前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
サーマル・キネット戦二話目です。
「逆転開始だ!赤髪姉妹!」
キネットに手を向けたまま、この状況を打開する魔法が描かれたページに魔力を流す。
「まずはこのうざってぇ魔法拡散からだ!」
9942、9943ページ 魔法改竄
「他対象を自己対象に...そして、分解拡散を合成集約にそれぞれ改竄する!」
魔法拡散は、自己以外の魔力でできた魔法を分解し、魔力に戻す魔法だ。それを改竄すると...こうなる。
自身の魔力を対象にし、強制的に魔法を形作らせる。
「なっ...から、だが...」
それは、体内の魔力すら、魔法へと変換する。
結果...
「あ゛」
体内の全魔力が魔法に変わり、内側からキネットの身体は破壊し尽くされた。
「き...キネットちゃん!!!!」
「おぉ、激焦りじゃねぇか姉さんよぉ...まぁ安心しなよ。どうせ治るんだろ?」
そう言いながらキネットが爆散した場所を見ると、徐々にではあったが再生しつつあるキネットがいた。空中で再生したキネットだったが、魔力がゼロになったため飛ぶことができず、重力によって自然落下して地面に激突する。
「やっぱり魔力なくても再生できるみてぇだな。それも固有能力の一つなのか...?それとも、どちらか片方の魔力が残ってたら発動できるってだけか?」
激突によってできた傷を再生しながら、キネットはなんとか立ち上がる。そこに魔法を撃ち込み、上半身を消失させたのはニアだった。
「まさか魔法拡散をそんな方法で突破できるなんてね...やればよかったわ」
「ちなみにこれ、ちょっとミスるとキネット以外の全員が吹っ飛ぶことになるからあんまオススメしないぞ」
「何そんなギャンブルみたいなことしてんのよ...!」
もし魔法改竄の順序をミスると、自己対象にする前に魔力を魔法に変換する効果が先に発動して全員死ぬ。サーマルも吹っ飛ぶけど、キネットが生き残ってるからそのまま復活。人間は誰もいなくなった...となるから魔法改竄は怖い魔法だったりする。複数同時に改竄しようとしたら、「あっ、そこは変えられないよ」ってなって思ってたのと違う効果になったりもしそうだし、あまり無闇に使いたいものじゃないな。
「……まぁいいわ。これでキネットは魔法を使えなくなった。一気に畳み掛けるわよ!」
「いいや、それは性急だぜ。既に魔力は戻ってるだろうよ」
信じられないといった表情をしたニアはキネットの方を見る。
「……本当ね」
「サーマルのせいだ。魔力の増幅でもして回復させたんだろうな。まったく...複製で魔力を増やせるフロートもそうだけど、バグ技みたいな方法で魔力回復してくんのやめてくれませんかねぇ?」
「それをカリヤが言うのね...」
「ナイスツッコミだニア。そろそろ行こうか」
「役割は?」
「俺ニアステラがキネット!それ以外はサーマルだlet's go!」
全員に狙う相手を指示し、本格的に攻撃を開始する。まだ飛行をしていないキネットを狙い、俺は一気に駆け出す。
「チッ!」
キネットは転移で空中へと移動する。そして飛行魔法を使って滞空し、こちらに魔法を放ってきた。
「上がお留守だぜ!」
魔法を全て避けながら叫ぶ。そこには音もなく飛んでキネットの真上を取ったステラが、弓を持たずにポーズを取って...って、それ使うのか殺意高っ。
「その魔法は...!」
ニアの記憶が魔族に出回っているせいで、どんな魔法かバレている無心の矢は避けられてしまう。が、避けた先を覆い囲むように、ニアの魔法がそこに迫っていた。
「おっ、それ使っていいんか?」
魔法拡散を使って魔法を回避したキネットを見て、俺は魔法改竄を使おうとする素振りを見せる...来たな!
「バレバレだせこっち来んのはよォ!」
真後ろに転移してきたキネットに回し蹴りを叩き込み、遠くへと弾き飛ばす。
「もう魔法拡散は使わせねぇぜ。略奪と違って連発できんだ。バンバン使ってくんでそこんとこヨロシク!」
魔法改竄はその強い効果にしては消費魔力が少ない。マックスの半分の適性でもそれなりに使える程度の消費量だから、略奪のために魔力を残しておかないといけないこの状況でも自由に使うことができる。
まぁ本来はもうちょい消費も大きかったんだが、ニアのおかげで減ったんだよな。なんか知らないけど、いつのまにか魔法改竄の魔法陣を開発してたんだよな...だから今日から魔法陣で発動させていたわけなんだが、なんで魔法陣作れちゃったの?天才かよ。
「つーかお前ら二人ともほんとバカだよな!もしバカじゃなかったら俺ら全滅だったぜ!」
キネットに追撃をしようと突撃...したのを転移で避けられながら俺は叫んだ。
「誰がバカだって⁉︎」
「お前はこっちくんなクミリアと遊んでろ」
相変わらずバカと口に出すと勝手にヘイトが引き寄せられてくるサーマルを軽くあしらってクミリアの方に蹴飛ばす。
「何をバカなことを...私がバカですか?」
「サラッと姉がバカなの否定してねぇのは置いとくが、自分で気付けてねぇところがバカだつってんだよ。まっ、お前らを倒したらネタバラシしてやっか」
こいつらがもう少し賢かったら、俺たちは一生二人を倒すことができずに世界が終わっていたことだろう。バカに感謝だ。
「つーかビビりすぎじゃねぇか?ずっとソワソワしてんじゃねぇか!」
多分略奪がいつ飛んできてもいいように身構えているのだろう。今か今かと気にしすぎていて、どこか普通の攻撃に対しての集中が鈍くなっている気がする...ってことは、なんか略奪対策がありそうなんだよなぁ...
兎にも角にも、略奪を確実に当てるには、魔族たちに固有能力を強く意識させる必要がある。サーマルは...まぁいつでも大丈夫だろうけど、問題はキネットだ。転移を使おうとしている瞬間なら確実だろうけど、いつ使うのかがわからないから狙って発動が難しい。シレンの穴でやった、念話に割り込んで...というのはニアの記憶を見られて知られてしまっているだろうから対策済みだろう。別の方法を取る必要がある。
……いやでも、行けるのか?魔法改竄のせいで思うように魔法拡散を使えない今なら、全方位からの魔法攻撃は転移でしか回避できないはず。そのタイミングを狙えば...!
5510ページ 黒のみ 念話
念話でニアに略奪を使うための準備を頼む。全方位からキネットに魔法を放ち、転移を誘発させたらサーマルに略奪を発動しろ...といった指示だ。一応キネットに割り込まれて会話を聞かれてもいいように、日本語で伝えておく。ここに来て日本語が暗号として活用されまくり...ってあれ?ニアの記憶がフロート経由で伝わってるなら、日本語の暗号意味ないんじゃ...フロートが理解できなくて伝達できていないことを祈ろう。
『了解よ』
日本語で返ってきた返事を聞き、俺は略奪の準備をする。
ニアの魔法が放たれ、全方位からキネットを襲う。転移直前じゃなくていい。転移直後を狙おう。魔法を放ったニアも既にサーマルへ狙いをつけている。
「っ、姉さん来ました!」
キネットは気づいたようだが、魔法拡散を使えばすぐに吹っ飛ばす用意はできている。転移を使うしかない。そしてキネットの声は届いてはいるようだが、サーマルはクミリアとライトの猛攻に押されていて他の魔法を意識する余裕はなさそうだ。この調子なら...行けるのか?
魔法は飛んでいき、キネットに襲いかかる...消えた!魔法拡散を使ったのか⁉︎それなら!
9942、9943ページ 魔法改竄
「吹き飛...ばねぇ⁉︎」
魔法拡散に干渉したのだが、なぜかキネットは吹き飛ばない。いや、きちんと改竄には成功しているため、分解されなくなったニアの魔法がキネットを貫きはしたのだが、さっきのような内側からの爆発は起こらなかった。
まさか...自身が改竄された魔法拡散の中に入りさえしなければ、なんの問題もないことにこの短時間で気づいたってのか!クソッ、これじゃ略奪は意味ない!急いでニアに略奪を使うのをやめさせなければ!
「ニア!略奪は中だ...ニア?」
ニアは、蹲っていた。そして、その身体は歪に揺らぐ。
「どうし...ニア?ニア⁉︎」
「来ないで!身体が...魔力体が制御できない!」
そうニアが叫んだ瞬間、身体が弾け飛んだ。周囲にニアの魔力が放出され、周囲に充満する。呼吸には影響ないが...ニア以外が発動させた魔法はその効力を少し落とすことだろう...って、そんなこと冷静に考えてる場合じゃねぇ!
「へっへー!大事な妹と同じようなことしてやったわ!」
「サーマルめ...大丈夫かニア?」
サーマルがドヤ顔してたらクミリアに腹殴られてぶち破られているのを横目で見ながらニアに駆け寄る。
「身体は平気...だけど、魔力切れになっちゃったわ」
「やられたな...すまんニア。サーマルの力がどんなものなのか共有しておけばよかった」
「サーマルにやられたのね今のは...魔力が急に増えたせいで、制御できなくなったわ」
「なるほどな情報ありがとう。んでどうする?次元転移で外に出せるが」
「いいや、ポーションで少し回復できれば、あとは魔法拡散で分解した魔力でどうとでもなるわ」
魔力切れで使えなくなるのは、自身の魔力のみ。ポーションで回復した分の魔力なら普通に使えるし、ニアならキネットやサーマルの魔力も扱える。戦線離脱しなくてもある程度は戦えるな。
「オーケー。レスト!ニアについていてくれ!魔力結晶使わせてやれ!」
「了解!」
「二人はキネットと戦ってくれ。俺はサーマルに行く!」
レストが抜けた穴を埋めるために、俺はサーマルとの戦闘に合流する。ニアの仇も取ってやらないとだ。
「よぉサーマル!早速テメェの固有能力の開示と行こうか!」
そう言い放ちながらサーマルに近づき、音速の刀を抜刀する。
「もう騙されないよブラフでしょ!」
それを急加速による回避で薄皮一枚切られる程度の被害で済ましたサーマルは、もうその手には乗らないぞと笑う。
「マジさ。あん時にもう言ってたら、ニアが吹っ飛ぶこともなかったんだろうけど...!じゃあ行くぜ?おまえの固有能力は...」
サーマルの反撃を回避しながら、俺は言った。
「エネルギー増幅能力だ!」
「っ⁉︎」
「これなら全ての事象に説明がつく!謎の急加速は運動エネルギーの増加で、雷装や魔力の暴走は電気エネルギーと魔力エネルギー、魔素の増幅もだ!たった一つの力でできる!」
反応を見るに、これで正解だろう。
運動エネルギーは1/2mv^2で表せられる。これを増幅させるとなると、重さは変えられないので速度が増加する。これが急加速の原理だ。
雷装の暴走は、電気エネルギーの増幅によるもの。俺の魔力から増幅に必要なエネルギーが捻出されたため、魔力の消費が早まった。
ニアの魔力体の暴走は、魔力エネルギー...と言っていいのかわからんが、それの増幅によるものだろう。無理に増幅させることで形を保てなくさせたのだ。
魔物の巨大化は、魔素の増幅によるもの。魔素もマナというエネルギーの一種だ。そしてマナを増幅できるということは、聖素を増幅させることもできるはず。カイスでの魔族捜索に引っ掛からなかったのは、おそらく聖素の増幅で自らの魔素を誤魔化したからだろう。
そうか、魔王の山でライトの必殺技が防がれたのも、その聖素の増幅が関係しているのか。必殺技は魔素を聖素に変換することができるけど、聖素を聖素にすることはできない。聖素で壁を作れば変換が起こらず、そして貫通もせずに遮られてしまう...そういうわけか。
「そして!増幅の仕方には二種類ある!」
今出した例は二種類に分けられる。一つは加速や魔素の増幅のように、何もないところからエネルギーが生み出されたパターン。もう一つは雷装の暴走のように、そのエネルギーを増幅させるために別の何かを消費するパターンだ。
「無から生み出すのと有から変換する二種類!お前が使った魔法は無条件で強化され、俺たちが使う魔法は魔力を無駄に使わせながら暴発させられるってわけだ!」
魔法も魔力エネルギーの増幅によって強化できる。前にサーマルが放った火球が急に巨大化したことがあったから、これができるというのはわかっている。まぁ、あれは熱エネルギーの増幅もやっていそうだが...どちらにしても、周囲の温度が下がったりだとか、誰かの魔力が吸い取られたりといったことは起こらなかった。
自分が使う魔法は、暴走や暴発を起こさない程度に、魔力を無駄に消費することなく増幅することができるわけだ。
対して俺たちの使う魔法は、俺たち自身の魔力を吸い取る形で増幅される。一発で魔力切れにできるほどの増幅は無理かもしれないが...魔力の無駄な消費と、暴走による自傷ダメージを与えられるから攻撃としては相当強い。
「クミリア!バフは最低限攻撃の瞬間だけに使え!」
「りょーかいっ!」
クミリアはバフを切り、遅くなる。が、すぐに俺の力で加速してサーマルに蹴りかかる。
「ったく、バカなのにこんな強い能力与えられて羨ましいぜ!というか全然使いこなせてねぇじゃん俺だったらもっと悪どいことに使ってやるのに」
俺がもしサーマルのエネルギー増幅能力を持っていたら、宇宙から飛来する放射線を増幅させて被曝させるとかしてたと思う。この世界に宇宙線があるかは知らないが、別に他にも放射性物質あるし、ウランとか持ち出して核分裂だとか水素使って核融合とかも起こせそうだ。文明の遅れと、サーマルの知識のなさに感謝だな。
「なにをー!こっちはいつでも魔法暴走自爆特攻できるんだからね!一人ずつ命刈り取ってやる!」
「そんなんしても無駄だぜ。今お前と戦ってる奴らは全員未来跳躍持ちだぞ?死ぬのはお前だけだ。それに、そんなことしてくれたらあとはタイミングよくキネットを殺すだけのゲームになるぜ?」
「意味ない死はやめてください姉さん私の負担が増えます」
キネットがサーマルの真横に転移してくる。そんなキネットを追尾するように、おそらくニアが放ったであろう閃光が飛んでくる。
「そう言いながら私に負担させるのやめてくれない?」
サーマルによって強化された障壁が作り出され、閃光が受け止められる。魔力増幅によっていくらでも魔力を回復できるため、ほとんど消費無しでこの壁を貼ってくるわけだけど...こうやって考えると中々ヤバい力だな。まぁこれは魔族全員に言えることな気もするが。
「ハァッ!!」
障壁によって閃光が受け止められたのも束の間、ライトが必殺技を放つ。
「それは効きません!」
この攻撃も、あの時のように聖素を増幅させた球状の純白の壁によって逸される...なるほど、あの時もそうだが、周囲に聖素は一切ないはずなのにどうやって増幅させたんだと疑問に思っていたが、必殺技が通った軌道上、その周囲で変換された聖素を持ってきて増幅させていたようだ。
けれど、防がれるのは織り込み済みだ。俺はライトが必殺技を放とうとしているのを見た瞬間に動き出し、ニアを抱き抱えて移動していた。そして、ポーションによって回復した魔力を全て浪費させてから、俺たちは逸らされた聖素ビームの中に入り込んだ。
必殺技によって放たれる聖素ビームは、聖域の中の聖素よりも何倍も濃度が高い。その中に入れば、聖域の何倍もの早さで魔力の補給が可能だ。それに、俺の加速が合わされば...!
「...チッ、流石に一回じゃ無理か!」
ニアの魔力量は凄まじいことになっている。いくら何倍も早いからといっても、回復時間が短いせいで全回復とはいかなかった。
「次また頼むわよ。あと下ろしなさい」
「おけ」
障壁と聖素の壁の中から、サーマルが強化してキネットが外に転移させた魔法が飛んでくるので、それを避けつつレストのところまで移動してニアを下ろす。
「……さて、そのまま引きこもってるだけじゃ死ぬぜ?」
ニアを下ろし終わった直後、最高速度で駆け出して障壁に近づく。
9942、9943ページ 魔法改竄
「死にたくなけりゃさっさと出な引きこもり!」
魔法改竄で障壁に干渉し、壁の内部を自動で攻撃するように仕向ける。
「知ってる攻撃を喰らうつもりはありませんよ」
キネットはそう言いながら一足先に転移で外に出て、サーマルは障壁と聖素の壁を解除して脱出する。
「三対一再びだ。そろそろキツくなってきたんじゃねぇか?サーマル」
俺とクミリアとライトでサーマルを取り囲む。必殺技の反動が残ってるため、ライトはまだ本調子ではないがそれもすぐに戻る。この三人ならば、サーマルを抑えつけることは容易だろう。
「そりゃそうじゃん魔法使ってこないんだもん!」
俺たちは魔法をほとんど使わずに肉弾戦で戦える奴だけで構成されている。バフだけは攻撃の瞬間に、最低限だけ使っているがそのおかげもあってか暴走させられることもなく済んでいる。魔法の暴発を使えないサーマルからしたら、辛い相手だろう...まぁ、この状況はたった一手で覆されてしまうわけだが。
「チッ...来んな!」
自身の魔法の強化で対抗してくるサーマルだが、それは普通に避ければいいだけ。この三人なら普通に避けられるだろう。まだ自身を巻き込まない程度の強化増幅しかしていないのもあるが、このままなら一方的に攻撃できるだろう。気絶させて、命の手綱を握ってしまえればあとはキネットをなんとかするだけ...
「……あそっか!」
そう言いながら、サーマルは身体に紫電を纏わせた...おそらく、キネットの指示だろう。魔法拡散が無くなり、普通に念話で相互に会話できるようになったからこういったことも起こるか...
「これなら攻撃できまい!」
雷装っぽいが雷装のスキルそのものではないのだろう。生体電気の電気エネルギーを増幅させたか、静電気の増幅か...そのどっちかだろう。だが、電気を纏っているのは事実。
それを乗り越えるには、こちらも雷装を発動させる必要がある...が、それをすれば雷装を暴走させられて魔力を無駄に消耗させられてしまう。攻撃できまいとサーマルが言うのはそのためだろう。
「そいつはどうかな」
「何いってんの?魔法も肉弾戦もできないんだから攻撃できるわけないじゃんバカなの?」
「じゃあ攻撃できればバカじゃないってわけだ」
俺はそう言いながら指先をサーマルに向けて...
「あぐっ⁉︎」
サーマルの肩に穴が開く。
「超光速弾。それだけじゃねぇぜ?他にも魔法がよりどりみどりだ」
次元収納にしまっていた魔法を取り出し、サーマルに向かって放つ。
「お前の力じゃ魔法の増幅は、魔法の発動直後...直後とまではいかなくとも、まぁ放ってすぐのものじゃないとできないんだろ?」
もし放ってから時間が経ってからでも増幅できるのであれば、もっといろんな戦い方ができたはずだ。普通に魔法を放ち、回避された直後に増幅させて巨大化した魔法を背後からぶつける...とかな。それをしないということは、発動してからそこまで時間の経っていない魔法しか増幅できないのだろう。
サーマルがその発想に至ってなかっただけという可能性はなくはないが、サーマルが気づかずともキネットは思いつけるはず。二人してバカなら前提は崩れるが、いちいちそんな可能性は考慮しないでおく。
「つまり、だ。俺のストックなら暴発の心配はない。お前を滅多撃ちにできるわけだ」
「えーっと...ちょっと雲行き怪しい感じ?」
「二人はキネットの方に行け。五対一にしてキネットを殺し尽くせ。俺がタイミングを測って同時に殺す」
「了解」
「りょーかい...ごめんねカリヤ。いつも一人で戦わせて」
「いいんだクミリア。神の使いの俺は、こういう時のためにいるんだからな」
ストックから魔法を放ちながら、ライトとクミリアが移動するのを見届ける。
「ふぅ...さて、もう何度死んだんだ?これで同時に死んでないとかお前ら幸運だな」
「うっさいよあんた。あんた一人だけならなんとでもなるんだから!」
「悪いけど自爆特攻は...」
7801ページ 黒 青 未来跳躍
「0.1秒の跳躍ができる俺には効かないぜ?」
サーマルの、自身の魔法暴走による自爆を回避した俺はズボンのポケットに手を突っ込みながら再生していくサーマルを睨みつける。
「俺と遊ぼうぜ。お前が死ぬまでな」
キネットが開始早々爆散し、ニアも魔力体が爆散...ここらへんもう少し描写したかったんですけど、うまく出来なくて淡々と進んでしまったぜ。
この戦闘でやりたいことの数的に、次回で終わるかなーと思います。