前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8437字。

エピローグの日常回です。
一応ちゃんとどうやって完結するかは決まっています。
そこに至るまでどれくらいかかるかはまだ未知数ですが、まだもう少し続くのは確実なんで、完結までちゃんと追って読んでくださると幸いです。


目覚め

「……んあ?ここどこ?」

 

目が覚めたら...ってのは違うな。なんかもう既に立ってるし、気がついたらってのが正しいか。

 

とにかく、意識がハッキリしたんだが、なんか変な場所にいた。

 

なぜか俺は真っ白な空間にいた。方向感覚を失うくらい真っ白で、歩こうとして一瞬転びかけた。それくらい本当に真っ白で、ほかに形容する言葉が見つからなかった。

 

……この件、前にもあったような...

 

「……ここ、神様と出会ったところじゃね?」

 

思い出した。ここはあの世界に来る前に神様と出会った真っ白な世界だ。瓜二つな世界というわけではなくそのものだろう。

 

「でもなんで?俺死んだん?」

 

確か気絶する前に頭打ってたはずだけど、ニアもいるしまさかそれで死んだわけないよな...ないよな?

 

「死んでないと信じたいぞ...?あれだよな?魔王を倒したから、一旦来てるだけだよな?」

 

そっちの方が自然なはず...ああ、早く神様出てきて説明してくれ。

 

ザザ...

 

……ん?今、ノイズが走ったような音がしたような...

 

ザザザ...

 

「なんだこれ...空間が揺らいでる?」

 

ザザザ...

 

「魔   だ  てい 」

 

今のは...神様の声?ノイズみたいな音でよく聞き取れねぇ...

 

「 主  に 住  て る」

 

ザザザ...ザザッ!

 

「気を  ろ まだ って  い」

 

ザザザ...ザザザザッッッ!!!

 

白い空間が、テレビの砂嵐のようにノイズが走り崩壊していく。

 

ザザザザザザザザザ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「  っは⁉︎」

 

叩き起こされるように目が覚めた。

 

「な...なんだったんだ今の...」

 

夢...だったのだろうか。速度操作のせいで夢を見ることが少なくなったから、その反動で悪夢でも見たのか...?

 

「……ってか、ここどこだ?」

 

知らない天井だって言っとけばよかったなと思いながら、辺りを見てここがどこなのかを探る。

 

「この感覚的に聖域の中で、なんかの建物の中なのは確実だけど...ちゃんとベッドがあるし、宿or誰かの家or病室ってところか?」

 

とりあえず身体を起こし、ベッドから降りる。

 

「……ん?なんか違和感あると思ったら包帯巻かれてたのか...ニアが治したろうにいるのか?これ」

 

頭に包帯が巻かれていた。正直つける意味あるのかと思ってしまうが...外したら怒られそうだしとりあえずそっとしておこう。

 

「んー...俺の荷物は全部置いてあんだな...一旦外出てみよ」

 

ここで得れる情報もないし、外に出て誰かいないか探してみよう。

 

ゴンッ!

 

……扉を開けようとしたら、何かにぶつかったような音がした。

 

「えーっと...ごめん、ニア」

 

ゆっくり扉を開け、恐る恐る向こう側を覗き込んだらそこにはおでこの辺りを押さえて悶絶しているニアの姿があった。

 

「ーっ...!やっと起きたのね...元気そうで何よりだわ」

 

「あー、えっと、うん。と、とりあえずその怒りはしまっておこうか...」

 

ニアに肩を掴まれ、そのまま押されてベッドに放り込まれる。

 

「言いたいこと色々あるけど、まず起きたからってウロウロしない!入れ違いになったらどうすんのよ!」

 

「……はい、おっしゃる通りで...」

 

「とりあえず座りなさい。どうせ何が起こったか聞きたいでしょうし、話してやるわ」

 

「ありがとうございます...」

 

ビクビクしながら感謝し、ベッドに腰掛ける。

 

「はぁ、まさかライトよりも起きるのが遅いとは思わなかったわよ...」

 

……ニアさん、自分が座る椅子を引っ張る時間を埋めるための繋ぎみたいな雰囲気だしながら超重要なこと言わなかった...?

 

「ライトもう起きてんのか⁉︎」

 

「そうよ?四日ぐらい前だったかしらね...ちなみにカリヤは一週間寝てたわ」

 

「一週間寝たきりなの二度目だ...」

 

「それだけ魂の疲労ってのが重かったんでしょうね。あと、私も治したのは二度目よ」

 

「重ね重ね感謝を...」

 

ライトの方が早く起きたってのは驚きだな...まぁ傷の大きさ的にそんなに長く眠るようなことは流石にないか。俺が一週間寝たきりだったのがおかしいまであるな。

 

「まぁ何はともあれ、ライトが生きててよかったぜ...疲労で減速が解除されちゃった時終わったって思っちゃったもん」

 

「あの時は私も肝が冷えたわよ...あと少し魔法の発動が遅かったらと思うとゾッとするわ」

 

「ほんと、間に合ってよかったよ...んで、さっきから気になってたんだけどここどこ?聖域の中だってのはわかるんだが...」

 

「王都の中よ」

 

「一週間でもう移転できたの?スゲェな」

 

「……そっか、知らないのよね...位置は変わってないわ。今まで通りの王都の中よ」

 

「ん?魔王が山変えたから聖域の位置変わったはずだろ?王都は影響なかったのか?」

 

「ライトが狂った聖域を元に戻したのよ。女神の山の頂上で聖剣を刺し、女神を元いた山に戻したことで全ての聖域の位置も戻ったってわけ」

 

「はえー戻せるものだったんだ...王都の中ってのはわかったけど、ここは王都のどこなんだ?病院?」

 

「ただの宿よ。傷自体は治ってるし、病院も診療所も怪我人優先だからここで寝かせてたのよ」

 

「なるほどな。とりあえず俺の身の回りのことは一応把握できたわ。じゃあ今度はみんな今何してるか聞いてもいい?なんでニアしかいないの?」

 

「なによ。ステラちゃんがずっと隣で心配してくれてるとでも思っていたわけ?」

 

「いや、そういうわけでは...」

 

……そういや前に一週間寝たきりになった時は心配してくれてたよな。今回はしてくれないのは寂しくもあるけど、自立できたというか、心配しながらもやるべきことをやれる心の強さを得れたってことだから嬉しくもあって...なんか複雑だな。

 

「まぁいいわ。一人ずつ今何やってるか伝えておくわよ。念話でライトにみんなを集めてここに来るようにさっき言っておいたから、別に後で本人から聞くでもいいのだけれど、先に知っておきたいでしょ?」

 

「よくわかってんじゃねぇか」

 

「ならまずは私から。私はいろんな町を回って怪我人の治療をしているわ。今日はガネルの方を回っていたわね」

 

「……ん?じゃあなんでここに?まだ昼くらいだろ?」

 

「カリヤがベッドから降りたらわかるように探知かけてたのよ」

 

……一瞬こっわと思ってしまったけど、起きたらすぐに駆けつけられるようにしたと好意的に捉えておこう...

 

「なるほどな...それじゃあステラは?」

 

「あなた本当にステラのこと好きね」

 

「語弊があるぞ語弊が...んで、どうなんだ?」

 

「ステラは今カリスにいるわ」

 

「カリスに?」

 

「ええ。そりゃ最初はカリヤのことを見てるって言ってたわよ。でも、ライトが起きた後に思い直したみたいね。ライトが起きたんだからカリヤも絶対起きるだろうって感じにね。それで自分にできることは何かないかと考えた結果、カリスの復興の手伝いをすることにしたってわけ」

 

「カリス復興...あんなことあったし、もう少し引き摺るかと思ってたけど、やっぱステラ成長したなぁ...」

 

「親目線やめときなさい。気味が悪いわよ」

 

「そこまで言う...?」

 

「まぁステラちゃんはこんなとこね。詳しくは後で本人に聞きなさい。次は...クミリアにしましょうか。クミリアはステラと一緒よ。カリスで力仕事系を色々やってるみたいね」

 

「人二人抱えられる膂力あるし、まぁ適任か」

 

「他にも理由はありそうだったけどね...本人は言わなかったけれど」

 

「あー...察したわ」

 

クミリアはカリスで幼馴染のキースを失っちゃってるからな...思うところがあるのだろう。キースといえば、チュチュはどうなったのだろう。あの状況でかろうじて生き残っていて、治療を受けていたのを見た記憶があるけど、ちゃんと治ったのだろうか。あと、カリスで姿を見てないけどギブドはどうなんだ?後で知っていそうな人に聞いてみるか...

 

「じゃあ次はレスト頼む」

 

「レストは輸送警護ね。町から町へ、避難していた人たちを元いた町へ輸送する際の警護をしているわ」

 

「なるほど、戦争前にしてたこととほぼほぼ同じ感じか」

 

「そうね。もうさっさと言っちゃうけど、ライトも前と同じで次元転移での輸送をしているわ。一応病み上がりだし、激しい動きはさせられないからね」

 

「まぁそうなるわな...あれ?なんか、男子どもよりも女子たちの方が重労働してないか...?」

 

「そりゃ二人ダウンしてたんだし、レストも力仕事はできないから当然よね」

 

……俺が言うのもなんだけど、レストってちょくちょく不憫になるよな...

 

「……ここまで話してる間に来るかと思ってたけど、全然来ないわね...合流に手間取ってるのかしら?」

 

「んじゃもうちょい話してようぜ。つっても話題がないが」

 

「話題ならあるじゃない」

 

「どんな?」

 

「馬鹿が一人で突っ走ったって話」

 

んー...墓穴掘ったかなこれは。

 

「あれが最善手だったってのは私もわかってるわ。でも、もう少し相談はしなさいよね。あんな言い返せないような言葉並べて無理矢理意見通すような真似したらダメよ」

 

あっ、よかった怒ってはいるけどまだ怒り方が優しい。

 

「……それよりも気になってたことあったんだった。あんな状況に陥ってから、あの早さで作戦思いつけるわけないわよね?前々から考えてたりしてたわけ?」

 

「ま、まぁ一応...ね?万が一ライトが戦闘不能になっちゃった時のために、ほんと万が一のためのサブプランとして考えてはいたんだよ。使わないことを祈ってたけど、永続の楔もろとも使うことになるなんてね...」

 

「それならあの早さも納得ね...今回は許すけど、次無茶したら覚悟しなさい。その顔面に私がパンチ百回叩き込んでやるわ」

 

「ははっ、ニアの拳じゃ何度やってもノーダ...ちょっと待てその拳下ろそうか。素の状態でも顔面は普通に痛いし、見るからにバフ何重にもかけてますよねぇ⁉︎」

 

ほら見て俺怪我人だったんだよ?と身振り手振りで主張しながら、ジリジリとベッドの上に登りながら後ずさる。

 

「……そうね。拳は可哀想だからこっちにしておきましょうか」

 

「うん、その鞭もやめようか。絶対そっちの方が速度あるからエグいって...」

 

……また無茶することなんてきっと無いだろうけど、その時は減速を最大にして逃げようそうしよう。

 

そんなことを考えていたら、扉の外からゴトッと音がした。

 

「来たみたいね」

 

ニアが呟くと、みんなが勢いよく入ってきた。

 

「ホントだ起きてる!」

 

「ゴフッ⁉︎飛びつくんじゃねぇステラ!急すぎてビビるわ!」

 

「おはよっ!」

 

「……ステラってこんなマイペースだったっけか?...おはようそして退いてくれのしかかってくんな」

 

ステラを軽く押し退け、俺はベッドの上で胡座をかく。

 

「よいしょっと...みんな、俺が寝てる間に色々あったみたいだな。ニアからある程度話は聞いてるけど、みんなからも直接聞きたい。話聞かせてくれよ」

 

「それじゃあカリヤはこれ食べながら聞いててよ!」

 

「ん?なにこれ...」

 

「ここ来る前に色々食べれる物買ってきたんだ。何食べたいか分からなかったから、すぐに食べれるようなのを種類多めに用意したから好きなの食べてね」

 

「だからちょっと遅かったのね」

 

「ありがてぇ...ちょうどお腹減ってきたなと思ってたんだよ」

 

……今思ったんだが、寝てる間の食事事情どうなってんだ?点滴とかないだろうし...この機会だしそういうのも聞いてみるか。

 

そんなことを考えながら、俺は袋の中に手を伸ばすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふむふむ、まぁ大体理解したぜ。記憶加速させてないから覚えてられるかはわからんが」

 

みんなの話を聞き終えた俺は、手の甲で軽く口を拭いながら言った。

 

「あっそういえばカリヤ、魔法使えなくなっちゃったんだっけ?」

 

「そうなの⁉︎」

 

ニアが驚愕の顔を浮かべながらこっちを見てきた。

 

「あれ?結構大きな声で楔の内容宣言してたつもりだけど、クミリアしか聞こえてなかった感じ?」

 

「自分のことで手一杯だもの聞いてるわけないじゃない」

 

「そりゃそうか...あと、完全に魔法を使えなくなったわけじゃないからな。速度操作を発動してない時は普通に使えるぞ。発動中でも雷装は使えるし、これから初めて覚える魔法やスキルは使えるようになってる」

 

「それがさっき言ってた永続の楔ってやつ?」

 

「そうだ。あともう一つ、加速と減速を同時に使えないってのがあるけどこっちは前に言ったからライト以外は知ってるよな」

 

「そんなに色々制限しちゃって大丈夫なの?」

 

「大丈夫かって聞かれると大丈夫じゃない寄りだが...今となっては二つ目の方はやらなくてよかったよなぁって思うわ。もし縛ってなかったら、ライトが魔力切れした後、ライトを延命させながら加速攻撃できたからさ。正直めっちゃ裏目ったって後悔したよ。やるってんなら先に言っといてよ」

 

「そんな無茶な」

 

笑いながらライトは言う。

 

「まぁでも、僕がちゃんとしてればカリヤはここまでしなくてもよかったわけだし、そこは申し訳ないかな」

 

「全然申し訳なくないから気にすんなライト。一個目の方はライトが落ちる前にもうやってたから誤差みたいなもんだしな。一週間寝た件も、どうせ一個楔打った時点でこうなる運命だっただろうしほんとに気にしなくていいぞ」

 

「そう?」

 

「そうだよ。魔法が使えなくても色々やりようはあるしな。魔道具使うなり、前みたいに魔法を次元収納にストックするでもいいし、なんなら普通の戦闘くらいなら速度操作だけでも十分だからな。あと多分、能力が成長してったら打ち込んだ永続の楔も緩んでいくだろうし、いずれ普通に使えるようになるはずだ」

 

遅くとも、速度操作の力を完全に解放できるようになった頃には魔法も同時に使えるようになっていることだろう。

 

「まぁ魔王を倒した今、そんな戦うようなことないだろうけどな」

 

「そんなことはないわよ」

 

「……そうなん?」

 

「巨大化した魔物のいるって目撃情報がギルドに続々と入ってるみたいなのよね。人魔戦争で魔族たちに使われなかった個体が発見された感じなんでしょうね」

 

「そーいや俺たちで巨大化魔物を倒して回ってる途中でフロートの介入があって、そのまま人魔戦争の準備にって感じだったから倒し漏れがいるのは当たり前か。魔王城までの道のりで倒した数じゃどう考えても少なすぎだったしな」

 

「魔族たちが情報統制をしてたってのもあるかもね。ギルドに潜入してたサーマルとキネットなら、冒険者からのタレコミをそこで堰き止めて上に報告しないこともできただろうし」

 

「実際あの時、事前に教えられてなかった巨大化魔物もいたしな...まだ戦いがあるってんならリハビリしないとな」

 

「ちょっと何動こうとしてんのよ」

 

「いいだろ別に。もう怪我は治ってんだろ?あとこの包帯取っていい?」

 

「……言っても聞かないか。いいわよ別に」

 

「おけじゃあまず外して...」

 

頭の包帯を取り、丸めて適当に放り投げてからベッドを降りる。

 

「よし、じゃあまずは速度操作使ってみるか」

 

「あら、使ってなかったのね」

 

「使ってたら扉越しのニアに気づかないわけないだろ?」

 

それもそうねと納得しているニアを横目に見ながら、俺は能力を起動させ...

 

「頭いっづ...」

 

「ちょっ、カリヤ大丈夫⁉︎」

 

「あ、ああ。加速させればまぁ大丈夫だ。ちょっと範囲大きくなっててビックリした...」

 

「前より強化されてるってこと?」

 

「ああ。永続の楔のおかげで一時的とはいえだいぶ先まで能力を解放したからか、だいぶ成長したみたいだな。加速よりも範囲拡大の方が強化幅デカいの普通にムカつくけど」

 

範囲だけ増やされても逆に使いづらくなるからやめて欲しいんだよな...加速最大値を優先して上げてくれよ。

 

「これだとちょっと不便なんだよな...楔打ったらどうなるか試してみるか」

 

「なんで実験感覚で切り札切ろうとしてるの⁉︎」

 

「いやいや、そんな切り札なんて大層なもんじゃないし。ちょっと一時的に女神の加護を捧げるだけだから問題ないよ。疲労もそんなに出ないしね」

 

「女神の加護ってそんな簡単に捨てれるようなものだったかしら...」

 

「まぁ前に何度もやったことあるしな。範囲を縮めるにはこれが手っ取り早いってわかってんだよ。ってなわけで神様ー楔打ってくれー」

 

楔を打ってもらうために、神様に呼びかける。

 

……返事来ないな。

 

「忙しいのか?おーい、神様ー?立て込んでるなら楔はいいから返事だけでもしてくれないー?」

 

再度呼びかけてみるが、返事は来なかった。

 

「おっかしーな連絡取れなくなってら」

 

「楔打てないの?」

 

「自分じゃ打てないから、連絡取れてない今は無理だな。後でもっかい試してみて、ダメだったら諦めるわ」

 

もしかしたら、俺が魔王を倒したことで目的を達成したから、俺の動向をずっと見届けるようなことはもうしないのかもしれないな。楔だったりとか分からないことの解説とかのサポートももうしないから、思う存分この世界を楽しんでくれってことだったりするのかも。

 

……そうしてくれてありがたい部分ももちろんあるけど、せめて能力のアフターサービスくらいは受けてくれてもよくない?とは思ってしまうな。まぁそこら辺も自分で頑張れってことなのかもしれないけど。

 

「んーーっと...そういや俺たちってこれからどうなんだ?」

 

ずっと能力を発動してると頭痛が残りそうなのでさっさと解除し、グーっと伸びをしていた時に思いついたことを口に出した。

 

「どうって、どういう意味?」

 

「魔王は倒したわけだけど、このパーティーってこのまま存続するのかって意味。あっ、別に俺が解散したいと思って言ったわけじゃないからな?この世界の勇者パーティーが魔王討伐後にどうなるのかを知らないから聞いただけであってだな」

 

「そんなペラペラ言ってたら逆に言い訳みたく聞こえるわよ...前例から考えると、解散が無難なところね」

 

「そ、そうなのか...」

 

「意地悪しちゃダメだよニア。その前例って、ほとんどが勇者以外死んでたり復帰不可能な怪我を負ったりとかで結果的に解散したみたいになってるだけでしょ」

 

「そ、そうなのか...?」

 

び、ビビったぜ...ライトが本当のこと言ってくれなきゃ多分泣いてたぞ俺。

 

「なーに嘘ついてくれちゃってんですかねぇ!」

 

「別に嘘でもないでしょ。解散したのは本当なわけだし」

 

「過程が重要だったろ過程が...んで、結局どうするんだ?」

 

「今のところみんな存続に賛成しているわ。さっきの口ぶりからしてカリヤもでしょうし、ひとまず存続決定ね」

 

「よかったー!」

 

「そこまで喜ぶことかしら...言ってしまえば、私たち会ってからまだ二ヶ月経ってないのよ?」

 

「……マジ?なんかもう半年以上一緒な気がするんだけど」

 

「それは流石に長すぎじゃない?」

 

思考速度加速のせいでだいぶ時間認識が狂ってんな...まぁでも、普通の二ヶ月よりかは密度濃い生活を送ってきたわけだし、そんな気がしてもおかしくないのかもな。

 

「まぁひとえに存続決定と言っても、しばらくは別行動多めでしょうけどね。各々やるべきことがあるわけだし」

 

「じゃあ俺だけ何もしないわけにもいかないし、誰かのところについていって手伝いしよっかな...よし、ステラとクミリアのところに決めた!男手も必要だろうしね」

 

「おぉー助かるよ!」

 

「カリヤがいれば百人力...いや、二十くらいかな?」

 

「弱体化してるからってそんな厳密に数出さなくとも...あっ、もしかして全員の用事終わったらみんなで巨大化魔物退治って感じか?」

 

「そうね。本格的なパーティー再始動はそこからになるわ」

 

「オッケー了解した。それじゃあみんなわざわざ俺のために集まってくれてありがとな。それぞれ持ち場に戻るとしようぜ。今次元転移を...」

 

「張り切ってるところ申し訳ないけど、その前に全員でやるべきことがあるわ。そのために集まったと言っても過言じゃないわね」

 

「……何かやるの?」

 

「招集が僕たちにかかっているんだよ。城まで来いってね」

 

「……あー、おけなるほどそういう展開ね」

 

王様との謁見をするわけね。魔王を倒した褒美がなんたらとかやるやつだ。凱旋パレード的なのもしたりするんだろうか。ともかく、最優先事項ではあるな。

 

「じゃあ急いで行かないとじゃんか。行こうぜ」

 

「その格好で行くつもり?」

 

「えっ?...確かに謁見でこの服装はまずいか。でもそんな式典用の服みたいなの持ってないしな...」

 

「いや、単純にいつもの服でいいのよ?寝巻きで行くのはどう考えてもダメだけど」

 

……全く気にも留めてなかったけど、たしかに今俺寝巻き姿だ。これじゃそりゃダメだわ...いつもの戦闘服でいいってのもおかしいとは思うけど、それがこの世界の普通なのだろうな。まだまだ知らないことだらけだ。

 

「オッケーそれじゃあ着替えるから...みんな、一旦部屋出てくれん?流石に見られてちゃちょっと...」

 

みんなを押して部屋から追い出す。

 

……追い出す時に女性陣からいつも速度探知で私たちの身体見てるくせに何言ってんだとでも言いたげな視線を向けられ、心に傷を負いながら着替えるのだった。




なんか今回、「まぁ」から文始まること多いな...便利すぎて逆に困る。
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