前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8172字。

魔王戦三話目です。
まだまだ続くぞぉ...


空間操作を切り裂け

さぁ、考えろ俺。この戦闘中に考えながら動けるのは俺だけだ。魔王の空間操作を破る方法を考えろ。

 

「考えるだけ無駄と知れ」

 

「と言われても、俺は考えることしかできないもんでね」

 

考えることを減らすために、攻撃は捨てる。回避にだけ専念し、本来なら攻撃のために使う脳のリソースを思考に回す。避けるだけならば、常に未来跳躍のページに魔力を通しておけば事足りる。あとは考えるだけ。

 

普通の魔法では、空間拡張の防御を超えられない。ニアがありとあらゆる魔法を放っているが、どれも魔王には届いていないことからわかる。あの防御を貫くには、ライトの必殺技やステラの無心の弓、未来から攻撃できる色彩剣装やどこからでも反射できるレストのカウンターなど、特別な力でなければ不可能だ。

 

クミリアみたく、攻撃された瞬間に反撃するのも選択肢の一つではあるが、リスクが大きすぎるからその選択肢はあまり取りたくない。安全に攻撃できる策...そんなものがあるのかわからないが、それを考えなければ...

 

「ちょこまかと逃げ回るだけなら疾く失せろ」

 

……チッ、避けてるだけじゃヘイトを買い続けることはできないか...!

 

「みんなに手ェ出すなら先に俺を殺してからにしろっ!」

 

リスクを負ってもいい。思考を中断し、少しでも攻撃して注意を俺に向ける...たとえダメージは出なくとも、興味を引かせればそれでいい!

 

「これでも...喰らいな!」

 

俺は魔力銃を抜き、魔王に向かって引き金を引いた。魔力弾が放たれ、空気を切り裂き飛んでいく。

 

「これは...魔力を放つことができるのか。まさかそんな武器が出来上がっているとは...どうやら、全員所持しているようだな」

 

放たれた魔力弾は、空間拡張の壁に堰き止められて止まってしまう。魔力銃の存在も知られてしまったし、情報アドバンテージが一つ減ってしまったがひとまず興味を引くことはできた。

 

「だが、こんなものをぶつけたところで何が起こるというのだ。魔力をぶつけた程度で余が死ぬとでも思ったのか?」

 

「なら受けてみりゃいいじゃねぇか。こんなちっぽけな攻撃を必死で防御してんのはお笑い者だぜ?」

 

「強者とはどんな矮小なものにも警戒するものだ」

 

「敵が強者を語るのは負けフラグだぜ?」

 

……いいことを思いついた。

 

9926、9927ページ 黒のみ 魔法拡散

 

魔王の周囲に魔法拡散を発動させる。もちろん俺は範囲外だ。そのまま外から魔力弾をひたすら撃ち込み続ける。

 

「無駄だと理解できなかったか?」

 

魔王は魔法改竄を発動させ、魔法拡散の対象を俺に切り替える。だが、範囲内に俺がいないため、魔法拡散自体はそのまま発動し続ける。

 

「いいや、これが狙いさ」

 

9942、9943ページ 魔法改竄

 

こちらも魔法改竄を発動させる。対象は変えず効果に干渉し、魔法の魔力への分解から魔力の魔法への形成へと変化させる。

 

撃ち込んでおいた魔力弾が無差別に魔法へと変化し、暴走する。

 

「さっきテメェがニアにやった技の真似っこだ。流石にこれで決められるわけないが...」

 

不意打ちではあったが、おそらく空間拡張で止められてしまっているだろう。だが、それで止めたということは、魔王はあの位置から動けないということを意味する。動くためには、その方向の空間拡張を解く必要があるが、解けば魔法が魔王を襲う。動くに動けなくなるわけだ。

 

唯一これを抜け出せるとしたら、未来跳躍くらいだろう。だが、おそらく魔王は未来跳躍を使えない。この魔法を使うと、たとえ一瞬だろうがこの世から消滅する。となると、魔王と魔王城の繋がりも切れてしまうのだ。色彩剣装を発動中に飛ぶと魔力の繋がりが切れてしまい効果が切れてしまうのと同じだな。

 

もし仮に使えたとしても、その場合は魔王城ごと飛ぶことになるだろう。そうなれば、一度入ったら出られないはずの魔王城から出ることができる。体勢を整えて再挑戦できるからこの場合の方が好都合なまである。

 

……は?なんで未来跳躍しか方法がないだなんて思い込んでるんだ?魔王は俺らが知らない魔法も使ってくるんだぞ?方法が一つしかないなんてあり得ないだろ。なんなら一度目の戦闘でやったように空間縮小を使って、俺たちを引き摺り込んで魔法を浴びせられる方法もあるじゃんか。

 

いつのまにか思考が歪まされている。未来跳躍を使えないという考察も本当に正しいのか?全てを怪しみ出したらキリがないのはわかっているけれど、それしかないと思いこんでいることを一度洗いざらい検証し直し、それが本当に正しいのかを確かめる必要が出てきたな。

 

「……そうだ。封じ込めてるその間に...!」

 

魔法拡散を解除して魔力消費を抑えてから、ライトのもとへ向かう。

 

「なぁライト!聞き忘れてたが勇者の記憶はどうなってる?」

 

これまで完っ璧に忘れてしまっていたが、聖剣には歴代勇者の記憶があるはずだ。シレンの穴ではその記憶を頼りに攻略をしてきたわけだが、魔王についての記憶もちろんあるはず。

 

「……忘れてた!今見る!」

 

どうやらライトも忘れていたらしい。ここまでくると、何かしらの魔法によって思考を歪められている可能性が大きくなってきたな。魔王城に入る前から影響を受けていそうだなこれ...なんなら一度目の戦闘の前からかもしれない。魔王城に入ってからだと、入る前に記憶を読まれる可能性があるからな。先んじて対処していそうだ。

 

「……ない。魔王に関しての記憶だけ完全に消されてる!」

 

「そういや聖剣に魔王が寄生していた時期があったんだっけか...その時に消されたのか」

 

魔王の記憶が読めれば、空間拡張をどうやって突破したのかわかったかもしれないのに...

 

「しゃーねぇ普通に考えるしかねぇか...もしかしたら指示出すかもしんないから気をつけとけ」

 

「了解、頼りにしてるよ」

 

「任せろ」

 

と言い終わったタイミングで、魔王が動きだした。自らを魔法拡散で包むことで俺の魔法を分解したのだ...うん、そりゃそれを使えば簡単に対処できるわあの場面。未来跳躍でしか避けられないとか考えてたのアホらしい。

 

……魔法改竄であの魔法拡散を書き換えれば、魔王の体内の魔力を無理矢理魔法に変えれてそのまま吹き飛んでくれるか...?出来そうだけど、魔王がどれだけ魔力を保有してるかわからないから危険すぎるか。魔法の規模がデカすぎて俺らごと死ぬかもしれん。流石にこれを試すわけにはいかないな。

 

「出てきたところにこんにちは!」

 

『雷装』

 

魔王が動いたのを見てから走り出し、雷装を拳に集中させながら殴りに行く...偶然魔王の背後からクミリアが迫っているのを速度探知で察知できたので、タイミングを合わせることにした。前と後ろで雷装の同時攻撃だ。

 

「そーいや、テメェ雷装はやけに警戒してやがるな。ビミョーにだが、防御位置が遠めだぜ?」

 

案の定防御されたが、気づいたことをそのまま魔王に言ってぶつけてみる。

 

「勇者しか使えないはずの力を貴様らも使ってくるんだ。警戒するのは当然だろう」

 

「なるほどよーくわかったお前電気苦手なんだな」

 

魔王は普通に返したつもりだろうが、なんとなく雰囲気でわかった。弱点とまではいかないだろうが、他の攻撃と比べたら電気での攻撃は効きやすいのだろう。最初にクミリアの雷装を喰らった時もすぐに手を離して逃げていたからな。当たれば相当のダメージが出るのだろう。

 

よくよく考えてみれば、この世界では雷は天の怒りと呼ばれている。魔王が言うように本来は勇者にしか扱えないとされていた。雷や電気は特殊なものとして扱われているわけだ。

 

もしそれが、魔王特効だからだとしたらある程度筋が通る。雷の魔法が八つ欠けることなく継承されていて、きちんと勇者に伝えられているのも魔王特効だから...

 

「……ん?」

 

一旦攻撃を止め、魔王から距離を取る。それに合わせてクミリアも攻撃をやめて距離を取った...なんか明鏡止水使ってるなあいつ。思考がダダ漏れになるのを防いでるのか。だからさっきの背後からの攻撃を喋らずにできてたのか...ってそんなことは今どうでもいい。

 

問題なのは八つの雷の魔法だ。雷装があったおかげであまり使うことがなかったためか忘れかけていたが、そんな魔法を確かにライトは習得している。どんな魔法かも一度見せてもらっているから覚えている...ただ一つを除いては。

 

八つ目の魔法。発動条件があるために、未だ使われたことのない魔法。発動条件を教えられてないから今使えるかは知らないけど、今使えないでどうする!

 

「ライト!!八つ目!!」

 

雷装を発動させながら八つ目と叫べば気付いてくれる...はず!

 

「そうかその手が...!」

 

ライトの聖剣に電流が纏わりだす。六つ目の魔法に似ているが...

 

「その魔法は...!」

 

魔王が...障壁を発動させた⁉︎空間拡張の防御が意味ないつってるようなもんじゃねぇか!

 

「ハァッ!!!」

 

ライトが聖剣を振り下ろすと...光が舞った。白色の色彩剣装のようにビームが飛び出し、魔王に向かって飛んでいく。

 

「ごふっ...!」

 

光...いや、その雷は魔王に近づくほど加速していき、ついには光の速さを超えて魔王の全身を貫いた。

 

「防御を貫いた...魔王特効の切り札!」

 

「聖素が周囲に一切存在しない場合にのみ発動できる魔法。その効果は、一定以上の魔素を体内に保有する生命体に対して自動的に行われる裁き。どこへ逃げようが、光の速さで追跡し貫く天の怒り!」

 

思考がダダ漏れになる魔王の魔法によって解説がなされたな。そんな魔法だったのか...生命体に限定されているのは、魔王城を攻撃対象に選ばないためだろうな。もし含まれていたら、未来の重複のせいで発動できなくなってしまう。

 

ってかこれ、魔素を探知して狙うってことは俺らには当たらないのかな?自動的に避けてくれるんだろうか...もし避けてくれるんだとしたら、近づいて攻撃とかもできそうだな。

 

「解説ありがとよライト。やはり効き目大みたいだな」

 

光の速さで襲ってくる雷を避けることなぞできるわけもなく、魔王は雷に打たれ続ける。どれくらいのダメージになっているかは見ただけじゃわからないが、それなりに効いているはず。普通の雷装じゃあ空間拡張の防御を超えられないから、これでたっぷり電流を受けてもらおう。攻撃に参加するのは、しばらく経って効果がいかほどのものか確認できてからだな...

 

「……あれ?なぁライト。それ使ったまま必殺技って撃てる?」

 

身動きの取れない今のタイミングで必殺技を使えたら最高だけど、聖剣に電流を纏わせて発動してるんだよな。まさか、同時には使えないとか...?

 

「撃てたらいいんだけどね...聖素がないことが条件だから同時には使えないよ。ほら、聖剣展開も解除してるでしょ?」

 

「……意味ねぇじゃねぇかチキショウ!」

 

いやまぁ意味はあるけど!魔王をほぼノーリスクで消耗させられるから意味はあるんだけれども!肝心のトドメには使えねぇ!

 

ってか先代の勇者ってまさかこれだけで魔王を倒したのか?シレンの穴を攻略できてないから聖剣展開も必殺技も使えない。だけど、雷の魔法はしっかり受け継がれているはず...弱体化してたりわざと倒されたりと魔王側にもやられた理由があったわけだけども、怪しまれずにわざとやられるには、これで倒せたのだと納得させられる技が必要だ。それがこの魔法だったのか...

 

「ってそんなこと関係ねぇ!次の策を考えないと...!」

 

起死回生の策だったのにそれが意味をなさなかった。すぐに別の策を出さないといけない。けど、他に何がある?勇者関連でもう切り札はないし、もう一か八かにかけて、この魔法を解除してから最速で必殺技を使って魔王に攻撃してみるか?魔王もダメージがあるのだから、すぐに回避することができないかもしれない。それにかけるか...?

 

「ぬ゛ぅ゛...やっとだ。やっとその魔法の秘密を知ることができた...!」

 

なっ、既に知ってるものだと思っていたが、詳細までは知らなかったのか!まさか、この魔法の対抗策があるとでもいうのか...!

 

「魔素がある生命体ならば...これだけで問題ない!」

 

空間に裂け目のようなものが開く。そしてそこから大量の虫のようなものが飛び出した。

 

「魔物の召喚...!」

 

そういや一度目の戦闘では巨大な腕を召喚していた。レストのカウンターの挙動から、腕は魔王とは別の何かであり、何かしらの魔物を召喚していたのだろうとみていたが、その召喚魔法で呼び出したのだろう。虫は至る所から飛び出す。空間を埋め尽くしそうな勢いだ。

 

「なるほど、そういうことか!」

 

湧き続ける虫に、ライトの雷が炸裂する。だが、数が足りない。どうやら一度に放てる雷の量には限りがあるらしく、全てを撃ち落とすことはできない。そして、虫に攻撃が吸われることで、魔王が自由になる...!

 

けれど、これと似たような状況を経験した者が、この中に一人だけいる。

 

「みんな離れて!!」

 

ステラが高く飛翔し、全員に避けるように呼びかけた。全員意図を理解して、全力で魔王の周囲...虫の多くいる場所から距離を取る。

 

「虫は全員消し飛ばす...!」

 

追加パーツが銃口に取り付けられた魔力銃を真下に向け、ステラは引き金を引いた。大量の魔力を吸い取り、魔力砲が放たれる。

 

「これでどう⁉︎」

 

「……一時的に消し飛ばせるけど、後続が出てくるからほぼ意味なしか...!ありがとうステラ!二度目はしなくていい!」

 

「了解!」

 

ステラがシレンの穴で戦ったあの虫たちは、おそらく魔王が今やっている召喚に対応していたのだろうが、規模が違いすぎてあまり経験をあてにできないな。魔力砲で全て倒したところで次々召喚され続けられるからキリがない。消費魔力が激しいから連発できないし、別の方法を使うしか...

 

「ステラちゃん!魔力もらったわよ!」

 

どうやらさっきの魔力砲から魔力を拝借していたようだ。律儀に報告するところはニアらしいな。

 

「殲滅するならこの魔法で...!」

 

周囲の空気感が変わる。いつのまにか雷雲が形成されており、今にも雷が落ちてきそうだ。

 

「三人は雷装を!ステラちゃんとレストにはテトラの所有権を貸すからそれで自衛して!」

 

雷が落ち、それによって三種の妖精が無から生まれる。ニアはその中からテトラを操り、自身とステラ、レストの三人の身に装備させた。全員雷に対する耐性を得たわけだ。

 

クミリアの感電事故があってからは使ってこなかった複合魔法だが、しっかり対処法を編み出して実用可能な技に押し上げられている。この雷があれば...!

 

「雑魚の殲滅は任せなさい!魔王は任せるわ!」

 

どうやらニアは虫の殲滅を担当してくれるらしい。三種の妖精を起用に扱いながら虫を消し飛ばしていく...魔王を任せるとは言ったものの、これまで通り魔法を撃ち込み続けているのはもう流石を通り越して恐怖だな...

 

「なぜ全員天の怒りを...!まさか解析されたとでもいうのか⁉︎」

 

「自分が解析できないのになぜ人間風情に...とか思ってんだろうなァ!その人を見下す態度がテメェの敗因だ!」

 

「貴様は今何もしてないではないか!」

 

「急に言葉で刺してくんな雷の仕組み明かしたのは俺なんだが⁉︎」

 

って違ぇよそんなんに反論してる暇あったら空間操作をどうにかする方法を考えろ!

 

ニアのおかげもあって虫の数は減りつつあるけど、まだライトの魔法を遮る程度には数が残ってしまっている。というかこのままあの魔法を使い続けていても魔王を倒すことはできないのだから、そもそもの障害である空間操作をなんとかしないといけないんだよさっさと頭を動かせ!あと今自由に動ける魔王を止められるのは俺とクミリアくらいだからその対処もしないとだし...!ああもう楔使ってもいいかなァ⁉︎

 

「ひとまずテメェは足止めされてろ!」

 

雷装の一点集中で攻撃して、魔王を足止めする。魔王は雷装を優先的に止めてくるから、クミリアの攻撃タイミングと今度はずらしてで交互に攻撃することで安全を確保しながら時間を稼ぎながら考える。

 

頭を働かせろ。一度目の戦闘から振り返り、魔王の防御を貫けそうな策を考えろ。できれば、超光速弾のような一度に限り防御を貫くことができるようなものではなく、永続的に空間操作自体を無効化ないしは打ち破ることのできるようなものの方が望ましい。

 

空間操作は魔王城の特性を利用しているものだから、魔王城を破壊できれば手っ取り早いのだが...今のところ破壊手段がないから無理だ。未来に直接関与できる魔法があればいいのだが、そんなものないし...存在が重なっている魔王城のうち、未来から来た方にだけ傷をつけて破壊できれば、もしかしたら破壊可能だったりするのか?...いや、これもダメだ。その未来が遥か先だった場合、いつまで経っても崩壊は訪れない。やはり魔王城をどうにかするのは無理だ。

 

他に無理だとわかっていることはないか?できそうなことを探すよりも、できないことを探して潰していく方が早そうだ。でも、できないと思わされているものもあるだろうし、再検証が必要だってのはさっきも考えたな...

 

……そういえば、無意識のうちに無理だと否定してしまっていて、考えていなかった魔法があった。それをしようとしても、そもそも刀が空間拡張のせいで動かなくなるからと諦めてしまい、候補から外していたのだ。

 

その魔法は...

 

『色彩剣装 原色・赤』

『色彩剣装 原色・緑』

 

「原色の赤、原色の緑...混ぜて混色の黄」

 

「っ!その魔法は...!」

 

魔王が狼狽えているのを見て確信する。これなら空間操作を打ち破れる...!

 

「重っ!...けど、これで...!!」

 

見えない刃を伸ばしたことで重くなった刀を持ち上げ、ゆっくりと真横に振り抜く。空間を引き裂くほどの高火力の刃が、振り抜かれる。

 

一瞬だけ、空間拡張によって刀が動かなくなったが即座に解消される。ブチブチと拡張された空間が引き裂かれ、周囲の景色が歪んでいく。

 

「おおっとこりゃ想定外。魔王の防御だけじゃなく、まさか魔王城の空間異変全て切れるとはな」

 

無限に広がっていそうな空間が元に戻り、城の壁が姿を現した。とはいっても十分広いが、外観相応の大きさになったな。まさか内装なんてものはなく、ほぼハリボテだとは思わなかったが...これくらいならさっきとあまり変わらない戦闘が出来そうだ。

 

ただ、空間が元に戻ったことで問題がいくつか出てきた。

 

一つは、ニアが作った雷雲がものすごくちっさくなってしまったこと。拡張された空間内で作ったものは、空間が元の大きさに戻る時に縮小されるみたいだな。もう一度雷雲を大きくしなければ、妖精の力は借りられないだろう。

 

二つ目も原理は一つ目と同じだ。だが、その問題が重要すぎる。

 

空間が戻った時に、俺やみんな、魔王の位置が変化した。

 

ハッキリ簡潔に言おう。

 

魔王の目の前に、俺たち全員が集結した。

 

そして、目の前の魔王は魔法を既に発動しており、今まさに発動しようとしている...!

 

「まずっ...!」

 

「カリヤ退いて!今なら僕が!!」

 

レストが俺を押し退け、先頭に躍り出る。

 

「全て跳ね返す!!」

 

レストは盾を一つに合わせ、カウンターを起動させた。空間操作はもう使えない。おそらくだが、空間の裂け目が消える十秒を過ぎたとしても空間はそのままだろう。ゆえに、カウンターは起動する。

 

「無駄だ。余には届かない」

 

魔王の手のひらから魔物が崩れ落ちていくのが見えた。

 

「召喚した魔物に魔法を発動させていたのか...!」

 

流石にカウンター対策はしていたか...

 

「だが、もうテメェに空間操作は使えない。仮に使えたとしても、もう一度引き裂くだけ。詰みだぜ?」

 

「違うな。まだ貴様らはやっと一歩踏み出せただけだ。そして...空間操作を貴様が破ったことで、ようやく余の配下がここまで導かれる」

 

魔王が言い終わると同時に、地面から黒い塵のようなものが噴き出した。

 

「魔族の塵...ようやく来たか」

 

黒い塵が魔王に纏わりつく。

 

「第二形態だとさ...だが、さっきも言った通り空間操作はもう無い。障害は消えた。さっさと倒してやろうぜ」

 

全員武器を構える。

 

「必ず倒す!!」

 

魔王の魔法によって、全員の思考が口から漏れた。一言一句同じ。

 

同じ思いを胸に抱え、戦いは続く。




混色の黄は意味がないと一度目の戦闘でカリヤに思考させていた気になっていたんですが、書いてなかったんですよね...どうして?
仕方ないので、無意識のうちに否定していたという形にしたんですが、あまりにも苦しすぎる...!
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