまうだろう。そんなリスクがある中で、貴重な一回をここで使うのは今後のことを考えてダメすぎる。別の方法で速度を上げるか、別のもので速度の差を補うか、アクセルの速度を落とすかの3択で作戦を選ばなければ。

 

「出し惜しみしている場合か?後悔するよ!」

 

どうやら俺に考える時間を与えないようにしているようだ。すぐに開いた距離を詰めて蹴りを放ってくる。

 

「攻撃を選べる余裕があるってことさ」

 

「考えてたら負けるぞ。先に体を動かしな!」

 

「悪いが俺の武器は頭なもんでね。スタミナ削りながら考えさせてもらうぞ」

 

盾で攻撃を捌きながらアクセルのスタミナを速度操作で削る。この世界の人間の慣れの力は恐ろしい。何度か繰り返せば、盾で弾くのがどんどん上手くなっていく。弾くだけならば、マッハ2の攻撃に適応できたわけだ。まぁ反撃できないからあまり意味はないが...

 

実際、スタミナ削りも最終的には意味をなさなくなる。雷装を発動していれば、激痛は走るがスタミナがなくても動くことができてしまう。だから魔力を積極的に削りたいのだが...アクセルは雷装くらいでしか魔力を消費してくれないから、加速させても大した消費にはならない。地道にやっても時間がかかりすぎる。

 

ちなみに、既に略奪は手数から除外している。たしかに略奪を使えばすぐに倒せるかもしれないが、魔力を消費しすぎてしまう。二回使っただけで、もうあとちょこっとしか魔力は残らない。略奪は赤髪姉妹との戦闘中に一回は使うのが確定しているため、ここで使ってはいけないのだ。

 

もしここで使ってしまえば、たとえことがうまく進んだとしても、二回目の略奪の使用で魔力がほぼ枯渇する。他の魔法を使って魔力を消費するだけで命取り。魔力切れを起こし、加速で魔力を回復させることができなくなりジ・エンド。魔力を回復できるタイミングはライトの聖域展開しかなく、赤髪姉妹との戦闘中に回復することが難しい以上、ここで略奪を使うわけにはいかないのだ。

 

「となるとアレを...いや、あれはまだ早いか...頭痛の件もあるし...」

 

「そろそろ盾遊びはやめにしたらどうだ?攻めっ気が足りてないぞ!」

 

「……腹ァくくるしかないか...!」

 

アクセルの放った拳に掠るように盾を投げつける。盾は逸らす力を発動させようとするが、俺の手で固定されていないためアクセルを吹き飛ばすことができず、逆に盾がすっ飛んでいく。ちょうど足払いでもするかのような軌道でだ。

 

窪みのないところでは急な方向転換はできないため、アクセルは跳ぶことで盾を回避する。その隙をついて俺はスライディングをしてアクセルの真下を通り抜ける。

 

4014ページ 黒のみ 障壁

 

空中ジャンプをしてもすぐにはこちら側に来れないように障壁を張って妨害し、アクセルから距離を取る。

 

さぁ、準備だ。こんな時だからこそ、冷静に一つずつ工程をこなしていくんだ。

 

まずは、結構前から発動していた雷装を、魔力にリンクさせる...リンク完了。

 

4571ページ 黒のみ 触手・水

 

次は水の触手を魔法で生み出し、そこに先程作った雷装魔力を流し込む。表面を雷装魔力で覆い、電気分解をなるべく抑えながら触手を剣の形へと変形させていく。

 

その工程を繰り返し、触手の剣を九つ生成...完了。大量の水が能力範囲内で蠢いていることによる情報量の増加によって頭痛が起こり始めるが、さして問題はないだろう。普段通りのことをするだけ。思考するリソースを割き、攻撃と防御の役割を触手ごとに分けてそれぞれに集中すれば、扱うことはできるはずだ。

 

「へぇ...それが出し惜しんでた切り札かい?」

 

「まぁそん中の一つだな。シレンの穴で戦ったお前の偽物は、この技でやられて死んだんだぜ?」

 

「弱いなそいつは。私ならこの程度の攻撃、余裕で捌ける」

 

「だろうな。まぁ論より証拠ってことで...やってみせてくれや。九尾を攻略して見せろアクセル!」

 

九本のうち三本を左右と上から、三本を正面からの攻撃に使い、二本を防御に、最後の一本はフリーにして不測の事態に備える。攻防一体のこの技。突破される可能性は、万が一にも...?

 

アクセルが自ら俺の射程距離に入ってくる。雷装を纏わせた拳や足で触手の剣を上手く弾きながら少しずつ近づいて...

 

「って、なぜ弾ける⁉︎」

 

元が水とはいえ、魔力で固めているのだから硬度はそれなりにあるはず。速度操作の加速を受けているおかげで物理保護もかかっているから、破壊されることなんてそうそうないはずだ。

 

なのに、アクセルは触手の剣を軽々と弾き飛ばしている。それも、水を飛び散らせながらだ。弾かれた瞬間にその箇所の水が触手から千切れて飛んでいってしまっている。

 

普通ならこんなことありえない。けれど、アクセルなら...俺の想像の中のアクセルを超える現実のアクセルなら、あり得るのか...?

 

「案外攻略簡単そうだな。これが切り札でいいのかい?」

 

「ハッ...言ってろ」

 

アクセルの強さへの見立てが甘かったと反省すると共に、思考を巡らせる。

 

アクセルに勝つ方法と、なぜ触手が弾かれるのか。その二つを同時に思考する。

 

頭を止めたら負けだ。アクセルにはできないこの加速を、決着のその瞬間まで続けよう。

 

勝つのは俺だ。




もはや相変わらずのことですが、戦闘シーンがうまく書けない...
会話してる時も普通に戦闘しているものだと、脳内で補完してくれると助かります。
イメージ的には、映画リベ○オンのガ○=カタ使い同士が超至近距離で戦ってるあのシーンに近いものだと思います。

魔力銃もあることだし、カリヤくんならガ○=カタ普通に使えそうだな...
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。